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2023年7月29日土曜日

横濱音楽物語1️⃣

2023-07-29 @フィリアホール



バリトン:坂下忠弘(加耒徹から急遽交代)
ピアノ:實川風
バイオリン:小林美樹
バイオリン:毛利文香
ビオラ:有田朋央
チェロ:門脇大樹

ドボルザーク:弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 Op.51より 第1-3-2楽章
【小林(1st)、毛利(2nd)、有田、門脇】
 ※当時のプログラムの記載通りに、楽章抜粋・演奏順を変更して演奏します。
ワーグナー:レチタティーヴォとロマンス
 ~楽劇『タンホイザー』第3幕から「夕星の歌」(「優しき夕星よ」)
【坂下、實川】
グリーグ:バイオリン・ソナタ第3番ハ短調 Op.45
【小林、實川】
シューマン:
 ひそやかな涙 ~12の詩 Op.35から第10曲
 献呈 ~歌曲集「ミルテの花」Op.25から第1曲
【坂下、實川】
ブラームス:ピアノ四重奏曲イ長調第2番 Op.26
【毛利、有田、門脇、實川】




日本の近代化は横浜で始まった。西洋音楽も然り。
フィリアホールが企画した5年がかり計6回の「横濱音楽物語」の今日は第1回目。今回は黎明期のクラシック演奏会を再現しようとするもの。

山手の丘に今も名前を残すゲーテ座で、1907年(明治40年)、居留民の演奏による居留民の為の演奏会が行われた。
今日のプログラムは、それをそっくり再現したもの。

ドボルザーク、ワーグナー、グリーグ、シューマン、ブラームスと並ぶと、現代人にとってはなんの違和感もないプログラムだが、116年前の人たちにとっては、ほぼ《現代音楽》が並んでいるというところが興味深い。

早く亡くなった順で一番のシューマンこそこの演奏会の51年前に亡くなっているが、ワーグナーは24年前まで生きていた。ブラームスは10年前、ドボルザークは3年前まで生きていた。グリーグは生存中だ。

今の日本に引き直すと、伊福部昭、早坂文雄、久石譲、吉松隆などの作品集を聴くようなものか。

僕も116年前に戻ったつもりで、音楽を聴いてみた。
とはいえ、もう、耳馴染みばかりなので、これらを現代音楽として聴くことは難しかったのだけど、無理無理明治人になり切ってみると、少なくともシューマン、ブラームス、ドボルザークにはそれまでの古典派にはみられない奏法やフレージングに、な〜るこの辺は新しいな、と思ったりもして良い経験ができた。

演奏するのは、今、まさに匂い立つような旬の中堅どころ。全員、横浜に縁のある演奏家ばかりだというが、我が小林美樹❤️以外は横浜とどういう縁があるのか知らない。

Brの加耒徹が不都合で急遽坂下忠弘に変わったが、当然、プログラムに変更はなく、「夕星(ゆうずつ)の歌」と「献呈」が聴けたのも嬉しいことだった。

♪2023-132/♪フィリアホール-03

2022年12月6日火曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく Vol.5 〜神奈川フィル首席チェリスト 門脇大樹による 朝のチェロ名曲〜

2022-12-06 @かなっくホール

門脇大樹:チェロ
ゴウ芽里沙:ピアノ

エルガー:愛の挨拶
フォーレ:シシリエンヌ
プーランク:愛の小径
フォーレ:夢のあとに
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
サン=サーンス :く動物の謝肉際>から「白鳥」
フォーレ:エレジー
ドビュッシー:ピアノとチェロのためのソナタ
-------Enc--------------
ドビュッシー:美しい夕暮れ



2月に一度の神フィル面子によるシリーズ。
今日はチェロ首席の門脇大樹のリサイタル。
サッカーで朝まで起きていて睡眠時間極少なのに11時からの演奏会って辛い。

が、その第一声の見事な事。
身体中の全器官がいっぺんに覚醒した。

チェロ&ピアノは、5日前に堤剛/萩原麻未をみなとみらい大ホールで聴いたばかり。そのやや重のプログラムも聴き応えがあったが、今日はかなっくホールの良い響きに乗せてチェロとピアノの生々しい美音で綴る仏音楽の魅力を味わう。

