2015年7月18日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第51回

2015-07-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
デジュー・ラーンキ:ピアノ*
東京交響楽団

ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲
バルトーク:ピアノ協奏曲 第1番Sz.83*
ベートーベン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」


プログラムは変わった取り合わせで、なぜ、この3曲が選ばれたのか、不思議に思ってプログラムの解説を探したら、指揮のジョナサン・ノットが今回は<リズム>がテーマだという。でも全然説得力がないな。
まあ、でもそれはいいか。

ストラヴィンスキーもバルトークも初聴きだった。
前者の「管楽器のための交響曲」は「交響曲」というけど、単一楽章で演奏時間12分程度。文字どおりに管楽器だけ23名で、打楽器も登場しない。弦楽器が入らないのに「交響」は変な感じだ。

「火の鳥」とか「春の祭典」のような音楽かと思っていたが、同じ作曲家とは思えないような地味な作品だ。
管楽器が大好きなストラヴィンスキーとしては管楽器のいろんなテクニックを盛り込んでいるのだろうが、やはり、打楽器が入らないので<リズム>の面ではあまり際立つところがない。

何度も聴きたいような作品ではなかったが、東響の管楽器奏者はいつもながら安定してうまい。

バルトークのピアノ協奏曲の方は、これこそストラヴィンスキー風で非常に賑やかな作品だった。とはいえ、リズミカルな面白さに比べると調性があるのかないのかはっきりしないし、メロディーが歌えないのだから親しみは持てない。

そしていよいよベートーベンの「運命」だ。
ほぼ1年前に鈴木秀美指揮神奈川フィルで聴いた「運命」にかなりの衝撃を受けた。テンポが速めで、聴かせどころだからといって手加減せずに疾走してゆく爽快さ。ひょっとしてこれが本来のベートーベン解釈なのかもしれないと思っていたが、1月にジャナンドレア・ノセダ指揮N響で聴いた「運命」はあまりの快速ぶりに身体中激震が走った。
彼らの演奏の特徴はテンポだけではないのだけど、まずは「運命の動機」のテンポに象徴的に現れている。

それで、今回のジョナサン・ノットがどんな「運命」を聴かせてくれるのか、大いに興味深かった。
しかし、ごくフツーだった。まあ、少しテンポが速いかな、という感じはしたけど、昔から、多くの指揮者で聴いてきたオーソドックスな「運命」だった。もちろん、それに不満はない。
時にアクロバティックな「運命」も楽しいけど、時にフツーの「運命」も聴きたい。


さて、昨日、N響のとんでもサウンド(N響の技量の問題ではなく、最前列という過酷な環境が産んだもの)を聴いたばかりだったので、ミューザの2階バルコニーから聴く東響の響の何ときれいなことか。やはり、死角がないということも良いホールの大切な条件だと思う。

♪2015-67/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11