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2018年4月10日火曜日

東京都交響楽団 第853回 定期演奏会Bシリーズ

2018-04-10 @サントリーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団
東京少年少女合唱隊:児童合唱
新国立劇場合唱団:女声合唱
リリ・パーシキヴィ:Ms

マーラー:交響曲第3番ニ短調

オケの編成も大きいが、これに声楽独唱、児童合唱、女声合唱も加わって演奏陣が膨れ上がるので、ナマで聴く機会が少ない。6オケ8定期を聴いていても定期演奏会で取り上げられる機会は、8定期合わせても年に1回あるかどうかで、前回聴いたのは一昨年の10月に、定期ではなく、N響90周年&サントリーホール30周年特別公演だったからもう1年半ぶりになる。

そもそもマーラーファンではないので彼の作品に関してはつい厳しい聴き方をしてしまうが、それでも、前回のパーヴォ+N響は見事なものだった。あれ程の緊張感を維持してこそ、90分余の長尺が無駄ではないのだという気にさせてくれる。

今回の都響は、まあ、これといってミスもなく(分からなかっただけかも)、壮大な音のスペクタクルを聴かせてくれた。
しかし、管だけを取り上げても(概ね名演だと思うが)アンサンブルで乱れるところがあったし、管と弦がTuttiで炸裂するところなどで、ピッチの甘さゆえの聴きづらい音の歪みを発していた。もし、それがなければ、あくまでも透明さを維持したままの爆音を聴かせてくれたら素晴らしいのにと残念に思った。

ナマであるから、少々の問題は別にして概ね楽しめるのだけど、何かを表現するのに、どうしてこんなに大きな編成と長時間が必要なのか、とはマーラーを聴く度に思ってしまう。
今回もマーラーの自己陶酔に付き合わされてしまったか、と苦笑い。


ところで、今日の弦の配置は少し変わっていた。
都響の3月はA定期が不都合でC定期に振り替えのでBとCを聴いたがいずれも指揮はインバルだったせいもあるのかもしれないが、第1バイオリンの定位置に対抗配置されたのは2回ともチェロだった。この編成もやや少数派だと思う。一番多く見るのは第1バイオリンから時計回りに第2バイオリン、チェロ、そして上手にビオラが第1バイオリンと対抗する形での配置だ。
今日は、その一般形の第2バイオリンとビオラを入れ換えた形、つまり第1バイオリンと向かい合うのが第2バイオリンだ。この形はあまり見ない(N響では多いかも…)。
そこで、ふと思ったのは、マーラーの第3番は、これは「吹奏楽」かと思わせるほどに管楽器・打楽器が活躍し、弦楽器の扱いは粗末なものだ。粗末にされた弦楽器の中では第2バイオリンが比較的活躍するように思う。その為に客席側に配置したのではないだろうか?
他の演奏例を手持のビデオやYoutubeで探してみたが、はっきりとVn1 Vs Vn2の形は発見できなかった。

蛇足ながら、第3楽章のバンダのポストホルンは2階舞台後方の通路下手で演奏され、トランペットで代用された。

プログラムには演奏予定時間が94分と書いてあったが、実測してみたらぴったり94分だった。この中には第1部(第1楽章)終曲後のメゾソプラノ独唱者やP席中央に陣取った合唱団の入場時間も含まれるが、偶然だろうけどちょいとびっくり。

♪2018-037/♪サントリーホール-03

2017年5月26日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第690回東京定期演奏会

2017-05-26 @東京文化会館


ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》 
序夜「ラインの黄金」(演奏会形式/字幕つき)

ピエタリ・インキネン:指揮[首席指揮者]
演出:佐藤美晴
日本フィルハーモニー交響楽団

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
フリッカ:リリ・パーシキヴィ
ローゲ:ウィル・ハルトマン⇒西村悟
アルベリヒ:ワーウィック・ファイフェ
フライア:安藤赴美子
ドンナー:畠山茂
フロー:片寄純也
エルダ:池田香織
ヴォークリンデ:林正子
ヴェルクンデ:平井香織
フロスヒルデ:清水華澄
ミーメ:高橋淳⇒与儀巧
ファーゾルト:斉木健詞
ファフナー:山下浩司

