2016年6月28日火曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート ≪石田泰尚のスプリング・ソナタ≫石田泰尚バイオリン・リサイタル

2016-06-28 @みなとみらいホール


石田泰尚:バイオリン
中島剛:ピアノ

ベートーベン:バイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 作品24「春」
クライスラー:愛の悲しみ、愛の喜び
マスネ:タイスの瞑想曲
モンティ:チャールダッシュ
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番ニ短調 BWV1004から「シャコンヌ」
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調
-------------------
アンコール
J・ウィリアムズ:シンドラーのリスト
ヴィロード:エル・チョクロ
ガーデ:ジェラシー
プッチーニ:誰も寝てはならぬ


ベートーベンとフランクのソナタ2本にバッハ、クライスラー、マスネ等+アンコール4曲の大熱演だった。
石田泰尚は2001年から神奈川フィルのソロ・コンサートマスターだしいろんな室内楽アンサンブルを主催しているので、バイオリニストとしては聴く機会が多い。
少なくとも神奈川フィルの顔として飛び抜けた人気を誇っているようだ。オーケストラ定期でもこの人がコンマスの日は会場が心なしか熱い。室内楽なども気がつけば売り切れ御免が多い。
ご婦人方に人気なのだ。
一見コワイお兄さんぽいけど、その実えらくシャイなところがご婦人方にはカワイイのかもしれない。

彼のバイオリンは極めて繊細で美しい音色。
そのためか、そして、みなとみらい大ホールというバイオリン・リサイタルには大きすぎる会場のせいか、前半は音圧の不足を感じた。

しかし、だんだん良く鳴る法華の太鼓で、無伴奏のバッハから俄然本領を発揮しだした。
本篇シメの大好きなフランクのソナタが、これをナマで聴くのが随分久しぶりだったこともあり、実に心地良かった。

アンコールの第1曲が、映画「シンドラーのリスト」のテーマだった。これはこじんてきにとても好きな曲で、ちょいと興奮した。が、お兄さん、この曲弾いてくれるなら、恥も外聞も見栄もへったくれもなくもっともっと咽び泣いて欲しかったよ。


♪2016-089/♪みなとみらいホール-22

2016年6月25日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第56回

2016-06-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ダニエーレ・ルスティオーニ:指揮
東京交響楽団
フランチェスカ・デゴ:バイオリン*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77*
チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
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アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番「バラード」作品27
パガニーニ:「24のカプリース」から第16番ト短調


プログラムから
オール・ロシアプログラムだが、指揮者も独奏バイオリニストもイタリア人。ルスティオーニが33歳(誕生日が来て)、デゴは27歳という若さ。そのせいか、ショスタコにしてもチャイコにしても元気溢れ、陽気な感じすら受けたが、いやはや熱のこもった演奏であった。

最初の「ルスラン~」は、そもそも元気のいい爆発的な音楽だが、テンポもよく、東響の響は(日によって出来不出来があるが今日は)強力な音圧でほとんど乱れず(一部瞬間的に乱れたがお愛嬌。)グイグイと惹きこまれてしまった。

前座がこうも素晴らしいと、二ツ目にも期待がかかるが、これが予想外の拾いもの。
ショスタコの協奏曲ではチェロの第1番に(自分でもチェロをかじっていたことがあるので)特段の思い入れがあるが、バイオリン協奏曲はたまに聴くもののやはりチェロ協奏曲(第1番)には魅力の点で及ばない。しかし、そういう印象をデゴ夫人の強烈な演奏がかなりの部分払拭した。
技術的にも相当難しそうだ。

プログラムから
特に第3楽章の最後の長いカデンツァは名人芸の聴かせどころだ。
ゆっくりしたテンポから徐々にヒートアップして終楽章に雪崩れ込むあたりはチェロ協奏曲(第1番)と同じ作りで(まあ、当然そうなるのだろうけど)ここにショスタコ節が炸裂する。

