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2025年3月4日火曜日

新国立劇場オペラ「カルメン」

2025-03-04 @新国立劇場



指揮:ガエタノ・デスピノーサ
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM 少年合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

【カルメン】サマンサ・ハンキー
【ドン・ホセ】アタラ・アヤン
【エスカミーリョ】ルーカス・ゴリンスキー
【ミカエラ】伊藤晴
【スニガ】田中大揮
【モラレス】森口賢二
【ダンカイロ】成田博之
【レメンダード】糸賀修平
【フラスキータ】冨平安希子
【メルセデス】十合翔子

ジョルジュ・ビゼー「カルメン」
全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
 第1・2幕       95分
  休憩         30分
 第3幕1場/2場 65分





演出がAオリエになってからの新国・カルメンは全然楽しくない。無茶な読替え演出が全く意味をなしていないので、こんな設定で芝居をやらされる方は気の毒だと思う。

カルメン役のSハンキーの声が細くて迫力に欠けた。
前回のSドゥストラックの場合も同様だったが、第一声の「ハバネラ」が舞台奥から歌うので、余計に心許ない。

歌手陣は、ミカエラ(伊藤晴)を筆頭に日本人の出来が良かったな。

それはそれとして、やはり音楽の素晴らしいこと(Gデスピノーサ指揮東響)。ビゼーの音楽の、旋律の曲がり角みたいな繋ぎ部分まで魅力を感じた。


♪2025-030/♪新国立劇場-04

2025年2月5日水曜日

新国立劇場オペラ「フィレンツェの悲劇」/「ジャンニ・スキッキ」

2025-02-04 @新国立劇場



指揮:沼尻竜典
演出:粟國淳
美術:横田あつみ
衣裳:増田恵美
照明:大島祐夫
舞台監督:斉藤美穂

管弦楽:東京交響楽団

●フィレンツェの悲劇
グイード・バルディ⇒デヴィッド・ポメロイ
シモーネ⇒トーマス・ヨハネス・マイヤー
ビアンカ⇒ナンシー・ヴァイスバッハ

●ジャンニ・スキッキ
ジャンニ・スキッキ⇒ピエトロ・スパニョーリ
ラウレッタ⇒砂田愛梨(三宅理恵の代役)
ツィータ⇒与田朝子
リヌッチョ⇒村上公太
ゲラルド⇒髙畠伸吾*/青地英幸
ネッラ⇒角南有紀*/針生美智子
ゲラルディーノ⇒網永悠里
ベット・ディ・シーニャ⇒志村文彦
シモーネ⇒河野鉄平
マルコ⇒小林啓倫*/吉川健一
チェスカ⇒中島郁子
スピネッロッチョ先生⇒畠山茂
アマンティオ・ディ・ニコーラオ⇒清水宏樹
ピネッリーノ⇒大久保惇史
グッチョ⇒水野優
*は2-4日のみ代役


アレクサンダー・ツェムリンスキー:
「フィレンツェの悲劇」
全1幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

ジャコモ・プッチーニ:
「ジャンニ・スキッキ」
全1幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間20分
フィレンツェの悲劇
 60分
 --休憩25分--
ジャンニ・スキッキ
 85分




新国立劇場の前回公演は6日前に観た「オランダ人」で、今回は間隔がとても短い。その前作にオランダ人の代役で登場した河野鉄平が「ジャンニ」にも引き続き登場していた。ご苦労なことだよ。

彼は今回は代役ではないが、「ジャンニ」では早くから発表されていたラウレッタ役(砂田愛梨)のほかに、インフルエンザに感染した3人が、急遽、今日と次回のみカバー歌手に代わった。
いやはや最近代役が多い。
公演間隔やカバーの立て方など問題が多いと思うが。