サントリーが使えない間放浪している日フィル東京定期。今回は文化会館で演奏会形式「ラインの黄金」。ピットではなく舞台上に特大オケが所狭しと並んでいるのを見ると、サントリーじゃこれだけ並ばなかったのではないか。

4月に同じ場所で聴いたN響の「神々の黄昏」は素晴らしかったが、「黄昏」ではこんなにもオケの編成が大きかったろうか。また15年秋に新国立で「黄金」を聴いた時、ピットの中にはかくも大勢が収まっていたのだろうか。

何よりも、舞台上のオケの編成の大きさに目を奪われ、これから大変なものが始まるという高揚感で開幕を待った。
指揮は首席のP・インキネン。若いけど正統な熟練を感じさせて好感度大。聴いたのは初日。ローゲとミーメ役が体調不良で急遽交代した。


N響の「黄昏」でもジークフリート役が急遽交代した。まあ、その辺はちゃんと手当がしてあるのだろう。今回の日フィルでも、特にローゲ役は見事な歌唱力だった。もちろん、体調十分な各歌手も人間拡声器かと思うくらい訓練された美声を轟かせてた。

演奏会形式だから歌手がそれらしい衣裳を着用しているだけで舞台装置はない。しかし、今回は照明がとても凝っていて素晴らしく、各情景が照明だけでも十分想像できるのだ。それを踏まえた演出も良かった。
オケも音が明瞭にして繊細、時に爆音。

舞台のオケは演出効果のため終始暗かったが、そんな中で大編成のオケを仕切りまとめワーグナーの真骨頂を聴かせてくれたインキネンも日フィルも凄い。かつてメンデルスゾーンの「エリア」を演奏した日フィルが最高だと思っていたが、記録更新した。

事前のアナウンスは2時間半、休憩なし。実際はカーテンコールも含め2時間50分は座り続けたよ。そんなに長く耐えられるかという不安もあったが、なんて事もなく至福の2時間50分だった。

♪2017-092/♪東京文化会館-09


2015年10月4日日曜日

N響第1817回 定期公演 Aプログラム-パーヴォ・ヤルヴィ首席指揮者就任記念

2015-10-04 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
エリン・ウォール:ソプラノ
リリ・パーシキヴィ:アルト
合唱:東京音楽大学
NHK交響楽団

マーラー:(1860~1911)
交響曲 第2番 ハ短調「復活」


2日連続でマーラーになった。
それも第1番に続いて第2番だ。
マーラーは演奏に大編成を要するものが多いからどのオケでも取り上げにくいだろうけど、やはり、お客が入るのだろうな。
その中で、僕の経験では第2番を聴く機会がダントツに多い。

この曲も第1番と同様、第1楽章から第4楽章までは楽しめるが、第5楽章(終楽章)には疑問を感じない訳にはいかん。

全曲演奏時間90分近い長大曲だが、そのうち終楽章は35分前後というお尻デッカチであることも、いやが上にも長さを感じさせるし、登場する楽想のいくつかは聴いていて恥ずかしくなるような俗っぽさにまみれていて、マーラーはここを作曲する時にフツフツと湧いてくる楽想には見放されて、相当手こずりながら無理やりまとめたのではないか、という気がする。

それでもこの気宇壮大で贅を極めた大規模音楽はそれだけの感興を呼び起こすことは間違いない。

パーヴォ・ヤルヴィが正式にN響の首席指揮者に就いて9月にこのシーズンが始まったが、指揮台に登場するのは今月が初めてで、首席指揮者就任記念というタイトルを冠したコンサートにふさわしい出し物だった。

終曲後、館内客席は大歓声と拍手の嵐で就任を祝ったが、今年2月にヤルヴィが10年ぶりにN響でプレ・就任記念コンサートのような形で同じくマーラーの第1番を指揮した際の熱狂的な祝意や興奮ほどではなかったのは、その後も何度かN響のステージに立ち実質的にはデビューはとうに終わっていたからだろう。


♪2015-96/♪NHKホール-09