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2025年3月21日金曜日

奥村愛&山宮るりこ デュオ・リサイタル

 2025-03-21 @リリスホール




奥村愛:バイオリン*

山宮るりこ:ハープ+


エルガー:愛の挨拶
マスネ:タイスの瞑想曲
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ Op.27から第4番ホ短調(*独奏)
 ⅠAllemande
 ⅡSarabande
 Ⅲ Finale
シュポア:ソナタ・コンチェルタンテ Op.113
サン=サーンス:幻想曲 Op.124
スメタナ(トゥルネチェク編):モルダウ(+独奏)
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
 Ⅰ棒踊り
 Ⅱ帯踊り
 Ⅲ踏み踊り
 Ⅳ角笛の踊り
 Ⅴルーマニア風ポルカ
 Ⅵ速い踊り
 Ⅶ速い踊り
加藤昌則:ケルト・スピリッツ
-------------------
メンデルスゾーン:「春の歌」




◀️感想省略▶️


♪2025-038/♪リリスホール-03

2025年2月16日日曜日

小林美樹&小林有沙 デュオリサイタル

2025-02-16 @リリスホール



小林美樹:バイオリン
小林有沙:ピアノ

ベートーベン:バイオリン・ソナタ第5番へ長調 Op.24「春」
武満徹/森山智宏編:さようなら~恋のかくれんぼ~めぐり逢い
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
R.シュトラウス/フバイ編:4つの歌から「明日の朝」Op.27-4
R.シュトラウス:バイオリン・ソナタ変ホ長調 Op.18
-------------------
マスネ:タイスの瞑想曲
モンティ:チャールダッシュ




小林美樹は、2014年に神奈川フィルのフレッシュコンサートで初めて聴いて以来、オケとの共演の他にもリサイタル、室内楽などでずいぶん多く聴いている。横浜出身というせいか、市内の小ホールでも聴く機会が多い。数えてみたら今日で14回目だった。
石田組長には遠く及ばないが、よく聴いていると思っていた神尾真由子より3回多い。てことは女性Vnでは1番かも。

今日のリリスホールは彼女が初めて本格的なリサイタルを開いたところだそうだ。お姉さんの有沙さんとの共演も2回目で、前回はブラームスのソナタ全曲@文化小が素晴らしかった。

今回のプログラムは、超有名曲と初めて聴く曲が混在していたが、さらっとやってのける超絶技巧が相変わらず正確で安定感があり、艶っぽい。

♪2025-024/♪リリスホール-01

全席指定 1階 F列 14番 3,000円

2025年1月25日土曜日

とつかニューイヤーSpecialコンサート2025 〜今年は「10周年スペシャル!」〜

2025-01-15 @さくらプラザホール



遠藤香奈子:Vn
遠藤和歌子:Pf*

1 宮城道雄:春の海
2 山田耕筰:からたちの花
3 パガニーニ:ラ・カンパネッラ
4 ドビュッシー:月の光*
5 メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調から第1楽章
6 マスネ:タイスの瞑想曲
7 スペシャルコーナー(3挺のVnの音色当て問題)
8 サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
------------------------
9 ドボルザーク:ユーモレスク



◀️感想省略▶️

♪2025-015/♪さくらプラザホール-01

2024年6月28日金曜日

お仕事終わりに ワンコインコンサートVOL.1 〜箕輪安佑子 & 山本樹生〜

2024-06-28 @かなっくホール




箕輪安佑子:バイオリン
山本樹生:ピアノ

ラフマニノフ(クライスラー編):
 パガニーニの主題による狂詩曲第18変奏
クライスラー:愛の喜び
クライスラー:愛の悲しみ
モーツァルト:バイオリンソナタ第18番ト長調 K.301
マスネ:タイスの瞑想曲
クライスラー:ドボルザークの主題によるスラヴ幻想曲
千と千尋の神隠しメドレー
ディズニーメドレー

:チャルダッシュ
------------------------
クライスラー編:ダニーボーイ



今季から始まった「ワンコインコンサート」。500円だ。
実は10年以上前にもこのシリーズがあって、大宮臨太郎くんとか日高剛名人のリサイタルなどを聴いたよ。

今日の奏者はVnもPfも初聴きだ。若い。
昨日、徳永二男のリサイタルを聴いたばかりで、重なる曲もあって、第2部を聴いているような感じがした。

昨日は大ホールだがかぶりつき。
今日も、小ホールでかぶりつき。
VnもPfもとても生々しく、特に最近のかなっくホールの響の良いこと!
「雨の日はホールが良く鳴る」の原則もドンピシャだったのかな。

