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2025年7月5日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第409回横浜定期演奏会

2025-07-05 @みなとみらいホール



原田慶太楼:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
阪田知樹:ピアノ*

ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14(管弦楽版)
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43*
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27
-----------------------------
フフマニノフ(阪田知樹編):ここは素晴らしい処 Op.21-7





オール・ラフマプロで、しかも重量級だよ。時間的にはヴォカリーズが無くてちょうど良いくらいだったが、これもなかなか味わい深い。実に多様な編曲版を聴いているが、原曲は多分聴いたことがないような…。
今回の管弦楽版は声楽部分がVnの独奏だった。

次がパガ狂。先月、アヴデーエワ+N響@NHKホールで聴いたばかりで、これが非常に好印象だったが、今日の阪田クンも負けてはいない。ま、ホールの違いが大きい。やはりみなとみらいHで聴くと管弦の混ざり具合も頃よし。特に、スタインウェイが本来の煌めきを放っている。

昨日、紗良=オットをサントリーで聴いたが、彼女の力演にもかかわらずひどい音にうんざりしたが、今日、みなとみらいで聴くと本来Pfの音はかくあるべしだと痛感する。

交響曲第2番。
重厚長大な音楽だが、聴く機会が多く、今年は既に2回目。それで、だいぶ馴染んできた。
今回の日フィルの演奏は、原田氏の彫琢がだいぶ行き渡っている感じで、これまでになく、構成が分かりやすくだいぶ音楽が入ってきたような気がした。

3-4-5の3日間で4オケ定期を聴き、最後がこの日フィルだったが、やはり日フィルは一皮剥けて高水準だなあと思った。
Aクラス3つの中に入る。

♪2025-079/♪みなとみらいホール-18

2025年1月11日土曜日

神奈川フィル 音楽堂シリーズ第31回

025-01-11 @県立音楽堂



阪田知樹:指揮/ピアノ
神奈川フィルハーモニー交響楽団

阪田知樹:管弦楽のための「肖像」
 神奈川フィル委嘱作品(世界初演)
ベートーベン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.19
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
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ラフマニノフ(阪田知樹編):ヴォカリーズ




ほとんど阪田知樹ワンマンショーだった。
自身の作曲による管弦楽作品を自らが指揮し、ベト2番とショパン2番を弾きながら指揮した。Encはラフマの小品だがこれも阪田編曲版だ。

10年前の神フィルFlesh Concertがほぼデビューだったと思うが、その際にもEncは自身編曲ラフマを弾いているし、その後も何回もEncでは編曲ものを披露している。

世界初演!の自作管弦楽曲も、いかにも現代音楽ではあるけど小難しい気取りはなく好感した。

指揮ぶりはまだ板についてない風だが、ピアノの方はますます磨きをかけている。


元々、デッドな響が魅力の音楽堂だが、今日は特に冬の澄み切った空のように、ピーンと引き締まって明瞭な音が、音楽のスケルトンを際立たせた。

小ぶりな弦(12型)はそのまま何も纏わず原音が飛んでくるようで、コロコロ明るく転がるStwとよくマッチしていた。


完売だったそうだ。
いつもの音楽堂定期とは思えない、大勢の女性客で休憩時のトイレの行列は気の毒なくらいだった。男性も珍しく並んでいた。


♪2025-004/♪神奈川県立音楽堂-01

2023年9月2日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第388回定期演奏会

2023-09-02 @みなとみらいホール



ゲオルク・フリッチュ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
阪田知樹:ピアノ*

レーガー:喜劇的序曲 Op.120 <日本初演>
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番ト短調 Op.40*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
-------------------------
ラフマニノフ:楽興の時 第4番*


Mレーガーの作品は過去数回聴いているけどその都度完全忘却している。今日の序曲は(100年以上前の作品なのに)日本初演だとは驚く。調性はあるのにどこか外れた感じで、今回も既にどんな音楽だったか思い出せない。ラフマニノフと同じく生誕150年だそうな。50年後の生誕200年にもラフマは多く演奏されるだろうけどレーガーは忘れられているかもしれないな。

2曲目が阪田知樹によるラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番だった。
これがなんと初聴き(らしい…)。
CDなどではよく聴いているし、4番には、1-3番のエッセンスが盛り込まれているような気がしているのだけど、どうだか…。ともかく、かなり馴染んでいるので、あゝコレコレという感じで興味深く聴いた。

