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2023年10月25日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-25 @国立劇場



蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか

近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場





先週観たばかりだけど、どうも、面白みが分からず、このまま、初代国立劇場での歌舞伎鑑賞を終えるのもすっきりしないので、ちょうど夜にN響Bが入っているので、この日のチケットを買った。

今月の歌舞伎公演はこれで初代国立劇場の見納めということもあって、いつになくお客さんが大勢で、良席は全然残っていなかった。

今月の公演は9月「妹背山婦女庭訓」第1部の続き(第2部)だが、その前半と部分と今月の後半部分は、どうも木に竹を継いだような展開で、釈然としない。

文楽でも通しで観ているけど、文楽版の方が、見どころが多かったように思う。

かくして、2ヶ月にわたる大作を気合を入れて観た割には消化不良で終わったのが誠に残念。

明日で、初代国立劇場は事実上閉館になって、再開場は2029年だ。もちろんその間も、あちこちの劇場を借りて歌舞伎公演は継続されるが、舞台機構(歌舞伎専用劇場ではないから花道、回り舞台、すっぽん、セリもない)の制約から演目も限られてくるね。

♪2023-183/♪国立劇場-13

2023年10月19日木曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-19 @国立劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場


蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか





先月に続いて、通し狂言「妹背山婦女庭訓」の後半だ。
この公演が、初代(つまり、現在の)国立劇場の掉尾を飾る。この後、2029年の第二代国立劇場の完成まではあちこちの劇場を渡り歩くことになる。寂しいことだ。それに6年後なんて、足腰は大丈夫だろうかと心配。

「妹背山婦女庭訓」は文楽では19年に、こちらも2公演にわたる通し狂言として観ている。
歌舞伎公演の先月の前半は、見処たっぷりなので先に観た文楽の内容も結構覚えており楽しめたが、今回の後半は、文楽でもややこしい話で、4年以上経過していることもありなかなか思い出せなかった。

しかし、役者陣は歌六、芝翫、時蔵、菊之助を中心に、病気による菊五郎の休演をはね飛ばさんと気合の入った様子。芝翫はますます貫禄が付いた。彦三郎は相変わらずよく通る声。梅枝が珍しく立役。菊五郎の代役も務めた時蔵は最後は藤原鎌足役で髭を生やしていたのも初めて観たよ。
米吉は今も可愛らしい娘役が似合うが、6年後はどうなっているだろう。菊之助も美しい娘役(二役)だったが、少し太っていたな。

初代国立で最後に観る舞台としては消化不良だったのが残念だった。時間を作って再度挑戦するべ。

♪2023-177/♪国立劇場-12

2023年9月8日金曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」

2023-09-08 @国立劇場大劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第1部>三幕
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  春日野小松原の場
二幕目  太宰館花渡しの場
三幕目  吉野川の場

太宰後室定高⇒中村時蔵
蘇我入鹿坂東⇒坂東亀蔵
久我之助清舟⇒中村萬太郎
腰元小菊⇒市村橘太郎
采女の局⇒坂東新悟
太宰息女雛鳥⇒中村梅枝
大判事清澄⇒尾上松緑
       ほか



「妹背山婦女庭訓」は文楽発祥の大作で、文楽では19年に《国立文楽劇場開場35年》の記念興行で、2公演にわたって(10:30〜21:00という長丁場!)通し狂言として演じられたのを初めて観て大いに感心した。もう一度観たいと思っていたが、今回は歌舞伎で観ることができた。

歌舞伎版は初めてだったが、やはり大作なので、何かの記念公演で演じられることが多いようだ。今回は、《初代国立劇場さよなら特別公演》ということで、今月と来月に2公演に分けて通し狂言として演じられる。

核となる場面は「妹山背山の段」で歌舞伎では「吉野川の場」とタイトルが変わっているが、舞台装置は文楽と全く同様で、桜満開の吉野に敵味方に分かれた両家の別荘が、吉野川を挟んで対峙している。その舞台の美しいこと。

