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2019年7月6日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第349回横浜定期演奏会

2019-07-06 @みなとみらいホール


西本智実:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

小林美樹:バイオリン*

プロコフィエフ:古典交響曲ニ長調 op.25
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 op.64*
プロコフィエフ:バレエ音楽《ロメオとジュリエット》op.64 から抜粋[西本智実版]
-----アンコール-----
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第3番からラルゴ*
プロコフィエフ:バレエ音楽《ロメオとジュリエット》op.64 から「ガヴォット」


プロコフィエフの2曲に、メンデルスゾーンのバイオリンコンチェルトが挟まれたプログラムってコンセプト不明だが、これがなかなか良かった。
独奏バイオリンの小林美樹は、ほぼデビュー時から聴いているがどんどん巧くなってきた。なんて達者な腕前だろう。
まったく、文句の付けようのない完璧な演奏というのが、むしろ欠点と言いたたいくらい。強いて難を言えば教科書っぽい…かな。ここ数日間で、辻彩奈、樫本大進というスグレモノの妙技を聴いた身には、あまりに健全で、かえって、その音楽性に距離を感じてしまうのだから困ったものだ。

第1曲の「古典交響曲」は腕慣らし。
メインの「ロメオとジュリエット」は組曲版ではなく西本得意のバレエ音楽全52曲からの13曲抜粋版だ(5年前にも同じ日フィル・西本指揮・みなとみらいホールで聴いた)。

指揮者によっては、抜粋版でも曲の組み合わせはまちまちだし、組曲版も種類が多いので、いろんな「ロメ・ジュリ」を聴く機会がある。そして何度も聴いているが、いつまで経っても有名な第13曲「モンタギュー家とキュピレット家」の音楽くらいしか頭に入っていないのだけど、<管弦楽>としては、各曲にいろんなオーケストレーションが駆使されていて面白い。

尤もバレエなしのバレエ音楽は、いつも味気ない思いがするが。

♪2019-095/♪みなとみらいホール-29

2017年7月15日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第329回横浜定期演奏会

2017-07-15 @みなとみらいホール


西本智実:指揮
菊池洋子:ピアノ*
日本フィルハーモニー交響楽団

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11*
モーツァルト:歌劇《後宮からの誘拐》序曲 K384
レスピーギ:交響詩《ローマの祭》作品P157
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アンコール
ドゥーセ:ショピナータ*
レスピーギ:リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲からシチリアーナ

西本智実の指揮ではこれまで(得意の?)ロシアものを聴く機会が多かったが、今日はコンセプトがよく分からないプログラム編成。でも、それぞれの出来栄えはかなりのものだった。

菊池洋子のピアノを前回聴いたのはやはり日フィルの定期で、その時はモーツァルトの26番「戴冠式」。指揮は三ツ橋敬子。今回同様2人の女花の競演とかキャッチコピーに書いてあったな。これが松尾葉子の指揮だったらなんて書くんだろう。女流実力派とかになるのかな。

ショパンの協奏曲については、元々大好き、という訳でもないのでまあ、こんなものかと思いながら聴くともなく、もの思いに耽りながら気がつけば終わっていた。

何といっても、本日のメインイベントは「ローマの祭」だ。
こういう、超特大編成、しかも、バンダあり、オルガンあり、打楽器は多種多様出、凝りに凝ったオーケストレーションこそ、管弦楽を聴く楽しみだ。
やや荒っぽい部分もあったように感じたが、何より派手で大音量がうれしい。
定期演奏会だからオケのアンコールはないと思っていたが、あった。それも同じくレスピーギのリュートのための古代舞曲とアリア第3組曲からシチリアーナ(弦楽合奏)と、これは気の利いた選曲だった。

♪2017-122/♪みなとみらいホール-30

2015年7月4日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第309回横浜定期演奏会

2015-07-04 @みなとみらいホール


西本智実:指揮(ミュージック・パートナー)
音無美紀子:語り*


日本フィルハーモニー交響楽団

プロコフィエフ:組曲《キージェ中尉》作品60 (語り付き)*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
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チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」から「マズルカ」


今日の指揮者は西本智実女史。
ロシアでの経験が豊富でロシアものは得意分野なのだろう。あるいは、日フィルの営業戦略なのかもしれないが、この人の回になるとたいていロシアもの中心にプログラムが組まれる。

「キージェ中尉」はCDは持っていないので、最近は聴いたことがなかったけど、昔はFM放送にかじりついて、オープンリールに録音したものを聴くことが音楽鑑賞の主体だった。その頃に何度も聴いたので懐かしく、今回のナマ演奏が楽しみだった。

元々は映画音楽で、それを5曲から成る交響組曲に仕立て直したものだそうだ。

物語は帝政ロシアの宮廷を風刺したコメディだそうで、そのおかしさが、音無美紀子の講談調ナレーションで説明される。

このアイデアは西本女史によるもので、台本も彼女自身が書いたそうだけど、どうも講談調はしっくり来なかったな。
また、「キージェ中尉」というのは、皇帝の問いにうろたえて答えた廷臣の言葉を「キージェ中尉」と皇帝が聞き違えたのが発端となって実在しない「キージェ中尉」をめぐる騒動が生起するのだけど、この聞き間違いも原語なら自然なのかもしれないけど、日本語ではさすがに無理で、音無女史も苦労していたようだ。

