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2024年7月4日木曜日

東京都交響楽団 第1003回 定期演奏会Bシリーズ

2024-07-04 @サントリーホール



ヤクブ・フルシャ:指揮
東京都交響楽団
五明佳廉:バイオリン*

【定期演奏会1000回記念シリーズ⑧】
【ブルックナー生誕200年記念】

ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 op.26*
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 WAB104「ロマンティック」(コーストヴェット:1878/80年)
------------------------
ピアソラ:タンゴ・エチュード第3番*



フルシャは都響の首席客演指揮者だったから、都響との組み合わせが一番多く、ほかにN響が数回。
まあ、大体いつも良い感じで聴いていた。

都響Bは前回=正真正銘の1000回記念が、インバルでブルックナーの9番。これがブルマラ嫌いの僕にも聴きごたえのある良い演奏だったが、これに比べると、今日の4番はいつもの都響らしい賑やかな演奏だったな、くらいの印象だった。

よほど、見事なアンサンブルで引き込んでくれないと、時々登場する安っぽいドラマの劇伴みたいなフレーズに聴いていても恥ずかしくなる。

五明佳廉は22年秋以来で、その時も都響だったが、良い印象が持てなかった。本日も、なんであんなにスカートのスリットが長いのだ、と見た目が先ず気になって集中できず。
芸術鑑賞はまこと人間修行だな。

♪2024-096/♪サントリーホール-15

2023年11月12日日曜日

かなっくクラシック音楽部 未来のヴィルトゥオーゾを紹介します/笹沼樹

2023-11-12 @かなっくホール


笹沼樹:チェロ
上田晴子:ピアノ

ラフマニノフ:2つのサロン風小品 Op.6
 1 ロマンス
 2 ハンガリー舞曲
ブルッフ:コル・ニドライ Op.47
バルトーク:ラプソディ 第1番

フランク:バイオリン・ソナタ イ長調
 第1楽章 Allegretto ben moderato
 第2楽章 Allegro
 第3楽章 Recitativo-Fantasia
 第4楽章 Allegretto poco mosso
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ラフマニノフ:ヴォカリーズ


笹沼樹(たつき)は、以前にカルテット・アマービレの一員として、また、今年度からは東響の客演首席として達者な腕前を聴いているので僕にとって初のリサイタルは楽しみだった。

一昨日、東フィルで佐藤晴真がサントリーホールであるにもかかわらず、柔らかい美音を響かせていたが、今日は、小ホールの中でも音の良いかなっくホールだ。どんな音が出てくるかが一番の興味だったが、やりました。

冒頭のロマンスはピアノのアルペジオ風の伴奏に乗り、ビ〜ンと出てきた音が、小ホールならではの、しかもかぶりつきならではの、生々しさと艶(なまめ)かしさを響かせて、もうこれで最後までOKという感じ。

この最初の1曲だけが初聴きで、なぜか組物なのに2番手のハンガリー舞曲以下は、全てよく知っている作品なので心地よく楽しめたが、今回のプログラム、ちょっとした遊び心で構成されている。

アンコールを含む全曲がチェロとピアノで演奏されたのは当然だが、作品の方は、すべて元来がチェロとピアノの為に作曲されたものではない。
バイオリンとピアノ、チェロと管弦楽、声楽とピアノといった調子だ。このうちバルトークだけは作曲者自身が後年チェロとピアノに編曲したので、これはオリジナルと言っていいだろうが、その他は、笹沼とピアノの上田晴子が今日の編成の為に手を加えた…彼ら自身の遊び心に溢れているのだ。

特に、本篇最後の大物、フランクの、その名も「バイオリン・ソナタ」は興味深かったが、単にバイオリンの楽譜をチェロで弾いているのではなく(それじゃ、チェロの良さを活かせないし、高域が続いて聴き苦しかったのではないかと思う)、適宜、上げたり下げたりしているのだけど、何の違和感も感じさせなかったのは面白い。この曲をビオラでも聴いた覚えがあるが、ビオラではひょっとして原曲の楽譜をそのまま使ったのではなかったかな。

いずれにせよ、ブンブンと豊かに鳴るチェロとピアノの音も美しく、とても濃密な100分だった。
笹沼樹。看板どおり、未来のヴィルトゥオーゾかも。

♪2023-194/♪かなっくホール-16

2023年8月8日火曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 日本センチュリー交響楽団 天下の台所からクラシックフルコース

