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2024年12月4日水曜日

東京都交響楽団 第1012回 定期演奏会Bシリーズ

2024-12-04 @サントリーホール



ロバート・トレヴィーノ:指揮(ロベルトとも。大野和士不調にて交代)
東京都交響楽団
伊東裕:チェロ(都響首席奏者)*

ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb:1*
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 op.65




ハイドンのチェロ協奏曲は2つある。
しかし、昔から「ハイドンのチェロ協奏曲」と聞けば必ず2番の冒頭のメロディーが浮かぶ。もう、パブロフの犬の如くだ。どうしてだろう?
過去に2番しか聴いたことがない?かといえば逆で、この10年の生演奏を聴いた記録ではすべて1番ばかりで、2番は無い。記録の際に誤る可能性も無いとは言えないけど調性まで誤記することはないはずだから、本当に”生”では2番をずいぶん長く聴いていないのだろう。

そんな訳で、1番の方は印象に薄いが、2年に1度の割で聴いているので、これも冒頭の主題を聴きながら、あれ?と思いながらも聴き覚えがあるので暫時狐に包まれたような次第だった。
1番の方も、心地良い音楽ではあるけど、無性に2番が聴きたくなったよ。

伊藤くん、ソロで生は2回目。きれいな音色だけど、サントリーではイマイチ弱いな。

後半の「タコ8」。

都響のせいではなく、作品自体が楽しめなかった。3度目だが、どうも馴染んでゆけない。
ショスタコの作品て、ほとんどの作品でショスタコ印が刻印されていると思っているが、この作品も、次から次へと登場して、ちょっと臭いなあと思った。

♪2024-167/♪サントリーホール-24

2024年1月24日水曜日

クァルテット・インテグラ 山崎伸子プロデュース 輝く若手演奏家による「未来に繋ぐ室内楽」Vol.7

2024-01-25 @フィリアホール



クァルテット・インテグラ
 三澤響果:第1バイオリン
 菊野凛太郎:第2バイオリン
 山本一輝:ビオラ
 パク・イェウン:チェロ(築地杏里から変更)
山崎伸子:チェロ(特別出演)*

ハイドン:弦楽四重奏曲ロ短調 Hob.III:37/Op.33-1
バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 Sz.67/Op.17
シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調 D956*



山崎伸子が主導するシリーズ7回目。
とても丁寧なアンサンブルだが、もう少し若々しくガリガリとヤニを飛ばすような勢いを期待したが…。

最後に山崎が加わって前回同様シューベルト五重奏曲。こういう編成上、楽曲が限られてくるんだな。

ところで、この曲。何度も聴くが面白味が分からない。
チェロ2本使ったアイデアが奏功していない?
長過ぎる(実測55分)?
暗過ぎる…ハ長調で作曲する意味が?

♪2024-014/♪フィリアホール-01

2023年12月6日水曜日

第1999回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-12-06 @サントリーホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
アリス=紗良・オット:ピアノ*

ハイドン:交響曲第100番ト長調「軍隊」Hob.Ⅰ-100
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調*
レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132
-------------------
サティ:グノシエンス第1番*





先月のA1定期ではみんな死んでいたのに、今日は生き返って、N響らしいアンサンブル。が…、

今日のハイドンがどうもしっくりこない。
N響でもハイドンを演奏する場合は、大抵弦編成は8-10型の小編成が多かったように思うが、5月Bのルイージ98番は今日と同じ14型だった。彼の好みなのか?
弦が大規模で悪いという訳ではないけど、厚みと透明感を備えた弦の響きが洗練されすぎてこれはハイドンなのか?と内心で葛藤していた。
「ルーテ」という珍しい打楽器が使われたが、プログラムでは言及がなかった。これが「軍隊」を表現する小道具の一つなのだが。


