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2023年5月18日木曜日

エンジェルス・イン・アメリカ 第Ⅰ部「ミレニアム迫る」

2023-05-18 @新国立劇場



【作】トニー・クシュナー
【翻訳】小田島創志
【演出】上村聡史
【美術】乘峯雅寛
【照明】阪口美和
【音楽】国広和毅
【音響】加藤温
【衣裳】前田文子


浅野雅博
岩永達也
長村航希
坂本慶介
鈴木杏
那須佐代子
水夏希
山西惇

エンジェルス・イン・アメリカ
第Ⅰ部「ミレニアム迫る」全3幕

予定上演時間:3時間30分
第1幕60分
 --休憩15分--
第2幕60分
 --休憩15分--
第3幕60分


この芝居に関して、新国立劇場のHPに掲載された情報以外予備知識はゼロ。
観ようと思ったのは、過去の上演の評判は良く、多くの権威ある賞を受賞しているから観劇は「大いに意義がある」らしい…と考えたこともあるが、2部作で全編通せば約8時間という観劇体験をしてみたいという、怖いもの見たさも動機の一つだ。

小劇場の、それもかぶりつきで、長広舌の飛び交う生々しい舞台を観ていると、退屈するようなことは全くなかったし、もちろん寝てしまうこともなかった(コンサートなら時々ある)けど…なかなかドラマの中に入ってゆけず、いや、正直なところ、最後まで置いてきぼりを食った。

1980年代のNYが舞台。
第1部の副題は「ミレニアム迫る」、第2部は「ペレストロイカ」。他にもたくさんのキーワード。政治・同性愛・エイズ・宗教・人種問題・レーガン等々。

このドラマは、群像劇だが、人間ドラマというより、正にその”時代”を描くドラマだ。
多くのオペラは演出で時代設定を変えることが多い(大抵失敗していると思うが…)。「ドン・ジョヴァンニ」を現代の話に作り替えても成立する。
しかし、特定の時代性を濃厚にまとった芝居は時代設定を変えることができない。変えては話が成立しない。
なのに、その時代は40年も昔だ。
現代史を専門にしている人には抵抗もないかもしれないけど、40年前の、それも主にアメリカの状況を、現代の、自分の物語として”把握”し直すのは、僕には困難だった。

さはさりながら、20人以上の登場人物を8人で演じてしまう演劇的面白さ。多くの場合、同時に2つのドラマが一つしかない舞台の上で並行してゆくのも面白い。

1部と2部が同日上演されるのは休日の前日など限られた日だけだが、今日はその通し上演の日。ともあれ拘束9時間半を、無事に体験できたのは良かった。


余談:全くもってどうでもいい話だけど、僕の席の少し後ろに有名人夫婦にそっくりな男女。いや、99%本物だと思うよ。最近亭主の不祥事でTV出演がなくなったという政治評論家だ。この日は1部だけでお帰りになった模様。

♪2023-083/♪新国立劇場-07

2021年6月24日木曜日

シリーズ 人を思うちから 其の参「キネマの天地」

 2021-06-24 @新国立劇場


井上ひさし:「キネマの天地」全2幕
予定上演時間:2時間30分
第1幕65分
 --休憩20分--
第2幕65分

【作】井上ひさし
【演出】小川絵梨子
【美術】池宮城直美
【照明】榊美香
【音響】加藤温
【衣裳】前田文子
【ヘアメイク】高村マドカ
【ステージマネージャー】渡邊千穂 

高橋惠子⇒立花かず子(大幹部女優)
鈴木杏⇒滝沢菊江(幹部女優)
趣里⇒田中小春(準幹部女優)
那須佐代子⇒徳川駒子(大幹部待遇)
佐藤誓⇒尾上竹之助(大部屋俳優)
章平⇒島田健二郎(助監督)
千葉哲也⇒小倉虎吉郎(監督)



かつて映画化された同名作とは筋に関連はない。

超特大新作映画の打合わせに松竹蒲田の人気女優4人=大幹部(高橋恵子)・同待遇(那須佐代子)・幹部(鈴木杏)・準幹部(趣里)が築地の劇場に集められる。

鉄の序列を一応踏まえつつ「私が一番!」の4人の鞘当てがおかしい。


新作の打ち合わせとは口実で、かつて急逝した女優が実は殺人によるもので、真犯人はこの4人の中にいると告げられ、築地署刑事による捜査が始まる。

二重に仕掛けられたどんでん返しで、演劇賛歌はめでたく幕。


しかし、本篇中にみた決着を再度繰り返すような説教くさいダメ押しはいただけない。


役者に手持ち無沙汰風の場面もあり、もっと、タイトな進行ができなかったものか。



不満も残ったが、スター役者がスター役者を演ずる設定自体にそこはかとないおかしみがある。

また、舞台のすぐ近くで観たので、その臨場感・存在感は半端なかった。


特に若手の鈴木杏と趣里は身体を120度くらい曲げてお辞儀ができるその身体能力に驚いた。本篇中にも、カーテンコールでもみせたが、僕なんか30度くらいしか曲がらないよ。


♪2021-059/♪新国立劇場-04