2023-08-08 @ミューザ川崎シンフォニーホール



秋山和慶:指揮
日本センチュリー交響楽団
HIMARI:バイオリン*

シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26*
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 OP.88
----------------------
ナタン・ミルシテイン:パガニーニアーナ*



居ながらにして地方のオケを聴けるのがFSMuzaの楽しみの一つ。日本センチュリーは初めて。びっくりするほどの出来でもなかったけど、ともかく「整然」という言葉がピッタリの演奏だった。

オーストリア、ドイツ、チェコのロマン派のやや通好みの作品3本立て。これでは2時間に収まるまいと思った…とおりで、だいぶ時間を超過したが、これは幸せな時間だった。

3曲とも弦編成は12型を通した。それで1-2曲目は程良い感じだったが、ドボ8はやはりこれは14型で演って欲しかったな。
管、特に金管の「整然」とした勢いに対して弦が薄い。薄いだけでなく、低域にもう少し「やんちゃな」勢いが欲しかった。こちらも「整然」としすぎだ。
とはいえ、終楽章のHrの嘶(いなな)きが素晴らしい。指揮者によっては、ふつうのTrillで済ませる場合もあるが、あそこは、もう、強力に嘶いてほしいところだ。今日は、新日フィルの日高氏が客演していたが、期待に応えてくれたよ。

初めて聴いたのはオケだではなく、ブルッフでVn独奏したHIMARI嬢(12歳)だ。こちらもかなりの難曲だと言われているが、「整然」とこなした。年齢の割には相当な腕前なのだろうが、オケと協奏曲をやるには身体が出来上がっていないのではないか。枯れ枝の如き細腕からは本来ソリストに要求される周囲を圧するような音量は無理なのだろう。狭いダイナミックレンジの中で上手に弾いてはいても、とても協奏曲にはなっていなかったな。まあ、将来の楽しみにしよう。

たまたま見つけた8歳の娘さんの演奏がなかなか優れもの。
https://youtu.be/kQ9CXQm4UzM


♪2023-141/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-20

2022年9月5日月曜日

明電舎Presents N響名曲コンサート2022

2022-09-05 @サントリーホール


沼尻竜典:指揮
NHK交響楽団
金川真弓:バイオリン*

シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46*
ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98
------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第3番ハ長調 BWV1005 第3楽章Largo*
ドボルザーク:スラブ舞曲ホ短調 作品72-2


金川眞弓が目的だった。これまでに都響4回、N響1回聴いて、全てに満足。では十分ではなく、何か、幸福感に包まれる思いがしていた。それがなぜか分からない。テクニカルな技量だけなら他にも名手はいくらも居ると思う。こういう理解不能の状況は好ましくない。

いずれ、残念に思う時が来るなら、さっさと来てくれた方が落ち着く。と思って、6連勝を期待しながらもそれはあるまいという妙な心持ちで臨んだ。
しかし、始まってみると弱音でスーッとオケに乗った途端、やられたかも…と思った。やはり、佇まいがいい。弾き方が端正だ。

それはアンコールのバッハの無伴奏〜に端的に表れていた。なんて素直なLargoだ。
これが彼女の持ち味なんだなと、ちょっと肉薄した気になった。

さて、N響だけど、流石にうまいな。
フィンランディアの冒頭、ブラ4の2楽章の頭の金管など痺れるよ。しかし、ブラ4で特に目立った残念が、やはり高域弦のキンシャリだ。

でも、これはN響のせいばかりではない。
僕が、金川眞弓にかぶりつこうと、かつて経験したことがないサントリーの1桁列で聴いたから。
2桁以降で聴けばもう少しまろやかになったはずだ。
もう懲りたから今後こんなに前方では聴かない。

沼さんの指揮ぶりは好感度大。フィンランディアのテンポ!潔い速さだった。

しかし、オケアンコールのスラブ舞曲は止めといた方が良かった。ざわざわして透明感なく、全く美しくない。ブラームスの4番をやった後でもう、みんなも疲れていたのではないか。スコ幻を弾き終えた後では団員の表情に表れていた満足感がもうすっかりなくなっていたよ。