アリス=紗良・オットは3回目。N響では2回目。
これまでとは印象がずいぶん変わった。真っ赤なパンタロンドレス?の裾を翻して足捌きも軽やかに登壇すると、その後の所作がすべて軽快そのもの。CCもさっぱりしていてステージングの巧さは、むしろルイージを引っ張っていた。

演奏は、まあ、良かったのだろうが、いつも響の悪いサントリーのPfが、今日はもう信じられないくらい最悪だ。
オケの短い前奏の後にPfの強烈のフレーズが続くが、なんて酷い音だ。木か石を叩いているようで、こりゃPfじゃないよ。
弾いている本人は直接Pfの音を聴いているから何とも思わないかもしれないが、少し離れて聴けばこの酷さには気がつくはずなのに、一向に改善されないのはどうして?

僕の席はど真ん中で、Pfの屋根には88組の弦がそっくり写っているのだから角度も良し。この席でこんなに酷いなら、他の席ではどんな音に聴こえるのだろう?案外フツーに聴こえるのだろうか?
他のホールでも同じような席で聴いているが、こんなに酷いPfの音を聴いたことがない。ゆえに僕の耳の問題ではない。Pf本体の問題でもなく、奏者の問題でもない。

一番不思議なのは、誰も指摘してないことだ。
まるでサントリーホールは「裸の王様」だ。


レーガーは編曲ものが多く、作曲ものを聴く機会が少ないが、今日は珍しく作曲もの(…と言っても変奏曲だが)で、不思議なことに、明日の都響でもレーガーの作曲ものが続く。

前半で気分が落ち込んでいたせいもあって、この作品には面白みを感じなかった。彼の代表作らしいが、ラフマニノフのパガ狂18変奏みたいな、驚きの工夫はどこにも感じらなかった。

♪2023-209/♪サントリーホール-25

2023年7月30日日曜日

横浜交響楽団 第725回定期演奏会 【サマーコンサート】

2023-07-30 @県立音楽堂



泉翔士:指揮
横浜交響楽団
石本高雅:バリトン(全日本学生音楽コンクール横濱市民賞受賞者)

ハイドン:交響曲第101番「時計」 Hob.Ⅰ:101
バリトン・アリア集 独唱:石本高雅
 ●ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」から「私は町の何でも屋」
 ●ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「プロヴァンスの海と陸」
 ●プッチーニ:歌劇「エドガール」から「この愛を」
 ●ナポリ民謡:「オー・ソレ・ミオ」
 ●ニノ・ロータ:ゴッドファーザー〜愛のテーマ
   with 電子ピアノ⇒泉翔士 Vnソロ⇒小谷野優子
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 作品73


14時開演だから1日で最も暑い🥵時間帯に出かけ、灼熱の紅葉坂を登らなくてはならん。
「危険な暑さ」の中「パスするか?」とも思ったが、今日は2本立てで、夜の部もあるのでここは踏ん張って出かけたのは正解だった。

学校が夏休みということもあって子供連れも多く、赤ん坊らしい奇声も聞こえる中ハイドンが始まったが、これがなかなかいい。

次に、全日本学生音楽コンクールで横浜市民賞を受賞したBrの石本くんが、主にオペラアリアを披露した。ガタイも大きいがなかなかの声量。「オー・ソレ・ミオ」だけは、この曲はやはりTn向きだなと思ったが。

コンミスの小谷野女史が曲中2回ソロを披露した。僅かに外した部分を除けば石田組長のような繊細で美しい音。

この声楽伴奏時の横響のうまいこと!欠点が目立たなかっただけかもしれないがそれも芸のうち。

最後の大物、ブラームス2番はテンポが重かった。こういうテンポで緊張感を維持するのはとても難しい。
それでも、今日の横響は管も弦も良く鳴り、40分の長尺を破綻なく終えて二重丸。

♪2023-133/♪県立音楽堂-08

2023年7月11日火曜日

タレイア・クァルテット -重厚で繊細な弦楽四重奏の響き-

2023-07-11 @みなとみらいホール



タレイア・クァルテット
 山田香子:Vn1
 二村裕美:Vn2
 渡部咲耶:Va
 石崎美雨:Vc

モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
ハイドン:弦楽四重奏曲第61番ニ短調「5度」 Op.76 No. 2, Hob.III:76
ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調 Op.10 
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デンマーク弦楽四重奏団:Peat Dance(泥炭舞曲?)




