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2024年12月28日土曜日

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会/「第九」⑪

2024-12-28 @東京文化会館



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ソプラノ:森野美咲
メゾソプラノ:林美智子
テノール:村上敏明
バリトン:平野和

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125




今年最後(11回目)の「第九」だ。好漢、藤岡ちゃんの「第九」は初めて聴くが、ちょいと色気のある、遊び心に溢れたのを期待したが、全然変わったところもなく、実にオーソドックス。

「第九」の最後であったが、同時に鑑賞生活の最後でもあった。1年を締めるのにはこういうかっちりした音楽で良かったかも。

今年は184ステージを鑑賞した(オペラ、文楽等も含む)。鑑賞減量に努めたので、昨年より△44となった。
来年も厳選して減量に努めよう。

だいたい、いくら好きでも「第九」を11回も聴くなんて異常だよ。反省!反省!

♪2024-184/♪東京文化会館-10

2024年11月28日木曜日

新国立劇場オペラ「ウィリアム・テル」 <新制作>

 2024-11-28 @新国立劇場




【指揮】大野和士
【演出/美術/衣裳】ヤニス・コッコス
【アーティスティック・コラボレーター】アンヌ・ブランカール
【照明】ヴィニチオ・ケリ
【映像】エリック・デュラント
【振付】ナタリー・ヴァン・パリス

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)⇒ゲジム・ミシュケタ<22年椿姫>
アルノルド・メルクタール⇒ルネ・バルベラ<20年セビリアの理髪師/21年チェネレントラ/22年N響ヴェル・レク>
ヴァルテル・フュルスト⇒須藤慎吾
メルクタール⇒田中大揮
ジェミ⇒安井陽子
ジェスレル⇒妻屋秀和
ロドルフ⇒村上敏明
リュオディ⇒山本康寛
ルートルド⇒成田博之
マティルド⇒オルガ・ペレチャッコ<17年ルチア/18年N響カルミナ・ブラーナ>
エドヴィージュ⇒齊藤純子

狩人⇒佐藤勝司


ジョアキーノ・ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」<新制作>
全4幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間35分
第Ⅰ幕
 75分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 55分
 --休憩30分--
第Ⅲ・Ⅳ幕
 85分




序曲は聴く機会が多いけど、オペラ本編は放映・ビデオでも観たことがない。
実際、滅多に上演されないと思う。

歌唱技術の難しさ、合唱・バレエに大勢が必要、何より長くて、正味4時間というから、2度の休憩を挟むと拘束5時間だ。ワーグナー並だよ。
そんな理由で上演されないのだろう。
でも、今回初めて観て、それだけじゃない。面白くないというのも重要な理由だろうと思った。

そういうこともあってか、新国立劇場が新制作した今回の作品も、少し端折ってあったかもしれない。

まあ、とにかく長く、話が分かりづらく、深刻な話なのだからバレエの出番などなくともいいと思うが、そこそこに用意してある。これが緊張を削ぐ。


演出家の記したものには、ロッシーに最後のオペラ作品である本作は「音楽における自殺」と評されることがあるそうだ。その正確な意味は分からないが、実際、それまでのロッシーに作品のような面白さ、分かり易さ、軽やかさがない。

どうも、失敗作ではなかったか、とど素人の僕は思うのであります。

余談ながら、日本で初めて本舞台形式で上演したのが藤沢市民オペラだそうだ。アマチュアだからこそ経費の面でもチャレンジできたのだろうな。

♪2024-163/♪新国立劇場-12

2023年7月31日月曜日

東京フィル第989回サントリー定期シリーズ ヴェルディ:歌劇「オテロ」

2023-07-31 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

オテロTn:グレゴリー・クンデ
デズデーモナSp:小林厚子
イアーゴBr:ダリボール・イェニス
ロドヴィーコBs:相沢創
カッシオTn:フランチェスコ・マルシーリア
エミーリアMs:中島郁子
ロデリーゴTn:村上敏明
モンターノBs:青山貴
伝令Bs:タン・ジュンボ

ヴェルディ:歌劇「オテロ」(リコルディ版)(演奏会形式)
全4幕 原語(イタリア語)上演 日本語字幕付き
原作: ウィリアム・シェイクスピア「オセロ」
台本: アッリーゴ・ボーイト
指揮:チョン・ミョンフン

公演時間:約2時間50分(幕間/CCを含む)
 第1幕 城壁の外側 …35分
 第2幕 城内の1階の広間 …40分
 休憩       …20分
 第3幕 城の大広間 …40分
 第4幕 デズデーモナの部屋 …35分