♪2022-127/♪サントリーホール-14

2022年7月30日土曜日

フェスタサマーミューザ2022 NHK交響楽団 ≪エキサイティング!渋谷から熱風が襲来!≫

2022-07-30 @ミューザ川崎シンフォニーホール


下野竜也:指揮
NHK交響楽団
三浦文彰:バイオリン*

J.S.バッハ(レーガー編):「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26*
ベートーべン:交響曲第7番イ長調 作品92
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ヴュータン:アメリカの思い出 「ヤンキー・ドゥードゥル」Op. 17*
ベートーベン:歌劇「フィデリオ」から行進曲



僕が知る限り、フェスタサマーミューザ(FSM)でのN響の出番は毎年7月末〜8月初の土曜日16時と決まっている。N響人気で黄金日程が組まれているのだろう。

今日は、前方・側方を見る限り満員盛況で、普段はほどんど空席のオルガン際の最上層二段目まで、まるでえんどう豆のさやを開いたように鈴生りだった。

それがホールの鳴りに影響したかどうか知らないけど、N響にしては響きが良くない。アンサンブルも悪い。

冒頭の14型による弦楽合奏が響いてこず、この(僕の耳にとっての)意外な変調はブルッフでもベト7でも変わらなかった。

昨日の読響の方が音色、響き、熱量、圧力全てが優っていたように思う。

FSMではどのオケもエース級を揃えていると思う。
今日は篠崎・郷古の2人コンマス体制だったが…。

バイオリン協奏曲も、独奏バイオリンの音圧もオケとの協奏感も物足りない。
ベートーベン交響曲第7番にも気分が乗れず仕舞いだった。

独奏バイオリンのアンコール曲「ヤンキー〜」を聴くのはこれで4回目だが、いずれも三浦君で聴いた。曲弾きのようで面白いのだけど、またか!の感拭えず。アンコール・レパートリーを開拓してほしいね。

♪2022-112/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-026

2020年10月31日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第356回

 2020-10-31 @みなとみらいホール

小泉和裕:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

三浦文彰:バイオリン*

ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73


3曲とも弦は12型。

ブルッフ:バイオリン協奏曲が管弦のバランス良く、三浦くんの健闘も相まって素直に聴けた。

しかし、ワーグナーでは神奈フィル吹奏楽団に弦楽部が負けていた。

ブラームスは悪くなかったが、やはり、厚い弦のうねりがあってこそブラームスだ。そこがちょっと弱かったな。


♪2020-072/♪みなとみらいホール-18

2020年8月15日土曜日

東京交響楽団 東響オペラシティシリーズ第114回

 2020-08-15 @東京オペラシティコンサートホール


沼尻竜典:指揮
東京交響楽団

辻彩奈:バイオリン*

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「カルタ遊び」
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番*
ベートーベン:交響曲第2番ニ長調 op.36
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第3番ホ長調 BWV.1006からロンド風ガボット


1曲目は腕慣らし。

期待の辻彩奈によるブルッフのVn協が実に素晴らしい。

この曲自体が大好物だが、彼女のVnはいつも明確な主張があるように思う。ホールの響きの良さにも助けられたか音量も豊かでオケに全く埋もれない。べト2番は聴く機会が少ないので聴けて良かった。


東響の編成は典型的な弦12型。3曲とも変わらなかった。

1プルト1対でスカスカではない普通の配置。やはりこれがいい。

指揮者、独奏者、水谷コンマスはマスクなし。それでよし。

他の弦奏者はマスクをしていた。何の為にマスクしているのか分からないよ。20分休憩ありの2時間コース。


添付したチラシは本来はノット氏の写真だったが来日できないので沼尻氏に変わったのでお遊びで顔写真などを貼り替えたもの。


♪2020-039/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2020年2月9日日曜日

名曲全集第154回 これぞ王道。魅惑のチェロ名曲集

2020-02-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール


齋藤友香理:指揮
東京交響楽団

横坂源:チェロ&指揮(ハイドン)

ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb.1(横坂:弾き振り)
ズザンネ・ツァガール=スヴィリドフ*:チェロ協奏曲(横坂源による委嘱作品)
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104
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ブルッフ :コル・ニドライ

横坂源によるチェロ協奏曲3連発!
スヴィリドフの作品は横坂の委嘱で当然現代作品。
今日が日本初演で作曲家本人も登壇。
この手の音楽は好きになれないが、この作品を間に挟んだことで、皮肉にもハイドン、ドボルザークが独奏Vcを上手に引立てているのが良く分かった。