初めて、バイオリン協奏曲(第1番)も結構楽しめると嬉しい発見であった。

ソロバイオリンを支えるオケも「ルスラン~」同様に良く鳴って実に快感だ。

もう、以上2曲だけでコンサートが終わってもいい、と思うくらいに満足したが、デゴさんは、観客の大歓声と拍手に気分良くしてくれたか、今日が日本デビューということもあってか、イザイの無伴奏ソナタを1曲まるごと(といっても全1楽章なのだけど)弾いた上にパガニーニも大サービス。いずれも難曲だと思うが、とにかくエネルギッシュだ。

そして、もうお腹いっぱいなのに、真打ち登場でチャイコの「悲愴」。今日の東響はホンに良く鳴った。鳴り響いた。

東響のfacebookから
冒頭書いたように、あまり「悲愴」ぽくなかった。「悲愴」は終楽章で深い悲しみの淵に誘ってくれなくては「悲愴」ではないけど、まあ、イタリアンな「悲愴」もこれはこれでよし。ナマの管弦楽の醍醐味を十分に堪能できた。


♪2016-088/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2016年6月18日土曜日

NISSAY OPERA 2016オペラ『セビリアの理髪師』

2016-06-18 @日生劇場


園田隆一郎:指揮
粟國淳:演出
新日本フィルハーモニー交響楽団
        
アルマヴィーヴァ伯爵⇒中井亮一
ロジーナ⇒      富岡明子
バルトロ⇒      増原英也
フィガロ⇒      青山貴 
ドン・バジリオ⇒   伊藤貴之
ベルタ⇒       山口佳子
フィオレッロ⇒    清水勇磨

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」


その昔、日生劇場には、オペラやバレエでも数回出かけたが、主に劇団四季のミュージカルやストレートプレイにせっせと通っていたところ、四季が「キャッツ」以後仮設専用劇場を建て、やがて自前の劇場を持つようになってからはそれまでホームグランドとしていた日生劇場での公演をやらなくなり、僕の足も日生劇場からは自然と遠のいてしまった。
職場の親睦会の行事で演歌歌手のコンサートなどには出かけたが、それにしても10年は経つのでずいぶん長くご無沙汰していたものだ。

ロビーやホワイエの白い大理石に赤絨毯。ホール内は海中を模した独特の意匠で、その空間に身を置いた瞬間にかつてここで観たいろんな芝居やミュージカルを思い出して非常に懐かしかった。

オペラの録画ディスクは著名なところは全て揃っていると思うが、いずれヒマができたらじっくり鑑賞しようと思いつつ、未だわずかしか目を通せていない。
ナマのオペラもリタイア後は年に数本観るようになったが、現役時代は数年に1本といったところだった。
その中でも「セビリア*の理髪師」には縁があって、一昨年のみなとみらいホール小ホールオペラを含め今回で3回めだと思う。

モーツァルトの「フィガロの結婚」の前日譚で、「フィガロ~」では悪役になるアルマヴィーヴァ伯爵はここではまだ?善人で恋する若者だ。フィガロの人格は2作で変わっていないようだ。
「セビリア~」での悪役はヒロイン・ロジーナの叔父で彼女の財産目当ての結婚を企んでいる医師バルトロだが、この名前は「フィガロ~」でも登場するが、そこでは伯爵家のお抱え医師になっている。
原作者(ピエール・ド・ボーマルシェ)は同じでも、台本を書いた人が異なるし、作曲者も違うので、人物の設定は原作とは変えてあるのかもしれない。

「セビリア~」は「フィガロ~」ほど登場人物は多くないし、物語も単純で、上演時間も短く(本篇のみ2時間半くらい)、音楽はいくつかの有名なアリアが耳に馴染んでいるし、そのほかのアリアも親しみやすい音楽だ。字幕上演とあいまって、物語は進行とともにほぼ必要な範囲で?消化できるのが嬉しい。

指揮の園田氏は記憶・記録にある限り、日フィルの定期で一度聴いたが、その時もオペラ・アリア集だった。歌劇畑の指揮者なのかな。

ほとんど馴染みのない歌手たち(バルトロを演じた増原英也氏は3回目だったが、ほかの人は初めてだろう。2012年より前の昔のコンサートは記録をしていないので分からない。)なので、楽壇における立ち位置は分からないけど、みんな上手だった。
声がよく通る。ビンビン響くのには驚きだ。音響が良すぎてクラシック・コンサートには向かないという説もあるが、1300席強というこじんまりした空間も観る・聴くにちょうどいい環境だ。

