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2024年5月22日水曜日

新国立劇場オペラ「椿姫」

2024-05-22 @新国立劇場




【指揮】フランチェスコ・ランツィロッタ
【演出/衣裳/美術】ヴァンサン・ブサール
【照明】グイド・レヴィ
【ムーヴメント・ディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ヴィオレッタ⇒中村恵理
アルフレード⇒リッカルド・デッラ・シュッカ
ジェルモン⇒グスターボ・カスティーリョ
フローラ⇒杉山由紀
ガストン子爵⇒金山京介
ドゥフォール男爵⇒成田博之
ドビニー侯爵⇒近藤圭
医師グランヴィル⇒久保田真澄
ほか

ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇「椿姫」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間45分
第Ⅰ幕・第Ⅱ幕1場
 75分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕2場・第Ⅲ幕
 60分





個人的には、イタリアオペラの中で、これほど耳に馴染んだアリアが連射されるものはない。全編、ワクワクするような興奮に包まれる…はずだが、どっこいそうはいかん。

こう言っちゃ申し訳ないけど、前回、代打で登場した中村恵理は、そういう事情もあって、まずまず受け入れられたが、2回目の登板が正しい判断だったか?
彼女はこういう役は向いていないと思う。パリの裏社交界で一際存在を放つ大物には見えない。華がないのだ。
イタリアものではミミやリューはあまり違和感がなかったが…。

外人勢2名は良かった。特にジェルモンが儲け役という感じだった。

15年から同じ演出が続いているが、大道具のシャンデリアのは良いとして、舞台にピアノ1台というのが無理。なんでピアノなのか意味不明。衣装に凝るわりに調度の粗末さがバランスを欠く。
第3幕の紗幕もやはり意味が不明だ。

♪2024-070/♪新国立劇場-07

2023年7月13日木曜日

オペラ「ラ・ボエーム」 〜高校生のためのオペラ鑑賞教室2023〜

2023-07-13 @新国立劇場



【指揮】阪哲朗
【演出】粟國淳
【美術】パスクアーレ・グロッシ
【衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】笠原俊幸

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ミミ⇒石橋栄実
ロドルフォ⇒宮里直樹
マルチェッロ⇒成田博之
ムゼッタ⇒臼木あい
ショナール⇒吉川健一
コッリーネ⇒久保田真澄
べノア⇒畠山茂
アルチンドロ⇒晴雅彦…本公演と同じ
パルピニョール⇒寺田宗永…本公演と同じ

プッチーニ:「ラ・ボエーム」
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

上演時間約2時間45分
 第Ⅰ幕・第Ⅱ幕60分
  休憩25分
 第Ⅲ幕30分
  休憩20分
 第Ⅳ幕30分




昨日に続いて鑑賞教室2回目。本公演を合わせて3回目の「ラ・ボエーム」。
昨日と変わった最重要な歌手4役は、

ミミ⇒石橋栄実、ロドルフォ⇒宮里直樹、マルチェッロ⇒成田博之、ムゼッタ⇒臼木あい。

鑑賞教室のチケットはそもそも数が少なく極めて安価(全席4,400円)で、会員先行もないから良席確保は難しい。
今日は3階席の3列目。右翼ブロックのセンター寄り、とまあ嬉しくないけど、値段を考えたら文句も言えない。

舞台は昨日より一層遠い。
しかし、抜群の音響を誇るオペラパレスでは、3階席だろうが、十分響いて不満はない。

今回、9日間のうちに3回、キャスト違いで同じ舞台を鑑賞して思うに、歌手については、本公演含めて木下美穂子が演技ともども見せた・聴かせた。もちろん他の役の歌手もみんな上手。一度きり聴いたとすればどの組であれ感銘を受けたと思う。

ただ、熟思うに、オペラは舞台に近いのがよろしい。オペラも演劇だ。役者の表情がはっきり見えなければ入魂が難しい。2回目、3回目と徐々に遠くに離れるにつけ、物語もどこか遠くの話になっていった。