スヴィ協とドボ協での弦5部の編成は12型。
協奏曲としては普通の編成。

前者はともかく後者ではチェロとオケのバランスが良く双方が美しく響いた。

ドボルザークの作品はとかく諄いところがあるが、東欧民謡風な哀愁がどこか深いところで日本人のDNAにも通底しているのかもしれない。

一番の驚きであり上出来は、横坂自身の弾き振りによるハイドン1番だ。
管4本(オーボエ2、ホルン2)に弦5部(打楽器なし)だが、弦の編成は第1バイオリンから順に5-4-3-2-1という極小サイズで、室内管弦楽団を名乗るオケでもここまで小さくはない。
しかし15人の引き締まった弦アンサンブルの妙が素晴らしい。
小気味良い響きだ。

12型になったドボ協でも今日の東響の弦は澄んでいたが、5型?ではもう濁りようもなく透明でキビキビしている。

ここに横坂の美しくもビリビリ響くVcが乗って、軽快で、陽気で、洒落ていて、正にハイドンの楽しさが横溢していた。ブラボー横坂!

3曲も弾いては、さすがにアンコールはあるはずないと確信していたのに驚いた。オケとの共演でブルッフの「コル・ニドライ」だ。いや~好きな曲だよ。しかも10分強の作品で、とてもアンコールで演るような作品ではないのだが、これもしみじみと良かった。

♪2020-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-04






*ズザンネ・ツァガール=スヴィリドフは、
オケとミューザのホームページでの表記。
今日のプログラムでは、
スザンネ・ツァガー=スヴィリドフ。
チラシでは、
ズザンネ・エルディング=スヴィリドフ。

2019年12月14日土曜日

名曲全集第152回 年末恒例「歓喜の歌」<第九②>

2019-12-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール


秋山和慶 :指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス

バイオリン:シャノン・リー(第7回仙台国際音楽コンクール2位(最高位))
ソプラノ:吉田珠代
メゾソプラノ:中島郁子 
テノール:宮里直樹 
バリトン:伊藤貴之

ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125
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蛍の光

愈々本格的に第九の始動開始。既にアマオケで1回聴いているがプロでは1番バッター。伝統の秋山・東響「第九」だ。
40年以上続いた秋山「四季と第九」は今年からノットが「第九」を振ることになって一応幕を閉じた。

横槍を入れたテイのノットは独唱陣を別キャストで「第九」をやるが、ホームであるミューザではやらない!のが面白くない。

一方、秋山翁も強かなもので「四季と第九」はやめるが、「バイオリン協奏曲と第九」は続ける様で同慶の至りだ。

「四季」といっても実際は「二季」だったので、今日の様に1曲丸ごと聴ける方がいい。新人起用も踏襲して秋山第九健在!

最後の「蛍の光」もペンライトからLEDに替わったが、この古色蒼然たる演出も続くことで価値が出てくる。

演奏は、いつもやや遅めで安定感がある。
東響も40年からやっているので、メンバーの多くは身体に染み込んでいるのだろう。
とにかく、安心の「第九」である。
秋山翁には末長く続けてほしい。

♪2019-205/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-29

2019年10月17日木曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2019後期 〜「ウィーン、我が夢の街」 フランツ・バルトロイ チェロ・リサイタル

2019-10-17@みなとみらいホール


フランツ・バルトロメイ:チェロ*
後藤泉:ピアノ

J.S.バッハ:ビオラ・ダ・ガンバソナタ第3番ト短調 BWV1029(チェロ編)
メンデルスゾーン:チェロソナタ第2番ニ長調 op.58
シューマン:アダージョとアレグロ op.70
ブルッフ:コル・ニドライ op.47
サン=サーンス:白鳥
クライスラー:愛の悲しみ/美しきロスマリン
ジーツィンスキー:ウィーン我が夢の街 
--------------
シベリウス:悲しきワルツ
カザルス:鳥の歌

3年半前に同じみなとみらいホールで聴いた。
ウィーンフィルで首席ソロ・チェロを39年勤めたそうだ。
音色は美しいし、腕は確かで、危なげがないというのは失礼だが、模範演奏のように完璧な感じがする。派手派手しいものは何にもなくて、気持ち良く名曲を楽しんだ。

