解説 歌舞伎のみかた 坂東亀蔵
文耕堂・長谷川千四=作
中村吉右衛門=監修
鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)
檜垣茶屋の場
大蔵館奥殿の場
(主な配役)
一條大蔵卿長成 尾上菊之助
常盤御前 中村梅枝
鬼次郎女房お京 尾上右近
吉岡鬼次郎 坂東彦三郎
ほか
本来は五段ものの文楽から歌舞伎に移植されたが、歌舞伎においては今では三段目、四段目のみが上演されるらしい(本家、文楽では四段目は曲が残っておらず上演されることはないそうだ。)。
僕が初めて観た時は<清盛館>・<菊畑>・<檜垣>・<奥殿>で構成されていたが、このうち<菊畑>が三段目、<檜垣>・<奥殿>が四段目に当たるらしいから、<清盛館>は一段目か二段め(の一部?)なのかな。
四段目のみの公演の方が多いようで、その場合は「一條大蔵譚」の外題が使われるそうで、今回がまさしくそういう構成だった。
前回は昨年の歌舞伎座・秀月祭で観たが、その時は菊之助が吉岡鬼次郎、梅枝がその女房お京という配役だったが、今回はそれぞれが出世して菊之助が一條大蔵卿、梅枝が常盤御前となった。
菊之助にとっては、岳父吉右衛門の得意芸を引き継ぐ初舞台だ。果たして…。
顔立ちが端正すぎて阿呆の役がスッキリしなかったな。
本当は阿呆ではない、と正体を明らかにする場面が所謂<ぶっかえり>という衣裳の瞬間転換でここが見どころの一つだが、初日とあって、ハラハラさせた。
坂東兄弟(彦三郎・亀蔵)は好みの役者だ。ふたりとも声がよく通り、滑舌も良い。芝居に気迫がある。故に吉岡喜次郎を演じた彦三郎はとても良かったが、芝居には出演せず、解説のみに回った亀蔵は、これも初日だったからかもしれないが、固さが取れず魅力発揮とまでは行かなかったのは残念。
♪2017-114/♪国立劇場-12