阪田知樹を初めて聴いたのが2014年。やはり、神奈川フィルでその時はラフマニノフ第2番だった。
横浜育ちのせいか、この9年間に、リサイタル、室内楽などで聴く機会が多い。超絶技巧をサラッとやってのけるのは小気味良い。今日は、本編より、むしろアンコールの「楽興の時 4番」で、どうだと言わんばかりの技を見せた。


後半はブラームス交響曲第2番。
1-4番の中で、一番聴く機会が多い。二番手の1番が肉薄しているが、4番の2倍、3番の3倍の頻度だ。オケにとっても人気曲なんだろうな。
ところが、4曲中2番が一番演奏が難しいのでは?と思わせるくらい不出来割合が高い。

多分、冒頭の低弦が誘い出すDC#Dを先ずはホルンが受けて、次に木管に引き継ぎ、さらに低弦が歌うという綾取りみたいな進行の中に主題が断片化しているので、各パートの熱量や緊張感が一致しないとバラバラになってしまうのだと思っている。

今日は、その受け渡しがうまくゆかなかった。
こういう日に坂東裕香(ホルン首席)は降り番なのか!彼女ならもっとうまくリレーできたのに…。残念な出発だった。

ま、ラフマは上出来だったし、ブラームスも後半は盛り上がっていった。

初顔のゲオルク・フリッチュは、クセのない丁寧な指揮ぶりに好感した。

そうそう、本日のコンマスは東響の呪縛から逃れた?水谷晃クンがいつもの笑顔で引っ張ったのは同慶なり。
ついでに、ビオラの首席も横浜バロック室内合奏団の百武女史が座っていた。他のオケに客演しているのは初めて見た。

♪2023-149/♪みなとみらいホール-30

2023年2月14日火曜日

東京都交響楽団 第962回 定期演奏会Bシリーズ

2023-02-14 @サントリーホール



ヤン・パスカル・トルトゥリエ:指揮
東京都交響楽団
阪田知樹:ピアノ*

フォーレ:歌劇『ペネロープ』前奏曲
フローラン・シュミット:管弦楽とピアノのための協奏交響曲 op.82*
ショーソン:交響曲変ロ長調 op.20



3曲も演奏するのに全曲初聴きとは珍しいが、定期ならではのお仕着せプログラムだ。1回券なら買わないね。

フォーレではウトウトしたがフローラン・シュミットでは煩くて眠るどころか。
都響得意のナンデモ16型弦編成と阪田くんの熱狂ピアノが”協奏”ならぬ”強奏”の”競争”で”狂騒”した。

相変わらずサントリーホールのピアノの音が酷い。
重く、硬く、鈍く、とてもSteinwayとは思えない。

共感できない音楽でも、もう少しコンパクトなオケ編成で音の分離が良ければ。ピアノも贅沢は言わん。町の公民館並みにフツーの響であれば、シュミットの音楽も多彩な管弦楽として楽しめたのではないかと思う。

一方、ショーソンは拍子抜けする程まともに綺麗な音楽で、「象さんと遊ぶ田舎の呑気な生活」という副題を思いついた。終楽章では「♪象さん〃お鼻が長いのね」の旋律が支配するから。

余談:シュミットの表記が他の2人と異なり名・姓表記になっているのは、フランツ・シュミットと区別する為かな。


♪2023-029/♪サントリーホール-04

2022年9月26日月曜日

横浜18区コンサート 後期 山根一仁 X 阪田知樹

2022-09-26 @リリスホール



山根一仁:バイオリン*
阪田知樹:ピアノ

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
フローラン・シュミット:ワルツ・ノクターン第1番op.31-1
稲森安太己:Motus intervallorum(Just Composed 2020 Winter 委嘱作品)*
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
プロコフィエフ:バイオリン・ソナタ第2番ニ短調 op.94bis*
------アンコール------
プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋から「行進曲」*
(無印はPfのみ)