Vn、Pfとも実に美しく上出来だった。

が、今日も、わずかに音程の甘さが気にはなったけど。

♪2024-093/♪かなっくホール-03

2024年6月27日木曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2024前期 ≪バイオリン名曲の旅≫徳永二男 バイオリン・リサイタル

2024-06-27 @みなとみらいホール



徳永二男:バイオリン
坂野伊都子:ピアノ

ヴィターリ:シャコンヌ
フランク:バイオリン・ソナタ
サン=サーンス:ハバネラ
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ
チャイコフスキー:メディテーション
ヴィエニャフスキ:ポロネーズ第1番
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
-----------------------
マスネ:タイスの瞑想曲
マリア・テレジア・フォン・パラディス:シチリアーノ
モンティ:チャルダッシュ



徳永二男を特に好んで聴いている訳ではないけど、アフタヌーン・シリーズではもう3回目だし、単独のリサイタルもピアニストの方に魅力を感じて聴きに行くこともあり、熟練男性バイオリニストとしてはよく聴いている方だ。

ただ、19年までのリサイタルでは感じなかったが、この年以降は毎回音程が甘いように思う。そういう思いで聴いているとますますそんな気がしてくる。

それは彼の衰えなのか(今年喜寿)、そんなことにこだわらない音楽性の発展途上なのか、単に僕の耳が衰えてきたのか。

ま、気にしないでおけば瞬間に通り過ぎてゆくような微細な瑕疵で、おおらかな気持ちで聴いておればいいのだけど。

そんな構えでおれば、今日のプログラムは副題に「名曲の旅」とあったように、まさしく、大ホールリサタルの定番のような名曲揃いてとても楽しめた。

この手のリサイタルだとピアノの独奏を挟んだりするものだけど、超絶技巧も多いプログラム全曲に登場して、大サービス。

N響時代はおっかない顔付きで、話も聴いたことがなかったが、リサイタルでは案外の好人物ぶりで親しみが持てる。


2024-091/♪みなとみらいホール-22

2024年5月10日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#23










2024-05-10 @すみだトリフォニーホール



大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
前橋汀子:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
エルガー:愛のあいさつ Op.12* 
マスネ:タイスの瞑想曲*
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソイ短調 Op.28*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20*
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」 
ラヴェル:クープランの墓
 Ⅰプレリュード
 Ⅱフォルラーヌ
 Ⅲメヌエット
 Ⅳリドーゴン
ラヴェル:ボレロ
---------------------------
丸山貴幸編:懐かしの青春メドレー*
 テネシーワルツ〜愛の讃歌〜川の流れのように
*バイオリン独奏とオケの共演






10連休明けのコンサート。
冒頭、オケの腕鳴らし「セヴィ理序」の出来がとても良い。11日前のN響よりずっと良い。ロッシーニの管弦楽化がうまいのか高域弦の嫌な音が全然しないので驚いた。
あとはどうかな?と思ったが今日は最後まで良いアンサンブルだった。

前半は、序曲の後はずっと前橋汀子によるバイオリンの小品集で全てオケ伴付き。御歳80とは全然見えない。テクニックもオケをバックにした音圧も十分。
もう、見栄も外連もありませんというような、大ベテランが到達した音楽をしみじみ味わった。

大友ちゃんは、1曲毎指揮台から降りて前橋の後ろに立って大先輩に敬意を表し拍手をリードしたが、これが見ていても心地良かった。

後半は、シャブリエとラヴェル2曲。全て上出来。
特に「ボレロ」の完成度が高かった。

ちょうど2年前に新日フィル@墨鳥でミッキーの「ボレロ」が狂乱する色彩という感じで面白かったが、今日は正統派で丁寧な演奏を噛み締めるように味わった。

2024-062/♪すみだトリフォニーホール-04

2023年10月4日水曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニー② 〜 直江智沙子・バイオリンコンサート 〜 in かなっくホール

2023-10-04 @かなっくホール



直江智沙子:バイオリン
河野紘子:ピアノ
----------------------
榊原徹(司会/神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽主幹)

●エルガー:朝の歌 op.15-2
●クライスラー:Tenpo di Minuetto
●パラディス:シチリアーノ
●マスネ:タイスの瞑想曲
●フォスター:金髪のジェニー
●フランク:バイオリン ソナタ


直江智沙子は、神奈川フィル室内楽で何度も聴いているが、ソロは初めてだった。

自由席だというのに開演ギリギリに入ったが、前方の中央というのは案外空いているね。通路側を好む人が多いから。

な訳で3列目の真ん中で、ほぼかぶり付くように聴いた。
こういう器楽独奏・二重奏や室内楽の場合は、目の前でも抵抗がないよ。指が指板に当たる音、ヤニを飛ばすような低域の重音など、楽器本来の原音をそのまま聴くのも楽しい。