某財団主催抽選無料演奏会。SQ自身は2年半ほど前にフィリアHで聴いた。
「タレイア」とはギリシャ神話の女神の名前だそうな。
今日は、全員パステル調の空色〜黄緑のドレスで華やかなこと。
フィリアの時は、ふだん響きの良いホールだけどその日の響には難があって十分真価を発揮しなかったと思ったが、今回は、みなとみらい小ホールというベスト環境で実力を発揮したように思う。

結成以来9年の常設SQとあって息が合っている。
アイ・クラはテンポ良く進み、慣れているなと感じさせた。
ハイドン五度はCDで聴いたことはあるけどナマでは初めて。こんなにロマンチックなのかと驚きだった。古典派というより一歩進んでいる感じだった。

弦楽小編成をナマで聴く時、いつも思うのが、ビオラの活躍だ。めったに主題をリードすることはないけど、バイオリン2本とチェロが先行した後にビオラが入っていく瞬間が好きだ。いっぺんに響きが豊かになる。


最後はビュッシーだった。唯一の弦楽四重奏曲らしい。そして作品番号(Op)がついた唯一の作品だという(他はL番号)。これは全く初めて聴いた。馴染んだ旋律の欠片も出てこないので、感興を覚えるという程でもないが、終盤になってドビュッシーらしさが現れてなるほどと思った次第。

願わくば、モーツァルト、ハイドンときたら最後はベートーベンかブラームスで締めて欲しかった。

EncはデンマークSQ作「Peat Dance」というのが北欧の民謡ぽくても面白かった。思わず手拍子が出そうな音楽だが、するなら、前拍だろうか後拍だろうか頭の中で調子を合わせてみたが、やはり前拍が合いそうだ。
「汚泥舞曲」とでも訳すのだろうか?いかにも土着風で、4人の女神も熱演。

♪2023-121/♪みなとみらいホール-25

2023年5月24日水曜日

第1982回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-05-24 @サントリーホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
福川伸陽:ホルン*

ハイドン:交響曲第82番ハ長調 Hob. I-82「熊」
モーツァルト:ホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447*
ベートーべン:交響曲第6番へ長調 作品68「田園」
-------------------
ロッシーニ:狩のファンファーレ*




1公演に3曲も4曲もプログラムされると、そのコンセプトは何か気になるが、今日は明快「ウィーン古典派」。
明快であるだけでなく、僕としては好感度大。

ハイドンの交響曲第82番のナマは過去にF.ルイージX読響でも聴いたとはいえレアな曲だ。ユーモアに満ち、発明心の感じられる楽しい音楽だ。管楽器は9人。これにティンパニが加わるが小編成なので、弦は12型かと思ったが14型だった(以下、モーツァルトが12型。ベートーべンは14型)。弦が多過ぎないかと思ったが、さにあらず、軽快そのもの。

今日は3曲とも管に比べ弦が多い目だったが、さすがはN響弦楽合奏団に隙はない。

ベートーベン交響曲第6番「田園」も軽やかで爽快な演奏。3楽章以後、テンポが早かったが心地良し。

福川氏を迎えたモーツァルト:ホルン協奏曲第3番はどうだったか。

今日のサントリーは、いつになく、よく響いた。弦楽合奏にはちょうど良かったが、舞台前に出て立奏するせいか、音が篭りがちで、名人にしては滑舌悪いところもあった。あまり良い出来ではなかったように思った。

満を持したかアンコールのロッシーニ:狩のファンファーレはお見事!