然は然り乍ら、プッチーニの音楽の素晴らしさには、どこの席でも十分浸れる。今回は、短期間に珠玉の名アリア集を生で3回も味わうことができて大満足也。


♪2023-123/♪新国立劇場-15

2022年2月9日水曜日

オペラ:ドニゼッティ「愛の妙薬」

2022-02-09 @新国立劇場



指 揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演 出】チェーザレ・リエヴィ
【美 術】ルイジ・ペーレゴ
【衣 裳】マリーナ・ルクサルド
【照 明】立田雄士

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

【アディーナ】砂川涼子
【ネモリーノ】中井亮一
【ベルコーレ】大西宇宙
【ドゥルカマーラ】久保田真澄
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝

ガエターノ・ドニゼッティ「愛の妙薬」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間30分
 第Ⅰ幕   70分
  休憩   25分
 第Ⅱ幕   55分


今月はオペララッシュで、1週間前に「さまよえるオランダ人」を観たばかりで今日は「愛の妙薬」。

指揮のデスピノーサ&東響も「オランダ人」に引き続きの登板だ。


キャストはコロナの為に(元から出演予定の九嶋以外の)主要4役が全員日本人に代わった。

でも、それで大成功…は言い過ぎとしても、とても良かった。


何がいいかって、砂川涼子が素晴らしい。

あのふくよかで明かるく美しい声は、努力だけでは獲得できない天分だと思う。


ネモリーノ役の中井亮一にとっては歌手人生最高の大役だったと思うが、期待に応えた。

1番の聴かせどころ「人知れぬ涙」もヨシ!

もうちょっとツヤがあれば憂いも出てなお良かったが。


不満を挙げれば。

演出も美術も前回2018年公演と同じだが、前回は気づかなかったが点が今回は気になった。5年間の成長?


「文字」に拘る演出は美術面でも表れているが、「トリスタンとイゾルデ」はこの物語の契機に過ぎないのに全編にわたって「トリ・イゾ」由来の作り物がさも意味ありげに登場するのは紛らわしい。


薬売りの娘が登場するがセリフはない、歌もない。にもかかわらずなぜMaskをしているのか?

「オランダ人」の時もパントマイムの役者だけがMaskをしていた。

他にも兵士達が1幕ではMaskを。同じ連中が2幕ではNoMask。

いったいどういう整理基準なのか?


ともかく、Maskはやめてくれえ!


♪2022-016/♪新国立劇場-03

2019年12月3日火曜日

オペラ「椿姫」

2019-12-03 @新国立劇場


ジュゼッペ・ヴェルディ:「椿姫」全3幕〈イタリア語上演/字幕付〉
上演時間約2時間40分
 第Ⅰ幕・第Ⅱ幕1場75分
   休憩30分
 第Ⅱ幕第2場・第Ⅲ幕55分

指揮:イヴァン・レプシッチ
演出・衣裳:ヴァンサン・ブサール
美術:ヴァンサン・ルメール
照明グイド・レヴィ

東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

ヴィオレッタ⇒ミルト・パパタナシュ
アルフレード⇒ドミニク・チェネス
ジェルモン⇒須藤慎吾
フローラ⇒小林由佳*
ガストン子爵⇒小原啓楼
ドゥフォール男爵⇒成田博之
ドビニー侯爵⇒北川辰彦*
医師グランヴィル⇒久保田真澄
アンニーナ⇒増田弥生
*2017年公演と同じキャスト(須藤はドゥ〜男爵で出演)

