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2019年2月26日火曜日

初世尾上辰之助三十三回忌追善 二月大歌舞伎 昼の部

2019-02-26 @歌舞伎座


初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言
一 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)〜すし屋
いがみの権太⇒松緑
弥助実は三位中将維盛⇒菊之助
娘お里⇒梅枝
若葉の内侍⇒新悟
梶原の臣⇒吉之丞
梶原の臣⇒男寅
梶原の臣⇒玉太郎
六代君⇒亀三郎
弥左衛門女房おくら⇒橘太郎
鮓屋弥左衛門⇒團蔵
梶原平三景時⇒芝翫

初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言
長谷川 伸 作 / 村上元三 演出
二 暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)
暗闇の丑松⇒菊五郎
丑松女房お米⇒時蔵
浪人潮止当四郎⇒團蔵
料理人作公⇒男女蔵
料理人伝公⇒彦三郎
料理人巳之吉⇒坂東亀蔵
料理人祐次⇒松也
建具職人熊吉⇒萬太郎
建具職人八五郎⇒巳之助
杉屋遣手おくの⇒梅花
湯屋番頭甚太郎⇒橘太郎
お米の母お熊⇒橘三郎
杉屋妓夫三吉⇒片岡亀蔵
岡っ引常松⇒権十郎
四郎兵衛女房お今⇒東蔵
四郎兵衛⇒左團次

三 団子売(だんごうり)
杵造⇒芝翫
お臼⇒孝太郎

「義経千本桜」から「すし屋」の段。
「義経千本桜」は五段続きだそうな。そのうちのいくつかは歌舞伎と文楽で観ていたが、「すし屋」は初めてだった。

凡その筋は知っているものの「すし屋」の前段に当たる「小金吾討死」の話が前に置かれるのかと思ったていたがそうではなく、いきなりの「すし屋」で、少しまごついた。予習しておいてよかったよ。

しかし、権太=松緑、維盛=菊之助の配役は、当代では最適・最好のコンビではなかったか。いずれも初役ということで、多分、厳しい目にはまだ役がこなれていないのだろうが、僕の目には十分楽しめた。この2人で再演を観たいものだ。

「暗闇の丑松」も初見。これは興味深い物語だった。
昭和初期の作品で、新歌舞伎といわれるジャンルだ。
新劇のような凝った構成と演出に唸る。
止むを得ず人を殺め、人混みの中に消えてゆく幕切れは「夏祭浪花鑑」を思わせた。底辺に暮らす無法者となった男や哀れ。

♪2019-023/♪歌舞伎座-01







2018年12月9日日曜日

第50回文楽鑑賞教室「菅原伝授手習鑑」ほか

2018-12-09 @国立劇場


●団子売(だんごうり)
  靖太夫<杵造>・咲寿太夫<お臼>・亘太夫・碩太夫/
  團吾・友之助・清公・精允
  人形▶玉翔<杵造>・紋吉<お臼>

●解説 文楽の魅力
  希太夫/寛太郎
  人形▶玉誉

●菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
  寺入りの段⇒小住太夫/寛太郎
  寺子屋の段⇒前:千歳太夫/富助
        後:睦太夫/清友
  人形▶簑悠<菅秀才>・簑太郎<よだれくり>・文昇<戸波>・
       豊松清十郎<千代>・和馬<小太郎>・玉峻<三助>・
     玉也<武部源蔵>・玉輝<春藤玄蕃>・玉男<松王丸>・玉誉<御台所>・
     その他大ぜい

「団子売」は歌舞伎では仁左衛門・孝太郎、猿之助・勘九郎のコンビで観たことがある。
歌舞伎では、このコンビの名前は「杵造」と「お福」だ。

お祝い事の舞踊劇で、筋書きらしいものはないけど、仲の良い夫婦が杵と臼で餅を搗くという所作だが、滑稽味もある。

文楽で観るのは今回初めてだったが、内容は同じだ。人形が踊ると人間が踊るより可愛げがある。

また、登場人物の名前が「杵造」は同じだが「お福」は「お臼」になっていた。「杵と臼」の役割どおりになっている。「杵と臼」が何を仮託しているかは見てのとおりだ。

五穀豊穣・子孫繁栄を祈る祝いの舞踊だというのが納得できる。文楽では「景事」(けいごと・けいじ)とも呼ばれているそうだが内容からは「閨事」でもあるような…。

今回の「〜手習鑑」は「寺入りの段、寺子屋の段」。
文楽では昨年5月に「茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段、寺入りの段、寺子屋の段」を、6月にも「車曳の段、寺入りの段、寺子屋の段」を観た。

やはり、寺入りの前段、特に「車曳きの段」や「桜丸切腹の段」を知らないと、「寺子屋の段」の痛切な哀しみは理解できないと思うが、そうであったとしても、忠義のために我が子を殺す話は現代では徐々に共感が得難くなってきているのではないか。

モーツアルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」など、実に古い価値観で作られているので現代人の共感を得るために演出家が苦労するのと同じで、儒教の八徳(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)などを思想の根底に据えた物語は、だんだん普遍性を失って、やがては成立しなくなるかもしれないな…と思った。

鑑賞教室の楽しみの一つ。
大夫のほか、普段は口を開くことのない三味線方や人形遣いもマイクを持ってそれぞれも分野を説明してくれる。

今回は、吉田玉誉の解説が存外傑作だった。

♪2018-165/♪国立劇場-17