今日は、N響同窓会のようでもあった。
ホルン独奏の福川氏、ビオラ客演首席は川本嘉子氏、コンマスにマロ氏(今日は郷古廉とWコンマス。田園だけマロ氏が正規のCM席に就いた。)。

♪2023-089/♪サントリーホール-11

2022年7月29日金曜日

フェスタサマーミューザ2022 読売日本交響楽団 ≪告別と絶筆。一期一会のシンフォニー≫

2022-07-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
読売日本交響楽団

ハイドン:交響曲第45番「告別」
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)


コンマス(コンミス)はバイオリン界の百済観音・日下紗矢子(立ち姿も姿勢もボウイングも美しい。)。
チェロ首席は遠藤女史と華が揃った。
そして再度ブルックナー(前回は8番)を取り上げたのは井上道義御大。
3年前のフェスタサマーミューザ・読響とまるで同じ景色だ。
満を持して臨むという決意表明は面子にも現れているよ。

オルガン部分に大きなスクリーン。
何かやるな!今回は魚釣りではなさそう。
いつも”音楽外”パフォーマンスも楽しみな道義御大である。

前座はハイドン「告別」となれば、やることは決まっているが、今回は譜面台に蝋燭代わりのLEDランプ。
終楽章でひとりずつスイッチ切って出てゆくが、その際に、大スクリーンには団員の普段の姿が映写されて思わぬ余興を楽しんだ。そっちばかり気持ちが行って音楽どころじゃなかったけど。

「告別」の編成は弦24+管5という極小編成。尤もハイドンによる初演は12人だったそうだ。

後半のブルックナー第9番はなんと弦16型。
この極端な差も道義演出だろう。

ブル9は何度も聴いても好きにはなれないけど、派手な”管弦楽”としての楽しみはある。
特に、この季節、どこのホールも良く鳴る。ミューザは元々良く鳴る。道義御大もブルックナーやるなら最高のホールだと言っている。

今日の読響の出来がまた格別に良くて、管弦の交わりの美味なること!
至れり尽くせりの道義流サービスに大満足!

♪2022-111/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-025

2021年9月15日水曜日

第1937回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2021-09-09 @サントリーホール



鈴木秀美:指揮
NHK交響楽団

J.S.バッハ:組曲第3番ニ長調 BWV1068
C. P. E. バッハ:シンフォニア 変ロ長調
C. P. E. バッハ:シンフォニア ニ長調
ハイドン:交響曲第98番変ロ長調 Hob. I-98

大Bach、その次男CPEバッハ、ハイドンを年代順に並べた。

最初の2曲は弦+チェンバロ(通奏低音)のみ。
残りの2曲は管打も入った。

弦編成は最初が8型。残りは10型。

このプログラムは、珍しい、面白い企画だと思うけど、これをN響が定期でやるのかなあ、という疑問は拭えず。

何より、中途半端な古楽アプローチにスッキリしない。


次男作はそもそも聴いたことがなかった。
ハイドンの98番も生は初めて。

しかし、この聴き馴染みの薄い3曲が面白かった。

これらに共通するのは、作曲家の発明心というか、遊び心だ。

その後の交響曲とは音楽の性格が違ったし、演奏場所や目的が違ったからこういう冗談ぽいのも歓迎されたのだろう。

ハイドン交響曲でチェンバロが入っているのは98番が唯一らしいが、帰宅後楽譜を見ると、通奏低音てそもそもこういうものなのかもしれないが、全曲にわたって他の楽器の旋律とかぶっている。

そのせいもあろうが、僕の耳にはほとんど聴き取れなかった。

モダン弦相手にせめてフォルテピアノを使うというのは邪道なのだろうか?