今日の発見というか、最大の驚きは、演奏会形式だというのに、本舞台のオペラ以上に迫ってくるものが大きく強かったという事だ。

歌手達の相乗作用か、いずれも演唱の入魂ぶりが激しかったこと。
何といってもノースコアで東フィルの実力を目一杯引き出したチョン・ミョンフン指揮の音楽がただならぬものあり。
それは畢竟ヴェルディの70歳越えの作品とも思えぬエネルギッシュで工夫に満ちた音楽の凄さの片鱗を、今回初めて味わったということでもあるが、とにかく冒頭から鷲掴みにされた。
過去に、「オテロ」でこんなに気持ちを持ってゆかれたことは一度もない。

よく聴いていると、所謂ナンバーオペラを脱して、まるでワーグナー作品のように、音楽が連綿と続き、アリアらしいものは、最終幕のデズデーモナの「柳の歌」〜「アヴェ・マリア」くらいだ。今日は、しみじみとこの10分を超えるナンバーを初めて味わい深く聴いた。それでも、ここで拍手する訳にもゆかない。深刻な人間ドラマはハナから緊張を孕んで、緩む時がないのだから。

二重唱や四重唱も、よく聴いていると複雑な仕掛けになっていて、心理の駆け引きというドラマ性を帯びている。

これまで僕は何を聴いていたんだろう、という反省もあり、それは「オテロ」だけでなく、オペラ全般、ひいては音楽全般に対して「ちゃんと聴いているかい?」という自問を投げかけられることになって、お金払って楽しみを得ようとすることも、なかなか容易ならざるものだなあ、といささか自虐的になってしまった。

まだ7月が終わったばかりだけど、今日の「オテロ」は、今年のベスト5に入るだろうと思った。

余談①:サントリーホールの天井から、大型のスピーカーセットが降りてきていた。記憶が曖昧だが、これまでに見たことがなかったような気がする。
東フィルのお姉さんにあれはいつ何のために使ったのか?と聴いたら、第1幕と第3幕に登場する大砲の音をこのスピーカーから流したようだ。その音源はシンセサイザーによる合成音だったようだ。
演奏中はオケの音が十分迫力があったので気が付かなかったよ。
余談②:弦の編成は14型だった。普通、弦の各プルトは指揮者に向かって、2人が並行して並ぶ。しかし、今日は60度くらい客席側に開いて並んでいた。そんなふうに並んだところで、音が大きく聴こえるようになるとも思えないので不思議に思ったが、暫くしてその理由が分かった。
演奏会形式といっても、演唱効果を高めるために、舞台上のオケはまるでピットに入っているかのように照明がぼんやりとしか当たらない。
その為に、譜面台に照明がついているのだけど、通常の形で並ぶと、客席上手・下手からはその照明が目に入ることになる。それを避けるべく、客席に向かって角度をつけて広がるように並んだのだろう。
…とこれは僕の推測で、東フィルのお姉さんに確認した訳ではないので間違っているかもしれない。

♪2023-135/♪サントリーホール-16

2023年4月11日火曜日

新国立劇場オペラ:ヴェルディ「アイーダ」

2023-04-11 @新国立劇場



【指揮】カルロ・リッツィ
【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ
【照明】奥畑康夫
【振付】石井清子
【再演演出】粟國淳
【舞台監督】斉藤美穂

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【児童バレエ】ティアラこうとう・ジュニアバレエ団

【アイーダ】セレーナ・ファルノッキア(2017オテロ新国立劇場)
【ラダメス】ロベルト・アロニカ
【アムネリス】アイリーン・ロバーツ(ユディット・クタージ)
【アモナズロ】須藤慎吾(フランコ・ヴァッサーロ)
【ランフィス】妻屋秀和
【エジプト国王】伊藤貴之
【伝令】村上敏明
【巫女】十合翔子
(当初のキャスト)

ジュゼッペ・ヴェルディ「アイーダ」
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間50分
第1幕  45分
 休憩  25分
第2幕    45分
 休憩  25分
第3幕    35分
 休憩  25分
第4幕    35分





新国立劇場が初演以来採用しているゼッフィレッリの演出(美術・衣装)は豪華絢爛で、見処・聴き処が多く、休憩込み4時間近いとはいえ各幕は35分〜45分と短く、休憩も3回もあるのでオペラ慣れしていない人にとっても好都合。未見の人には話の種に1回はどうぞ。