初めてのソロを聴いて、こんなに巧いんだと思った。
プロオケの首席奏者だものこれくらい当然なんだろうが。

このシリーズはMCがつくので、奏者へのインタビューも含まれる。この人が神奈川フィルに入団したのがいつか知らないけど、たぶん入団時からずっと演奏を聴いているのだと思うが、今日、初めて肉声を聞いた。

バイオリンを弾いている時の方が愛想がいいな。

♪2023-165/♪かなっくホール-14

2021年4月11日日曜日

NHK交響楽団 04月公演

 2021-04-11 @サントリーホール


三ツ橋敬子:指揮
NHK交響楽団♢
ソプラノ:森谷真理♡
テノール:福井敬♠︎

◎モーツァルト:歌劇「魔笛」から
 ⚫︎序曲

 ⚫︎タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」♠︎
 ⚫︎パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」♡

◎モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」から
 ⚫︎フィオルディリージとフェランドの二重唱「夫の腕の中に」♡♠︎

◎モーツァルト:歌劇「イドメネオ」から
 ⚫︎バレエ音楽 K. 367から「パ・スル(1人の踊り)」

 イドメネオのアリア「海の外なる胸の内の海は」♠︎
 ⚫︎エレットラのレチタティーヴォとアリア「ああ私の切望、怒り」~「血を分けたオレステよ」♡

◎ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」から
 ⚫︎バレエ音楽「春」


◎マスネ:歌劇「ウェルテル」から
 ⚫︎オシアンの歌(ウェルテルのアリア)「春風よ、なぜ私を目ざますのか」♠︎

◎マスネ:歌劇「タイス」から
 ⚫︎鏡の歌(タイスのアリア)「私を美しいと言っておくれ」♡
 ⚫︎「タイスの冥想曲」

◎プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」から
 ⚫︎ピンカートンと蝶々夫人による愛の二重唱「夕暮れは迫り」♡♠︎
ソプラノ:森谷真理、テノール:福井敬によるアリアと序曲など12曲。



「春」がテーマらしいが、ちょっと無理な説明か。

ま、それはどうでもいいや。

才能ある人のよく磨き上げられた身体こそ最高の楽器だという日頃の思いを十分に納得させてくれた。

特に福井の声はなんとも輝かしい!

先日、砂川涼子を目の前で聴いてその声の美しさに震えるような思いをしたばかりで、加えて今日の福井の輝きと併せて比べると、森谷にはその輝きが不足しているように思うが、これはもう天性のもので仕方がないのか。年齢とともに磨きがかかるのだろうか。

とはいえ、両者の歌唱もN響の演奏にも大満足。

いつか、ワーグナー作品で企画して欲しいな。

♪2021-037/♪サントリーホール-04

2021年2月26日金曜日

ランチタイムコンサート オペラの聴かせどころをお贈りします!

 2021-02-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール


テノール:宮里直樹♠︎
ソプラノ:種谷典子♡
ピアノ:水野彰子

ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「乾杯の歌」♠︎♡
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」♡
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から「女心の歌」♠︎
マスネ:歌劇「マノン」から
「私が女王様のように歩くと」♡
「やっと一人になった〜ああ!消え去れ、優しい面影よ」♠︎
「あなたが握る手は、昔のあたしの手じゃないの?」♡

------------------

マスカーニ:アヴェ・マリア
カタリ・カタリ
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から Lauretta mia, staremo sempre qui


テノールの宮里直樹はオペラでもオケとの共演でもさんざん聴いているが、ソプラノ種谷典子は初聴き。

この2人で4曲ずつ計6曲(2重唱含む)+アンコール3曲だったが、これではさすがにさびしい。

それに「聴かせどころをお贈りします」というコピーの割には、「星は光りぬ」や「誰も寝てはならぬ」等テノールの「聴かせどころ」がなかった。


とはいえ、宮里はうまいし声量がある。

一方、比較においてソプラノ嬢はやや声量不足。

♪2020-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2019年12月4日水曜日

大村博美リサイタル

2019-12-04 @トッパンホール


大村博美:ソプラノ
中野正克:ピアノ*
*アルベルト・ヴェロネージから急遽変更

リスト:ペトラルカの3つのソネット
トスティ:あなたが望むなら
デュパルク:フィディレ
R.シュトラウス:《5つの歌》Op.39より 第4曲〈解き放たれて〉
アーン:私の歌に翼があったなら
グノー:オペラ《ファウスト》より〈宝石の歌〉
プッチーニ:太陽と愛/そして小鳥は
プッチーニ:オペラ《トスカ》より〈歌に生き、恋に生き〉
ジョルダーノ:オペラ《アンドレア・シェニエ》より〈私の亡くなった母が〉
--------------
マスネ:「マノン」より さようなら、私たちの小さなテーブルよ
グノー:アベマリア