新国立劇場でこのWビルは19年に続き2回目でスタッフは全く同じだ。指揮は沼さん、オケは東響。東響は「オランダ人」でもピットに入っていたから、結構ハードだよ。

歌手が変わっただけの再演だが、今回の方がずっと洗練されていたと思う。


わずか3人しか登場しない「フィレンツェ」は緊迫感に富み、オペラというより心理サスペンスで、前回は腑に落ちなかった結末も、今回は説得力を感じた。

「ジャンニ」は大勢が登場するのでバラバラになりそうな話だが、こちらも前回に比べてずっと分かりやすい。2度目ということもあるだろうけど。

「私のお父さん」が馴染みすぎて、全体の中で浮いた感じになるのは仕方がないけど、あれがなくちゃつまらない。

舞台セットは、ガリバーの「巨人国」みたいに、部屋の調度や置き物は人間の大きさに比べてとても大きく作ってある。なぜそのようにしたのか分からないが、舞台美術としては、もしこれらの作り物が実物大であったら、舞台は実に平凡なものになってしまうだろう。うまくできているな、と思ったよ。

♪2025-019/♪新国立劇場-04

2025年1月29日水曜日

新国立劇場オペラ「さまよえるオランダ人」

2025-01-29 @新国立劇場



【指揮】マルク・アルブレヒト
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野 睦
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

ダーラント⇒松位浩
ゼンタ⇒エリザベート・ストリッド
エリック⇒ジョナサン・ストートン
マリー⇒金子美香
舵手⇒伊藤達人
オランダ人⇒河野鉄平(エフゲニー・ニキティンの代役)

リヒャルト・ワーグナー:
歌劇「さまよえるオランダ人」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間45分
第Ⅰ幕
 55分
 --休憩25分--
第Ⅱ・Ⅲ幕
 85分





新国立劇場の前回「オランダ人」は3年前で、コロナのピークのために海外勢は全員降りて日本人だけになった。
今回《舞台》でマリーを歌った金子美香は、前回は同じ役の
代役の声役?で《舞台袖》で歌った(鑑賞日)。…なんてこった!
もう1人前回と同じ役を歌ったのがやはり代役だったオランダ人役の河野鉄平だった。
急拵えのキャスト中心だったが、これが良かったな。

今回もカバーから急遽舞台に立つことになった河野鉄平がもはや安心のオランダ人。マスクも濃いめの風貌でよく似合っていたよ。

歌手も合唱も東響も良い出来で、圧倒されるような迫力はないもののまあ、良かったな、と納得。

♪2025-016/♪新国立劇場-03

2024年12月22日日曜日

名曲全集202回 東京交響楽団/秋山「第九」⑧

2024-12-22 @ミューザ川崎シンフォニーホール



秋山和慶:指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス

ソプラノ:盛田麻央
メゾソプラノ:富岡明子
テノール:城宏憲
バスバリトン:加藤宏隆

ベートーベン:「レオノーレ」序曲第3番 作品72
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125
-------------------
蛍の光








毎年たくさんの「第九」を聴いているが、同じ指揮者とオケの組合せで回数多く聴いているのは秋山「第九」のみで、群を抜いていて多い。
僕の「第九」の血肉を形作っているのは秋山翁の「第九」かも。

東響とのコンビはもう47年目かな?
このギネスものの「第九」が某音楽監督に看板の座を奪われたのも悔しいことだよ。

近年では、安定・安心の秋山「第九」を聴いてこそ穏やかに年を越せる、という暮のお宮参りみたいなものだ。

元気で毎年この演奏を聴きたい。
年が明ければ84歳の、秋山翁が振る限り僕も元気で聴きにゆきたいものだ。


♪2024-180/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-17

2024年11月2日土曜日

全国共同制作オペラ プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」

2024-11-02 @ミューザ川崎シンフォニーホール




井上道義:指揮
森山開次:演出/振付/美術/衣裳

管弦楽:東京交響楽団
合唱:ザ・オペラ・クワイア
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団
バンダ・ペル・ラ・ボエーム

ミミ:中川郁文
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:松中哲平
ショナール:ヴィタリ・ユシュマノフ
ベノア:晴雅彦
アルチンドロ:仲田尋一
パルピニョール:谷口耕平
ダンサー:梶田留以、水島晃太郎、南帆乃佳、小川莉伯

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」
全4幕/イタリア語上演/日本語・英語字幕付き/新制作

