2023年10月28日土曜日

N響オーチャード定期 第125回 東横シリーズ 渋谷⇔横浜 <ブラームス・チクルス>

2023-10-28 @みなとみらいホール



尾高忠明(⇦ヘルベルト・ブロムシュテットの代理)
NHK交響楽団
レイフ・オヴェ・アンスネス:ピアノ*

ベートーべン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」* 
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 作品90
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ブラームス:幻想曲集作品116から第6曲 間奏曲ホ長調*







N響オーチャード定期の今季第1回目。この定期はオーチャードとみなとみらいとを行ったり来たりで実施される。
奇数回(今回)はみなとみらいホールだ。

ところで、今回は元々ブロム翁が指揮をする予定だった。その為だろう、N響Bと全く同じキャストで同じプログラムだ。結果的にホールの響、ピアノの音比べということになるが、経験則上勝敗はやる前から分かっている。

まず、「皇帝」冒頭のオケtuttiのなんて美しいこと。
しばらくして尺取り虫のように上っては下がる独奏ピアノの音の美しいこと。これだよ。スタインウェイというより、そもそもピアノとはこういう音でなくちゃいかん。

アンスネスの突上棒は今日も健在だったが、あれはサントリーのように響の悪いホールやNHKホールのように3600席もあるところでは必要かもしれないが、みなとみらいホールでは全く必要がなかった。それどころか、ピアノの音は弱音でもオケに埋もれることがなく明瞭に聴こえるので、第2楽章など、もう少し力を抜いて、触れるか触れないかのような美しい弱音を聴きたかった。

テンポは指揮者とピアニストのどちらのリードか分からないが、サントリーでも同じくやや早目で、標準的なものより5分近く早かったように思う。ただ、それがつまらない訳ではない。あまり「皇帝」らしくないなと思ったけど。

とにかく、明瞭で、抜けるようなピアノの音で、オケに埋没しない音で、これこそピアノ・コンチェルト!の醍醐味を味わった。

ブラームスの出来もB-1に比べて格段に良かった。その後本番を1回、リハを2回以上繰り返しているはずだもの。
弦に透明感が戻った。

しかし、演奏面で全面的に良かったかというと、終楽章は弦の高域でやや濁りは残った。一方、管楽器の最後のフェルマータは、今回はたっぷり息を溜めて吹いたか、全く濁らなかった。

B-1と同様、2-3楽章、3-4楽章はほとんどアタッカの如く短い休止だった。2-3楽章のアタッカ擬はありだなと思ったが、3-4楽章はやはり一呼吸あった方が良かったのではないか。2回聴いて2度とも思ったよ。

最後の最後。後ろの方から、フライイングとまでは言えないけど、もう少し待てよ!と言いたい拍手が起こった。ブラームス3番は静かに終わるので拍手のタイミングは難しいが、指揮者やオケと一緒に呼吸をしておれば分かるはず。
なんで、あんなに急ぐのだろう?

♪2023-186/♪みなとみらいホール-39