前半は聴いた覚えのない曲ばかり。後半もオペラからは3曲で、全般に馴染みのない音楽が多かった。

間近で見る大村はデカイ。その体軀を生かしたブラスの咆哮の如き声楽は、さすがにオペラ歌手だと納得させた。

が、直前のピアニスト変更が不幸だった。また、周囲の客も騒ぎすぎで、残念也。

♪2019-194/♪トッパンホール -01

2019年3月26日火曜日

新国立劇場オペラ「ウェルテル」

2019-03-26 @新国立劇場


指揮:ポール・ダニエル
演出:ニコラ・ジョエル
美術:エマニュエル・ファーヴル
衣裳:カティア・デュフロ
照明:ヴィニチオ・ケリ

合唱⇒新国立劇場合唱団
児童合唱⇒多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽⇒東京交響楽団

ウェルテル⇒サイミール・ピルグ
シャルロット⇒藤村実穂子
アルベール⇒黒田博
ソフィー⇒幸田浩子
大法官⇒伊藤貴之
シュミット⇒糸賀修平
ジョアン⇒駒田敏章

ジュール・マスネ:オペラ「ウェルテル」
全4幕〈フランス語上演/字幕付〉
予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕35分
 --休憩25分--
第Ⅲ・Ⅳ幕60分

メゾソプラノの藤村実穂子。日本が生んだ世界的なメゾソプラノと称されているが、コンサートではしばしばマーラー等を聴いていたが、単品歌曲では真価はなかなか分からない。
藤村美穂子の、歌劇での演技・歌唱は初めてだった。

そもそもこのオペラの原作はゲーテの「若きウェルテルの悩み」である。青春の通過儀礼として僕も若かりし頃読んだ。読むには読んだが、当時(十代?)でさえ、共感できなかったのだから、老いてはなおのこと気持ちが乗らない。

ナマ舞台は今回初だが、記録映像を2種類持っている。これまで積極的にそのディスクを見たことはなかったが、今回の予習のために早回しでざっと見たが、やはり到底共感できない。

音楽に関しては、一番有名なのが(コンサートで単独にも取り上げられることが多い)ウェルテルが歌うアリア「オシアンの歌」だと思うが、この曲はなかなか胸に沁みるものがある。

が、心動かすのはそれだけで、そもそも話の筋がつまらないので観ているのがあほらしくなるのだ。

青年の、美しく・甲斐甲斐しく・家庭的な女性に一目惚れすることは許そう。しかし、相手には婚約者があり、現に間も無く結婚するのだが、それが分かっていて、なおも身を焦がすというのは如何なものか。いや、焦がしても良い。良いが、その気持ちを彼女に執拗に訴えてどうなるものでもなかろう。彼女=シャーロットを困らせるだけだ。結婚後も大量の情熱的な手紙を送りつけるので、シャーロットも(彼女もアホーであるが)心動かされてしまうのだ。

2人とももっと大人になれよ!
と他人事ながら腹が立ってくる。
いや、そこまで、僕が気合いを入れることもないのだが、いずれほとぼりを冷ませばそれで良いのだけど、ウェルテルは恋が成就できぬと知った途端、ピストル自殺してしまうのだもの、もう、良い加減にしろい!と思うのであります。

そういうドラマをゲーテほどの知性のある人間がなぜ書き残したのか、といえば、一説には、自分の気持ちをこの小説を書くことによって鎮めたそうだ。この辺が教養人だな。
自分はスッキリしたろうが、この作品の悪影響を受けて青年たちの自殺がどっと増えたというから罪な話だ。

純粋、無垢、情熱、恋愛…そして死。なんたる甘美な罠だろうか。

青春の一時は染まっても良いが、なるべく早く覚醒し卒業しなくちゃいけない。

マスネもなんでこんな原作に惹かれたのだろう。
彼もまた、内なる情熱を作品に閉じ込めて放出することで、平衡感覚を保とうとしたのだろうか。

「ウェルテル」という物語はそんな筋書きなのだ。
到底共感できるものではないから、オペラの形をとっても先述のようになかなか共感できないでいたが、生の舞台ではどんなものだろうか。
途中で席を蹴って帰る!なんて純粋な情熱はもう残っていないので最後まで観るとしても、ウェルテルたちに共感できるだろうか、オペラ作品として楽しめるだろうか、かなり不安だった。

