2016年5月30日月曜日

東京都交響楽団第808回 定期演奏会Aシリーズ

2016-05-30 @東京文化会館


秋山和慶:指揮
東京都交響楽団
エリック・ル・サージュ:ピアノ*

ヒンデミット:金管と弦楽のための協奏音楽 op.50
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491*
R.シュトラウス:歌劇『ばらの騎士』組曲
--------------
シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 作品から第12曲*


ヒンデミット(1895-1963)。
名前は知っているし、交響曲「画家マチス」(同名歌劇からの再構成)はビデオも持っているから、作品に無縁だったという訳でもないけどまともに聴いたことはなかった。
実際聴いてみても面白くもない。
調性が拡張されていて無調音楽ではないけど、親しみが感じられない。
それに、なぜ金管なのか?弦楽器には金管より木管の方が馴染むのになあ、などとその意図をあれこれ考えていたらいつの間にか終わっていた。
どうも現代の音楽は苦手だ。

楽しみだった「バラの騎士」。
R・シュトラウスの音楽は現代音楽的な雰囲気を覗かせながら母体はロマン派という、いわば最後のロマン派の面白さがあると思う。それに交響詩などの管弦楽作品はオーケストレーションが華麗で楽しい。
しかし、今日の演奏ではあまりその華やかさが感じられなかった。これはホールのせいかも知れない。
独奏ピアノも弱かったもの。


独奏ピアノのエリック・ル・サージュがアンコールで弾いたのが、シューマンのピアノ独奏曲:ダヴィッド同盟舞曲集の第12曲。かすかに耳に覚えがあったが、後刻都響のサイトに書いてある曲名を読んで思い出した。家のCDで確認したらわずかに39秒という超小品。シューマンのピアノ曲はショパンよりわかりやすくて気楽に聴けるのがいいが、アンコールに応えるならせめて数曲組み合わせて弾かないものかと思ったよ。


♪2016-076/♪東京文化会館-07

2016年5月29日日曜日

プロースト交響楽団 第23回定期演奏会

2016-05-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール


角田鋼亮:指揮
プロースト交響楽団

J.S.バッハ(ラフ編):シャコンヌ ニ短調 BWV1004
伊福部昭:交響譚詩
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」<1874>

プロースト交響楽団は大学オケ出身者によるアマチュアオケだ。
昨年秋に同じミューザで聴いていたく感心したので今回も聴きに行き、またまた感心したので既に11月公演のチケットも入手済みだ。
前回はメインがマーラーの交響曲第1番ニ長調「巨人」だったが、今回はブルックナーの人気曲第4番「ロマンティック」がメインだ。

バッハのシャコンヌは出だしバラバラだが終盤纏まった。
伊福部昭の交響詩譚は初聴きだが楽しい。


なんといってもブルックナーが白眉。
先ずはソロホルンの健闘を讃えたい。実に上手で、どこやらのプロオケのホルンよりずっと上手だった。
弦のピッチもよく揃って、アマチュアにありがちな高音域のキーキーという不協音に悩まされることは殆ど無かった。
全体としてアマとは思えぬ高水準。


♪2015-075/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12

2016年5月28日土曜日

読売日本交響楽団第187回マチネーシリーズ

2016-05-28 @東京芸術劇場大ホール


キリル・カラビッツ:指揮
読売日本交響楽団
ヴィクトリア・ムローヴァ:バイオリン*

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 作品9
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」から
---------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第1番からAdagio*
プロコフィエフ:「3つのオレンジの恋」から「行進曲」

ヴィクトリア・ムローヴァという女性バイオリニストのことは恥ずかしながら知らなかった。プログラムでは「現代最高峰のバイオリニストの一人」とありきたりのことが書いてあるのであてにはならないけど、後日ネットで調べたら59年生まれというから誕生日を迎えたら57歳か。遠目では実年齢よりずっと若く見えた。