横浜18区コンサート後期。
9月からは前期までの独奏+弦楽五重奏で協奏曲をメインに据えるというスタイルが変わった。今回はバイオリンXピアノという編成だ。

前回の毛利文香X小林海都を体調不良でサボったので、今日は後期の1回目。

本郷台駅そばのリリスホールで聴くのは3回目で、前回が山根くん+新日フィル五重奏。その前も管・弦室内楽だった。

ゆえに、このホールでピアノを聴くのは初めてだった。

ボサボサ髪の阪田くんがのそーっと登場して一礼するや間を置かずラヴェルを弾き始めたが、その音色の明瞭なることにまずは吃驚。

過去2回で響きの良いホールだとは知っていたけど、これ程まで美音なのは珍しい。

ピアノが鳴るというより、ピアノ発音のメカニズム全体が音を発している…って妙な例えだな。体力に自信のない身には怖い位に音が突き刺さってくる。
こうなると、もうその「音」自身が魅力なので何を聴いていてもワクワクしてくる。

18区シリーズには横浜所縁の奏者が多く、今日の2人も生まれは違うが横浜育ちで、中盤からは2人が子供時代の思い出も交えて曲の説明に入り、まずはバイオリンとピアノの為の実験的な作品を演奏した。

山根くん曰く、楽器を壊す以外はなんでもありという、多様な技術を駆使した超難曲だった。

メインのプロコのソナタ2番は生では初聴き?だったが、「実験曲」の後では、抵抗感なく(これも難しそうだが)楽しんだ。

それにしても響きの良いホールだ。同じ横浜市区民文化センターの仲間にはフィリア、かなっく、サルビア、ひまわりの郷、戸塚さくらプラザなど音の良いホールが揃っているが、ひょっとして1等賞かも。

♪2022-137/♪リリスホール-01

2022年7月15日金曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 〜ロマン派の系譜〜辻彩奈 & 阪田知樹 デュオ・リサイタル

2022-07-15 @県立音楽堂



辻彩奈:バイオリン
阪田知樹:ピアノ

シューベルト:バイオリンとピアノのためのソナチネ第1番ニ長調 D384 op137-1
ブラームス:バイオリン・ソナタ第2番イ長調 op100
クララ・シューマン:3つのロマンス op22
R.シューマン:バイオリン・ソナタ第2番ニ短調 op121
------------------------
R.シューマン:3つのロマンス op94から第2番


両者ともデビューしたてから聴いている。個別で聴くことが多く、2人の共演は今年の東京春祭以来2回目だ。

目下全国ツアー中で、今日は5公演目(全10公演)だそうな。

その折り返し点でプログラムが変わってシューマンの2番ソナタは、初出しだったと言う。

シューベルト、ブラームス、クララ&ロベルト・シューマンという絶好の組合わせだった。

遊び、のない、本格的な、成長の通過点を刻むといった感じの全力投球リサイタル。
特に、彼らも難曲だと言っていたシューマンの2番は、滅多に取り上げられないと思う。ブラームスをトリに据えるのかと思ったいたが、彼らの演奏を聴くと、さすがのブラームス2番ソナタも軽い。

音楽堂の響きの良さも手伝ったが、辻のバイオリンの音色はいつも確実に明瞭だ。ピアノも輝かしく絡んで、ドイツロマン派の王道を十分に味わった。

クララの3つのロマンスも珍しいが、アンコールに亭主ロベルトのロマンスを取り上げたのも趣向が徹底して良かったのと、夫妻の愛の交歓も窺えてヨシ。

♪2022-105/♪神奈川県立音楽堂-08

2022年3月26日土曜日

東京・春・音楽祭 ブラームスの室内楽Ⅸ

2022-03-26 @東京文化会館


バイオリン:辻󠄀彩奈
ビオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
コントラバス:佐野央子
フルート:上野星矢
オーボエ:荒木奏美
クラリネット:三界秀実
ファゴット:皆神陽太
ホルン:福川伸陽
ピアノ:阪田知樹

ブラームス(オズグッド編):セレナード第1番ニ長調 op.11(九重奏版)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 op.60


この音楽祭で楽しみにしているのシリーズの一つが、ブラームスの室内楽シリーズだ。不動の川本嘉子に向山佳絵子(チェロが登場しない回もあったが。)を中心に、他は毎回異なる。
今回はピアノ四重奏の前に、記憶にある限り最大編成の九重奏を演奏。これが何と初聴き!