随分久しぶりに、本格的な舞台オペラ(演奏会形式ではなく、小ホール形式でもない)を、これまた随分久しぶりの日生劇場で、ゴージャスに楽しむことができた。オペラは、どうもクセになりそうだ。


♪2016-087/♪日生劇場-1




*「セヴィリア」の理髪師と表記されることもあるが、自己流の表記法で「セビリア」の理髪師に統一することにしている。
ヴァイオリン⇒バイオリン
ベートーヴェン⇒ベートーベン
ドヴォルジャーク⇒ドボルザーク
など。なるべく簡単に。

2016年6月16日木曜日

MUZAランチタイムコンサート6月 歌のフルコース!~お得な曲のランチコース~

2016-06-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール


バリトン:大山大輔♣
ソプラノ:富田沙緒里♡
メゾ・ソプラノ:吉田貞美♢
テノール:伊藤達人♠
ピアノ:畑めぐみ

ヴェルディ:「椿姫」から《乾杯の歌》♡♢♣♠
グルック:「パリーデとエレーナ」から《ああ私の優しい熱情が》♣
スカルラッティ:《陽はすでにガンジスから》♢
バーンスタイン:「キャンディード」から《着飾ってきらびやかに》♡
レハール:「微笑みの国」から《君は我が心のすべて》♠
モーツァルト:《アヴェ・ヴェルム・コルプス》♡♢♣♠
J.S.バッハ:『コーヒーカンタータ』から《なんてコーヒーは甘く美味しいのだろう》♡♢♣♠
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アンコール
ヴェルディ:「ドン・カルロ」から《友情の二重唱》♣♠
モーツァルト:「フィガロの結婚」から《喧嘩の二重唱》♡♢


失礼ながら銀行の用事のついでに当日券で観賞。
混声四部の声楽家4人とピアノ。
演奏家諸氏の名前に覚えはなかったけど、国内のオペラやミュージカルなどで活躍中の由。中堅級クラスなのだろうか。

プロの声楽の巧い下手は分からない。そもそも超人的な技巧を要するような(…に聴こえる)作品はなかったと思うが、どの歌も素直に楽しめた。

「歌のフルコース!」というタイトルが付いていたが、各曲を前菜からデザート、コーヒーまでフルコースの見立てで楽しむ。
バリトン氏のMCがユーモラスで、にこやかな雰囲気に包まれた極上フルコースを満腹できた。

ミューザの「ランチタイム・コンサート」に出かけたのは初めてだが、素晴らしいホールで質の高い音楽をたった500円で聴かせるとは嬉しい。


♪2015-086/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

2016年6月15日水曜日

横浜交響楽団第671回定期演奏会

2016-06-15 @県立音楽堂


田中健:指揮
横浜交響楽団
田中翔平:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調*
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調
------------
アンコール
ショパン:夜想曲 第20番嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッショーネ」 遺作*

ピアノ協奏曲は、出だしは独奏ピアノと管弦楽がもたついたが、だんだん呼吸が整い力強いピアノが音楽堂に鳴り響いた。
音楽堂のピアノはなかなか魅力的な音だ。

ラフマニノフも賑やかな管楽器に埋もれることなく弦楽器も厚みがあった。欲を言えばもう少し透明感を期待するが、この頃横響はうまくなったと思う。


♪2016-085/♪県立音楽堂-05

2016年6月13日月曜日

国立演芸場6月中席

2016-06-13 @国立演芸場


落語 春雨や晴太⇒やかん
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落語 三遊亭遊子⇒初天神
落語 春風亭柳好⇒目薬
バイオリン漫談 マグナム小林
落語 三遊亭とん馬⇒代わり目~かっぽれ
落語 桂南なん⇒千両みかん
―仲入り―
奇術 プチ☆レディー
落語 三遊亭遊吉⇒化物使い
曲芸 やなぎ南玉
落語 三遊亭遊三⇒蛙茶番