ロシア出身だが、チャイコフスキー・コンクール優勝の翌年(24歳?)の海外公演中にアメリカに亡命したという大変な経験をしている。
また、3人の子供の父親が全員異なるという。
相当肝の座った人格なのだろう。
そういう人物像を前もって知っていたら、もっと興味深く彼女の演奏を聴けたのにと後で悔やむ。

その彼女の独奏でシベリウスVn協奏曲。
これはごく普通に力強い演奏だった。

しかし、アンコールのバッハ無伴奏にクセを感じ、Youtubeで彼女が弾くJ.S.バッハのシャコンヌを聴いた時、個性が強すぎてこれは当面受け入れがたいと思った。
まあ、とにかく明確に自己主張ができる心の強い人なんだろうな。

後半はプロコのロメジュリ。
読響の腕前は高く評価しているけど、芸術劇場では、たいてい管ばかり強く、弦の響が薄くなるのはなぜだろう。
ムローヴァの独奏バイオリンはしっかりと聴こえたが。


♪2016-074/♪東京芸術劇場大ホール-2

2016年5月26日木曜日

シャルル・リシャール=アムラン ピアノ・リサイタル

2016-05-26 @みなとみらいホール


シャルル・リシャール=アムラン:ピアノ

ノクターン ロ長調 op.62-1
バラード第3番 変イ長調 op.47
幻想ポロネーズ 変イ長調 op.61
序奏とロンド 変ホ長調 op.16
4つのマズルカ op.33
   第1番 嬰ト短調 / 第2番 ニ長調 
   第3番 ハ長調 / 第4番 ロ短調
ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
---------------
アンコール
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」
エネスコ:組曲第2番ニ長調から「パヴァーヌ」


15年ショパンコンクール2位。
日本で開催された入賞者コンクールは聴きに行かなかったけど、Eテレが4回に分けて放映したのを聴いた。
アムランは「ソナタ賞」も得たためか、放映番組でも今回のリサイタルで演奏した第3番も聴いた。

このクラスのピアニストにどうしたら1位から6位までの順番を付けられるのか分からないけど、7月にはファイナリストの小林愛実のリサイタルを聴きに行くので(同じみなとみらいホールの同じ席!)、何が違うのか耳を凝らしてみようと思う(3位に入ったケイト・リウも11月に横浜で聴く予定をしているので、楽しみだ。)。

アムランは、TVではあまり感じなかったが関取体型。前から見ると食パン。横から見ると三角おにぎりに見える。1989年生まれというからまだ26、7歳なのだけど、髭面と体型のせいでもっと年長の感じがする。

1階のかなり前の方で聴いていたせいもあって、ダイナミックレンジの広い(剛腕にして繊細)音楽だった。

本篇は全曲地味めなショパン作品ばかり。
アンコールでは聞いたことがない作曲家、エネスコの作品を弾いた。どうしてショパンをやらないのか、と思ったが、コンクール前から、その後の世界各国での凱旋公演が続いて、流石にショパン以外もちょっと弾いてみたかったのかも。
えらくロマンチックな音楽だった。

♪2016-073/♪みなとみらいホール-20


https://youtu.be/PtM1iAAt5yk

2016年5月22日日曜日

東京都交響楽団プロムナードコンサートNo.368

2016-05-22 @サントリーホール


クリスチャン・ヤルヴィ:指揮
東京都交響楽団
ヴィルデ・フラング:Vn*

シベリウス:《カレリア》組曲 op.11
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 op.64*
ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45
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アンコール
ノルウェイー民謡から"VESLE-FRIKK"


7月のB定期が他の用事と重なったので、このプロムナードコンサートに取り替えてもらった。その結果、5月は都響をA・B・Pと3回行くことになった。

前回のB定期もクリスチャン・ヤルヴィだったが、今回の演奏曲目はずっとオーソドックスなものになった。

今日は、あの甘すぎるメロディーが縦横するメンデルスゾーンの協奏曲が入っている。バイオリン独奏はヴェルデ・フラング。
86年生まれだからちょうど30歳か。
なかなかの美形である。
取り替えてもらった席は1階17列。まあ、オケを聴くには申し分ないところだ。しかし、美形を観るには遠いので、Nikonの単眼鏡を持って行った。
ヴェルデ・フラングはルネサンス期の泰西名画のような美形だ。
ついでに都響のメンバーも単眼鏡で引き寄せてみると、第2バイオリンに美形が多いことも発見。ま、そんなことで、今日はあまり音楽に没頭できなかった。