でも、聴きながら変な編成だと思った。
弦が4本に管が5本て、どうもしっくりこない。
帰宅後調べたらブラームスのオリジナルはオーボエの代わりにクラリネットが2本らしいが、今回は各1本ずつ。
いずれにせよ、妙な編成だ。

ブラームスがどこやらの領主に仕えた時期の作品で、スポンサーへのサービスなのか。
その後オーケストラ用に編曲し、併せて室内楽版は廃棄したそうだ。

それで、後年、何人かが九重奏に編曲し直しているらしい。

初めて聴く音楽でも、すーっと入ってゆけるものは多いし、特に大好物のブラームスなので何の警戒心も持たなかったが、残念!馴染めなかった。

管楽器奏者にとっては重要な作品だろうけど、聴く側としては心構えが難しい編成だと思う。

後半はピアノ四重奏曲第3番。
こちらはもう、慣れたもので、やはり、ブラームスはこうでなくちゃ。

溢れる叙情がこれでもか、と襲い掛かるようで、しかし、冷静さを失わない。このストイズムがブラームスの根本的な魅力だ。

昨日に続き、阪田くんのピアノの音の明瞭な事。辻彩奈・川本・向山の弦のアンサンブルも美しく響いた。

♪2022-043/♪東京文化会館-06

2022年3月13日日曜日

ブラームス 室内楽マラソンコンサート第3部

2022-03-13 @東京オペラシティコンサートホール



諏訪内晶子、マーク・ゴトーニ、米元響子、小林美樹、小川響子(バイオリン)
鈴木康浩、田原綾子、村上淳一郎(ビオラ)
辻󠄀本玲、中木健二、上野通明(チェロ)
阪田知樹(ピアノ)
金子平(クラリネット)


弦楽五重奏曲:
第1番 ヘ長調 Op.88 (ゴトーニ/小林/田原/村上/上野)
第2番 ト長調 Op.111 (米元/小川/鈴木/村上/辻󠄀本)
クラリネット:
三重奏曲 イ短調 Op.114 (金子/中木/阪田)
五重奏曲 ロ短調 Op.115 (金子/諏訪内/ゴトーニ/鈴木/辻󠄀本)
-----アンコール-----------------
ブラームス:f.a.e.ソナタ第3楽章(諏訪内/坂田)




♪2022-035/♪東京オペラシティコンサートホール-2

ブラームス 室内楽マラソンコンサート第2部

2022-03-13 @東京オペラシティコンサートホール


諏訪内晶子、マーク・ゴトーニ、米元響子、小林美樹(バイオリン)
鈴木康浩、田原綾子、村上淳一郎(ビオラ)
辻󠄀本玲、中木健二、上野通明(チェロ)
阪田知樹、髙木竜馬(ピアノ)
葵トリオ<秋元孝介(ピアノ)、小川響子(バイオリン)、伊東裕(チェロ)>


弦楽六重奏曲:
第1番 変ロ長調 Op.18 (米元/小林/村上/田原/辻󠄀本/中木)
第2番 ト長調 Op.36 (ゴトーニ/諏訪内/鈴木/田原/上野/辻󠄀本)

ピアノ四重奏曲:
第1番 ト短調 Op.25 (鈴木/葵トリオ<秋元-小川-伊藤>)
第2番 イ長調 Op.26 (ゴトーニ/田原/中木/髙木)
第3番 ハ短調 Op.60 (米元/鈴木/辻󠄀本/阪田)

ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34 (米元/田原/葵トリオ<秋元-小川-伊藤>)


Ⅰ部はパスしたが、結果的には聴くべきだった。半日聴くのはツライかと思ったが、Ⅱ部&Ⅲ部を通しても案外、平気だった。

終演がEnc含め21:40頃。
13:30開始だから「ラインの黄金」と「神々の黄昏」をいちどきに鑑賞したみたいなものだ。

開演前にBGM代わりにPfの演奏があった。その音が重くて硬くて、近頃どのホールでも経験しているが、都内の大ホールの中では響きの良い武満Hでもこの音じゃ、かなわんな、と思ったが、不安的中、弦六が始まってもやはり硬い。

弦に潤いがないのが悲しい。

ところが、Pf四以降は響きがころっと変わって、明瞭で美しい。
なぜ?
Pfの音まで変わった理由は分からないが、弦については多分、配置が変わったから。
弦6本が半円状に並ぶとどうしても客席から離れてしまう。