が、やはり生の持つ求心力は凄い。

Ⅰ、Ⅱ幕は平凡だがⅢ幕こそ見せ場、聴かせどころで、例の「オシアンの歌」の切々たる美旋律が胸を打つ。また、この旋律を組み合わせて綴られるこの幕の音楽の完結性も高い為、甘ったるい小児性を脱却できていないもののドラマもそれなりの説得力があるので、続く最終幕もさほどの違和感もなく大団円を受け入れてしまった。

ウェルテル役ピルグは、1年前に同じく新国立劇場の「愛の妙薬」を聴いたが、今回の方がずっと良い感じだった。
藤村もなるほど世界のメゾの実力を感じた。
メゾというよりソプラノでも通るような高域もトランペットのように歌って吃驚。幸田浩子も黒田博も健闘。

舞台装置もシックで豪華。

今回のピットは東響。…今日の出来はイマイチ。

♪2019-036/♪新国立劇場-03

2018年10月1日月曜日

東京フィル 11回 平日の午後のコンサート

2018-10-01 @東京オペラシティコンサートホール


渡邊一正:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

大谷康子:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇『ウィリアム・テル』序曲
モンティ:チャールダーシュ*
マスネ:タイスの瞑想曲*
J.S.バッハ:G線上のアリア(管弦楽組曲第3番より第2曲「アリア」)*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
ベートーベン:交響曲第7番
----------------
アンコール
アンダーソン:プリンク・プランク・プランク*

永遠のお姫様、大谷康子が目当て。期待どおりの美音と演奏。軽めの名曲ばかりだが、音楽大好き感一杯で聴く方も幸せに。

このコンサートのシリーズは初めてだが、指揮者(今日は渡邉一正)がMCを務めるというクラシックにはちょいと珍しいスタイルだったが、この渡邉センセイ、話下手で、もっぱら話し上手の大谷康子におんぶにだっこという感じだったが、それはそれで楽しかった。
チャルダーシュは?千回も演奏していると彼女自身が話したが、忘れてしまった。チゴイネルワイゼンは今日で3800回目くらいだ、というのは記憶に留まった。^^;

指揮者から、同じ曲をそんなに何度も演奏する時にはどんな心構えなのですかと問われた彼女の答えに一々納得したが、最後に、すばらしい作品を残してくれた作曲家への感謝の念を以て弾いています、との答えに大谷康子ならでは、さもありなんと聞いて得心。嬉しかった。正に、いつも入魂の演奏だもの。

人間的にも飾り気がなく気さくで、デビュー43年の今でも可愛い天然のお姫様だ。飾り気はない、と言ってもドレスが大好きで、子供の頃に大きくなったらドレスが着られるからと思って一生懸命にバイオリンの練習をしたという話もさもありなんだ。

後半はベートーベンの交響曲第7番。
これが期待以上に上出来。
東フィルは定期会員ではないし、コンサートではあまり聴く機会がないが、オペラにゆくとほとんどの場合ピットに入っているのが東フィルなので、演奏自体はよく聴いているし、いつも巧いなあと思って聴いている。

久しぶりに(7月24日ミューザ以来)舞台上の演奏を聴いたが、重厚なアンサンブルで[管弦楽]を聴く喜びに満ちていた。

どの楽章も美しいが、特に第3楽章終わりから間髪入れず怒涛の終楽章へ。
あ、コレコレ!
こういうの聴きたいんだ。

ところで、オペラシティコンサートホールはとても響がいい。
みなとみらいに比べるとやや乾いた感じだが、弦のアンサンブルがよくまとまって響いてくる。
みなとみらいといい、オペラシティといい、やはりシューボックス形式に利点があるのかもしれないな。

♪2018-121/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2017年9月20日水曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~伊藤亜美、佐野隆哉リサイタル

2017-09-20 @みなとみらいホール


伊藤亜美:バイオリン
佐野隆哉:ピアノ

サン=サーンス:ハバネラ Op83
ドビュッシー:12のエチュードから第7番~第12番
マスネ:タイスの瞑想曲
ラヴェル:ツィガーヌ<演奏会用狂詩曲>
-----------
アンコール
ポンセ:エストレリータ

その日の内にメモしておけばよかったけど、随分時間が経過してしまったので、ほとんど思い出せない。ドビュッシーの作品だけがピアノの独奏でほかはデュエットだった。そのドビュッシーが初聴きだけど、シニカルな遊び心を感じたことは覚えている。

ろくな感想も書けないので、2人の略歴でも記しておこう。後々の参考になるだろう。

伊藤亜美:3歳でバイオリンを始める。6歳から2年間スイスに在住。帰国後、東京芸術大学附属高校、同大学にて学ぶ。安宅賞、同声会賞、アカンサス賞を受賞し卒業。ローザンヌ高等音楽院、イギリス王立北音楽院、グラーツ芸術大学にも留学。第78回日本音楽コンクール優勝、聴衆賞受賞。第2回マンチェスター国際ヴァイオリンコンクール優勝、委嘱作品最優秀演奏賞受賞。第12回カール・フレッシュ国際ヴァイオリンコンクール第2位。2016年5月CD「A」をリリース、レコード芸術誌特選盤に選ばれる。2016年よりアーティスト名を尾池亜美から伊藤亜美に変更。