個人的にはゼッフィレッリ版というより、ゼッフレッリ新国版には大いに抵抗を感じている。
それは全篇通じて、舞台に天地左右に達する大きな紗幕がかかっていることだ。紗幕は映像を投影する等時に効果的だが、「アイーダ」ではそれもなく、最初から最後まで演技・歌唱は紗幕の内側で行われる。

1-2幕は舞台が明るいからまだ我慢できるが、3-4幕は薄暗い中で、表情も読み取りずらい。いや、2幕後半の凱旋の場だって明るい照明の中で金ピカの衣装や舞台美術を鑑賞したい。
謂わば、彩度・明度を落とし、画素を減らし、ソフトフォーカスの画面を全篇維持する必然性が全く理解できない。

因みに2009年ミラノスカラ座日本公演@ NHKホールはゼッフィレッリの演出だったが紗幕なんぞなかった。


全篇、額縁内を紗幕で覆うというのは、演出の放棄だ。

新国立劇場のスタッフはこの異常な舞台美術に疑問を感じないのだろうか?

アイーダ役セレーナ・ファルノッキアは新国立劇場「オテロ」でも熱演。前半は声が良く出ていない印象だったが、段々良く鳴る法華の太鼓。紗幕越しの褐色に染めた顔はよく分からなかったよ。アムネリスのアイリーン・ロバーツは当初のキャストのユディット・クタージの代役。こちらも良。前回18年もセメンチェクが森山京子に代わった因縁有り。

余談:「アイーダ」円盤は8枚持っている。ゼッフィレッリはMETでも「アイーダ」を演出している筈だが多分未放映・DVDも見つからない。
最近までMET「アイーダ」を演出していたのはソニア・フリゼルで、いろんな歌手で3種類録画有り。
ほぼ、ゼッフィレッリを踏襲していて派手な舞台だ。勿論紗幕はない。

♪2023-059/♪新国立劇場-06

2021年11月16日火曜日

DOTオペラ:ヴェルディ:歌劇「アイーダ」

2021-11-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール


指揮:佐藤光
演出:山口将太朗
照明:稲葉直人
舞台監督:伊藤桂一朗
合唱指揮:辻博之

管弦楽:アイーダ凱旋オーケストラ
合唱:Coro trionfo


アイーダ:百々あずさ
ラダメス:村上敏明
アムネリス:鳥木弥生
アモナズロ:高橋洋介
ランフィス:伊藤貴之
エジプト国王:松中哲平
伝令:所谷直生
巫女:やまもとかよ
ダンサー5人

ヴェルディ:歌劇「アイーダ」
(全4幕、セミ・ステージ形式・オーケストラ小編成版、字幕付き)




演奏会形式オペラ。が、大いに凝った作りだ。

まずは「アイーダ凱旋オーケストラ」って名前に惹かれたよ。遊び心十分。実際は、いろんなプロオケメンバーによる一夜限りのオケ。弦19人、打・鍵3人にアイーダ・トランペット4人という小編成だが、全く不足を感じさせない。


合唱は東響コーラスの有志94人!この数を、一昨日同じ場所で聴いた「カルミナ・ブラーナ」でも欲しかったね。


合唱団は舞台周りのP席とバルコニー4ブロックにゆとりを持って並んだ(そもそも、今日の客席は1C-2CAB-3Cだけで4階と周囲のバルコニーはお客を入れていなかった。)。


P席が塞がっているので、歌手の演唱はステージの奥、客席側前方、上手・下手に、時にはバルコニーと縦横無尽。アイーダ・トランペットも2階左右バルコニーに陣取って超ステレオ効果!


演奏会形式と言っても、サントリーの「ホールオペラ®︎」に近い。

衣装、小道具、照明で雰囲気を盛り上げてくれる。


さて、歌手は、百々(どど)あずさ、村上敏明、鳥木弥生、伊藤貴之ら名の知れたベテラン・中堅。

よく響くミューザでは声もよくとおりホンに人間の声の美しさに酔った。特に鳥木ちゃんのアムネリスがけっこうしおらしくて、本作に限っては「アイーダ」というより「アムネリス」というタイトルがふさわしかったよ。


