2015年7月4日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第309回横浜定期演奏会

2015-07-04 @みなとみらいホール


西本智実:指揮(ミュージック・パートナー)
音無美紀子:語り*


日本フィルハーモニー交響楽団

プロコフィエフ:組曲《キージェ中尉》作品60 (語り付き)*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
--------------------------
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」から「マズルカ」


今日の指揮者は西本智実女史。
ロシアでの経験が豊富でロシアものは得意分野なのだろう。あるいは、日フィルの営業戦略なのかもしれないが、この人の回になるとたいていロシアもの中心にプログラムが組まれる。

「キージェ中尉」はCDは持っていないので、最近は聴いたことがなかったけど、昔はFM放送にかじりついて、オープンリールに録音したものを聴くことが音楽鑑賞の主体だった。その頃に何度も聴いたので懐かしく、今回のナマ演奏が楽しみだった。

元々は映画音楽で、それを5曲から成る交響組曲に仕立て直したものだそうだ。

物語は帝政ロシアの宮廷を風刺したコメディだそうで、そのおかしさが、音無美紀子の講談調ナレーションで説明される。

このアイデアは西本女史によるもので、台本も彼女自身が書いたそうだけど、どうも講談調はしっくり来なかったな。
また、「キージェ中尉」というのは、皇帝の問いにうろたえて答えた廷臣の言葉を「キージェ中尉」と皇帝が聞き違えたのが発端となって実在しない「キージェ中尉」をめぐる騒動が生起するのだけど、この聞き間違いも原語なら自然なのかもしれないけど、日本語ではさすがに無理で、音無女史も苦労していたようだ。

ま、音楽自身は軽妙で、物語にそって聴いたので面白く聴けた。

チャイコの第4番。
5番、6番と並んでいずれも大傑作だ。もちろん1~3番も悪くないけど、馴染みが少ないので、どうしても後半の3曲に目移り、耳移りしてしまう。
4番はファゴットとホルンで始まるファンファーレがトロンボーンやテューバがかぶさって厚みを増してゆく冒頭でもう鷲掴みにされる感じだ。
どの楽章もチャイコフスキーならではの哀愁に満ちたロマンティックな旋律が怒涛のように押し寄せてむせ返らんばかりだ。

第3楽章の終わりは特にアタッカ(休まず次の楽章へ)が記されていないが、今日の演奏はほとんどアタッカと言っていいのではないだろうか。第3楽章が消えゆくように終わるや否や第4楽章のallegro con fuoco(速く、情熱的に)に突入するのが爽快だ。

日フィルは(「も」というべきかもしれないけど)集中できない時もあるけど、今日のチャイコの4番は金管がよく鳴ること。
ブラスの咆哮に弦も負けじとガンガン弾きまくって、ふだんより10列ほど前で聴いているようなのめり込みができた。

♪2015-62/♪みなとみらいホール-19