今回は充実。
前座の春雨や晴太、二ツ目の三遊亭遊子(ゆうこ)からして面白い。

「初天神」はよく前座や二ツ目の若手が演るが、これまで聴いた中では今日の遊子が一番の出来。

三遊亭とん馬の酔っぱらいとおかみさんの話「代わり目」がおかしくて心温まる。

南玉芸は「江戸曲独楽」というそうだ。その名のとおり江戸情緒たっぷりな独楽回しと口上は毎回同じだけど、堂に入っているのでまさに「芸」を楽しむ事ができる。


♪2016-084/♪国立演芸場-05

2016年6月12日日曜日

N響第1838回 定期公演 Aプログラム

2016-06-12 @NHKホール



ウラディーミル・アシュケナージ:指揮
NHK交響楽団
ルステム・ハイルディノフ:ピアノ*

バラキレフ(リャプノフ編):東洋風の幻想曲「イスラメイ」
チャイコフスキー:協奏的幻想曲ト長調作品56*
メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」
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アンコール
フェリックス・ブルーメンフェルト:左手のための練習曲 作品36*

前回のN響定期から今日までの間に他のオケを11回も聴いた。普通に定期演奏会だけを聴いておれば6~7回にしかならないはずだけど、5月から6月にかけては振替のコンサートが集中したこともあって、随分忙しかった。おまけに体調がずっと優れなかったから、本当はじっくり音楽を聴くような状況ではなかったが、だからといって欠席するのも癪なので、結局はほぼ休み無しであれこれと聴きに走った。

そのうち幾つかの演奏会、あるいは演奏曲目については心躍るものがあった。
しかし、全体を通じて、共通する不満が程度の差はあれども払拭できなかった。それは、弦の透明感の不足だ。

この頃、体調が悪いということも原因しているのだろうか、どうもオケの演奏に前向きになれない。何か、欠点を探そうとしているようなところがあって、我ながら嫌になる。
そういう、いわば、観賞鬱状態なので、よほどすごい!と思わせるものでなければ、失敗ばかりが耳について困ったものだ。

が、しかし。
この一月、ざわついた弦に欲求不満が募っていたがやっぱりN響!見事晴らしてくれた。
バランスいいし乙張効いて弦の透明度も高い。
チャイコの協奏的幻想曲のピアノの超絶技巧を楽しんだ。

ルステム・ハイルディノフがアンコールに弾いたフェリックス・ブルーメンフェルトの「左手のための練習曲」は、作曲家自体知らなかったが、これもすさまじいテクニックだった。何しろ、両手でも相当難しいと思われるが、右手を封じて素早いアルペジオを繰り広げ、そこに旋律を載せるのはもうアクロバットだ。

2016-083/♪NHKホール-05


https://youtu.be/DpGn0KLQwV0

2016年6月11日土曜日

読響第89回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2016-06-11 @みなとみらいホール


オラリー・エルツ:指揮
読売日本交響楽団
アンナ・フェドロヴァ:ピアノ*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ラフマニノフ:「ピアノ協奏曲第2番」*
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
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アンコール
不明*


最近は通常席でのコンサートが続き、5月21日の神奈川フィル定期以来久しぶりの舞台後方席だった。
P席はバランスが悪いけど、オケと近接しているので、なんといっても音は明瞭で音量は迫力がある。まさに自分もオケの一員になっている感じで、バランスが悪いといった欠点など、大抵は吹き飛んでしまう。

しかし、なかなか吹き飛ばない欠点は声楽独奏付きの管弦楽やピアノ協奏曲に現れる。ピアノの反射板は舞台前方客席に向かって開いているから、舞台後方へは届きにくくなる。

ラフマニノフの第2番はピアノソロで始まるが、その冒頭の音はなかなかしっかりしたもので、アンナ・フェドロヴァの細腕でもけっこうな音が出るので安心していたが、やはり、オケが、特に管・打楽器フォルテで絡みだすとピアノが霞んでしまう。

これまでなんども同じ席でピアノ協奏曲を聴いているのだけど、今日のように音量不足を感ずることはなかったのだけど。

さて、今日は、誠に残念なことに、体調不十分で、前半でリタイアしてしまった。アンナ・フェドロヴァがアンコールに何か弾いている音が廊下にも聴こえたがそれどころじゃなくて、フラフラしながら退却した。