文楽でいう、太夫が三味線に合わせて語る「床」は、文楽の「妹山背山の段」と同様上手・下手の両方に設えてある。

文楽では人形の寸法に合わせて舞台も小ぶりだが、歌舞伎では言うまでもなく人間サイズだから、特に豪華に見える。
そして、極めて珍しい両花道を使って舞台全体が立体的に構成してあって、製作陣の意気込みを感ずる。


物語は、説明不可だ。大勢登場し、我が子の首を切ったり、首が嫁入りしたりと荒唐無稽だ。
寛大な気持ちで臨まなければこの話を楽しむことはできない。

♪2023-151/♪国立劇場-09

2019年5月16日木曜日

国立文楽劇場開場35周年記念 人形浄瑠璃文楽05月公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」第2部

2019-05-16 @国立劇場


通し狂言「妹背山婦女庭訓」
(いもせやまおんなていきん)

●第二部(午後3時45分開演〜午後9時終演予定)
 三段目
  妹山背山の段
   背山:千歳太夫・藤太夫<文字久太夫改>/藤蔵・富助
      妹山:呂勢太夫・織太夫/清助・清治*・清公

 四段目
  杉酒屋の段
   津駒太夫/宗助
      道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)
   芳穂太夫・靖太夫・希太夫・咲寿太夫・
   碩太夫/勝平・清丈・寛太郎・錦吾・燕二郎
      鱶七上使の段
   藤太夫/清馗
      姫戻りの段
   小住太夫/友之助
      金殿の段
   呂太夫/團七
     
人形▶簑紫郎・簑助*・玉助・玉男・和生*・一輔・
   清十郎・勘十郎・分司・玉志・ほか

*人間国宝


第2部は「妹山背山の段」から始まる。話は、序盤で出会った若い久我之助と雛鳥の、両家(の親)が争っているが故に恋を成就できない悲劇の物語だ。どこが「大化の改新」と繋がるのか、これは相当無理がある。しかし、ここでは、そんなことはどうでも良い。最終的にはそれなりに繋がるのだから。

さて、第1部の開幕前に客席に入るとすぐ気がついたことは、太夫・三味線が座る「床」が、今回の公演では2カ所にあるということだ。通常は舞台上手側の客席に張り出している。今回は、下手にも全く同様の「床」が誂えてあった。左右対照に向かい合っているのだ。こんな形を見るのは初めてなので、どういう風に使うのだろうと、疑問に思っていたが、第1部では結局使われなかった。

第2部冒頭の「妹山背山の段」ではその両方の床に太夫と三味線が位置した。舞台上は中央に吉野川が舞台奥から客席側に向かって流れている。川を挟んで下手が妹山側で、こちらに雛鳥が住む太宰の館があり、上手は背山側で、大判事の館には久我之助が住んでいる。互いに顔は見合わすことができるが、川を渡ることは禁じられている。
この2人に、それぞれの家の立場の確執が元で悲劇が生ずる。
それを、左右の床で語り分け、掛け合うのが素晴らしい。
この段の三味線も義太夫も人形も、悲劇的な筋書きも相まって鳥肌ものの緊張が続く。この段だけで休憩なしの約2時間という長丁場。いやはや興奮の連続だ。

ここでは、千歳太夫、藤太夫、呂勢太夫、織太夫の義太夫も人間国宝・鶴澤清治ほかの三味線も迫力満点でゾクゾクしてくる。
人形の方も、吉田簑助・吉田和生と人間国宝が登場し、文楽界の3人しかいない人間国宝が全員、この段に投入されているのだ。この贅沢感は目眩がするほどの興奮をもたらしてくれる。