♪2016-072/♪サントリーホール-05

2016年5月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第319回

2016-05-21 @みなとみらいホール


広上淳一:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ドボルザーク:スラヴ舞曲第1集Op.46
ドボルザーク:スラヴ舞曲第2集Op.72

ドボルザークの2つのスラブ舞曲集作品46と72はいずれもピアノ連弾用と管弦楽版があり各8曲ずつ全部で16曲。

今日は、なんとその全曲を演奏した。前代未聞の怪挙!
作品72の方がどちらかと言うと馴染みが少ないが、全曲の中では72の第2曲が一番有名かも。

いずれも5分前後の短い舞曲集だが、各8曲づつなので予定演奏時間は各40分ずつ。休憩を挟んで全部で80分と結構長丁場だ。

曲想やリズムは異なるとはいえ、短い舞曲集であることに変わりはなく、これが長時間続くのはどうも気分が乗らなかったな。

そもそも全曲まとめて聴くべきものだろうか。
そこに疑問を感じた。

広上御大も、職人仕事を片付けている感じでいまいち気合が感じられない。まあ、それしかやりようがないのだろうけど。

これらの曲は聴くという本来はピアノ連弾を楽しむ音楽かもしれない。

♪2016-071/♪みなとみらいホール-19

2016年5月20日金曜日

国立演芸場5月中席

2016-05-20 @国立演芸場


落語 林家たま平⇒牛ほめ
落語 柳家花ごめ⇒初天神
落語 林家三平⇒披露目の唄
漫才 笑組
落語 林家鉄平⇒堀の内
落語 鈴々舎馬風⇒楽屋外伝
<仲入り>
真打昇進襲名披露口上(馬風、正蔵、たけ平、鉄平、三平)
余談漫談 林家ぺー
落語 林家正蔵⇒鼓ヶ滝
曲芸 鏡味仙三郎社中
落語 林家たけ平(真打披露)⇒中村仲蔵


林家正蔵の弟子、たけ平の真打襲名興行だった。
ということで、トリはたけ平の「中村仲蔵」。
この噺は先月の上席で正蔵が演じてなかなかのものだった。
名人がやるとジーンとさせる話だが、たけ平はまだ発展途上。

歌舞伎の襲名披露口上は何度も見ているが落語家のは初めて。
襲名する若手を諸先輩がほめたり引き立てたりするどころかほとんど悪口だったり、列座の仲間をくさしたり旧悪披露したりの好き勝手で笑いを取る。まことに破茶滅茶で館内大爆笑。


♪2016-070/♪国立演芸場-03

2016年5月18日水曜日

東京都交響楽団第807回 定期演奏会Bシリーズ

2016-05-18 @サントリーホール


クリスチャン・ヤルヴィ:指揮
東京都交響楽団

ペルト:フラトレス~弦楽オーケストラとパーカッションのための(1977/91)
ペルト:交響曲第3番(1971)
ライヒ:デュエット~2つの独奏バイオリンと弦楽オーケストラのための(1993)
ライヒ:フォー・セクションズ(1987)

現代音楽は苦手、というより嫌い。ややこしいのを聴いている時間があればしっとりした耳に馴染んだ古典を聴きたい。

しかし、アルヴォ・ペルトは30年ほど前にひょんなことから「ヨハネ受難曲」を聴いて、これはすんなりと受け入れることができた。
現代音楽なのに思い切り古風で、教会旋法なども使っているのだろうか。とにかく、ヒーリング音楽という好印象を持っていた。