アフタヌーンコンサート2019後期全5回のうちのひとつとして聴いたが、個別ならもういいかな。ちょっと名曲コンサート過ぎて面白みには欠けたなあ。

♪2019-160/♪みなとみらいホール-45

2019年6月30日日曜日

華麗なるコンチェルトシリーズ〜宮田大《チェロよ歌え!》

2019-06-30 @みなとみらいホール


粟辻聡:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

宮田大:チェロ
高木慶太:チェロ(読響団員)*

ブルッフ:コル・ニドライ
ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」
ソッリマ:チェロよ歌え!〜2つのチェロと弦楽のためのバラード〜*
フォーレ:チェロと管弦楽のためのエレジー ハ短調 作品24
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
---------------
三枝成彰:チェロのためのレクイエム

華麗なるコンチェルト・シリーズ。
と言っても今回は協奏曲は無しでオケ伴奏付きチェロ小品集。

ソッリマの現代曲以外は全部馴染んでいるつもりだったがブロッホのヘブライ狂詩曲「シェロモ」はスコットランド狂詩曲と勘違いしていたか、初聴きだった。
ブルッフの「コル・ニドライ」に輪をかけたヘブライ色濃厚でまるでミクロス・ローザの映画音楽を彷彿とさせて面白い。

これまでの経験で、「宮田大に外れなし」。

今回も、明瞭で美しいチェロの音に感心したが、とりわけ後半のフォーレ「エレジー」とポッパー「ハンガリー狂詩曲」は、普段聴き慣れているピアノ伴奏版とは違いオケ版で一層音楽が豊かに広がり、大海に漕ぎ出したようにチェロも朗々と歌い切った。


♪2019-091/♪みなとみらいホール-27

2018年9月17日月曜日

華麗なるコンチェルト・シリーズ第8回 長谷川陽子〜超絶のチェロ、郷愁のチェロ!〜

2018-09-17 @みなとみらいホール


永峰大輔:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

長谷川陽子:チェロ

モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲 K621<管弦楽のみ>
パガニーニ:モーゼ幻想曲
ブルッフ:コル・二ドライ 作品47
ポッパー(M・シュレーゲル編):ハンガリー狂詩曲 作品68
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から前奏曲

前半は神奈川フィルをバックにチェロ名曲集などのCDでよく見かけるチェロ定番の小品3曲。
とはいえ、ポッパーのハンガリー狂詩曲は昨年のみなとみらいホールでの30周年リサイタルで陽子さん本人の演奏を聴いているけど、他の2曲は生で聴くのは初めてだった。

独奏チェロの音色の美しいこと。何度もこのホールで彼女の演奏を聴いているけど、今回は特に良く鳴っていた。

CDでこれらの曲を聴く時は、どれほど難しいのかということは何にも感じないで聴いているが、ナマで聴くとその超絶技巧ぶりがよく分かる。
モーゼ幻想曲の倍音奏法が難しそうだった。
つまり、部分的にだけど、御本人も満足できる出来ではなかったと思う。

後半のドボルザークの協奏曲ではオケが時に陽子さんの音に覆いかぶさったりオケと独奏がちぐはぐな部分もあって、協奏曲演奏の難しさを感じたが、それにしても久しぶり(2年2ヵ月ぶり)のドボコンの(構成は巧いと思わないし長すぎるが、)ホンに郷愁を誘うメランコリーな民謡風の美しいメロディーが山のように盛り込まれていることを改めて感じた。

今日のコンサートのサブタイトルが≪超絶のチェロ、郷愁のチェロ!≫だが、なるほど納得のコピーだ。

♪2018-114/♪みなとみらいホール-25

2018年6月23日土曜日

読響第105回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2018-06-23 @みなとみらいホール


コルネリウス・マイスター:(首席客演)指揮
読売日本交響楽団

長原幸太:バイオリン*

スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46*
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88

冒頭の「売られた花嫁」の弦楽合奏が見事に美しくて驚いた。はじめ良ければすべて良し…と思いきや。

「スコットランド幻想曲」では独奏バイオリンの長原幸太(読響コンマス。今日のコンマスは小森谷巧)が弾き始めの数分で弦がプツッと音をたてて切れ、「張り替えてきます」と客席に向かって断って袖に入った。舞台も客席も苦笑い。これまでも、クラリネットの独奏者が楽器の不具合で途中で取り替えたことを2回経験している。コンマスの弦が切れて楽器の受け渡しをしたのもみている。万全の準備をするのだろうけど、こういうこともあるんだな。