佐野隆哉:1980年東京生まれ。都立芸術高校、東京芸術大学を経て、同大学院修士課程を修了。2005年に渡仏後、パリのスコラ・カントルム高等課程を最優秀で修了。その後、日本人男性として初めてパリ国立高等音楽院「第三課程研究科」(博士課程)からの入学を許可され、2008年に修了。在学中から、日本音楽コンクール第2位入賞(03年)を始め、世界各地の「国際ピアノコンクール」で多数入賞。ホセ・ロカ国際2位(スペイン・08年)。ロン=ティボー国際5位及び聴衆賞、特別賞(仏・09年)。ショパン国際ディプロマ(ポーランド・10年)等を受賞。
「室内楽」の分野においても、パリ国立高等音楽院室内楽科を審査員満場一致の最優秀で卒業。日本モーツァルト音楽コンクール声楽部門[共演者賞](03年)、国際サキソフォーンコンクール名誉ディプロマ(ポーランド・09年)を受賞するなど、国内外の幅広いジャンルのアーティストから厚い信頼を得ており、ソロ活動に留まらず多方面で活躍している。2010年冬に帰国。現在、演奏活動の傍ら、国立音楽大学、都立総合芸術高校にて後進の指導に当たっている。平成16年度青梅市芸術文化奨励賞受賞。第3回グラチア音楽賞受賞。2013年ファーストCD「DANZA」(LPDCD-010)をリリース。CD「クロイツァーの記憶(Memory of Kreutzer,NAT15431~2)」に参加、2016年7月リリース。

以上は、みなとみらいホールのHPから抄録転載。

♪2017-154/♪みなとみらいホール-34

2017年8月9日水曜日

フェスタサマーミューザ2017 日本フィルハーモニー交響楽団 ≪コバケンの幻奏 - 夢・情熱≫

2017-08-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール


小林研一郎:指揮
小林美樹:バイオリン*
日本フィルハーモニー交響楽団

ドビュッシー:
 小組曲〜1小舟にて、2行列、3メヌエット、4バレエ
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ*
マスネ:タイスの瞑想曲*
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
-------------
アンコール
クライスラー:レシタティーヴォとスケルツォから"スケルツォ"*
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲

オールフランスものだった(アンコールを除く。)。
冒頭はオーケストラのみによるドビュッシーの「小組曲」。
元々はピアノ連弾曲を友人のビュッセルが管弦楽に編曲した。
これは原曲も今日と同じ管弦楽版も聴いたことがあったが、全4曲の第3曲目を聴くまで思い出せなかった。20歳代の作品なので、「牧神の午後への前奏曲」を機能和声を使って作曲したような音楽で、フランス音楽というよりドイツ音楽ぽく感じたが、ところどころに5音音階らしきフレーズも出てきて、その後のドビュッシーの作品を彷彿とさせる。

続いて、小林美樹と管弦楽によるサン=サーンスとマスネの有名曲。
バイオリン独奏者を迎えても協奏曲ではなくバイオリンが主体の管弦楽小品を聴かせるというのは、過去にもコバケン+日フィルで経験しているので、これはマエストロの好みなのかも。
2曲とも非常に美しいメロディーでこれはこれで楽しめた。

小林美樹を初めて聴いたのは2014年の3月、若手ソリストと指揮者による神奈川フィルとの共演だったが、あれから3年半で、容貌がすっかり大人びて美人になった。腕前の方は、上達しているのだろうけど、元々ヴィエニアフスキーコンクール2位という実力者だ。素人耳では分かるはずもなかろう。とてもメリハリのついた安定感のある音楽だった。

メインが「幻想交響曲」。100人近い特大オーケストラ。
何度もナマを聴いているが、その都度、聴きどころならぬ見どころを忘れてしまっているので、聴く度というか舞台を見る度に発見があって新鮮とも言えるが、ティムパニー2組を4人で演奏する箇所があったんだ。バスドラムも2台同時に、バスチューバも2本同時に演奏するし、なるほど迫力がある訳だ。オーボエのバンダがあることも今日始めて気が付いたが、次回聴く時には忘れてしまっているだろうな。

今日の日フィル、管も弦も高水準で、とりわけ低弦のアンサンブルがぞくぞくするほど綺麗だった。音に色気がある。
いつでも、どのオケでも「幻想交響曲」はハズレがないが、今日の演奏も満足度大だった。時々音楽で遊びが出るマエストロも、今日のプログラムでは遊ぶようなところもなく、正統的解釈を徹底していたように思う。