Pf四ではPfの前にこじんまりと弦3人が並ぶので弦六の配置と比べて2m〜3m前方になった。さらに弦の後ろではPfの屋根が音を跳ね返す。これで、調子が出た。

前方一桁列のそれも前の方で聴いていたので配置の違いによる響きが如実だったが、遠くで聴いていたらあまり変化は感じなかったかも。

そんな訳でPf四以降は響きに何の不満もなく、全てを楽しんだ。
色々と発見もあった。CD等ではよく聴いているつもりでも、やはり聴き流していることが多い。生演奏が齎す緊張の中に身を置くと、新鮮なフレーズを発見したり、ブラームスが緻密に設計した内声の重音の美しさに気づいたり。

16人が入れ替わり立ち替わり登場した。殆どは何度も聴いているが、初めての人もいた。おそらく今回初顔合わせEnsが多い中で、唯一既成Ensの参加は葵Trioで、Vnの小川響子は以前に凄腕を聴いていたが、Trioとしては初めて(4重奏の中の面子として参加)聴いた。今後は注意しておこう。

♪2022-034/♪東京オペラシティコンサートホール-1

2020年1月23日木曜日

東京フィル第130回東京オペラシティ定期シリーズ

2020-01-23 @東京オペラシティコンサートホール


アンドレア・バッティストーニ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

阪田知樹:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 Op30*
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op14
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ラフマニノフ(阪田知樹編):ここは素晴らしい場所 Op21-7

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、全4曲の協奏曲中一番有名だろうか。聴く機会が多いが、今日は全然身が入らなかった。
阪田くんの演奏に問題がある訳ではない。集中できなかった。体調不十分もその原因の一つだが、演奏もあまり噛み合っていなかったように思う。

メインはベルリオーズ「幻想交響曲」。
熱い音楽を見た目も熱いバッティストーニが熱く振った。しかしこちらもその熱はあまり伝わらなかった。

今季から席を(全13定期・セット券での指定席中最後方)に変えてみたのだけどその響きに馴染めなかったのかも。このままずっと馴染めないのでは困ってしまうが、多分、その場所なりの聴き方ができるようになるだろう。

それにしても、今日の東フィルは管楽器の賑やかさに比べ16型にも関わらず弦が薄かった。これまで聴いてきたなかで一番がっかりさせる演奏だった。この点は席を変えたこととは関係ないと思う。

♪2020-010/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2019年4月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第5回 「アメリカ」新世界で生まれ育ち移り行く音楽達

2019-04-20 @県民ホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

阪田知樹:ピアノ
佐藤晴真:チェロ
田添菜穂子:司会

コープランド:「ロデオ」から“カウボーイの休日”
アンダーソン:タイプライター
アンダーソン:マクドナルドじいさんは農場をもっていた
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(抜粋)
J.ウィリアムズ:雅の鐘
コルンゴルト:映画「嵐の青春」
J.ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」よりメインタイトル、アステロイド・フィールド
ジョン・ケージ:4分33秒
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104から第1楽章
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界から」から第4楽章

アメリカ縁の小品・断章集。
指揮は新生・太田弦。
不出来なMCもついて親子名曲コンサートぽくなった。
おやつみたいなものばかりで主食のないもどかしさはあったが、演奏は上出来で(J.ケージの「4:33」は邪魔だったが)楽しめた。

特に最後のドボルザーク交響曲第9番「新世界から」の第4楽章冒頭の弦のアンサンブルの美しいこと。
県民ホールは音響もNHKホールとよく似て下手な演奏はごまかせない。
神奈川フィルも時に聴きたくない音を発するが、今日は見事だった。
管・弦が正確なピッチで適度に混ざり合う”交響”が管弦楽のナマの醍醐味を伝える。

♪2019-051/♪県民ホール-03

2018年10月7日日曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第68回

2018-10-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大井剛史:指揮
東京交響楽団

阪田知樹:ピアノ*

深井史郎:架空のバレエのための三楽章
早坂文雄:ピアノ協奏曲*
小山清茂:弦楽のためのアイヌの唄
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ(1979年改訂版)
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武満徹:雨の樹素描Ⅱ〜オリヴィエ・メシアンの追憶に〜*