交響曲第3番は初聴きだったが、抵抗無しに入ってくる。
指揮のクリスチャン・ヤルヴィもペルト同様エストニア出身で、交友もあるそうだからヤルヴィ家にはお手のものなのだろう。

一方のライヒはミニマル音楽で有名だ(ペルトもミニマル音楽家リストに入っているようだが、僕の印象ではぜんぜん違う。)。
これも楽しめない訳ではないけど、ミニマル音楽そのものがコピペで仕上げた安直なお遊びのように思えて好きではない。
今なら素人がコンピュータを使って似たようなものなら作り出すことができる。ちょっと変わっているというのが面白いという程度でしかないように思える。

クリスチャン・ヤルヴィは、N響の首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの弟だ。親父さんも有名なネーメ・ヤルヴィだ。
クリスチャンは若いだけあって、時々指揮台からジャンプしていた。


♪2016-069/♪サントリーホール-04

みなとみらいアフタヌーンコンサート2016前期 ≪モーツァルト・シンフォニー!≫ カメラータ・シュルツ・ウィーン(室内管弦楽団)

2016-05-18 @みなとみらいホール


エマニュエル・シュルツ:指揮
カメラータ・シュルツ・ウィーン(室内管弦楽団)

モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K.504 「プラハ」
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
-------------------
アンコール
J.シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲


カメラータ・シュルツ・ウィーンという室内管弦楽団は、ウィーン・フィルのソロフルート奏者であったヴォルフガング・シュルツによって2002年に創設されたそうな。
<シュルツ>の名を冠しているだけに、創設者のファミリーを中心にウィーンスタイルの教育を受けた音楽家たちで構成されていると説明にあったが、指揮者の<シュルツ>氏が創設者のファミリーなのかどうかは書いてなかった。

モーツァルトの交響曲第38番、40番、41番。
どうして39番からの最後の3曲にしなかったのだろう。

総勢31人の小規模オケ。メリハリのついた小気味良い演奏。古楽器では無いがモーツァルトの時代の交響曲ってこんな感じだったのだろうな、と思わせるサウンドで、聴き慣れたモダンな編成のモーツァルトとは一味違う面白さだった。


♪2016-068/♪みなとみらいホール-18

2016年5月15日日曜日

N響第1835回 定期公演 Aプログラム

2016-05-15 @NHKホール


尾高忠明:指揮
NHK交響楽団
チック・コリア&小曽根真:ピアノ*

武満徹:波の盆(1983/1996)
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲変ホ長調K365*
エルガー:変奏曲「謎」作品36
------------
アンコール
チック・コリア:スペイン*


N響facebookから
モーツァルト2台のピアノのための協奏曲。
ナマでは初聴き。
面白いのは、独奏ピアノが2人共ジャズの大御所。チック・コリアと小曽根真ときている。N響も随分大胆なことをやってくれるよ。

とは言っても、オケもピアノも楽譜どおりにモーツァルトを演奏する。ひょっとして部分的に気が付かないくらいのアドリブを混ぜていたかもしれないが、要するに気が付かない。
しかし、第1楽章終盤と第3楽章のカデンツァは、このためにジャズピアニストが呼ばれたのだろう、モダンなモーツァルトに変貌して面白かった。カデンツァといっても予め譜面に起こされたものではなく、チック・コリアのモチーフによる即興演奏だったようだ。

熱狂的歓呼に応えたアンコールはチック・コリアの作品「スペイン」。本来はピアノソロ用なのだろうが、ここでは当然ピアノデュオだ。これがいい!