が、この段が終わると、物語はまた木に竹継いだような運びになる。

藤原鎌足の息子・藤原淡海(求馬)を巡る、彼の政敵・蘇我入鹿の妹・橘姫と酒屋の娘・お三輪の三角関係の話が続き、その過程で女性の守るべき教え=「婦女庭訓」のエピソードがほんの少し登場してタイトルの辻褄を合わせる。
橘姫を追って入鹿の屋敷に入った求馬をお三輪も追いかけたが、彼女にはその屋敷の中で思いもよらぬ運命が待っていた。

全体としてはかなり無理のある継ぎ接ぎだらけの話なのだけど、最終的には藤原勢が入鹿を追い詰めるということで、大化の改新の大筋は保っている。また、継ぎ接ぎを構成するそれぞれの話が、各個独立して面白いので、全体の整合性はともかく、大いに楽しめる。いやはやびっくりするほど楽しめる。

♪2019-065/♪国立劇場-07

国立文楽劇場開場35周年記念 人形浄瑠璃文楽05月公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」第1部

2019-05-16 @国立劇場


通し狂言「妹背山婦女庭訓」(いもせやまおんなていきん)

●第一部(午前10時30分開演)
 大   序
  大内の段
   碩太夫・亘太夫・小住太夫・咲寿太夫/
   清允・燕二郎・錦吾・清公
      小松原の段
   芳穂太夫・咲寿太夫・南都太夫・
   文字栄太夫・津国太夫/團吾
      蝦夷子館の段
   口:亘太夫/清公
   奥:三輪太夫/清友

 二段目
  猿沢池の段
   希太夫/友之助
      鹿殺しの段
   碩太夫/錦吾
      掛乞の段
   睦太夫/寛太郎
      万歳の段
   織太夫/清志郎・清允
      芝六忠義の段
   切:咲太夫/燕三

 三段目
  太宰館の段
   靖太夫/錦糸
     
人形▶玉佳・玉勢・紋臣・簑太郎・玉助・簑紫郎
   玉男・文司・清十郎・玉也・勘次郎・
   簑二郎・和馬・勘十郎・ほか

今月は、国立文楽劇場会場35周年の記念であり、令和に改元後最初の公演ということもあってか、日本で初めて元号が定められた「大化の改新」を題材にした超大作が、昼夜2部に及ぶ通し狂言として上演された。
第1部は10時半から。第2部終演は21時という時間割だが、これだけ長いと日を分けて鑑賞するのが普通だと思うが、今月はやたら忙しいので、1日で一挙に観てしまうことにした。もちろん幕間はあるし、1部終演後2部開演までにもお客の入れ替えの時間があるが、入館してしまえば出るまで拘束10時間半だ。
これはかなり体力が必要で、若干、不安もあったが、始まってみると実に面白くて、疲労など全然感じるどころではなかった。

この演目は、初めての鑑賞だ。およその筋書きは頭に入っていたが、まあ、登場人物が多く、最初のうちはなかなか彼らの関係性が飲み込めず、買ったプログラムの「人物相関図」などをチラチラ見ながら、なんとかついてゆくという感じだった。

ややこしいのは人間関係だけではなく、そもそもの筋書きがもう破天荒なのだ。
中大兄皇子(天智天皇)、藤原(中臣)鎌足側と、蘇我蝦夷・入鹿親子側との権力争いが大筋である(こういう狂言を「王代物」というらしい。)が、タイトルからしても違和感があるように、途中では室町か鎌倉の時代物風になったり、さらには江戸時代の世話物の様な話も加わり、元の大筋はだんだんとボケてゆき、まるで違う話が2つ3つ合わさっているようだ。

まあ、面白ければなんでもあり、という文楽・歌舞伎の庶民芸能の面目躍如だ。

第1部では文楽版ロメオとジュリエットとも言える久我之助(こがのすけ)と雛鳥の出会いを描く「小松原の段」、天智帝やその部下が大納言兼秋らが匿われているあばら家に掛け取りに来た商人とのトンチンカンなやりとりを描く「掛乞いの段」、親子の犠牲を描く「芝六忠義の段」が印象的だった。

♪2019-064/♪国立劇場-06