演奏会形式でも手抜きなしで、グランドオペラらしくバレエもちゃんと5人登場して踊ってくれたのも嬉しい。


この贅沢な時空を享受して僅かにS席5千円って大丈夫なのかと心配したよ。

こりゃ少しカンパして帰るかと真面目に思ったが、よく考えたら財布を持たないので現金は1円も持っていなかった。


国のコロナ対策の一環の助成事業ならこそ実現できたのかも。


平日の17:30開演は勤め人には厳しいが、もう少し熱心に宣伝をしていたら、もっとお客が入ったのではないか。カーテンコールは熱く、長かったが、なにしろお客の絶対数が少ないので一生懸命の拍手も嵐のような轟音には至らなかったのが残念。

500〜600人の入りだったそうだ。


因みに、「DOTオペラ」とは、主唱者の百々(DODO)あずさ、小埜寺(ONODERA)美樹<コレペティトゥールであり今回のピアニスト>、鳥木(TORIKI)弥生の頭文字を綴ったもの。


♪2021-129/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-37

2021年7月6日火曜日

ジョルジュ・ビゼー「カルメン」全3幕

 2021-07-06 @新国立劇場


ジョルジュ・ビゼー:カルメン<新制作>
全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ・Ⅱ幕95分
   休憩30分
第Ⅲ幕  65分

指揮:大野和士
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:TOKYO FM少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【カルメン】ステファニー・ドゥストラック
【ドン・ホセ】村上敏明
【エスカミーリョ】アレクサンドル・ドゥハメル
【ミカエラ】砂川涼子
【スニガ】妻屋秀和
【モラレス】吉川健一
【ダンカイロ】町英和
【レメンダード】糸賀修平
【フラスキータ】森谷真理
【メルセデス】金子美香


良かった点⇒歌手が上手。一番は我がマドンナ砂川涼子(ミカエラ)の1幕の村上敏明(ホセ)との二重唱と3幕の独唱が実に素晴らしい。誠に美声だ。身体は小さいのに明るくまろやかな声がとても良く響き渡った。今回で彼女の新国ミカエラを聴くのは三度目だが今回が一番良かったように思う。


「ワルキューレ」に続いて代役を勤めた村上も朗々たる歌唱。カルメン役が大きすぎて背が釣り合わなかったのは悔しいけど、とても健闘していた。


肝心のカルメン(ステファニー・ドゥストラック)は、忘れていたけど、エクサン・プロバンス音楽祭2017で「カルメン」を歌っていたのを帰宅後思い出した。

まるでソプラノのような明るく輝く声だ。ガタイも大きく声量もある。

尤も、冒頭の「ハバネラ」が舞台中奥の高い場所だったので実力発揮できず。これは演出が悪い。


闘牛士(アレクサンドル・ドゥハメル)も登場のアリア「闘牛士の唄」がやはり舞台中奥の高い場所なので、か細く頼りなかったが、以後は、床に降りて客席近くで歌ったので本来の迫力ある美声を響かせた。これも演出が悪いのだ。


これらの無理設定や演出をしたアレックス・オリエは「トゥーランドット」(の無理な演出)に次いでこれで前科2犯である。


カルメンを来日公演中のスペイン人ロック歌手、ホセとスニガはコンサートの警備責任者(当然日本人?)、エスカミーリョは偶々来日していたスペインの闘牛士だという(な、バカな!)。


この酷い設定は、1幕はかろうじて維持できたが、2幕以降は完全に破綻してしまう。そりゃ音楽も歌詞(字幕)も設定とはどんどん乖離してゆくのだから。


故に観客は各自の脳内の「カルメン」の記憶で演出の綻びを繋ぎ合わせながら立ち向かうことになる。演出は既に存在していないも同じだ。


多くの鉄パイプを組み合わせた舞台も、意味があったのはライブコンサートを表現した1幕のみ。

その後は、観客の想像の障害でしかなかった。


そもそも「読替え演出」はほとんど失敗しているような気がするが、僕の記憶で唯一の成功例が、エクサン・プロバンス2017の「カルメン」(演劇セラピーとしての劇中劇という読替え。)で、上述のようにそこでカルメンを歌ったのがステファニー・ドゥストラックだったというのは皮肉なことだ。


♪2021-069/♪新国立劇場-05

2021年3月11日木曜日

R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日 『ワルキューレ』全3幕

 2021-03-12 @新国立劇場


R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日
『ワルキューレ』全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約5時間10分
第Ⅰ幕 65分
 休憩 40分
第Ⅱ幕 95分
 休憩 35分
第Ⅲ幕 75分