予定上演時間:約2時間40分
第1/2幕  70分
---休憩    25分
第3幕     30分
----休憩  20分
第4幕     30分



ミューザでの上演は、演奏会形式を超えたかなり本格的な舞台だった。コンサートホールでもこのような形でオペラが上演可能であることは、県民ホールや文化会館が休館中でも、演目の制限はあるにせよ上質の舞台を提供できることを示しており、大いに評価できる。特に2幕では、多くのキャストが舞台に
登場し、賑やかな演出は新国や日生も顔負けだ。

しかし、一部の観客にとっては鑑賞環境が問題となった。僕は1階前方列の中央席を購入したが、客席の最前列から4列がオケ・ピットとして使われ、加えて前2列の中央席が非売席だったので、実質最前列状態。
その結果、ミッキーの背中は我慢できるとしても、楽譜照明がまぶしく、特に指揮台の光が強力で鑑賞に集中できなかった。
1階席だけでなく2階以上でも指揮台の照明は邪魔になったのではないか?

このような問題は事前に確認すれば解決できたはずであり、スタッフは準備不足だ。また、チケット販売時に非売席売却済みを明示する配慮も欠けていた。

ダンスの挿入も大いに疑問。
劇の流れを妨げ、集中を削ぐ一因となった。

歌唱は、池内マルチェッロのよく通る声が素晴らしい。工藤のロドルフォは3回目で安心感。中川ミミは初聴き、まずまず。ムゼッタ、いまいち。

♪2024-147/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12

2024年7月27日土曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2024 東京交響楽団 オープニングコンサート 昨年の衝撃を再び! ノットXチャイコフスキーⅡ

2024-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調 op.17
「ウクライナ(小ロシア)」[1872年初稿版]
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 op.74「悲愴」





FSMuzaは十数年欠かしたことがないが、訳あって、オープニングだけは18年を最後にずっとパスしていたが、今年はこだわりを捨て最初から聴くことにした。ノット+東響は1年8月ぶりだ。

それにしても、以前もそうだったが、夏祭のオープニングなのだから、祝祭的な明るくて賑やかな曲をやれば良さそうなものなのに、チャイコの小ロシアと悲愴ってどういう感覚だろう。

第2番小ロシアの初稿版は初めて。
尤も、改訂版の方も耳に馴染むほど聴いている訳ではないので比較はできない。この初稿版も、ウクライナ民謡がふんだんに取り入れられてなぜか郷愁を唆る。

今回の標題は「ウクライナ(小ロシア)」となっていた。ロシア侵攻以前は「小ロシア」だけだったと思うが。

6番か…。
可もなく不可もなく。

♪2024-107/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2024年2月8日木曜日

新国立劇場オペラ「ドン・パスクワーレ」

2024-02-08 @新国立劇場



指揮:レナート・バルサド
演出:ステファノ・ヴィツィオーリ
美術:スザンナ・ロッシ・ヨスト
衣裳:ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ
照明:フランコ・マッリ

管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ドン・パスクワーレ:ミケーレ・ペルトゥージ
マラテスタ:上江隼人
エルネスト:フアン・フランシスコ・ガテル
ノリーナ:ラヴィニア・ビーニ
ほか

ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクワーレ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間30分
第Ⅰ幕・第Ⅱ
 80分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕
 45分





瑕疵ある物語が無理矢理の大団円でねじ伏せられるオペラは少なくない。これもその一つ。
ドン・パスクワーレは、物欲・色欲の爺さんが若者にいっぱい食わされる喜劇として受け取られている向きがあるが、ほぼ笑えない。なぜなら、これは気の良い老人を思いやりのない若者が虐待する話なのだから。

愈々ドン・パスクワーレを同じくらいの年齢として見ると切なくなってくる。

が、音楽的には、久しぶりにベルカントの華やかな歌唱が良かった。耳に馴染んだ幾つかのアリアも「なんというこころよさ」。

新国立劇場としては前回2019年が新制作・初演だが、今回もその時と同じ演出・美術だった。
海外での演出・装置・衣装をそのまま持ち込んだ為か、新国立劇場の天井の高い舞台を生かしきっていない感じもしたが、台所のシーンなど装置にも驚かされるし、アクロバチックなサビースもあって、全体として良くできているなと感心した。