長崎に原爆が投下された8月9日ということで、アンコールにマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲が演奏されたが、これが心に染み込んだよ。

♪2017-136/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-22

2017年4月1日土曜日

ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2017前期 ≪黄金のデュオ≫矢部達哉&横山幸雄 デュオ・リサイタル

2017-04-01 @ミューザ川崎シンフォニーホール


バイオリン:矢部達哉
ピアノ:横山幸雄*

ベートーベン:バイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」*
シューベルト:即興曲D.899から第3曲*
ショパン:ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」*
フランク:バイオリン・ソナタ
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アンコール
フォーレ:夢のあとに
ドビュッシー:前奏曲第2集第6曲「風変わりなラヴィーヌ将軍」*
マスネ:タイスの瞑想曲

上野学園と戦闘中の横山(元)教授と都響コンマスの矢部氏はこの組合せでCD数枚出している息の合ったコンビ。
ベートーベン、フランク、シューベルト、ショパンの決定版名曲集みたいで気恥ずかしさも。
一番の聴きモノはフランクのソナタ。仏独同居に興趣あり。

♪2017-049/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2017年3月11日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第325回横浜定期演奏会

2017-03-11 @みなとみらいホール


小林研一郎:指揮[桂冠名誉指揮者]
前橋汀子:バイオリン*

日本フィルハーモニー交響楽団

サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ*
マスネ:タイスの瞑想曲*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
マーラー:交響曲第1番《巨人》
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第2番から「サラバンド」
マーラー:交響曲第1番《巨人》から終楽章コーダ

前半は前橋汀子を迎えてVnの名曲集。音色がいい。特にチゴイネル〜の弱音器を付けた音が極上の響。

後半はマーラーの巨人。
演奏の出来はイマイチという感じ。指揮者と団員の呼吸が揃っていないのか、構成感が弱く終楽章に向かっての高揚が不足した。
しかし、終楽章コーダではホルンだけでなく金管全員を立たせたのが効果的で、ようやくにして胸のつかえが降りた。
これはコバケン流「震災鎮魂の咆哮」なり。

東日本大震災6年目の夜のコンサート。

♪2017-037/♪みなとみらいホール-11

2017年1月27日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート ≪田部、矢部&古川の「大公」≫

2017-01-27 @みなとみらいホール


田部京子:ピアノp
矢部達哉:バイオリンv
古川展生:チェロc

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から「前奏曲」c
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番から「ラルゴ」v
マスネ:タイスの瞑想曲vp
フォーレ:夢のあとにvp
メンデルスゾーン:無言歌集から「ベニスのゴンドラの歌」第2番p
グリーグ:抒情小曲集から「小人の行進」p
カッチーニ(吉松隆編):アヴェ・マリアp
ドビュッシー:月の光p
ベートーベン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」pvc
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アンコール
ドビュッシー:ピアノ三重奏曲から第3楽章pvc


田部京子は前に日フィルとグリーグの協奏曲を聴いた。
矢部達哉と古川展生はいずれも都響のソロ・コンマスと首席なので、定期演奏会ではほぼ毎回聴いていると思うが、独奏者としては初めてだ。

楽しみだったのは第一に「大公」トリオ、そしてフォーレの「夢のあとに」。「夢のあとに」はできたらチェロで聴きたかったが今回はバイオリンだった。

それにしては満足度がイマイチだったのはなぜだろう。
前半の小品集が、入れ替わり立ち替わりで、なかなか集中できなかったからかもしれない。

「大公」は当然のように上手だし、良かったが、できれば前半にもピアノトリオを1曲演奏してくれたら<音楽鑑賞態度>が決まって良かったかもしれない。

♪2017-012/♪みなとみらいホール-04

2016年6月28日火曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート ≪石田泰尚のスプリング・ソナタ≫石田泰尚バイオリン・リサイタル

2016-06-28 @みなとみらいホール


石田泰尚:バイオリン
中島剛:ピアノ

ベートーベン:バイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 作品24「春」
クライスラー:愛の悲しみ、愛の喜び
マスネ:タイスの瞑想曲
モンティ:チャールダッシュ
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番ニ短調 BWV1004から「シャコンヌ」
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調
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アンコール
J・ウィリアムズ:シンドラーのリスト
ヴィロード:エル・チョクロ
ガーデ:ジェラシー
プッチーニ:誰も寝てはならぬ