指揮:大野和士
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
照明:キンモ・ルスケラ

管弦楽:東京交響楽団
(アルフォンス・アッバスによる管弦楽縮小版

ジークムント⇒村上敏明(1幕)/秋谷直之(2幕)
フンディング⇒長谷川顯
ヴォータン⇒ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ⇒小林厚子
ブリュンヒルデ⇒池田香織
フリッカ⇒藤村実穂子
ゲルヒルデ⇒佐藤路子
オルトリンデ⇒増田のり子
ヴァルトラウテ⇒増田弥生
シュヴェルトライテ⇒中島郁子
ヘルムヴィーゲ⇒平井香織
ジークルーネ⇒小泉詠子
グリムゲルデ⇒金子美香
ロスヴァイセ⇒田村由貴絵

コロナのせいで主要歌手の多くに加え、指揮の飯守御大(体調不良)までもが降板・交代した。

ギリギリで決まったジークムント役は2人で1-2幕を分担し、オケは縮小版と、もう満身創痍の「ワルキューレ」だったが、蓋を開けたら見事な初日で、観客は最後は満場総立ちで歌手達の健闘を讃えた。

前半の最重要歌手・ジークリンデ役の小林厚子という人は初めてだったが、もう1幕冒頭の第一声と佇まいでこれはヨシッ!と思った。経歴から見て、今回は大抜擢なのかも…としても見事な歌と演技だった。






後半の最重要歌手・ブリュンヒルデは琵琶湖リングで経験済みの池田香織で安定感。
最初は色気不足を感じたが、色気は「ジークフリート」で発揮してくれたらいいや。

それより、ラストのヴォータンとの別れ。父と娘(この関係は怪しいぞ)が抱き合い、父はブリュンヒルデから神性を奪い長い眠りにつかせるところで、僕は「リング」史上初めて落涙しそうになった。





問題のオケは管弦とも本数では約6割。

大野監督がYouTubeで解説しているが、管の不足は持ち替えでカバーしているそうで確かに不満は感じなかった。

しかし、弦が本来型より23本少ないので部分的に響の薄さを感じたが、これも最初からアッバス版と知って聴くのでそう思ったのかもしれない。

まずもって東響は善戦した。

ともかく、不安要素の多い幕開けだったが、なんてことはない。堂々たる「ワルキューレ」を心底楽しんだ。

あと4公演あるので、もう一度、今度は安い席で観ようかとチェックしたらいずれの公演日もS席が僅かしか残っていなかったので諦めたが、オペラファンとしては喜ばしい限りだ!

♪2021-023/♪新国立劇場-03

2021年1月3日日曜日

第64回NHKニューイヤーオペラコンサート

 2021-01-03 @NHKホール


広上淳一:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団/二期会合唱団/藤原歌劇団合唱部

■出演
 ソプラノ:伊藤晴/大村博美/幸田浩子/砂川涼子/田崎尚美/中村恵理/森麻季/森谷真理
メゾソプラノ:林美智子
テノール:笛田博昭/福井敬/宮里直樹/村上敏明/望月哲也
バリトン:上江隼人
バス:妻屋秀和
ピアノ:反田恭平

■司会
秋元才加
森田洋平アナウンサー

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱つき」第4楽章から「歓喜の歌」
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
 Tn宮里直樹
ベッリーニ:歌劇「清教徒」から「ラッパの響きが聞こえ」
 Br上江隼人、Bs妻屋秀和
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「ああ、そはかの人か~花から花へ」
 Sp伊藤晴、Tn宮里直樹
ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」から「あの草を摘みとって」
 SP中村恵理
ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」から「見よ、恐ろしい火よ」
 Sp田崎尚美、Tn笛田博昭
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から「慕わしい人の名は」
 Sp幸田浩子
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から 女心の歌「風の中の羽のように」
 Tn望月哲也
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から 四重唱「美しい乙女よ」
 Sp幸田浩子、Ms林美智子、Tn望月哲也、Br上江隼人
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」から 巡礼の合唱「ふるさとよ、また見る野山」
チャイコフスキー(リスト編):歌劇「エフゲーニ・オネーギン」から「ポロネーズ」
 Pf反田恭平
シューマン(リスト編)」:献呈
 Pf反田恭平
カタラーニ:歌劇「ワリー」から「さようなら、ふるさとの家よ」
 Sp田崎尚美
ビゼー:歌劇「カルメン」からハバネラ 「恋は野の鳥」
 Ms林美智子、Tn村上敏明
ビゼー:歌劇「カルメン」から 花の歌 「おまえが投げたこの花は」
 Tn村上敏明
プッチーニ:歌劇「つばめ」から「ドレッタの夢」
 Sp森麻季
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」から「はなやかに着飾っても」
 Sp砂川涼子
グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」から ジュリエットのワルツ「私は夢に生きたい」
 Sp森谷真理
ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」から「われらの胸に友情を」
 Tn笛田博昭、Br上江隼人
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」から「ある晴れた日に」
 Sp大村博美
ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」から「ある日、青空をながめて」
 Tn福井敬
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から「親方たちをさげすんではならぬ」
 全員(と合唱)
ヨハン・シュトラウス:喜歌劇「こうもり」から「ぶどう酒の燃える流れに」
 全員(と合唱)