N響facebookから
何を隠そう、僕はチック・コリアファンといえる程でもないが、昔から好きなピアニストだ。初めて聴いたのが「Piano Improvisation 1」というLPの最初のトラックに収められていた「Noon Song」。
初発が1971年だから僕がオーディオ・ショップで聴いたのも70年代だったのだろう。40年以上前だ。ピアノソロが実に美しい。また、録音が良いのも魅力で、すぐLPを購入した。
その後LPは処分してしまったが、CD復刻版を見つけて購入した。ジャズの分野で1人のアーティストのCDを4枚も所有しているのはチック・コリアだけだ。
そんな訳で、ようやくチック・コリアをナマで聴くことが出来たのも感慨無量だった。「スペイン」という作品は初聴きだったが、部分的に「Noon Song」ぽいフレーズ、チック・コリア節が再三登場した。

小曽根真もノリの良い人で、2人の丁々発止の即興演奏は素晴らしかった。
客席の熱狂ぶりも、この日はクラシックコンサートとも思えぬ盛り上がりだった。


N響facebookから
後半尾高忠明得意のエルガー「謎(エニグマ)」も良かった。ナマで全曲聴いたのは初めて。神奈川フィルのみなとみらい定期3月にやはり尾高忠明の指揮で英国音楽を取り上げた際のアンコールがこの「謎(エニグマ)」の第9変奏「ニムロッド」で、これは心を洗われるような美しさだ。


2016-067/♪NHKホール-04

2016年5月14日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第317回横浜定期演奏会

2016-05-14 @みなとみらいホール


アレクサンドル・ラザレフ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
渡辺玲子:バイオリン

モーツァルト:オペラ《フィガロの結婚》序曲 K.492
モーツァルト:バイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219《トルコ風》
ベルリオーズ:幻想交響曲
------------------
アンコール
ビゼー:歌劇「カルメン」から第3幕への間奏曲

モーツァルトバイオリン協奏曲第5番トルコ風。
バイオリン独奏は渡辺玲子。
この人は、相当なテクニシャンらしく、クラシック倶楽部に登場した際だったか、「超絶技巧モノ」が好きだと言っていた。
実際、その番組で披露されたのもパガニーニなどの超絶技巧曲が中心だった。

でも、モーツァルトだって、当然巧い。隙がない感じだ。

アンコールがなかったのは残念。
オーケストラによるアンコールはむしろないほうがいいと思っているけど、協奏曲のソリストがアンコールで普段なかなか聴けない小品を演奏してくれるのは大歓迎だ。できたら超絶技巧を演奏して欲しかったよ。

幻想交響曲では本物の鐘を含む打楽器が大活躍。
これまで何度も聴いているけど、ホンモノの鐘を確認できたのは初めてだ。これまではたいていチューブラベルで代用されていたように思うけど…。気が付かなかっただけかもしれないが。

演奏後のラザレフはいつもの様に大はしゃぎ。
最初は違和感があったけどこの頃は慣れて抵抗がなくなった。演奏会が楽しくてたまらないといった様子で微笑ましくもある。

幻想交響曲の出来が良かった(というか、この曲はどこが演奏してもそれなりのインパクトを与えるのだけど)ということもあって、観客も大勢は興奮気味で、はしゃぎ回るラザレフに釣られて拍手喝采が続いた。


♪2016-066/♪みなとみらいホール-17

2016年5月13日金曜日

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2016-05-13 @歌舞伎座


福地桜痴 作
今井豊茂 補綴
一 鵺退治(ぬえたいじ)
源頼政⇒梅玉
猪の早太⇒又五郎
巫女梓⇒歌女之丞
九条関白⇒錦之助
菖蒲の前⇒魁春

菅原伝授手習鑑
二 寺子屋(てらこや)
松王丸⇒海老蔵
千代⇒菊之助
戸浪⇒梅枝
涎くり与太郎⇒廣松
春藤玄蕃⇒市蔵
百姓吾作⇒家橘
園生の前⇒右之助
武部源蔵⇒松緑

河竹黙阿弥 作
花街模様薊色縫
三 十六夜清心(いざよいせいしん)
浄瑠璃「梅柳中宵月」
清心⇒菊之助
十六夜⇒時蔵
恋塚求女⇒松也
船頭三次⇒亀三郎
俳諧師白蓮実は大寺正兵衛⇒左團次

四 楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
石川五右衛門⇒吉右衛門
右忠太⇒又五郎
左忠太⇒錦之助
真柴久吉⇒菊五郎