1914年生(小山、伊福部、早坂)、東響が日本初演(早坂、伊福部、深井)、アイヌがテーマ(小山、伊福部)という繋がりによる日本人作曲家特集…とチラシに書いてあった。

このうち深井と小山はその存在さえ知らなかったのだから、当然初聴き。早坂と伊福部はコンサートでも複数回聴いているが、今日の作品はいずれも初聴き。全曲初聴き!って非常に珍しい。

4作品とも1948〜64年初演のほぼ同時代の邦人作品ということで、すべて初聴きのせいもあったか、結果的にはどれもよく似た感じだが、所謂「現代音楽」の嫌味がまったくない。

阪田知樹と共演で早坂文雄の「ピアノ協奏曲」(2楽章構成)はピアノ中心に管弦楽編成の規模も大きく、華やかな音楽で演奏時間も一番長かった(僅かな差だが)ので、メインに据えても良い感じだったが…。

小山清茂の「弦楽のためのアイヌの唄」も弦楽アンサンブルに小型パーカッションという珍しい組み合わせで、靴べらによるチェロのピチカートなど、全体に新鮮な魅力があった。

それらの中でも最後に登場した伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」が一番楽しめた。音楽的に他作より抜きん出ているかどうかは分からないが、聴いていて実に面白く楽しい。

他の3作にも共通するが、西洋音楽の調性はあるようなないようなではっきりしない。調性というより日本古来の旋法が取り入れられているのだろう。部分的に雅楽や民謡、祭り囃子(「タプカーラ」はアイヌの民族舞踊を意味するらしい。)のような音楽が西洋音楽の調性と組み合わされているのではないかと聴いていた。
そのような試みが一番親しみやすく発揮されていたのが「シンフォニア」だと思う。

大井剛史の指揮も複雑な変拍子をきれいに捌いて東響のアンサンブルも上等。

余談ながら:

全員の生没年と今日の作品の初演年を書いておこう。
深井史郎(1907〜1959)⇒1956年
早坂文雄(1914〜1955)⇒1948年
小山清茂(1914〜2009)⇒1964年
伊福部昭(1914〜2006)⇒1955年(世界)、56年(日本)、80年(改訂版)

全作品が20世紀中程に作曲・初演されたものだ。
西洋音楽史的に言えば「現代音楽」の始まりの頃か。

さて、これらの作品を音楽界(どんな世界だ?)で「現代音楽」と呼んでいるのかどうかは知らない。「現代音楽」の定義があいまいだから。「現代」の音楽と言うなら、「現代音楽」に違いがない。無調又は調性が拡大されているのが「現代音楽」ならこれらの作品は半分くらい(数ではなくどの作品も内容的に)は「現代音楽」と言えるのかもしれない。

しかし、「現代音楽」という場合、その代表とされるジョン・ケージの「4分33秒」(幸いにして聴いた?ことがない。)とかリゲティの「ポエム・サンフォニック(100台のメトロノームのための)」(東響で聴かされた!腹立たしい。)など、「無調」さえ超え、古典的な「音楽」の定義にも外れるような作品も堂々とステージに掛けられているが、今日の邦人作品群はそんな不届きな作品とは別世界のものだ。だから、これらの作品を「現代音楽」という言葉で括るのは抵抗もあるし、間違いではないだろうか。

…などと余計なたわごとを記したのは、自分の備忘のためでもあるし、所謂「現代音楽」に時々我慢がならないからだ(アルヴォ・ペルトの作品などはほとんど抵抗なく受け入れられるから、時期的な括りで音楽の「現代」性を捉えるのも間違っていると考えている。)。
行き詰まりから始まり、調性を諦め、不協雑音と激しいリズムとダイナミックレンジで聴衆の<意表を突くだけ>の「現代音楽」に展望があるはずがない。「古典にもどれ!」と言いたい。

♪2018-125/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19

2018年5月12日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第337回横浜定期演奏会

2018-05-12 @みなとみらいホール


アレクサンドル・ラザレフ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

阪田知樹:ピアノ*

ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》より前奏曲と愛の死
シューマン:ピアノ協奏曲*
チャイコフスキー:交響曲第4番
---------------
アンコール
シューマン(リスト編):「献呈」*
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」から「トレパック」