♪2024-024/♪新国立劇場-04

2024年1月31日水曜日

新国立劇場オペラ「エフゲニー・オネーギン」

2024-01-31 @新国立劇場



指揮:ヴァレンティン・ウリューピン
演出:ドミトリー・ベルトマン
美術:イゴール・ネジニー
衣裳:タチアーナ・トゥルビエワ
照明:デニス・エニュコフ
振付:エドワルド・スミルノフ

管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

タチヤーナ⇒エカテリーナ・シウリーナ
オネーギン⇒ユーリ・ユルチュク
レンスキー⇒ヴィクトル・アンティペンコ
オリガ⇒アンナ・ゴリャチョーワ
グレーミン公爵⇒アレクサンドル・ツィムバリュク
ラーリナ⇒郷家暁子
フィリッピエヴナ⇒橋爪ゆか
ザレツキー⇒ヴィタリ・ユシュマノフ
トリケ⇒升島唯博
ほか

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」
全3幕〈ロシア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約3時間5分
第Ⅰ幕〜第Ⅱ幕1場
 100分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕2場〜第Ⅲ幕
 55分




何十年か前に初めてこの作品に放送(録画)で接して以来、気にはなるけど没入もできないという隔靴掻痒の期間が長かった。
新国立劇場の前回の公演(2019年)が僕にとって「オネーギン」の初めての生舞台だったが、やはり、没入できなかった。

それは、少年少女(オネーギンこそ22歳と一応大人であるが、レンスキー18歳、タチヤーナ16歳、オリガ14歳)の、自己中恋愛、失恋、虚無、嫉妬の物語に付いてゆけず、加えて実年齢2〜3倍ほどの歌手が彼らを演ずるとあってはなお感情移入できない。
一方で、チャイコフスキーの音楽の魅力は、繰り出される美旋律だけではなく、全編を通じた作曲上の工夫(同じ下降音形の変奏など)が素人耳にも少しは窺えることもあって、十分に惹きつけるものがあること。
加えて、物語の展開に、オペラにありがちなご都合主義も破綻もなく、作品としてはきれいに整っていることは大きな魅力だった。

このアンビバレントな相剋が、「オネーギン」に対峙する態度を決めかねていた…と大袈裟にいえば言えるかも。

今回は、前回と同じ演出・美術だったが(多少不満はあるが…省略。)、まるで別の作品のように思えたのは不思議だ。



実に面白かった。
ワクワクした。それはオネーギンの心情に初めて共感を覚えたからだ。
そうなるとこれまで没入を許さなかったドラマが手中に落ちて、チャイコフスキーを素直に堪能できるようになった。

なぜだろう?

前回4人だった海外招聘歌手は6人(🇷🇺4人・🇺🇦2人)に増え、オケがなぜか東フィルから東響に変わった。
みんな上手だったが、僕が今回《覚醒》したのはそのせいでもない。前回も歌手もオケも何の不満もなかった。

僕自身が4年半で僕が成長したことは多分ない。むしろ鈍化したので受け入れられるようになったのかもしれない。

何かが弾けたのか?

帰宅後と翌日、手持ちビデオを取っ替え引っ替え、見処を中心に観たが、どれも全く新しい目で楽しむことができたのは今回の新国観劇の副次効果で、嬉しいことだった。

川の堤に小さな穴を掘り続けていたら、ある日、一気呵成に崩れ落ちたようなことかもしれない。
こんな爺さんになって、22〜26歳のオネーギンに共感するとは自分でも驚きだよ。

♪2024-017/♪新国立劇場-03

2023年12月9日土曜日

名曲全集194回 東京交響楽団/秋山「第九」❷

2023-12-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール



秋山和慶:指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス

三宅理恵:ソプラノ
小泉詠子:メゾソプラノ
福井敬:テノール
妻屋秀和:バス

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125
-------------------
蛍の光





今年の2回目だが12月としては最初の「第九」。
少ない年でも6回、去年のように12回も聴いた年もある(今年は10回)。
その中で、指揮者とオケの組合せが唯一変わらないのが秋山「第九」だ。今季は東響の定期も名曲全集もパスした(来季も。27年度から再開予定!)けど、秋山「第九」だけは欠かせない。僕にとって聴く、というより、参加することに意義のある年中行事だ。