結局は、最初から演奏し直しとなった。
再開後も長原くんは楽器を気にしながら、何度も調弦の微調整を繰り返していた。そんな次第でこの曲ではなかなか集中できなかった。
この作品には別名があるそうで、「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴うバイオリンのための幻想曲」と言うそうだ。そういえば、ハープも独奏バイオリンのそば、舞台中央近くに配置されていたが、奏者の顔が隠れていたこともあり、ハープの活躍はまるで耳に入ってこなかった。

最後のドボルザーク交響曲8番こそ期待の作品だったが、これはすごく上出来で、「〜幻想曲」の不満を補って余りあった。
弦楽合奏、特に中低域弦の素晴らしさが光った。終楽章のチェロのテーマなどゾクゾクしたよ。


今日はホールの鳴りが特に良かった気がする。
仮説だが、外気の湿度が高い日ほどホールは良く響くような気がしている。逆さまのようだけど、エアコンがしっかり稼働して、ホール内の湿度がいつも以上に低くなるのではないか…なんてあてにならないけど。
ともかく、もともとよく響くホールが、今日は一層良く響いた。そこで名曲の名演奏を聴く。これぞナマオケ鑑賞の喜び!

ところで、「〜幻想曲」でVn独奏の長原君は弦が切れて張替えのために袖に入った。それで五嶋みどりの「タングルウッドの奇跡」を思い出した。彼はなぜ、コンマスの楽器を借り受けなかったのだろう?

タングルウッドの奇跡

♪2018-073/♪みなとみらいホール-19

2017年7月14日金曜日

N響「夏」2017

2017-07-14 @NHKホール



ラファエル・パヤーレ:指揮
ヴァディム・レーピン:バイオリン*
NHK交響楽団

ブラームス:悲劇的序曲 作品81
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
---------------
アンコール
パガニーニ:ヴェニスの謝肉祭*
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ

先日放映された「題名のない音楽会」に登場したかつての神童レーピンだが、「白鳥」でピッチを外して頼りないなあ、と心配していたが、その後弾いたブルッフの協奏曲(放映は第3楽章のみ)では問題なく達者なところを見せていたが、今日のN響との競演は如上の理由で一抹の不安を抱いて臨んだ。

ひょっとして音を外すんじゃないか、という不信感を抱きながら音楽を聴くというのはどうも正しい鑑賞方法ではないな。おかげで、なかなか音楽にのめり込めなかった。
しかし、ほとんど問題なく(少し怪しいものを感じた箇所があったがこの程度は他のプロでもごくフツーだ。)、やはり、卓越したテクニシャンだということを感じさせた。
ブルッフもさることながら、アンコールで弾いたパガニーニの超絶技巧ぶりは凄まじい。なるほど、神童の片鱗は確かに残っていた。
そのアンコールを弾き始める前にコンマスの篠原氏に何やら話しかけ、それから弾き始めたが、主題をひととおり弾いた後、ピチカートでアルペジオを弾いて、弦パートに合図をしたら、バイオリンパートがそのアルペジオを弾き始め、低弦は3連符の頭だけを弾き始めた。ビオラがどうだったか記憶になし。これは打ち合わせ無しだったのだろうか?事前に一度はさらっておいたのだろうか?
通常はバイオリンのアンコールと言えば、ソロで無伴奏と決まったものだけど、オケも巻き込んだアイデアはとても楽しめた。
尤も、どうやらこの余興はレーピンがあちこちでやっているみたいでYoutubeでも少しバージョンが異なるものの同じヴェニスの謝肉祭の演奏を後刻見つけた。

指揮のラファエル・パヤーレは、デュダメルの後塵を拝して登場した1980年ベネズエラ生まれ。36歳だから、若手ではあるけど、もう相当経験も積んでいるようだ。今回がN響初登場。
何しろ頭がアフロヘアーでこのマッシュルームのような部分が異様にでかい。顔がその分小さく見える。

指揮ぶりに変わったものはなく、奇を衒うようなところも感じなかった。ただ、今日のプログラムは全曲いずれもドラマチックな内容で、本人の好みかどうか知らないけど、あるいはこういう傾向の音楽がラテンの血を騒がせて向いているのかもしれない。

今日のN響。うーん。もっともっと良い演奏をするN響を知っているからなあ。一応及第点だけど。細部まで神経が行き届いているとは思えなかった。これが客演指揮者とのリハーサル不足が原因としたら、もっとしっかり時間をとって完璧になるまでリハを繰り返して欲しいね。