♪2021-091/♪サントリーホール-11

2021年6月20日日曜日

名曲全集第168回 世界最高峰の古楽アンサンブルを率いる佐藤俊介の「四季」

 2021-06-20 @ミューザ川崎シンフォニーホール


佐藤俊介:弾き振り&バイオリン*
東京交響楽団


ジャン=フェリ・ルベル:「四大元素」から 第1楽章 カオス
ハイドン:交響曲第7番 ハ長調 Hob.I:7 「昼」
ビバルディ:協奏曲集「四季」全曲
-------------
ビバルディ:協奏曲集「四季」から「冬」第2楽章



古楽分野で活躍している佐藤俊介の弾き振り。といっても、今回も”近代的合奏”だった。彼が率いるオランダ・バッハ協会の本物の古楽を聴いてみたいものだ。


今回は昨年1月のモーツァルト・マチネwith東響@ミューザと同様最大でも20数名の編成。今回もチェロ等を除き全員立奏。


プログラムは3曲すべて実験精神の溢れたものばかり。


小編成という事もあり、小気味よく活力の漲る演奏だった。


ハイドン交響曲7番はCDでは分からぬ生ならではの面白さ。

”交響曲”というより”合奏協奏曲”で、多くの独奏楽器(コントラバスも!)が活躍して楽しい。


メインの四季もアグレッシヴで、テンポも良し。


佐藤の独奏部分は装飾にアドリブのような独自性があり楽しそうだった。こういう辺りは古楽的アプローチなのかも。


これまで多くの”四季”を聴いてきたが、凡庸なのも少なからず。

しかし、今回の佐藤俊介+東響は印象的な演奏となった。


終演後の客席は大いに盛り上がって、かつてない程にカーテン・コールが繰り返された。いやはやホンに満足度が高かった。


♪2021-058/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

2021年5月21日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第368回横浜定期演奏会

 2021-05-21 @ミューザ川崎シンフォニーホール


田中祐子:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

神尾真由子:バイオリン*

ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブラームス:バイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ベートーベン:交響曲第5番《運命》ハ短調 op.67
------------
ハイドン:弦楽四重奏曲op33-2「冗談」(Hob.Ⅲ-38)第4楽章Presto

3本立てのうち、神尾真由子のブラームスVn協奏曲が一番聴き応えがあった。

今回は見た目の豪華さ(後述)も手伝ったが、風格を感じた。


発音がはっきりして曖昧さがない。


終楽章はもう少しハイテンポが好みだけど、しばらく進めば違和感も消えた。ま、なんていうか存在感があるな。


メインは「運命」だったが、些か食傷気味だし、40分のブラ協を聴いた後では期待はしていなかったが、小細工のないスッキリした小気味の良い音楽作りだった。

尤も、今日の日フィルは金管に瑕疵が目立ったが。


最近では珍しく、オケによるアンコールがあった。その時既に21時07分だったのに!

ハイドンの弦楽四重奏曲作品33-2、いわゆる「冗談」の第4楽章、仕掛けは知っていたのに、ついハイドンの仕掛けた冗談に乗せられてしまった😅。


音楽外であるが、一番インパクトがあったのは神尾真由子のドレスだ。クリムトの絵を思わせる金ピカだが、色合いは銀に近い渋さなので品は保っている。

こんな豪華なドレスを見たのは初めてかも。

上は諸肌出しだが、下は足も隠れるほど長く、腰の辺から同じ生地でできた折紙のような大きな飾りが付いている。


その腰巻きみたいにまとわりついている部分の布地だけで、ユジャ・ワンのドレスなら2着くらい作れるなあと思ったよ。


他の女性演奏家を思い浮かべて、誰ならこれを着こなせるだろうかとあれこれ考えたが、今のニッポンには神尾真由子以外にはおらんだろうな。


♪2021-046/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-09

2020年12月19日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第363回横浜定期演奏会「第九」❹

 2020-12-19 @みなとみらいホール


飯森範親:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学合唱団

ソプラノ:中村恵理
アルト:富岡明子
テノール:城宏憲
バリトン:大西宇宙

ハイドン:交響曲第9番ハ長調 op.21
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」op.125


弦の編成は10型!