ちょうど2年前に同じ演出で観た。同じ演出でも主役が変わるとドラマまで変わることがある(目下上映中のMET Live Viewingの「マノン」が好例)。

今回のミルト・パパタナシュは痩身の美形で、椿姫にお似合いだし、歌唱も繊細で好感を持った。しかし、今回も変わらぬ演出が不満の種になった。

照明はほぼ間接照明で全篇薄暗く歌手たちの表情が読み取りにくい。これって、ストレス溜まる。
舞台装置は2幕迄は工夫されているが3幕が漫画チックだ。
額縁内に更に円窓が設定され、その狭い中で進行する。
おまけに椿姫とアルフレードたちの間は紗幕に遮られているというのが分からない。

椿姫は紗幕の客席側。他は舞台奥側。女中は紗幕に頭を突っ込んで歌う。滑稽だ。
せめて彼氏はそれを引きちぎって椿姫を抱きしめなくてはいかんが彼らの燃え上がる思いが視覚的に一つにならないので、観ている側は隔靴掻痒だ。
今年の1月の藤原歌劇団公演でも終幕は紗幕が張られていた。意味不明な演出だ。

今年は、「椿姫」をMET Live Viewingで2度、英国ロイヤルオペラシネマでも観たが、ロイヤル〜のエルモネラ・ヤオの椿姫こそ最高傑作だった。

冒頭にも書いたが、演出もさることながら、ヒロインの歌唱力や演技力がドラマを決定するなあ…とつくづく思う。

♪2019-192/♪新国立劇場-12

2019年9月5日木曜日

藤原歌劇団公演オペラ「ランスへの旅」

2019-09-05 @新国立劇場


折江忠道:総監督
園田隆一郎:指揮
松本重孝:演出

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団

コリンナ:ローマの女流詩人⇒砂川涼子
メリベーア侯爵夫人:ポーランドの寡婦⇒中島郁子
フォルヴィル伯爵夫人:若い寡婦⇒佐藤美枝子
コルテーゼ夫人:金の百合亭主人⇒山口佳子
騎士ベルフィオール:仏士官。コリンナに愛⇒中井亮一
リーベンスコフ伯爵:ロシア将軍⇒小堀勇介
シドニー卿:英軍人。コリンナに愛⇒伊藤貴之
ドン・プロフォンド:文学者⇒久保田真澄
トロムボノク男爵:独陸軍少佐⇒谷友博
ドン・アルバーロ:スペインの提督⇒須藤慎吾
ドン・プルデンツィオ:医者⇒三浦克次
ドン・ルイジーノ:フォ〜夫人のいとこ⇒井出司
デリア:ギリシャ孤児。コリンナ下女⇒楠野麻衣
マッダレーナ:女中頭⇒牧野真由美
モデスティーナ:フォ〜夫人の小間使い⇒丸尾有香
ゼフィリーノ:使者⇒山内政幸
アントニオ:給仕長⇒岡野守
ほか

ロッシーニ:歌劇「ランスへの旅」
オペラ全1幕〈字幕付きイタリア語上演〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ部105分
 --休憩20分--
第Ⅱ部55分

藤原歌劇団公演に二期会・新国も参加した大掛かりなプロダクション。
独唱者17人に合唱がついて目まぐるしく賑やか。
幸い同じ藤原歌劇団の同じ演出による2015年の日生劇場版を観ていたので筋書きは覚えているが、初めての人には特段の説明もなく話が進むので置いてきぼりにされるかもしれない。
ま、それでも構わぬ歌こそ命の歌劇だ。

1825年パリ近郊の湯治場、と言っても高級ホテル。
フランス王シャルルのランスでの戴冠式見物の為に同じ宿に集った紳士淑女たち。そこであれやこれやのプチ・ドラマが繰り広げられる。目的のランス行きが不可能となるもパリでもお披露目が行われると聞き安堵して、とりあえずランスへの旅の費用として集めたお金で大宴会を開くことになった。
ここまでも一言もセリフはなく、レシタティーヴォとアリアの連発だ。ともかく、次から次と歌に次ぐ歌。