やはり器楽リサイタルは小ホールに限るな。
大ホールとは別次元の体験だ。

英国製「愛の挨拶」は本当の”挨拶”代わりだったのだろう。
その後は全作仏製でお馴染みの小品名作ばかり。最後は技術的にも骨のあるドビュ・ソナタだが、これも12分程度。
楽器の音色が繊細で指板を指が滑る音、ピアノのペダルを離す際の微かな摩擦音までクリア。

曲調とも相俟って艶めかしく悦楽の1時間。


♪2022-185/♪かなっくホール-13

2021年9月25日土曜日

第17回身体にいい音楽会<室内楽演奏会>

 2021-09-25 @リリスホール


泉真由:フルート
宮村和宏:オーボエ
小林美樹:バイオリン
須田祥子:ビオラ
門脇大樹:チェロ


モーツァルト:フルート四重奏曲第1番ニ長調 K.285
J.C.バッハ:五重奏曲ハ長調 Op.11-1

医療講演:小林修三<モーツァルトの音楽と病>

ハイドン:ロンドン・トリオ第1番ハ長調 Hob IV-1
モーツァルト:オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370
ジュースマイヤー:五重奏曲ニ長調 SmWV 602


こんな名前の音楽会シリーズがあるとは知らなかった。

本郷台駅前のリリスホールも初めて。よく鳴るホールだった。

途中に医師の講演が。

これがなかなか良い話で<モーツァルトの音楽と病について>。


話を聴いてモーツァルトの音楽に対する聴き方が変わったように思う。


弦が3人+フルート+オーボエで、トリオから五重奏曲まで全5曲。


冒頭のモーツァルト:フルート四重奏曲第1番は大好きな曲。

後半のモーツァルト:オーボエ四重奏曲は昨日の新日フィル定期でのオーボエ・アンコールでその第2楽章だけ聴いたのを今日、全曲を聴く事ができるたとは良い偶然。


モーツァルトの弟子で「レクイエム」を完成させた事で有名なジュスマイヤーの五重奏曲は初めてだが、その音楽はモーツァルト風というよりハイドン風だった。


やっぱりモーツァルトには哀愁がある。


僅か35年の人生は病との闘いでもあったようだ。

僕のような非力の凡人は、ちょっと体調が悪いともう何にもする気が起こらないが、モーツァルトはそれと闘い、生命を削って美しい音楽を書き上げたと思うと、前述の2つの四重奏曲の第2楽章に心洗われる思いがした。 


彼の「哀愁」は病の中から生まれた厭世観を反映しているのだろうか。


因みに、医学講演の先生はこの会の主催者でもあると同時に、ある有名な音楽家の父君でもある。

初めて謦咳に接し、この父ありてこの娘ありか、と納得した。


♪2021-101/♪リリスホール-01

2021年4月6日火曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ《名曲の午後》第14回 「ベートーベンの『大公』」

 2021-04-06 @フィリアホール



バイオリン:石田泰尚(首席ソロ・コンマス)* **
バイオリン:直江智沙子(第2バイオリン首席)*
ビオラ:大島亮(ビオラ奏者首席)*
チェロ:門脇大樹(チェロ首席)* **
ピアノ:津田裕也**

ベートーベン:
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 Op. 74「ハープ」*
ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 Op. 97「大公」**
----------------
ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調 Op. 11「街の歌」から第2楽章**

先月末から今日迄はいわば「室内楽週間」だった。
ピアノ・トリオ→バイオリン・デュオ→弦楽五重奏→今日の弦楽四重奏とピアノ・トリオだ。

今日の公演は神奈川フィルの弦・首席で構成している室内楽シリーズ。

これが「週間」の最後で幸いだった。

最初に聴いていたら他の公演は残念なものになったろう。

今日は弦楽四重奏曲第10番「ハープ」とピアノ・トリオ第7番「大公」。

前者も爽快に聴いたが、トリオになって様相が変わった。
ピアノが入ってバイオリンもチェロも少し舞台前方に位置を変えたせいもあったか、2本の弦が四重奏の時より遥かに雄弁になった。音は微細音から脂を飛ばすような強音までダイナミックレンジが上がり、一層明瞭に、生き生きとしだした。

これこそ生でなければ味わえないアンサンブルの妙だ。

このトリオ(石田/門脇/津田)では昨年1月にベートーベンのピアノ・トリオ全曲を聴いて、燃え尽くした感があったが、今日の演奏を聴くとなおも高みに挑んでいるように思う。