体調がイマイチだった。
「鵺退治」も「寺子屋」もぼんやりと過ごしてしまった。

「十六夜清心」(いざよいせいしん)でようやくシャキッとした。
この芝居を観るのは初めて。
菊之助が初役で清心を演じたそうだ。

本来は「花街模様薊色縫」(さともようあざみのいろぬい)という題名で、「十六夜清心」は通称。
今回上演されたのは「稲瀬川百本杭の場」から「百本杭川下の場」までだけ。本来はこの先に思わぬドラマが展開するようだが、この2場だけでも十分楽しめる話になっている。

ヤサ男の清心(せいしん)と遊女十六夜(いざよい=中村時蔵)が道ならぬ恋をした挙句心中したものの2人とも生き残ってしまうが、2人は互いに相手は死んだと思っている。そういう設定がまず面白い。
水練が達者な清心はその気はなかったけど自力で生き返ってしまった。ここまでは清心はどこにでもいそうな気弱な善人。
しかり、通りがかりに癪を起こして苦しんでいる寺小姓求女(もとめ。女性のような名前だけど男。尾上松也)を助けた際に、彼が預かりの50両を持っていることを知ってしまう。
そこから運命の歯車が狂いだす。
これが清心にとっての逢魔時(おおまがとき)。

金を奪うために求女を殺してしまった清心が自分の行いを後悔し、再び自分も死のうと試みるが、折から雲が晴れて月が見える。ここで、清心の迷いが吹っ切れて「一人殺すも千人殺すも、取られる首はたった一つ」と呟き、求女の死体を川に捨ててしまう。
すると再び月は雲間に隠れてしまう。
別人に助けられた十六夜も実は、同じ時に同じ場所を舟に乗って行き過ぎるど、お互いは気がつかない。
そういう心憎い幕切れ。

ホンに、魔がさすというか、誰の心にも宿っていそうな「悪心」を目の当たりにしてとても怖い、しかし面白い芝居だ。

最後の「桜門五三桐」は、吉右衛門(石川五右衛門)と菊五郎(真柴久吉)が様式美と舞台の豪華さを見せるだけで、中身はないけど歌舞伎らしい華やかさだ。
尤も、桜門がせり上がって3階席からは山門の階上で見得を切る五右衛門は脚しか見えない。


♪2016-065/♪歌舞伎座-04

2016年5月11日水曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後~① 門脇大樹X津田裕也デュオ・リサイタル

2016-05-11 @みなとみらいホール


門脇大樹:チェロ
津田裕也:ピアノ

ショパン:
チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
序奏と華麗なポロネーズ ハ長調 Op.3
----------
アンコール
サン=サーンス:白鳥

今日からみなとみらいホール主催の「みなとみらいクラシックマチネ」シリーズが始まった。
これまでは「クラシック・クルーズ」(5回/年)という室内楽シリーズがあったが、それを引き継いだ形らしい。少し料金が高くなったとはいえそれでも破格の低料金で気楽に聴けるのがうれしい。これとは別に、「アフタヌーンコンサート」(10回/年)も購入したので、オーケストラ中心になりがちなコンサート・ライフも今年度は室内楽の比重が少しは高まるだろう。

で、その第1回は門脇大樹のチェロと津田裕也のピアノでショパンのチェロ・ソナタほか。
室内楽向きの小ホールは良い響を伝える。

とはいえ、ショパンのチェロ・ソナタは何度聴いても馴染めない。
ショパン最後の室内楽で、生前に発表された最後の作品ということが関係しているのだろう。この時期(死の3年前)は、聴衆のための作曲ではなくて、自分の内面を深く追求したのではないか。
このために、凡人の耳にはなかなかすんなり受け止められないのではないか…と思っておこう。


♪2016-64/♪みなとみらいホール-16

2016年5月5日木曜日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.336 ジラール弦楽四重奏団演奏会

