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2022年10月14日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#10

2022-10-14 @すみだトリフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

田部京子:ピアノ**(ラルス・フォークト9/5逝去・代役)
上野星矢:フルート*
山宮るり子:ハープ*

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K. 299*
ベートーべン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op. 58**
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 op. 73



観賞本数を減らしたい、すみだトリフォニーは家から遠い、の理由で、次季は継続しないつもりでいたが、決意が鈍って継続手続きをしてしまった。

しかし、今日の演奏を聴いて継続は正解だったと合点した。
久しぶりの上岡マジックを堪能した2時間半は至福の時。

元々新日フィルは満足度の高いオケだ。最近では佐渡裕、井上道義、デュトワと名演が続いているが、今日も期待以上の出来。

❶フルートとハープのための協奏曲は、フルートに比べハープが音量的に非力な為にバランス悪し。モーツァルトはそもそも室内アンサンブルとして書いたのではないか。オケが弦10型でも大きい…と言うより、そもそも、小ホールで聴く音楽だろう。

そういう問題はあったが、オケは弦が実に美しい。
弦のほかに管がホルン2本とオーボエ2本だけ。管弦溶け合うようなアンサンブルで、生演奏ならではの響き聴く喜び。

❷ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番が本日の絶品。
弦は12型になったが、透明感が見事。
特に第2楽章は弦5部とピアノの掛け合いに終始するが、ここでの弦の5部ユニゾンがゾクゾクする美しさ。

❸ブラームス交響曲第2番では弦14型に。
その結果は功罪半ばで、弦に厚みが出た代わりに高域弦の透明感は少し失われた。
冒頭低域弦に乗って、短い動機が管楽器でやりとりされるが、ここの空中浮遊感はどのオケでもだが危なっかく、今日の新日フィルも例外ではなかった。

しかし、その後は、上岡名人の丹精が細かいところまで行き届いて、新日フィルの合奏力の底力を感じた。

20日程前に聴いたルイージN響のブラームス2番の出来よりずっと上等だった。


♪2022-149/♪すみだトリフォニーホール-07

2022年3月26日土曜日

東京・春・音楽祭 ブラームスの室内楽Ⅸ

2022-03-26 @東京文化会館


バイオリン:辻󠄀彩奈
ビオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
コントラバス:佐野央子
フルート:上野星矢
オーボエ:荒木奏美
クラリネット:三界秀実
ファゴット:皆神陽太
ホルン:福川伸陽
ピアノ:阪田知樹

ブラームス(オズグッド編):セレナード第1番ニ長調 op.11(九重奏版)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 op.60


この音楽祭で楽しみにしているのシリーズの一つが、ブラームスの室内楽シリーズだ。不動の川本嘉子に向山佳絵子(チェロが登場しない回もあったが。)を中心に、他は毎回異なる。
今回はピアノ四重奏の前に、記憶にある限り最大編成の九重奏を演奏。これが何と初聴き!

でも、聴きながら変な編成だと思った。
弦が4本に管が5本て、どうもしっくりこない。
帰宅後調べたらブラームスのオリジナルはオーボエの代わりにクラリネットが2本らしいが、今回は各1本ずつ。
いずれにせよ、妙な編成だ。

ブラームスがどこやらの領主に仕えた時期の作品で、スポンサーへのサービスなのか。
その後オーケストラ用に編曲し、併せて室内楽版は廃棄したそうだ。

それで、後年、何人かが九重奏に編曲し直しているらしい。

初めて聴く音楽でも、すーっと入ってゆけるものは多いし、特に大好物のブラームスなので何の警戒心も持たなかったが、残念!馴染めなかった。

管楽器奏者にとっては重要な作品だろうけど、聴く側としては心構えが難しい編成だと思う。

後半はピアノ四重奏曲第3番。
こちらはもう、慣れたもので、やはり、ブラームスはこうでなくちゃ。

溢れる叙情がこれでもか、と襲い掛かるようで、しかし、冷静さを失わない。このストイズムがブラームスの根本的な魅力だ。

昨日に続き、阪田くんのピアノの音の明瞭な事。辻彩奈・川本・向山の弦のアンサンブルも美しく響いた。

♪2022-043/♪東京文化会館-06

2017年1月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第326回

2017-01-21 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮(常任指揮者)
上野星矢:フルート*
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

J.S.バッハ(エルガー編曲):幻想曲とフーガハ短調Op.86
ハチャトゥリアン(ランパル編曲):バイオリン(フルート)協奏曲ニ短調
ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調Op.44
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アンコール
上野星矢編曲:ロンドンデリーの歌*

ハチャトゥリアンのバイオリン協奏曲というのが初めて。それをフルート用に編曲したのも当然初めて。
フルートの名手ランパルがハチャトゥリアンにフルート協奏曲を依頼したら、ハチャトゥリアンは自分が作曲したバイオリン協奏曲をフルート用に編曲してはどうかと答えたそうで、ランパルは管弦楽部分はほぼそのままに、バイオリン部分をフルートにふさわしい楽想に変えたりカデンツァを加えたりの書き直しをしたそうだ。

ランパルは現代を生きた人なので、2人の間に接点があったということが不思議な感じがしたが、誕生日をみると、ハチャトゥリアンは1903年生まれ(1978年歿)、ランパルは1922年生まれ(2000年歿)なので、僅か19歳違うだけだ。

そのランパルがN響とこの曲を演奏している動画をYoutubeで発見した。
https://youtu.be/4hTV6UsH9R4

1977年10月、NHKホールでの演奏だ。ランパルは55歳、ハチャトゥリアンは74歳でかろうじて存命だったのだ。

さて、彼の音楽はほかには組曲「仮面舞踏会」とバレエ音楽(⇒演奏会用組曲)「ガイーヌ」くらいしか知らないのだけど、まあ、感じは「剣の舞」の如しだ。

上野星矢は華々しい経歴(全日本学生音楽コンクール1位、ランパル国際フルートコンクール優勝など)を納得させる腕前で、第1楽章からして独奏フルートは相当に難しいと思うが、大暴れするような第3楽章は超絶技巧の連続だ。
よくぞ、あんなに早くタンギングができたり、あんなに長く息を保てるのか、不思議なくらいだ。

ラフマニノフの交響曲。これまで2番は何度か聴いているし、アマオケ時代に自分でも演奏しているので馴染みはあったが、第3番は少なくともナマ演奏は初聴きだ。
それでも十分楽しめたのは内容がドラマティックでロマンティックだからだ。まるで壮大な映画音楽のようでもある。

それに、ハチャトゥリアンの音楽も同様だったが、指揮の川瀬賢太郎のコントロールが各パートに行き渡っている感じが演奏にも現れていて、聴く側も集中力を傾注できたのが良かった。
常任指揮者になってまもなく(3月で)3年になるが、神奈川フィルを掌中に収めつつあるような気がする。

♪2017-008/♪みなとみらいホール-02