確か、40年以上継続されている秋山「第九」。
いつも盤石の安心感で楽しんできたが、今日の演奏は一波乱があった。
Hrの不調に加え終楽章の低弦のレシタと管楽器の受け応えで管の一部がスッポ抜けた!のは致命的エラーだった。

秋山御大の指揮ぶりもこれまでに比べて秋山節(コブシ)をよく利かせていた。
終楽章低弦のレシタがいつになく遅い気がしたが。
また、ここでVcの息遣いが揃わなかったな。

弦の編成は12型(12-10-9-8-5)とこじんまり。これでも昨年より4人増えた。この規模にしては弦セクション(Vcのレシタ以外)はいい仕事をしていたよ。

声楽陣も昨年に続き冒頭から着座した。これが良い。無駄な休止がなく、3楽章の後は計測不能なくらい瞬間の休止を挟んで4楽章に突入するのもいつもどおり。

終わってみると、昨年より28秒速い(たって、誤差の範囲だよ)だけだった。記録のある限りにおいて秋山「第九」は正味70分±30秒くらいに収まっている。もうこれ自体が”芸”だな。

合唱は112名。ひょっとしてプロオケとしては今年も最大規模になるか。P席と舞台後方に配置。
独唱者を含め、声楽には何の不安もなかった。
オケも部分的ミスを除けば良い響だった。

恒例「蛍の光」も結構。

昨年は武満MEMでの公演だったが、今年はミューザの大宇宙空間に戻った。やはり秋山「第九」はミューザに限る。

2023-213/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-28














1楽章 0時間16分18秒
2楽章 0時間11分36秒
3楽章 0時間15分35秒
     〜 0時間00分01秒
4楽章 0時間26分19秒
計  1時間10分40秒

昨年より28秒短い⇒誤差の範囲

合唱はP席と舞台後方。
独唱はオケと合唱の間。
いずれも冒頭から着座。
Brassは舞台下手

2023年3月25日土曜日

名曲全集第185回 東響初登場!俊英の指揮者が贈るワルツの世界

2023-03-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール



リオ・クオクマン:指揮
東京交響楽団
金川真弓:バイオリン*

コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 op35*
R.シュトラウス:「ばらの騎士」組曲 op59 TrV 227
ラヴェル:ラ・ヴァルス
--------------------------
ハイフェッツ編:Deep River*




期待感て、重荷でもある。
金川真弓は今日で7回目。過去にハズレなしだったので、こういう幸せがそう長く続く訳もなかろう、がっかりするなら早くその時を迎えて、その後は期待もせずに聴きにゆきたい。
などと気持ちが妙に屈折して困ったものだ。
で、今日は?

いかん。いけませぬ。
登場して定位置に着いた姿がもう弥勒菩薩だ(因みにバイオリン界の百済観音は日下紗矢子だ。)。
佇まいが既に音楽。
名器ウィルヘルミ(最近まで大谷康子が使っていた。TVの音だが、「おんがく交差点」で聴き慣れた音だ。)の良く鳴ること。発音は明瞭で、重音は正確で美しい。

最近、どのホールも音が硬くて、僕の耳の問題かもと疑っていたが今日のミューザは普段どおりで、東響の弦も美しい。

そして常に音楽の中心は金川のVnがきゅっと掴んで離さない。
コルンゴルトの協奏曲は映画音楽のような、クラシックの様式を借りたポップス大曲のような馴染みやすい音楽だ。

終曲後はクオクマンもオケ団員も、表情が緩んでいたのがその日の出来を表している。

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この日は、この1曲を聴いて退席した。
次の予定が迫っていた為だが、後半の最初の曲は聴いてから出かけても間に合ったけど、金川真弓で十分満足したからもういいや、という気持ちも半分。


♪2023-051/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2023年3月21日火曜日

新国立劇場オペラ:オッフェンバック「ホフマン物語」

2023-03-21 @新国立劇場



【指揮】マルコ・レトーニャ
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田遙
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】須藤清香