2016-05-05 @東京国際フォーラムB5


ジラール弦楽四重奏団
Vn1⇒ユーグ・ジラール、Vn2⇒アガト~、Vl⇒オドン~、Vc⇒リュシー~

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調K.458「狩り」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810「死と乙女」


ジラール弦楽四重奏団については、存在さえ知らなかった。
南仏出身の9人兄弟姉妹!のうちの4人で結成しているそうだ。
一番年長がチェロ(女性)で83年生まれ。続いて歳の順で第1バイオリン(男性)、ビオラ(男性)、第2バイオリン(女性)が一番若く91年生まれというから、33歳~25歳(誕生日が来ておれば)による若手の四重奏団だ。

小ぶりのホールB5で舞台を3方から囲む客席の下手側だったが最前列なので室内楽の場合は好条件だ。原音が実に明瞭に聴こえる。
そして驚いたのは、どのパートの音も実に美しいのだ。
一つひとつの音が美しく、4つの楽器が重なる和音もなんて心地よいことか。
とりわけ、チェロの音色の美しさ。艶っぽい豊かな低音は驚きだ。

兄弟姉妹というつながりが好影響しているのかもしれないが、アンサンブルがいい。ピタッと決まる。
細かいニュアンスを丹念に表現して、これまで聴いたカルテットの中では最高点。

今年の「熱狂の日」の中でも堂々のベスト3。
ベスト3はそれぞれに良さがあったのでどれが1番とは決めがたいが、どうしても順番をつけるとなれば、やはりこのジラール弦楽四重奏団が1番か。

そして、今年の「熱狂の日」12ステージのすべてがこの演奏で終演した。まことに有終の美を飾る演奏だった。


♪2016-63/♪東京国際フォーラム-12

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.314 四季をめぐる旅〜ライプツィヒの春・アンダルシアの夏の夜

2016-05-05 @東京国際フォーラムA


マールトン・ラーツ:指揮
ハンガリー・ジュール・フィルハーモニー管弦楽団
ルイス=フェルナンド・ペレス:ピアノ*

シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38「春」
ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」*
------------------
アンコール
ファリャ:火祭の踊り*


シューマンの交響曲第1番。短く悲惨な人生の中では好調期の作品だが、「春」の明るさに満ちているとも言い難く陽性の中に翳りを感じてしまうが、そこがシューマンの味だな。

ファリャの交響的印象「スペインの庭の夜」は初聴きだった。ピアノ協奏曲風だ。ファリャの他の作品から予想していた音楽とはだいぶ異なって、重苦しく憂鬱な感じがずっと続く(約25分)ので、あまり楽しめなかった。

むしろ、ルイス=フェルナンド・ペレスがアンコールとして弾いた、同じくファリャの作品でピアノ曲「火祭りの踊り」が熱演!

これもホールAだったが、1階席19列はちょうどいい感じだった。


♪2016-62/♪東京国際フォーラム-11

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.344 四季をめぐる旅〜18世紀ヴェネツィアの超名曲

2016-05-05 @東京国際フォーラムC


アンナ・マリア・スタシキェヴィチ :独奏バイオリン&指揮
ポーランド室内管弦楽団

ビバルディ:バイオリン協奏曲集「四季」op.8


アンナ・マリア・スタシキェヴィチという女性が独奏バイオリンを担当し、彼女の弾き振りで演奏するというから、ベテラン級だと思ったが、登場したのはまだまだ若いのでちょっと驚いた。

しかし、その彼女とポーランド室内管弦楽団によるビバルディ「四季」は全曲、恰も戦闘モード。
元々緊張感が漲る音楽だけど、彼女とオケとの丁々発止の遣り取りがとても熱い。

聴き慣れた「四季」だが、かつてこれほどスリリングで迫力のある「四季」は聴いたことがない。
「四季」観を一変させる名演奏だった。

惜しいことに、途中で客席から赤ん坊の泣き声が。
3歳未満は入場できないというステージだったが、ルールを破ってでも聴きたい、赤ちゃん連れでなければ来ることができないという若いママさんが気の毒ではあったが、乳幼児一時預かり施設ってなかったっけ?

