2017年7月14日金曜日

N響「夏」2017

2017-07-14 @NHKホール



ラファエル・パヤーレ:指揮
ヴァディム・レーピン:バイオリン*
NHK交響楽団

ブラームス:悲劇的序曲 作品81
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
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アンコール
パガニーニ:ヴェニスの謝肉祭*
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ

先日放映された「題名のない音楽会」に登場したかつての神童レーピンだが、「白鳥」でピッチを外して頼りないなあ、と心配していたが、その後弾いたブルッフの協奏曲(放映は第3楽章のみ)では問題なく達者なところを見せていたが、今日のN響との競演は如上の理由で一抹の不安を抱いて臨んだ。

ひょっとして音を外すんじゃないか、という不信感を抱きながら音楽を聴くというのはどうも正しい鑑賞方法ではないな。おかげで、なかなか音楽にのめり込めなかった。
しかし、ほとんど問題なく(少し怪しいものを感じた箇所があったがこの程度は他のプロでもごくフツーだ。)、やはり、卓越したテクニシャンだということを感じさせた。
ブルッフもさることながら、アンコールで弾いたパガニーニの超絶技巧ぶりは凄まじい。なるほど、神童の片鱗は確かに残っていた。
そのアンコールを弾き始める前にコンマスの篠原氏に何やら話しかけ、それから弾き始めたが、主題をひととおり弾いた後、ピチカートでアルペジオを弾いて、弦パートに合図をしたら、バイオリンパートがそのアルペジオを弾き始め、低弦は3連符の頭だけを弾き始めた。ビオラがどうだったか記憶になし。これは打ち合わせ無しだったのだろうか?事前に一度はさらっておいたのだろうか?
通常はバイオリンのアンコールと言えば、ソロで無伴奏と決まったものだけど、オケも巻き込んだアイデアはとても楽しめた。
尤も、どうやらこの余興はレーピンがあちこちでやっているみたいでYoutubeでも少しバージョンが異なるものの同じヴェニスの謝肉祭の演奏を後刻見つけた。

指揮のラファエル・パヤーレは、デュダメルの後塵を拝して登場した1980年ベネズエラ生まれ。36歳だから、若手ではあるけど、もう相当経験も積んでいるようだ。今回がN響初登場。
何しろ頭がアフロヘアーでこのマッシュルームのような部分が異様にでかい。顔がその分小さく見える。

指揮ぶりに変わったものはなく、奇を衒うようなところも感じなかった。ただ、今日のプログラムは全曲いずれもドラマチックな内容で、本人の好みかどうか知らないけど、あるいはこういう傾向の音楽がラテンの血を騒がせて向いているのかもしれない。

今日のN響。うーん。もっともっと良い演奏をするN響を知っているからなあ。一応及第点だけど。細部まで神経が行き届いているとは思えなかった。これが客演指揮者とのリハーサル不足が原因としたら、もっとしっかり時間をとって完璧になるまでリハを繰り返して欲しいね。

2017-121/♪NHKホール-06