古楽編成ならもっと小規模の「第九」を聴いたことがあるが、モダンオケでこの編成は初めて。
しかし、響は驚くほど明瞭でパワフル。

飯森氏はいつもながら正統的な音楽を聴かせる。

ただ、第4楽章には若干違和感を覚えた。
荒々しさがなくえらく上品だ。物足りない。

とはいえ主題が出てくる頃からはダイナミックに盛り上がった。

一昨日同じホール、席も1列違い同番号で新日フィル「第九」を聴き、健闘ぶりを好感したが、日フィルの”音”は段違いの素晴らしさだった。

声楽独唱陣は指揮者より客席側に立ち、ビンビン響く。
特に中村恵理の声量は強烈・爽快。

ここまでは見事なくらい上出来。

問題は合唱だ。
P席に男女22+26人。
なんてこった!
全員がマスクをして歌う!

ここで白けてしまった。

どんなに頑張っても声は内に籠る。
発声語尾の明瞭さに欠ける。

終演後、日フィルスタッフに「彼らは全員コロナ感染者かね」と尋ねた。
 ~学校(東京音大)で陰性確認していると思います。
じゃあなぜマスクして歌ったの?
 ~飛沫が…
え!ステージにコロナの飛沫が飛んでる?
 ~いえ、そうではなく…

要するに答えられない。
そして過剰防御が音楽を損ねている。

指揮者もよくこれを受け入れたものだ。

舞台に立つ者の陰性確認を断固やるべし。
そして制約なしにのびのびと音楽をやってくれ!

合唱団のマスクを別にすれば、オケと独唱の演奏は素晴らしいものだった。
終楽章の音楽造りは僕の趣味とは異なったけど、これはこれで楽しめた。

評点80点!

♪2020-095/♪みなとみらいホール-29

備考:
弦の編成:10-8-6-4-2
合唱:女声26/男声22

2020年11月21日土曜日

モーツァルト・マチネ第43回「壮年期 X 挑戦」

 2020-11-21 @ミューザ川崎シンフォニーホール

沼尻竜典:指揮
東京交響楽団

佐藤友紀(東京交響楽団首席トランペット奏者)*

モーツァルト:交響曲第32番ト長調 K318
ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調 Hob.VIIe:1
モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 「プラハ」K. 504


東京交響楽団音楽監督のジョナサン・ノットが指揮をする回だったが沼尻竜典に代わり、演目もリゲティの小品がモーツァルトの32番交響曲に差し替えられた。

ハイドンを挟んで最後はモーツァルト38番交響曲「プラハ」。

全曲、軽快で親しみやすく、やはり、モーツァルト・マチネはこうでなくちゃ。

沼尻氏は前にもモツ・マチや名曲全集で登場しているので急な代理といっても十分気持ちは通じ合うだろう。

ハイドンのトランぺット協奏曲には懐かしさを感じた。

今やまずCDを回すこともないのになぜかメロディーはしっかり頭に入っている。

東響首席の佐藤氏が明るい音色と美技で好演。

メインの「プラハ」。

この曲も15日に都響で聴いたばかり。

その日の都響の出来は良かったができたら弦10型で聴きたいと思ったところ今日の東響はまさしく10型で、コンパクトでシャキシャキして、ミューザの響きの良さも相俟って音楽が一層分かり易く心地よい。

古典派絶対音楽の妙也。

音楽はとても良かったが、残念な事に指揮者とコンマス(管楽器はいうまでもなく)以外は全員マスクをして演奏した。

ここ数日の感染急拡大を受けてかもしれないが、いくらなんでも本番中は不要でしょ!