2017-121/♪NHKホール-06

2017年4月27日木曜日

N響午後のクラシック第1回

2017-04-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール


広上淳一:指揮
NHK交響楽団
ダニエル・ホープ:バイオリン*

ラーション:田園組曲
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番*
ベートーベン:交響曲第7番
------------------
アンコール
ヨハン・パウル・フォン・ウェストフ:バイオリン・ソナタ第3番ニ短調第3曲「鐘の模倣」*
グリーグ:2つの悲しい旋律から「春」

N響定期Bはサントリーが使えないので、4〜6月はNHKホールとミューザで代わりの演奏会。近くて便利で嬉しい。
バイオリンのダニエル・ホープは以前に今日と同じ広上の指揮でブリテンの協奏曲を聴いた。今日もアグレッシヴだったな。

が、ベートーベンの7番ではもやもやとしてしまった。
管楽器は聴き取れる範囲でノーミスか。
弦も繊細かつ重厚な響で文句なし。
だけど、気持ちが入ってゆかない。当方の体調不調も原因しているだろうけど、上質な職人芸の風で面白味なし。

♪2017-066/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2015年5月10日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第107回

2015-05-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


高関健:指揮
大谷康子:バイオリン
東京交響楽団

ビバルディ:バイオリン協奏曲 イ短調 RV356 作品3-6
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19
ブルッフ:バイオリン協奏曲 第1番
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アンコール(大谷康子)
モンティ:チャールダッシュ(管弦楽伴奏付き)


今回は、東響のソロ・コンサートマスターである大谷康子がバイオリン協奏曲を1人で4曲演奏するというので、新聞などにも取り上げられて話題の演奏会だった。

4曲と言っても、ビバルディの作品は3楽章合わせても約5分という小品だが、残るメンデルスゾーン、プロコフィエフ、ブルッフだけでもかなりのボリュームだ。
これらを完全暗譜で、ノーミス(だと思うよ。)で弾き切ったのは並みのプレイヤーじゃないね。

今年デビュー40周年というから、藝大在学中がデビューと数えても還暦は過ぎているはずだ。
それがそうは見えない童顔は、ホンに昔からヘアースタイルとともにちっとも変わっていないように思う。
若い頃はチョッと冷たさも感じたけど、最近は人格も円熟しているんだろうな、いつも穏やかでニコニコしている場面が多い。

オケもうまい。東響はなんというのか、非常によくまとまっているような気がするな。特に管楽器はまったくミスをしたのを聴いた覚えがない。

今日は、御大コンマスのバックに徹して、気脈を通じたアンサンブルを繰り広げてくれた。
指揮の高関マエストロも人格温厚そうで、本当に東響のホームグラウンドであるミューザでアト・ホームなコンサートであった。


4曲も弾いたので、まさか、アンコールはあるまいと思っていたけど、いつまでも続く歓呼を制して愛器ストライディバリウス("Engleman")を構えると同時に高関マエストロも指揮台にひょいと飛び乗って、チャールダッシュが始まった。

それだけでもびっくりだったが、何と、途中から、正にロマ(チャルダーシュはロマの音楽だ。)の音楽の演奏形態を再現するかのように、バイオリンを弾きながら1階客席の、先ずは下手に降りて最後尾まで(といってもミューザの1階は11列しかないが)行き、さらに最前列に戻って今度は上手を最後尾まで登り、もう、戻ってくるだろうと思ったら、なななんと演奏しながら階段を上がって2階席まで上がったのにはびっくりというより心配になった。
ミューザの客席構造はまことに変わっていて、全体がうずを巻いた階段状になっているので、床が水平な場所といえば1階席(ここも階段状だが)位のもので、ほかは床が傾いているのだ(もちろん、椅子は水平だけど。)。だから、僕は客席内を歩くときはいつも足元に注意をしている。傾いた床を結ぶ階段てコワイのだ。

そんな訳で、バイオリンを弾きながら客席を回ってくれるというのは近くに座っているお客にはサプライズ・プレゼントだけど、僕は少しハラハラした。早く舞台に戻ったほうがいいよ!と心の中で呼びかけていたのだけど。

ま、無事に楽しい曲が終わり、さらにやんやの喝采を受けて華々しい大谷康子ショーが幕を下ろした。
久しぶりにミューザは熱気に満ちた。

♪2015-47/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-08