ま、とんだハプニングが残念ではあったけど、それにもかかわらず琴線を震わす名演奏だった。
終曲後の拍手・歓声はどのステージよりも熱狂的だった。
これも今年の「熱狂の日」ベスト3に入る。


♪2016-61/♪東京国際フォーラム-10

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.333 ルネサンスの自然〜ロワール川のほとりで

2016-05-05 @東京国際フォーラムB5


ジョエル・スービエ:指揮
アンサンブル・ジャック・モデルヌ

オケゲム:キリエ(ミサ曲《今はひたすら死を待つのみ》から)
オケゲム:汚れなき神の御母
ジャヌカン:もしもロワール川が逆に流れるなら
ジャヌカン:うぐいすの歌
ジャヌカン:草と花よ
カイェタン:大地は水を飲み
セルトン:ヴィニョン・ヴィニェット
ジャヌカン:バビロンの流れのほとりに座り
ジャヌカン:サンクトゥス(ミサ曲《戦争》から)
ムトン:処女なる聖母は男を知らず
ムトン:王妃アンヌ・ド・ブルターニュの死を悼んで
フォーグ:アニュス・デイ(ミサ曲《海の中で》から)


女3男8のア・カペラ。
歌によって、人数や男女の構成が少しずつ変わる。

ルネサンス時代の歌曲を聖俗交え、キリエに始まりアニュス・デイで終わるミサ曲の形式で聴かせる。
この組立も面白いが、なにより透明感のある歌声、完璧なハーモニー、揺るぎないアンサンブルが素晴らしい。

今年の「熱狂の日」は12ステージ聴いたが、その中でベスト3に入る。
「アンサンブル・ジャック・モデルヌ」。忘れないようにしたいが…。


♪2016-60/♪東京国際フォーラム-09

2016年5月4日水曜日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.216 大自然のスペクタクル〜天地創造の壮大な歌劇

2016-05-04 @東京国際フォーラムA


ダニエル・ロイス:指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ローザンヌ声楽アンサンブル

リュシー・シャルタン:ソプラノ
ゾエリーヌ・トロイエ:アルト
ファビオ・トゥルンピ:テノール
アンドレ・モルシュ:バリトン

ハイドン:オラトリオ「天地創造」


ハイドン「天地創造」。ナマで聴くのは初めてだった。尤もCDも(持っているけど)一度も通して聴いたことはないなあ。^^;
親しみやすい音楽だが「四季」に比べて馴染みが少ないので心動かされるまでには至らなかった。

大きすぎるホールAだが今回は1階11列というベストポジション?の為か管・弦・声楽のバランスも良く、弦も問題なく響いてきた。
とはいえ、ホールCくらいの大きさの会場で聴いたらもっと没入できたと思う。


♪2016-59/♪東京国際フォーラム-08

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016 No.225 四季をめぐる旅〜ピアノとバイオリンが奏でる春の至福

2016-05-04 @東京国際フォーラムB7


オリヴィエ・シャルリエ :バイオリン
アンヌ・ケフェレック:ピアノ

ベートーベン:バイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 作品24「春」
ブラームス:バイオリン・ソナタ第1番ト長調 作品78「雨の歌」



「熱狂の日」の今年のテーマ「自然と音楽」に無理に合わせたかのような組合せで、できることならベートーベンはクロイツェルを聴きたかったが、いずれも作曲家のこのジャンルを代表する名曲揃いだ。

演奏に、特に新鮮なものは感じなかったが、耳に馴染んだ音楽を聴く安心感はある。
2曲続けて聴くと、一方は「春」とはいい条、古典派絶対音楽の構成感が面白いし、ロマン派の「雨の歌」は熱い思いが努めて抑制されているのがむしろ聴き手の気持ちを騒がせる。ブラームスとクララとの関係を知っているからでもあるが。


♪2016-58/♪東京国際フォーラム-07