不安がないように、東響はしっかり団員の健康管理(定期的検査含む)を行うべきだ。

♪2020-0821/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2020年9月5日土曜日

東京交響楽団 東響オペラシティシリーズ第117回

 2020-09-05 @東京オペラシティコンサートホール


飯森範親:指揮
伊藤恵:ピアノ*

東京交響楽団

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番*
ベートーベン:交響曲第5番「運命」
-----------------
モーツァルト:ピアノソナタ第15番K545から第1楽章*


コロナの為に指揮兼ピアノが代わって、飯森氏と伊藤恵さんに。これはむしろラッキー!伊藤さんはとても魅力的!いっそのこと、曲目も変えてシューマンを聴きたかったな。

でも、モツ20番もとてもいい。彼女が弾くと処々シューマンやシューベルト風に聴こえてしまう。

特にEncで弾いたモツPfソナタ15の1楽章なんか、ロマン派のようでもあった。


1曲目のハイドンは聴き慣れたTimpのロールの前にタムタム?のロールが先行してTimpに引き継いだ。どう演奏しようと音楽的に「太鼓連打」部分は意味不明だ。観客を引き込む為に書いたという説がもっともらしい。


最後が「運命」。東響の「運命」は7月の秋山さんに次いで今夏2回目。

趣は違ったが、今回も良かった。飯森氏は奇を衒うところがなくて好感を持っているが、一聴フツーのようで当然ながら独自色が散りばめられている。やや早い目のテンポで、キビキビとしていた。弦の編成は10型対抗配置といって良いのか?12型からVn1を1P減らした形だ。

コンパクトな編成。そのせいもあったか、輪郭明確でエネルギーに満ちていた。良く響くホールだけにこの編成でも迫力十分。


音楽を情緒的に聴くのは好きじゃないけど、少なくともこの「運命」からは元気をもらって帰路についた。


Fgの可愛らしいお嬢さんは今日は乗り番じゃなかった😢



♪2020-044/♪東京オペラシティコンサートホール-04

2020年2月9日日曜日

名曲全集第154回 これぞ王道。魅惑のチェロ名曲集

2020-02-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール


齋藤友香理:指揮
東京交響楽団

横坂源:チェロ&指揮(ハイドン)

ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb.1(横坂:弾き振り)
ズザンネ・ツァガール=スヴィリドフ*:チェロ協奏曲(横坂源による委嘱作品)
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104
-------------
ブルッフ :コル・ニドライ

横坂源によるチェロ協奏曲3連発!
スヴィリドフの作品は横坂の委嘱で当然現代作品。
今日が日本初演で作曲家本人も登壇。
この手の音楽は好きになれないが、この作品を間に挟んだことで、皮肉にもハイドン、ドボルザークが独奏Vcを上手に引立てているのが良く分かった。

スヴィ協とドボ協での弦5部の編成は12型。
協奏曲としては普通の編成。

前者はともかく後者ではチェロとオケのバランスが良く双方が美しく響いた。

ドボルザークの作品はとかく諄いところがあるが、東欧民謡風な哀愁がどこか深いところで日本人のDNAにも通底しているのかもしれない。

一番の驚きであり上出来は、横坂自身の弾き振りによるハイドン1番だ。
管4本(オーボエ2、ホルン2)に弦5部(打楽器なし)だが、弦の編成は第1バイオリンから順に5-4-3-2-1という極小サイズで、室内管弦楽団を名乗るオケでもここまで小さくはない。
しかし15人の引き締まった弦アンサンブルの妙が素晴らしい。
小気味良い響きだ。

12型になったドボ協でも今日の東響の弦は澄んでいたが、5型?ではもう濁りようもなく透明でキビキビしている。

ここに横坂の美しくもビリビリ響くVcが乗って、軽快で、陽気で、洒落ていて、正にハイドンの楽しさが横溢していた。ブラボー横坂!

3曲も弾いては、さすがにアンコールはあるはずないと確信していたのに驚いた。オケとの共演でブルッフの「コル・ニドライ」だ。いや~好きな曲だよ。しかも10分強の作品で、とてもアンコールで演るような作品ではないのだが、これもしみじみと良かった。

♪2020-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-04






*ズザンネ・ツァガール=スヴィリドフは、
オケとミューザのホームページでの表記。
今日のプログラムでは、
スザンネ・ツァガー=スヴィリドフ。
チラシでは、
ズザンネ・エルディング=スヴィリドフ。