大晦日の東京のコロナ新規感染者1,300人超えで、危険がいっぱいの東京に行くのは止めようかと思ったが(横浜だって危険がいっぱいなんだけど🥲)、やはり我慢はできぬ。

僕には抗体がある!と暗示をかけていざ、NHKホールへと出かけた。

久しぶりのNHKホールだが、これまで以上に警戒厳重で、中に入るのもしっかりSDを保たないと叱られる。

不安を抱えつつのコンサートだが、第1曲(全員で「第九」の「歓喜の歌」)が始まった途端、来て良かった!と思った。

考えてみれば、「歓喜の歌」が昨年の聴き納めだったが、新年の聴き初めも「歓喜の歌」だった。
元気を出すにはもってこいの音楽だ。

そのあとはどの歌もどの歌手も愛おしい。
その一瞬一瞬が宝のようだ。

馴染んだ名曲の釣瓶打ちに癒されるというか、じわじわと幸福感に満たされてゆく。

最後はオペレッタ「こうもり」から”シャンパンの歌”を全員で賑やかに歌って〆たが、その前が「マイスタージンガー」の親方の歌。

「国が滅びても芸術は残る」の趣旨。
ここでは歌がその芸術だ。誠に感無量で聴いた。

帰宅後、録画をざっ~と見たが、最後の最後に1階客席がぼんやり写り無観客ではないこと、拍手はウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのようにオンラインではなくお客がその場で手を打っているという事が分かる。

しかし、そこに至る迄は、客席は見事なくらい映らないので、今時観客入れて開催するのか!という批判に気を使ったのかと思った。少なくとも昨年は客席がもっと鮮明に映ったし、1階席前方にいたみつばち先生の薄くなった頭頂部を確認できた。

でも、よく開催してくれたよ。
同じ場所で3日前の「紅白」は無観客だったし(見てないけど)。

関係者のひとかたならぬ苦労があったのだろうな。

在仏の大村博美の出演も嬉しいかった。

我がマドンナ砂川涼子姫は並々ならぬ美声の持ち主であることを再確認した。やはり、ナマでないと伝わらないものがある。

リスクを冒して出かけたが、この至福の2時間は僕にコロナ抗体を植え付けてくれたように思う。

2021-001/♪NHKホール-01

2020年1月3日金曜日

NHKニューイヤーオペラコンサート

2020-01-03 @NHKホール


アンドレア・バッティストーニ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団
二期会合唱団
びわ湖ホール声楽アンサンブル
藤原歌劇団合唱部

■出演
大沼徹(バリトン) 
森谷真理(ソプラノ)
砂川涼子(ソプラノ)
中島郁子(メゾソプラノ) 
宮里直樹(テノール)
大西宇宙(バリトン)
田崎尚美(ソプラノ)
青山貴(バリトン)
大村博美(ソプラノ)
笛田博昭(テノール)
妻屋秀和(バス)
村上敏明(テノール)

グザヴィエ・ド・メストレ(ハープ)

林美智子(メゾ・ソプラノ)
森麻季(ソプラノ)
上江隼人(バリトン)
中村恵理(ソプラノ)
福井敬(テノール)
■司会
高橋克典(俳優)
髙橋美鈴アナウンサー

ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」から「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」
   合唱
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」から「私は町の何でも屋」
   大沼徹(バリトン) 
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「ああ、そはかの人か」~「花から花へ」
   森谷真理(ソプラノ)
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」から 花の二重唱「桜の枝をゆすぶって」
   砂川涼子(ソプラノ) 中島郁子(メゾソプラノ) 
ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」から 友情の二重唱「われらの胸に友情を」
   宮里直樹(テノール) 大西宇宙(バリトン)合唱
ドボルザーク:歌劇「ルサルカ」から「月に寄せる歌」
   田崎尚美(ソプラノ)
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」から 夕星の歌「優しい夕べの星よ」
   青山貴(バリトン)
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から 復活祭の合唱「主はよみがえられた」
   中島郁子(メゾ・ソプラノ) 合唱
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」から「お聞きください」
   大村博美(ソプラノ)
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」から「泣くなリュー」~ 第1幕フィナーレ
   笛田博昭(テノール) 大村博美(ソプラノ) 妻屋秀和(バス)大沼徹(バリトン)
   宮里直樹(テノール) 村上敏明(テノール)合唱