「展覧会の絵」こそ管弦楽の華やかなオーケストレーションを楽しめる曲なのに残念だ。
明日は、N響だが、復調するか心配。


♪2016-082/♪みなとみらいホール-21

2016年6月10日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第681回東京定期演奏会

2016-06-10 @サントリーホール


小泉和裕:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

シューマン:「マンフレッド」序曲 作品115
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 変ロ長調 作品56a
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73

しばらく独ロマン派を聴いていなかったが今日はシューマン+ブラームスでアトホームな安心感。
それに日フィルをサントリーで聴くのは久しぶりだ。

しかし、昨日の都響でも感じたことだが、弦にもっと透明感がほしい。
音楽の解釈がどうこう言う前に、リズム、テンポ、アーティキュレーションも大切だけど、まずもってなにより<音>だ。
弦の高域の細いピアニシモの濁りのない響を聴きたい。
<音>さえよければたいていは問題ない。それが"クラシック"の良さだ。

でも、最近どうも、どこのオケを聴いても、弦に耳障りな音が交じるように思う。高音域では特に強く感ずる。

とはいえ、今日の日フィルも終盤に行くにつれだんだん良くなってきた。
ブラームス交響曲2番終楽章は怖いほどの迫力だったなあ。

弦の響に関しては聴き方の修行もしなくちゃいけないのかもしれないけど。


♪2016-081/♪サントリーホール-07

2016年6月9日木曜日

東京都交響楽団都響 第810回 定期演奏会Bシリーズ

2016-06-09 @サントリーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団
イアン・ボストリッジ:テノール *

ブリテン:歌劇『ピーター・グライムズ』より「4つの海の間奏曲」op.33a
ブリテン:イリュミナシオン op.18 *
ドビュッシー:《夜想曲》より「雲」「祭」
スクリャービン:法悦の詩 op.54 (交響曲第4番)


ブリテン:「4つの海の間奏曲」はその第1曲「夜明け」がバイオリンの高音域(ひょっとしてハーモニクスも含んでいるのだろうか)で始まり、短い全編をとおしてこの高音が続くのだけど、どうもピッチが揃っていない…と思う。まるで透明感がなくこれはどうしたことかと怪しんだよ。

2曲目もブリテンの「イリュミナシオン」。初聴き。
というより、存在すら知らなかった。弦楽合奏に、イアン・ボストリッジ(テノール)の歌が入る。ランボーの詩集「イリュミナシオン」から9つの詩を選んで曲をつけたものらしい。
現代の音楽なので、素直に美しいとは感じられないけど(それに意味が分からない。プログラムには対訳が掲載されていたが暗い館内で小さな字は判読できない。)、ポストリッジの声がいい。
彼はオックスフォードとケンブリッジで<歴史学>を学んだオペラ界屈指の知性派テノールだそうだが、そうと知ると、彼にふさわしい音楽であるような気がする。

休憩を挟んだ後半はオケも良く鳴りだした。急にうまくなったのではなく、腕前を発揮できるタイプの音楽なのだろう。
前半は欲求不満気味だったが、後半はいつもの都響らしい華やかな響を聴かせてくれた。

特に、スクリャービンの「法悦の詩」は、生では初めてだったが、舞台にすし詰め状態に膨らんだ特大オケにパイプ・オルガンも加わって管弦楽の多彩な音色や響を展開して、聴衆にとっても「法悦の時」であった。

♪2016-080/♪サントリーホール-06


https://youtu.be/8XQGHOfIdYY

2016年6月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第8回定期演奏会

2016-06-04 @県立音楽堂



キンボー・イシイ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

スティーヴン・パウルス:スペクトラ
ラヴェル:クープランの墓
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調Hob.I:102
-------------
アンコール
ビゼー:組曲「アルルの女」第1番から第3曲「アダージェット」


スティーヴン・パウルス(米1949-2014)なんて作曲家は知らない。
Wikipediaにも出ていない。Youtubeでもヒットしない。Amazonでも見当たらない。
当然、「スペクトラ」も初聴き。
完璧に現代の人による現代の作品だけど、これが案外分かりやすい。でも、好きじゃないけど。