石田が白井圭に代われば<トリオ・アコード>となる。
これは「週間」の最初に聴いた。

その出来が悪かったとは言うまい。

ドボルザーク「ドゥムキー」の面白さはブラームスに勝てず、ブラームスさえベートーベンには勝てない。

石橋メモリアルホールの響きもフィリアホールには及ばず。


ともかく中7日で、2/3が同じ演奏家によるピアノ・トリオを聴き、かくも異なる興趣を与えるものかと驚いた。

石田組長、恐るべし。

♪2021-035/♪フィリアホール-01

2021年3月29日月曜日

東京・春・音楽祭2021 Trio Accord―白井圭、門脇大樹c、津田裕也

 2021-03-29 @石橋メモリアル


トリオ・アコード
 バイオリン:白井圭
 チェロ:門脇大樹
 ピアノ:津田裕也

ドボルザーク:ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調 op.21
マルティヌー:ピアノ三重奏曲第2番二短調 H.327
ドボルザーク:ピアノ三重奏曲第4番ホ短調 op.90 《ドゥムキー》
----ENC-------------------
ドボルザーク:我が母の教え給いし歌





トリオ・アコードを聴くのは3回目だが、門脇・津田のコンビは石田組長と組んだトリオでもよく聴いている(し、来週もフィリア・ホールで「大公」ほかを聴く予定。)。

いつも大抵聴き終えて満足度が高い。
この日も、3人ともとてもきれいな音で繊細なアンサンブルを聴かせてくれた。

しかし、大満足とは言えず。

理由その1:
《ドゥムキー》はドボルザークのピアノ・トリオ全4曲中、僕が唯一馴染んでいる曲だけど、何を隠そう、何度聴いても素直に共鳴できないでいる。

全6楽章はいずれも民族舞踊風で親しみやすいが、全体として構成感に欠けるので落ち着かない。

理由その2:
また、この日のホールは響きすぎで、絡み合う中にも各自の音が際立つ面白さに乏しかった。

♪2021-030/♪石橋メモリアル-01

2020年1月13日月曜日

ベートーベン ピアノ三重奏曲 全7曲演奏会 〜石田泰尚 Vn /門脇大樹 Vc /津田裕也 Pf〜

2020-01-13 @みなとみらいホール


石田泰尚:バイオリン
門脇大樹:チェロ
津田裕也:ピアノ

ベートーベン「ピアノ三重奏曲」全曲
Part 1
第1番変ホ長調 Op.1, No.1
第2番ト長調 Op.1, No.2
第3番ハ短調 Op.1, No.3
第4番変ロ長調「街の歌」Op.11

Part 2
第5番ニ長調「幽霊」Op.70, No.1
第6番変ホ長調 Op.70, No.2
第7番変ロ長調「大公」Op.97

ベートーベンイヤーの開幕にふさわしいベートーベン:ピアノ3重奏曲全7曲の<全曲演奏会>だ。
拘束6時間30分。
夕食中断を除いた正味が4時間15分と、ワーグナー「神々の黄昏」も吃驚の長尺演奏会。

そしてかくも長いにもかかわらず、一瞬もダレルことがない。これほど高密度の演奏会は極めて稀だ。

まだ1月13日にして、既に2020年のベストかも!

いや、この演奏会を超えるものが一度も聴けないなんてそんなことがあっては情けない。せめて同率ベスト5くらいに収まって欲しいが、そんな気持ちにさせる得難い音楽体験をさせてもらった。

このトリオ、特段トリオ名がないようだ。今回、この演奏会のために編成したトリオである。とは言え、石田・門脇は同じ神フィルの仲間。津田は石田との共演が多い。門脇と津田はトリオ・アコードの面子で白井圭が石田に変わったのが今日のトリオだ。

いずれも気心知れた仲間で完璧なまでの合奏力。

徹頭徹尾丁寧で美しい音色で全曲通す石田のバイオリン。
門脇のチェロもピアノ低域と溶け合うユニゾンなどゾクゾクさせる。

この演奏を素晴らしい響のみなとみらい小ホールで聴けたことも幸運だった。
石田と白井圭とは趣が違うがこのトリオも是非再度聴いてみたい。


最初の6曲はまるで1年程度の短期間(実際は13年強を要している。)に作曲したのかと思うほど、重複感がなく、次々と新しい試みに溢れている。
それでいて、順番どおり聴いてゆくと一つの大伽藍が完成するような気になる。