“ハープによるオペラ・ファンタジー”
   グザヴィエ・ド・メストレ(ハープ) 林美智子(メゾ・ソプラノ) 森麻季(ソプラノ

ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から「悪魔め、鬼め」
   上江隼人(バリトン)
ヴェルディ:歌劇「シモン・ボッカネグラ」から「悲しい胸の思いは」
   妻屋秀和(バス)合唱
ヴェルディ:歌劇「オテロ」から「アヴェ・マリア」
   大村博美(ソプラノ)
ヴェルディ:歌劇「運命の力」から「神よ、平和を与えたまえ」
   中村恵理(ソプラノ)
マスネ:歌劇「ウェルテル」から オシアンの歌「春風よ、なぜ私を目ざますのか」
   笛田博昭(テノール)
グノー:歌劇「ファウスト」から「宝石の歌」
   砂川涼子(ソプラノ)
ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」
   村上敏明(テノール)
プッチーニ:歌劇「ボエーム」から ムゼッタのワルツ「私が町を歩くと」
   森麻季(ソプラノ)
ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」から「ある日、青空をながめて」
   福井敬(テノール)
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から 乾杯の歌「友よ、さあ飲みあかそう」
   出演者全員 合唱

クラシック界の紅白歌合戦…でもないけど、楽しいお祭りに行ってきた。
今が旬の実力と人気を兼ね備えた
ソプラノ6人、
メゾソプラノ2人、
テノール4人、
バリトン4人、
バス1人。

馴染みのあるアリアの名曲釣瓶撃ち。まさに至福の2時間。

Eテレ生放送なので、帰宅後録画をチェックしたら、薄くなりかけた後頭部がしっかり写っていた。


2020-001/♪NHKホール-01

2019年7月22日月曜日

新国立劇場オペラ「トゥーランドット」

2019-07-22 @新国立劇場


指揮:大野和士
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:ウルス・シェーネバウム
演出補:スサナ・ゴメス
舞台監督:菅原多敢弘

バルセロナ交響楽団
新国立劇場合唱団
びわ湖ホール声楽アンサンブル
TOKYO FM 少年合唱団

トゥーランドット⇒イレーネ・テオリン
カラフ⇒テオドール・イリンカイ
リュー⇒中村恵理
ティムール⇒リッカルド・ザネッラート
アルトゥム皇帝⇒持木弘
ピン⇒桝貴志
パン⇒与儀巧
ポン⇒村上敏明

オペラ夏の祭典 2019-20 Japan↔Tokyo↔World
ジャコモ・プッチーニ:オペラ「トゥーランドット」
フランコ・アルファーノ補筆
全3幕〈イタリア語上演/日本語・英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間55分
第Ⅰ幕40分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕40分

東京では公演終了したが地方公演はまだ続くのでネタバレは慎もう。
ま、かつてない幕切れであったことくらい書いてもいいか。
確かに、従来の演出ではいつも不満が残る。
さりとて、Aオリエの新演出ですべてがストンと落ちる訳でもない。2様の解釈の余地がある。

それはともかく、歌手陣の歌唱が見事。
よく響き渡った。
中村理恵の最初のアリアには驚いた。
テオリンの謎かけの歌、イリンカイの誰も寝てはならぬ…。
全て良し。

さらに、特筆はバルセロナ交響楽団の明瞭な響きはピットに入っているオーケストラの音とも思えない。大野和士が招いただけのことはある。

モノトーンを主軸にした美術。天井の高さを生かしたセットなど視覚面でも見事だった。
ただし、衣装・化粧にはトゥーランドットを別にして疑問あり。
リューの化粧をもっとなんとかできなかったか。ここはあまりリアルにやらなくとも良かったはず。ピンポンパンも最初はまるで浮浪児だよ。

この日を以って新国立劇場の今季は全作が終了した(次季は10月から)。邦人新作1本(紫苑物語)を除いて残り全作を観たが、一番満足度が高いのは今回の「トゥーランドット」だった。次点が「蝶々夫人」かな。