ラヴェルの「クープランの墓」、ハイドン「交響曲第102番」。
いずれも残響の少ない音楽堂向きの音楽だ。
音質は明瞭だが、弦の高音部に難があった。音楽堂では全くごまかしが効かないからオケも大変。
しかし、本当に巧いオケになると(いや、神奈川フィルも時に信じられないような胸を打つ演奏を聴かせてくれるのだけど。出来栄えに波がある。)このソリッドな響が良い味わいになる。


♪2016-79/♪県立音楽堂-04

2016年6月2日木曜日

平成28年6月歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」

2016-06-02 @国立劇場


解説 歌舞伎のみかた  中村萬太郎 
                                 
河竹黙阿弥=作
新皿屋舗月雨暈 (しんさらやしきつきのあまがさ)
―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)― 二幕三場
                国立劇場美術係=美術
              
       
   序幕   片門前魚屋宗五郎内の場
   二幕目 磯部邸玄関先の場
   同      庭先の場

中村橋之助⇒魚屋宗五郎
中村梅枝⇒宗五郎女房おはま
中村宗生⇒小奴三吉
市村橘太郎⇒宗五郎父太兵衛
中村萬太郎⇒磯部主計之介
中村松江⇒浦戸十左衛門
       ほか


魚屋宗五郎。
最近では菊五郎など、過去何人かの役者でこの芝居を観た。

しかし、これまでは、この芝居が、妹が理不尽に殺されたという<悲劇>と、お酒を長く絶っていた宗五郎が憂さ晴らしに、身内からも勧められて口にした一杯がすぐ二杯になり、うまいうまいと言いながら酔いが回って、今度はなんとか止めさせようとする女房、父親、丁稚の目を盗み、腕をかいくぐり、制止を振り切りって飲み続け泥酔してゆくさまの<喜劇>のつながりがどうもしっくり来なくて、滑稽だけど腑に落ちない芝居だった。


しかし、今日の橋之助の芝居を観ながら目からウロコの思いがした。
妹の無念の死を契機に禁じていた酒を飲み始め、酒乱が高ずる中に宗五郎の哀れが深まり思わず涙がジワーっと来た。

なるほど、こういう芝居か、とはじめて前後の脈絡が繋がって、大団円を素直に受け入れることができた。

前に見た芝居の役者の芸が悪いという訳ではあるまい。僕の観る目が少し育ってきたのだろうが、それにしてもこれまでに観た橋之助の芝居の中でも、今回は見事なはまり役だと思った。

橋之助を意識した最初は歌舞伎ではなく、1988年の山田洋次監督作品「ダウンタウンヒーローズ」だった。その時(公開時)橋之助23歳のはず。今や50歳となり、今秋は「芝翫」を襲名する。ますます楽しみな役者だ。


♪2016-078/♪国立劇場-03

2016年6月1日水曜日

国立演芸場6月上席

2016-06-01 @国立演芸場


前座 落語 林家あんこ⇒つる
---------
落語 鈴々舎八ゑ馬⇒阿弥陀池
落語 柳家小せん⇒黄金の大黒
キセル漫談 ひびき/わたる
落語 柳家さん生⇒狸札
落語 柳亭小燕枝⇒小言幸兵衛
―仲入り―
漫才 ホンキートンク
落語 橘家圓太郎⇒祇園祭
奇術 伊藤夢葉
落語 柳家小満ん⇒猫の災難


前半睡眠。中入り後は楽しめた。
若手漫才・ホンキートンクは嫌味が残るが才能も感じた。
奇術・伊藤夢葉って故・一葉の弟子らしいが、奇術というより手品、手品というよりおしゃべりがおかしい。

トリの柳家小満んの猫の災難が、やっぱり一番面白かった。


今日は、まじめに前座の落語も聞いた。
いわば台本どおりだし、滑舌も悪く無い。
しかし、面白くない。気持ちが乗れない。やはり、話の間というのか、気の入れようと言うのか、真打ちクラスとは何か違うんだな。この先どうやって修行するのだろう。この道もなかなか険しいなあ、と思った。

♪2016-077/♪国立演芸場-04