ま、音楽自身は軽妙で、物語にそって聴いたので面白く聴けた。

チャイコの第4番。
5番、6番と並んでいずれも大傑作だ。もちろん1~3番も悪くないけど、馴染みが少ないので、どうしても後半の3曲に目移り、耳移りしてしまう。
4番はファゴットとホルンで始まるファンファーレがトロンボーンやテューバがかぶさって厚みを増してゆく冒頭でもう鷲掴みにされる感じだ。
どの楽章もチャイコフスキーならではの哀愁に満ちたロマンティックな旋律が怒涛のように押し寄せてむせ返らんばかりだ。

第3楽章の終わりは特にアタッカ(休まず次の楽章へ)が記されていないが、今日の演奏はほとんどアタッカと言っていいのではないだろうか。第3楽章が消えゆくように終わるや否や第4楽章のallegro con fuoco(速く、情熱的に)に突入するのが爽快だ。

日フィルは(「も」というべきかもしれないけど)集中できない時もあるけど、今日のチャイコの4番は金管がよく鳴ること。
ブラスの咆哮に弦も負けじとガンガン弾きまくって、ふだんより10列ほど前で聴いているようなのめり込みができた。

♪2015-62/♪みなとみらいホール-19

2014年7月5日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第299回横浜定期演奏会

2014-07-05  @みなとみらいホール


田部京子:ピアノ
物集女順子:ゲストコンサートマスター
西本智実[ミュージック・パートナー]指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
プロコフィエフ:バレエ《ロメオとジュリエット》 作品64より
--------------
アンコール
プロコフィエフ:ロメオとジュリエットから第18曲ガボット

今日は、指揮者が西本智実。コンサートマスター(ミストレス)は物集女順子、ピアノが田部京子と、主要キャストは女性ばかりだ。
安倍内閣の方針がここにも反映されているのは同慶の至り(^^;)。

グリーグのピアノ協奏曲を挟んで、チャイコフスキーとプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」だ。
西本智実はロシアで学んだ人だからロシアものは得意分野なのだろう。
宝塚歌劇のベルばらのオスカルを思わせるような容貌・風貌で、あるいは、固定ファンが多いのかもしれない。

チャイコの「ロメジュリ」は、オケは腕慣らし、観客は耳慣らし。
そうそう、こういう音楽だったなあ、という感じで可もなく不可もなく。ただし、サウンドはとてもきれい。

みなとみらいホール3階席最前列は舞台から遠いけど、音は程よく残響が交じり合ってまろやかで、喩え方が転倒しているけど、超HiFi装置で聴いているような耳障りの良い音がする。もちろん、日フィルの演奏レベルの高さもあってのことだけど。

<田部京子>

グリーグは20日ほど前に辣腕高校生のピアノで聴いたばかりだったが、やはり、プロのお姉さんの演奏を聴くと安定感がある。
田部京子って人のことは皆目知らなかったけど、プログラム記載の紹介を読むと学生時代は超優秀な成績を修め、国内外のコンクールでも記録破りの好成績を残している超優等生だ。たくさんのCDも出しているのに、なぜか、これまで縁がなかった。

グリーグでは、第1曲めのオケの編成に比べて6~7割に縮小されたのが意外だった。まあ、チャイコの「ロメジュリ」の規模が大きすぎるということもあるけど、弦楽5部に関してはなにも縮小することもないと思った。
第1バイオリン8人、チェロは5人、コンバスは4人など。
えらくコンパクトだ。

しかし、演奏を聴いてみると、むしろ、弦の各パートがくっきりして良かったように思った。ピアノも大管弦楽に埋もれること無く、明瞭な発音が聴こえたし、初演当時のオケの規模はこんなものだったのだろう。

                  <西本智実>

さて、今日のメインイベントは、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」全52曲から13曲を西本智実が選んだもの。

プロコフィエフは管弦楽版「ロメオとジュリエット」組曲を第1番から第3番まで作り、さらにピアノ用の「『ロメオとジュリエット』から10の小品」も作曲(編曲というべきか)している。

また、今日のアンコールで演奏されたのは、本番では何故か省略された「ロメジュリ」の第18曲だが、これは逆に交響曲第1番第3楽章からの転用だ。

プロコフィエフって、よほど「ロメジュリ」(のメロディ)を気に入ったのか、省エネ志向なのか、使い回しが多い人だ。

ところが、13曲とはいえ演奏時間46分が予定されている長大な作品だ(尤も全曲だと2時間半)。
そもそも、馴染みがない曲ばかりな上に、1曲平均4分弱の作品が一呼吸置きながら延々と続く感じで、これでは、音楽的な構成感は全くつかめない。
バレエが演じられておれば、物語性が理解できるだろうけど、「劇伴」の「劇なし版」だから、こういう演奏形式って何か、無理があるような気がしたなあ。

そう思うのは、そもそも馴染めていないからというのが最大の原因ではあるのだけど。

バレエ音楽にはこのテのものが多い。
でも、プロコフィエフ自身も別途作曲(編曲)しているように「組曲」として緩急取り混ぜた6、7曲で構成してあれば、落ち着いて味わうこともできると思うが、13曲は多すぎた。
なぜ、組曲版を使わなかったのだろう?

という疑問が、途中から湧いてきて、なかなか楽しむというところには至らなかった。

全曲が終曲しても、観客はそこで「終わり」だと誰も自信が持てないから、拍手して良いものやら悪いものやら。
ようやく指揮者が客席に顔を向けたので、やっぱり終わったらしい、ということで、拍手が広がったが、ラストはカタルシスが得られるように明確なジェスチャーが欲しかったな。

いや、演奏は良かったのだ。日フィルはうまいなあとずっと感じながら聴いていたよ。それだけに残念感あり。

♪2014-67/♪ @みなとみらいホール-28