「トリスタン〜」はまずまず。好みで言えば、もう少し穏やかな方が好きだけど、元気のいい「トリスタン〜」だった。
弦楽器のアンサンブルは美しい。

「シューマン」は、オケは良かったが、ピアノに若干問題あり。音を外す場面が多く、ピアノも加わるTuttiでもズレが目だった。シューマンのコンチェルトはピアニストにとって難曲らしいが、あまり何度も音を外すと興ざめだ。

メインのチャイコ4番。これはよろしい。冒頭のホルンから始まりトロンボーン・チューバに降りてゆくファンファーレの見事さにまずは心奪われてしまった。なんども聴いているが、これほど立派なファンファーレは初めてだ。

ラザレフの指揮は第1楽章冒頭からテンポが早かったが、終楽章も怒涛の迫力だった。

欲を言えば、弦がなかなか綺麗なのだが、中低域が人数が多い割に厚みに不足した。と言うより、管の迫力に負けていたようにも思う。
それにしても、最近、日フィルの満足度は高いな。

♪2018-051/♪みなとみらいホール-15

2014年12月1日月曜日

神奈川フィル フレッシュ・コンサートVol.9 未来へと飛び立つ次世代の旗手たち

2014-12-01 @みなとみらいホール


現田茂夫(名誉指揮者):指揮
大江馨【ヴァイオリン】(2013年日本音楽コンクール1位入賞)
阪田知樹【ピアノ】(2013年ヴァン・クライバーン国際コンクール入賞)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
----------
パガニーニ:「24のカプリース」より第24番(Vnソロ)
ラフマニノフ/坂田知樹編曲:歌曲「ここは素晴らしい所」作品21-7(Pfソロ)


「フレッシュコンサート」というのは、神奈川フィルが神奈川県に縁のある若き俊英をソリストに迎えて演奏の機会を提供し、応援しようという企画だ。
主に20歳代前半(今回のバイオリンの大江くんは94年、ピアノの阪田くんは93年生まれ。)で、著名なコンクールの優勝・上位入賞者が招かれている。


今回も、バイオリンの大江くんは63回全日本学生音楽コンクール(⇒学音)優勝者であり、82回(昨年)日本音楽コンクール(⇒日音)第1位というから、素直にすごい。

ピアノの阪田くんも61回学音2位、昨年のヴァン・クライバーン国際コンクールその他いろいろ入賞というからこちらもなかなかのスグレモノなのだろう。

今日(12/06)、たまたまNHKTVが今年の日音の最終審査の様子をドキュメンタリーとして放映したのを興味深く見た。
熾烈な競争というより、結局は自分との闘いを制した者が勝利するのではないかと思いながら見ていたけど、このレベルになると技術や音楽性の違いなど僕に分かるはずもない。

少なくとも、練習を積んできた挑戦曲に関しては、もう出来上がっているのではないかと思えるような演奏ぶりだった。


さて、「フレッシュコンサート」の2人が披露した曲は、いろんなコンクールでも弾いた曲だったのかもしれない。すると、今、2千人のお客様の前であらためて「演奏家」として演奏することに大きな興奮や感慨があっただろうなあ。

2曲とも叙情性たっぷりの曲なのでベタベタになりやすい気もするけど、そこは若いとはいえど磨き上げた感性がケレン味を抑えていたのではないか。心地よく楽しめた。

横浜在住など、横浜と縁のある2人なので、今後も聴く機会があるだろう。若い才能がすくすく育って再会できた時に果たして僕の感覚はボケていないだろうか心配だが。

余談:
先月末に第68回学音の横浜市民賞選定員としてバイオリン部門を聴きに行った際に、一般的にはその作品が知られていないヴィエニャフスキの作品を弾く子が多くて、どうしてかなあ、と思っていたら、この作曲家はバイオリンの名手で、その名を冠した国際コンクールがおよそ5年に1回開催されていることを知り、前回の「フレッシュコンサート」(今年3月)に登場したバイオリンの小林美樹さんが直近(2011年)の同コンクールで2位だったことを記録を手繰って知った。

因みに、今をときめく神尾真由子(07年チャイコフスキー・コンクール優勝)もヴィエニャフスキ~の2001年の第4位だというのだから、このコンクールは相当ハイレベルなのだろう。

という事情からもこの「フレッシュコンサート」に登場する新人たちがかなりの腕利きだということが分かる。


♪2014-112/♪みなとみらいホール大ホール-48