ベートーベンとフランクのソナタ2本にバッハ、クライスラー、マスネ等+アンコール4曲の大熱演だった。
石田泰尚は2001年から神奈川フィルのソロ・コンサートマスターだしいろんな室内楽アンサンブルを主催しているので、バイオリニストとしては聴く機会が多い。
少なくとも神奈川フィルの顔として飛び抜けた人気を誇っているようだ。オーケストラ定期でもこの人がコンマスの日は会場が心なしか熱い。室内楽なども気がつけば売り切れ御免が多い。
ご婦人方に人気なのだ。
一見コワイお兄さんぽいけど、その実えらくシャイなところがご婦人方にはカワイイのかもしれない。

彼のバイオリンは極めて繊細で美しい音色。
そのためか、そして、みなとみらい大ホールというバイオリン・リサイタルには大きすぎる会場のせいか、前半は音圧の不足を感じた。

しかし、だんだん良く鳴る法華の太鼓で、無伴奏のバッハから俄然本領を発揮しだした。
本篇シメの大好きなフランクのソナタが、これをナマで聴くのが随分久しぶりだったこともあり、実に心地良かった。

アンコールの第1曲が、映画「シンドラーのリスト」のテーマだった。これはこじんてきにとても好きな曲で、ちょいと興奮した。が、お兄さん、この曲弾いてくれるなら、恥も外聞も見栄もへったくれもなくもっともっと咽び泣いて欲しかったよ。


♪2016-089/♪みなとみらいホール-22

2015年9月6日日曜日

女神(ミューズ)たちの”愛のうた”

2015-09-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール


千住真理子:バイオリンVn
長谷川陽子:チェロVc
仲山郁代:ピアノPf

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番より プレリュード(Vc)
ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ(Vc+Pf)

ショパン:幻想即興曲(Pf)
ショパン:夜想曲 第20番「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」(Pf) 
ショパン:練習曲 第12番「革命」(Pf)

マスネ:タイスの瞑想曲(Vn+Pf)
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・パルティータ 第3番よりプレリュード(Vn)
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ 第2番より「幻影」(Vn)

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」(トリオ)
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アンコール
E.エルガー:愛の挨拶(トリオ)


このシリーズ、いつからやっているのかしらないけど、少なくとも2013年にはみなとみらいホールで聴いた。
その時のメインプログラムはメンデルスゾーンの第1番のピアノトリオだった。
今日は、チャイコフスキーのピアノトリオだった。
いずれも甘く切なく、ロマンチックだ。

お嬢さん方にはピッタリの選曲かも知れない。

僕がピアノ・トリオという形式の音楽に開眼したのは、ほかでもない、このチャイコのトリオを聴いてからだ。
冒頭のチェロから始まりバイオリンに受け継がれる主旋律に惹きこまれない人はいないだろう。

変則2楽章形式だが、前半は特に変わったところはないけど、後半の、特にコーダからは第1楽章の切ないメロディーがだんだんと大げさになって繰り返され、やがて、テンポを落とし、葬送行進曲にでしめやかに終わる。
そういう意味では暗~い音楽だ。
演奏に50分も要する長大曲だがセンチメンタルな情感のせいか長さを感じさせない。

あくまで個人的見解だけど、ピアノトリオには傑作が多い。
この楽器編成が作曲家に刺激的だったのだろう。
古典派(ハイドン、モーツァルト、ベートーベン)もたくさん傑作を作っているしシューマン、もブラームスも、メンデルスゾーンもドボルザークも数曲ずつ作曲している。
ショパンとチャイコフスキーが1曲しか作っていないのはなぜだろう。

コンサート前半は各自のソロとピアノとのデュエットにピアノソロだ。
バッハ「無伴奏チェロのための組曲第3番」からのプレリュードにせよ、同じく「無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番」プレリュードにせよ、聴くには物足りない。曲目を減らしても全曲聴きたかった。ただ、無伴奏バイオリンの2曲めがイザイの無伴奏ソナタ第2番から幻影というのは、良い選曲だった。

難曲、「偉大な芸術家の思い出に」では、特にピアノがときどき音を外していたが、勢いがあったのでさほど気にもならなかった。

今日のミューザ川崎シンフォニーホールでの席は、第2層のセンターの中のセンターという場所を選んだ。P席以外はどこも同額でランク無しだったので、普段聴いたことがないなるべく後方を選んでみたのだけど、音の響きはとても良かった。
以前、みなとみらいで聴いた際に千住真理子のストラディヴァリウスの音がやけに硬いという印象を受けたが、今日は、とても良い感じだった。

音楽とは関係ないけど美形3人の中では、千住真理子に親しみを感ずる。その真理子さんもデビュー40年だそうで、チャイコを弾くときにはメガネをしていたなあ。
いつまでもミューズでいてくれたらいいのだけど、そうもゆかんのだろうな。


♪2015-83/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-17