そして最後の大物「大公」はなんと豊かな楽想だろう。ピアノ・トリオの最高傑作と言われているが、今日の演奏を聴くとまさしくそのとおりで、チャイコフスキーやメンデルスゾーンなど他にも好きなピアノ・トリオはあるが、やはり音楽性、格式など、到底「大公」に太刀打ちできるものではなく、次元の異なる楽しみとして聴くべきだと強く思った。

第7番「大公」は全7曲中でも一番有名で聴く機会も一番多かったが、今日は引き込まれて集中したから発見も多かった。

第2楽章の冒頭のVcの旋律が変ロ長調の主音から始まる上行音階そのままを絶妙に刻んだものだとは!ベートーベン交響曲1番の終楽章も似た趣向だが、あれは属音から少しずつ小出しに上行する仕掛けなので聴いていてもすぐ分かるが、まさか音階そのままだとは!

第3楽章から終楽章へはアタッカでD長調からBb長調へ転調する。そのままでは繋がりが悪いので最後の1小節はその前小節と同じ音形を使いながら和音が変わる。第3楽章の主和音DからD減7で不安を煽って終楽章B♭の主和音の7th(?)が引き継ぐが真の解決は持ち越し。この和音1つが齎す変化が絶妙で燃えた。

いやはやベートーベンこそ西洋音楽の核心だという平凡な事実をベートーベン漬けの半日で思い知らされた気がする。

♪2020-005/♪みなとみらいホール-01

2019年11月16日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第353回

2019-11-16 @みなとみらいホール


カーチュン・ウォン:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

﨑谷直人:バイオリン*
門脇大樹:チェロ*

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
ブラームス:バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102*
エルガー:変奏曲「エニグマ(謎)」Op.36
---------
J.S.バッハ:インヴェンション第1番ハ長調 BWV772(Vn+Vc版)*

2年半前に初めてカーチュン・ウォンの指揮で聴いたのも神奈川フィル。その時にとても良い印象を受けた。久しぶりに見るウォン氏は少し太って貫禄が出てきた。見た目も大切だ。オケとの交流も進んだようで、隅から隅まで彼がコントロールしているように聴こえる。

聴きなれた「タンホイザー」序曲も管弦楽曲としてなかなか面白いなあと再発見。
ブラームスのダブル・コンチェルト。出だしの迫力が欠けたが、その後は安心して楽しめた。独奏2人がオケの常任だから、みんなが応援して良い音楽にしようとしているのが伝わってきた。

珍しくホールの響きが固かったのはどうして?
いつももっと良い響きだけど?

♪2019-179/♪みなとみらいホール-51

2019年8月26日月曜日

ウィークデーコンサートシリーズ2019 第59回トリオ・アコード ピアノ三重奏

2019-08-26 @フィリアホール


トリオ・アコード Trio Accord
白井圭:バイオリン
門脇大樹:チェロ
津田裕也:ピアノ

モーツァルト:ピアノ三重奏曲第5番ハ長調 K.548
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 op.49
------------------
メンデルスゾーン:歌の翼に

津田:ピアノ、門脇:チェロ、白井:バイオリンによるピアノ・トリオは、前回ブラームスのピアノトリオ全3曲をみなとみらいホールで聴いて、これが素晴らしかったが、今回はチケット購入に出遅れて、舞台上手バルコニーしか空いていなかったが、それで諦めるのも惜しいと思って買ったが、やはりこういう席は良くない。
音は、すぐ下を見下ろせば3人いるのだから近くていいのだけど音のバランスが悪い。右耳しか音が入ってこないような感じだ。

本当は、あちこち反射した音が両方の耳に入ってくるのだけど、原音は右側に集中して聴こえる。
身体を45度くらい右向きに捻って聴けば少しマシだけど、それでは腰が痛くなる。
結局、音楽に集中できない。

息の合った、今が旬といえる実力派中堅のトリオ。
入魂できれば、新しい発見ができたような気がするが、残念なことだった。

僕は、聴くホール・席にこだわり過ぎかとも思うけど、やっぱり、場所によっては、音は聴いているはずなのに音楽体験できない場合がある。

正面席であっても、音源から遠くても近過ぎてもダメ。程よい距離でもあって中心軸から外れ過ぎているのもダメ。
音楽は眼で聴くものだが、身体を捻って見るものでもない。

そんなことで、席には大いにこだわっている。高価か安価かという問題ではない(現実は良い席ほど高い!)。良い響きが得られるかどうかが大切。それと音の好みというのもある。
やむなく、そのこだわりを通せず好みに合わぬ席で聴くと、音楽鑑賞は寧ろストレスだ。