♪2019-105/♪新国立劇場-08

2017年4月19日水曜日

オペラ:ヴェルディ「オテロ」

2017-04-19 @新国立劇場



オペラ:ジュゼッペ・ヴェルディ「オテロ」全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉

指揮:パオロ・カリニャーニ
演出:マリオ・マルトーネ
美術:マルゲリータ・パッリ
衣裳:ウルスラ・パーツァック
照明:川口雅弘
再演演出:菊池裕美子
舞台監督:大澤裕

オテロ⇒カルロ・ヴェントレ
デズデーモナ⇒セレーナ・ファルノッキア
イアーゴ⇒ウラディーミル・ストヤノフ
ロドヴィーコ⇒妻屋秀和
カッシオ⇒与儀巧
エミーリア⇒清水華澄
ロデリーゴ⇒村上敏明
モンターノ⇒伊藤貴之
伝令⇒タン・ジュンボ

序曲無し。
いきなり激しく劇的な大音響の音楽と共に幕が上がるとベネチアの港町。
実際の水を使った運河を含めこの大掛かりな舞台装置は全4幕ほぼ不変。代わりに照明が気分を変える。
大編成の東フィルが迫力の演奏だ。歌手も負けず声量豊か。

今回は2階最前列のど真ん中という最良席。
醜悪が無垢を打ち砕く救いの無い物語に圧倒されるも至福の2時間45分。

♪2017-061/♪新国立劇場-3

2014年12月23日火曜日

読売日本交響楽団第77回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2014-12-23 @みなとみらいホール


レオポルド・ハーガー:指揮
アガ・ミコライ:ソプラノ
林美智子:メゾ・ソプラノ
村上敏明:テノール
妻屋秀和:バス 
新国立劇場合唱団:合唱
三澤 洋史:合唱指揮

読売日本交響楽団

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調Op.125 「合唱付」


年末4回目の「第九」。
「年末」と断らなくとも良さそうだが、実は今年は1月にも「第九」を聴いているので、「年末」の4回目。「今年」の5回目。

この時期に集中して何度も同じ曲を聴くのは、いくら楽聖ベートーベンの大傑作でも感激が薄れるか、と思いきやそんな心配は無用だ。オケが違う、コンサートホールが違う、あるいは聴く場所が違うと、それぞれに楽しみがある。

今日の読響は「第九」をP席(舞台後方)で聴くという初めて経験だった。去年も同じみなとみらいホールで定期演奏会として聴いているけど、昨シーズンまでは3階席だったので、ごく普通の聴き方だったが、今シーズンから席を変えてP席にした。これで僕は十分満足しているのだけど、この場所で合唱付きは聴いたことがない。
いや、厳密に言えば、神奈川フィルの定期でホルストの組曲「惑星」で女性コーラスを聴いているけど、この時のコーラスは2階左右のバルコニーに陣取ったので、ちょうどP席はコーラスに挟まれる形だった(この演奏は神秘的で忘れられないものとなった。)。
コーラス隊の真後ろで聴くってどんな感じだろう、という一抹の不安があった。

レオポルド・ハーガーという指揮者は知らない人だけど、まずはテンポがいい。そして細かいところまでニュアンスを引き出そうとしているのが分かった。
第1楽章の途中、再現部か展開部か分からないけど曲想の変わるところで、少しテンポが変わったのは初めて聴く趣向だったが、それ以外は僕の生理的感覚にぴったり合う演奏で、音も素晴らしいし、テンポやダイナミズムも実に心地良かった。

問題の後ろから聴くコーラスもまったく違和感がなかった。

読響はうまい。というべきか、きれいな音だ。
他のオケも時に素晴らしいサウンドを聴かせてくれるけど、読響はまずムラがない。音そのものが美しい。
最大の聴きどころと勝手に思っている第4楽章の低弦のレシタティーヴォも、もったいないくらいに美しかった。
目下のところ、今年の「第九」のベストだ。あと1回あるけど…。


余談:
声楽がどこで登壇するか?シリーズ。
合唱団の規模は全容が見えないので分からないけど多分、日フィルの時と同じくらい(120名?)だろう。
この程度なら着席スペースがあるので、全員冒頭から入った。
問題はソリストだが、やはり、第2楽章が終わったところで入場し着座した。こうでなくちゃ。
そして、第3楽章が終わるや否や、譜面をめくるまもなく間髪入れず第4楽章に怒涛のようになだれ込んだのはうれしい。
この指揮者は本当に僕の好みを知っている!

♪2014-119/♪みなとみらいホール大ホール-51