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2022年3月26日土曜日

東京・春・音楽祭 ブラームスの室内楽Ⅸ

2022-03-26 @東京文化会館


バイオリン:辻󠄀彩奈
ビオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
コントラバス:佐野央子
フルート:上野星矢
オーボエ:荒木奏美
クラリネット:三界秀実
ファゴット:皆神陽太
ホルン:福川伸陽
ピアノ:阪田知樹

ブラームス(オズグッド編):セレナード第1番ニ長調 op.11(九重奏版)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 op.60


この音楽祭で楽しみにしているのシリーズの一つが、ブラームスの室内楽シリーズだ。不動の川本嘉子に向山佳絵子(チェロが登場しない回もあったが。)を中心に、他は毎回異なる。
今回はピアノ四重奏の前に、記憶にある限り最大編成の九重奏を演奏。これが何と初聴き!

でも、聴きながら変な編成だと思った。
弦が4本に管が5本て、どうもしっくりこない。
帰宅後調べたらブラームスのオリジナルはオーボエの代わりにクラリネットが2本らしいが、今回は各1本ずつ。
いずれにせよ、妙な編成だ。

ブラームスがどこやらの領主に仕えた時期の作品で、スポンサーへのサービスなのか。
その後オーケストラ用に編曲し、併せて室内楽版は廃棄したそうだ。

それで、後年、何人かが九重奏に編曲し直しているらしい。

初めて聴く音楽でも、すーっと入ってゆけるものは多いし、特に大好物のブラームスなので何の警戒心も持たなかったが、残念!馴染めなかった。

管楽器奏者にとっては重要な作品だろうけど、聴く側としては心構えが難しい編成だと思う。

後半はピアノ四重奏曲第3番。
こちらはもう、慣れたもので、やはり、ブラームスはこうでなくちゃ。

溢れる叙情がこれでもか、と襲い掛かるようで、しかし、冷静さを失わない。このストイズムがブラームスの根本的な魅力だ。

昨日に続き、阪田くんのピアノの音の明瞭な事。辻彩奈・川本・向山の弦のアンサンブルも美しく響いた。

♪2022-043/♪東京文化会館-06

2015年1月7日水曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.63 都響メンバーと仲間たち

2015-01-07 @みなとみらいホール


田中雅弘 (東京都交響楽団首席チェロ奏者)
三界秀実 (東京都交響楽団首席クラリネット奏者)
坂井田真実子(ソプラノ)
三浦永美子(ピアノ)

ブルッフ:8つの小品 作品83より 第6番(Cl/Vc/Pf)
メシアン:世の終わりのための四重奏曲より “鳥たちの深淵”(Cl)
シューベルト:川の流れ(Sp/Vc/Pf)
レハール:喜歌劇『ジュディッタ』より アリア「熱きくちづけ」(Sp/Pf)
ブラームス:クラリネット三重奏曲 イ短調 作品114より 第1、4楽章(Cl/Vc/Pf)

三浦永美子(ピアノ)

2015年最初のコンサート。
演奏家はピアノ、チェロ、クラリネット、ソプラノという変わった組合わせだが、さすがにこの4人のアンサンブルというのはなかった。

ブラームス以外の4曲はすべて初めて聴く曲だった。
ブルッフ、シューベルト、レハールの作品は、いずれも叙情性の高いロマンチックなメロディーで初めて聴いてもすんなり入ってきて心地よい。

メシアンは音楽だけでなく多方面に才能を発揮した人らしく、神学者、鳥類学者としても優れた仕事をしたそうだ。今日の作品も「鳥たちの深淵」というタイトルで、「ヨハネの黙示録」から受けた啓示によって書いたという。
クラリネットの無伴奏曲で現代の作品なので、これはなかなか一度聴いて受け入れるのは難しい。
鳥の鳴き声の擬音は理解できたが。
三界秀実

シューベルトの歌曲にピアノだけではなくチェロも伴奏するというのも初耳で驚いた。本当に原曲がそういう編成だったのか、ネットで調べてみたが、よく分からない。バイオリンとチェロやバイオリンとハープが伴奏楽器として書かれた歌曲はあるようだけど、チェロとピアノのものはざっと探した限りでは見つからない。というより、この「川の流れ」というタイトルの歌曲自体が見つからない。

一番聴きたかったのは、ブラームス。
彼は2曲のクラリネット・ソナタ、クラリネット5重奏曲、そして今日演奏のクラリネット3重奏曲を作曲しているが、いずれも1891年以降だから58歳以降。作曲活動の最晩年だ。

坂井田真実子(ソプラノ)
どの作品もCDを持っているけど、普段聴くのは5重奏曲だ。なぜかといえば、昔から馴染んでいるから。馴染んでいるから心地よい。心地よいからまた聴きたくなる…の好循環。

しかし、今回演奏された3重奏曲は多分、CD購入時に聴いてみたくらいだろう。メロディの断片くらい頭に入っているつもりで聴き始めたがいつまでたっても、記憶の引き出しが開かない。
まるで初めて聴く曲のように、…新鮮だったのならいいけど、馴染めなかったのは少しショックだ。ブラームスファンを自認しているのに!

確かに、これら最晩年に作曲されたクラリネットのための作品はいずれも暗い印象だ。クラリネットだからという訳ではないだろう。
田中雅弘
ベートーベンの終盤のピアノソナタ(第28番以降)には、かつて壁を感じたものだ。今では座右の曲?になっているけど。

大家は晩年、孤高に我が道を行くようになりがちだ。と、勝手に解釈している。

クラリネットソナタも5重奏曲も最初は馴染めなかった。
今日の3重奏曲も、帰宅後繰り返し聴いていると、これはハンガリー民謡風なのだろうか、「シンドラーのリスト」の音楽を思い起こさせるエキゾチックなメロディがだんだん好きになってきたよ。


♪2015-1/♪みなとみらいホール大ホール-01