2015-07-10 @みなとみらいホール
川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界から」
アイヴズ:交響曲第2番
「新世界から」(以下「新世界」と略記)は今年3回目。
ほぼ1年前には川瀬賢太郎指揮読響でも聴いている。それ以降では5回目だ。
「新世界」は耳タコほどに馴染んでいるし、何度聴いてもメランコリックでドラマチックで大いに楽しめるけど、9曲も作曲しているドボルザークのその他の交響曲が演奏会で取り上げられる機会があまりに少ないのが残念だ。
去年から鑑賞記録をきちんと付けているので検索してみると、これまでに3番、7番、8番が各1回であるのに対して9番は上述のように5回だ。
まあ、ベートーベンの交響曲でさえ、2番や4番などナマで聴いたことがないのだからやむをえないかもしれないが、アイヴズの作品を取り上げるくらいならドボルザークの他の交響曲、それも普段は聴けないような作品とカップリングしてほしいものだ…と、これはアイヴズを聴いてから思ったのだけど。
さて、この日は、そのアイヴズの交響曲がトリだった。
作曲家アイヴズの存在は知っていたけど、これまで意識して聴いたこともなかったので、一体、どんな作品なのかという興味はあった。
「新世界」を前座に回すほどの大曲なのだろうか。
アイヴズという人は実業家として成功した人で作曲はアマチュアとして楽しんでいただけだそうだ。だからといって才能がないということではないはず。
「最初後期ロマン派の影響を受けていたが、後、前衛的になり、シェーンベルクやストラヴィンスキーやバルトークやハーバ、ミヨーに先んじて、無調、ポリリズム、多調、微分音を実験的に導入している。したがって、米国初の前衛音楽の作曲家と呼んで差し支えない」(Wikipedia)そうだ。
でも、この交響曲第2番に関して言えば、調性は維持されて聴き取りやすい。えらく軽いノリで、ベートーベン、ブラームスなどの古典の名曲やフォスターの歌曲などがほとんどそれと分かる形でコピペされている。音楽のコラージュと解説には書いてある。もちろん、それは一つの表現手法だし面白い。
でも、ちょっとモダンに編曲されたヒットメドレーを聴いているようで、深みや重みを感じない。
最後に不協和音の一撃で終わるのも、この曲ではそれまで古典的な手法を守ってきた自分が照れくさくなってここでやっぱりアイヴズ印を刻印しておこうとしたような感じがしたが、考え過ぎかな。
そんな訳で、「新世界」で十分燃焼しカタルシスを得ていたのに、アイヴズではそれを上回る音楽的感興がなかったので、拍子抜けがした。
アイヴズが前座であれば、それなりにこの軽さを楽しんだ上で「新世界」の堂々のクライマックスに満足出来たと思う。
♪2015-64/♪みなとみらいホール-20