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ホフマン】レオナルド・カパルボ
【ニクラウス/ミューズ】小林由佳
【オランピア】安井陽子
【アントニア】木下美穂子
【ジュリエッタ】大隅智佳子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【スパランツァーニ】晴 雅彦
【シュレーミル】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美


ジャック・オッフェンバック「ホフマン物語」
全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間45分
第1幕・第2幕   75分
 休憩       30分
第3幕                50分
 休憩       30分
第4幕・第5幕   40分




5年前にやはり新国立劇場で同じ演出・美術で観た。オランピア役は今回も同じく安井陽子だった。砂川涼子が出ない代わりに木下美穂子が同じアントニアの役だった。

舞台美術や衣装は派手で、綺麗だ。
音楽も悪くない。オランピアの歌う「クマシデ並木の鳥たちから」やニクラウスとジュリエッタの二重唱「舟唄」など耳馴染みもいくつかあるし、全体として不満はない。

しかし、物語がさっぱり分からない。18年の時も同じ感想を持った。MET版の録画ディスクを回してみてもやはりよく分からない。

未完の大作らしいが、物語としても未完成ではないかと思うよ。

♪2023-049/♪新国立劇場-05

2023年2月26日日曜日

バレエ「コッペリア」

2023-02-26 @新国立劇場



【指揮】マルク・ルロワ=カラタユード
【振付】ローラン・プティ
【芸術アドヴァイザー/ステージング】ルイジ・ボニーノ
【音楽】レオ・ドリーブ
【美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ

【管弦楽】東京交響楽団

【スワニルダ】池田理沙子
【フランツ】奥村康祐
【コッペリウス】中島駿野

バレエ「コッペリア」
全2幕

予定上演時間:約2時間
第Ⅰ幕 45分
  休憩25分
第Ⅱ幕 50分








何十年か前に観たきりで、人が人形と踊る場面位しか記憶にない。新国立劇場でも初めてなので、Youtubeで予習したが、これがいろんな版があってむしろ混乱。ま、出たとこ勝負で出かけた。

これが存外の上出来。
とても楽しめた。

本来3幕を新国版では第2幕と第3幕を合体。

演出(振付)はローラン・プティ。
この演出は独特のものなのかもしれない。

原作の舞台、ポーランドの農村はパリに置き換えられている。能天気な明るさを、まずは舞台設定から排除して、何やら冷たさも漂う灰色の世界。

このバレエは、初めて民族舞踊を取り入れた作品として名高い(そうな)が、もちろん、音楽は原曲どおりだけど、ダンサーは民族衣装を着て民族舞踊風には踊らない。大胆な改変だが、場所をパリに設定したことから、これも違和感がない。


さて、見処は。
まずは、舞台美術が美しい。色彩はパステル調に抑えられ、配色も地味だけどセンスがある。

スワニルダを踊った池田理沙子が実にカワユイ。いや、可愛いだけではないぞ。この役はほぼ全幕踊りっぱなしの大活躍。

スワニルダが本来は主人公なのだろうが、このプティの演出では、むしろ人形コッペリアを作ったコッペリウスが主人公と言っていいと思う。
彼が思いを寄せるスワニルダに似せて作ったコッペリアと踊るシーンの孤独。
その人形と入れ替わってコッペリウスを揶揄うスワニルダ。
なんと残酷な。

最終幕はスワニルダが思いを寄せていたフランツと結ばれてめでたし。しかし、コッペリウスが抱いていた人形コッペリアはバラバラになって足元に転がる。
2幕からは終幕まで、コッペリウスの孤独が溢れている。
どこも悪くない人形師が、若者たちの残酷さに翻弄される様は哀れでならない。

他の振り付けでは、陽気に終わるのが多いようだが…。

余談①:今年になって、新国のオペラ・バレエは3本続いて東響がピットイン。今日のCMはニキティンだった。顔は見えなかったが元気でなにより。2月24日をどうやり過ごしたろうか。

余談②:来月のオペラ「ホフマン物語」でも人形師コッペリウスが登場する…なんという偶然!

♪2023-037/♪新国立劇場-03