クライマックスの大宴会で紳士淑女は出身国にちなむ歌を交代で披露する。実は、集まった紳士淑女たちはそれぞれ異なる国の出身者なのだ。この辺が巧い設定だ。

ドイツ人の男爵はドイツ賛歌、
ポーランドの公爵夫人はポロネーズ、
ロシアの伯爵はロシア賛歌、
スペインの海軍提督はスペインのカンツォーネ、
イギリス軍人は英国国歌、
フランスの伯爵夫人と騎士は二重唱でブルボン王家賛歌、
ティロル出身の夫人はヨーデル颯民謡
を歌い継ぎ、シメに即興詩人が全員の投票によって決まったお題を基に即興で「シャルル王」賛歌を歌い、最後は全員で「シャルル王」賛歌を歌って華やかに幕。

主要な17人の歌手の中には何度も聴いている人もいるが初めて聞く名前もあった。だが、みんな巧いことにいつもながら驚く。よく通る声で、ベルカントの難しそうな細かく早い装飾をコロコロ歌う。
独唱から二重唱、六重唱、果ては14人、17人の強力な合唱も実に聴き応えがあった。

中でも一番は主役格の砂川涼子。
この人はホンに何度も聴いているけど、今日はその実力を思い知らされた感がある。今年はまだ日生劇場の「トスカ」、紀尾井ホールでのリサイタルを追っかけなくちゃ!


♪2019-133/♪新国立劇場-09

2018年7月1日日曜日

新国立劇場オペラ 開場20周年記念特別公演「トスカ」

2018-07-01 @新国立劇場


指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ
演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ
美術:川口直次
衣裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
照明:奥畑康夫

合唱⇒新国立劇場合唱団/びわ湖ホール声楽アンサンブル
管弦楽⇒東京フィルハーモニー交響楽団

トスカ⇒キャサリン・ネーグルスタッド
カヴァラドッシ⇒ホルヘ・デ・レオン
スカルピア⇒クラウディオ・スグーラ
アンジェロッティ⇒久保田真澄
スポレッタ⇒今尾滋
シャルローネ⇒大塚博章
堂守⇒志村文彦



プッチーニ:「トスカ」全3幕〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ幕55分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕30分

過去6回再演の実績のせいか、初日だったが堂々の安定感。東フィル含めみんな良かったけど、 C.ネーグルスタッドのトスカ、C.スグーラのスカルピア、ホルヘ・デ・レオンのカヴァラドッシという海外勢の3人がとりわけ素晴らしい。

オペラではヒロイン、必ずしも美形にあらずだが、今回のトスカは歌がうまいだけでなく美形でなければ役に説得力がないのだから、ネーグルスタッドが美形でホンに良かった。

憎たらしいスカルピオのスグーラは身長2mもあろうかという大男で、なかなかいかつい顔つき。これはぴったりだった。

奥行のある舞台を活かした舞台装置も圧巻で第1幕の教会の場面、終盤にミサが始まりテ・デウムが歌われる時にそれまで手前にあった舞台装置が左右に広がり、中央はどんどんと奥に遠のいて、見事に大舞台の機構を存分に使った見ものとしても素晴らしい出来だった。3幕も2階建て構造で、いよいよ死刑執行という際に大舞台が迫り上がるのも興奮する。

演出が2000年の初演以来変わっていなというが、まことに結構。これはわずかでも変えるべきところがないと思う。実に良く出来た正統派の優れた演出だと思う。

ビデオ鑑賞を含め、トスカはいろいろ観てきたが、こんなにも没入でき、共感でき、音楽に酔ったのは初めてだ。

最近は、オペラもやたら読み替え演出が多く、つい先日NHKが放映した今年3月のザルツブルグ復活祭音楽祭2018での「トスカ」なんぞ、近年のテロ事件に着想を得たか、少年に銃を持たせる始末。原点に戻れ、原典に戻れと言いたいよ。

♪2018-076/♪新国立劇場-08

https://youtu.be/Z23_ukQmt-4