♪2019-126/♪フィリアホール-01

2018年11月13日火曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 トリオ・アコード

2018-11-13 @みなとみらいホール


ピアノ三重奏団「トリオ・アコード」
 白井圭:バイオリン
 門脇大樹:チェロ
 津田裕也:ピアノ

【第1部】
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 作品8
-----------アンコール
ブラームス:ワルツ 作品39 から 第15番(ピアノ三重奏版)

【第2部】
ブラームス:ピアノ三重奏曲第2番ハ長調 作品87
ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番ハ短調 作品101
-----------アンコール
ブラームス:子守唄(ピアノ三重奏版)

ブラームスのピアノ三重奏曲全曲という硬派の演目が、小ホールと言え1部・2部とも満席だったのには驚く。

「トリオ・アコード」は津田祐也ピアノ、白井圭バイオリン、門脇大樹チェロが編成。いずれも室内楽、オーケストラでも活躍しているが、3人一緒でトリオで聴くのは初めて。
また、ブラームスのピアノ三重奏曲3曲全曲を通して聴くのも初めてだった。

みなとみらいホールは小ホールの方も響きが良くて、個々の楽器の音も重なりも美しい。

門脇のチェロは神奈川フィルの首席なので数多く聴いているが、ソロとしての音の良さに驚いた。

白井のバイオリンは先日のラザレフ+日フィルの定期で、ショスタコーヴィチの交響曲第12番という凄まじい大曲コンサートの客演コンマスの大役を努めたが、なるほどその実力は室内楽でも存分に発揮された。力強い。

ブラームスのピアノ三重奏曲全曲(だけに限らないが)に共通するのは、牧歌的だったり、メランコリックだったりの分かり易い主題が、決してそのまま情緒に流れることなく禁欲的に昇華され、弾けそうで弾けないギリギリの情念がコントロールされるところにこそむしろブラームスの秘めたエネルギーを感ずることだ。それがブラームスの魅力の一つだと思う。

とても3人で演奏しているとは思えないような精妙で重厚なアンサンブルが響き渡る空間で、美音に癒やされ、少しはブラームスの心境に近づけたような気もしたが。

♪2018-146/♪みなとみらいホール-32

2018年9月25日火曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ《名曲の午後》第11回 「室内楽によるブルックナーの『交響曲第7番』」

2018-09-25 @フィリアホール



石田泰尚:第1バイオリン/神奈川フィル首席ソロ・コンサートマスター
直江智沙子:第2バイオリン
大島亮:ビオラ
門脇大樹:チェロ
米長幸一:コントラバス
齋藤雄介:クラリネット
豊田実加:ホルン
中桐望:ピアノ
北村朋幹:ピアノ
西沢央子:ハルモニウム

ヒンデミット:朝7時に村の湯治場で素人の楽団が初見で演奏をする「さまよえるオランダ人」序曲
ブルックナー(E.シュタイン、H.アイスラー、K.ランクル編曲):交響曲第7番ホ長調WAB107(混合九重奏版)

ブルックナーの交響曲はマーラーほどではないが、毎年どこかのオケが取り上げるので、記録を残している2014年以降、僕は1年に4本弱平均で聴いている。とはいえ、全10曲もあるから、中には第1番のように生では聴いたことがない作品もあり、第2、6、8、9番は1度ずつしか聴いていない。多いのは第5番で、それに第4番と第7番が続く。
というわけで第7番は比較的聴く機会が多い。にもかかわらず、馴染みが少なく、あまり良い印象を持っていなかった。

今回、神奈川フィルの首席クラスで、室内楽としてブルックナーの第7番をやるというのでずいぶん楽しみだった。

「神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ《名曲の午後》」の前回はシューベルトのロザムンデ(原曲は弦楽四重奏曲)を弦楽十二重奏で演奏したのが面白かったが、今回は、弦5部各1人ずつにピアノ連弾、ホルン、クラリネット、ハルモニウムという非常に変わった編成の10人による九重奏だ。

こういう小編成でやると、各声部の動きがよく分かるので、その点では面白く聴いた。が、当然ながらオケのようなアンサンブルに厚みがないし、せめてティンパニーでも入っておれば迫力も出たろうけど、えらくおとなしい音楽になってしまった。

かの大作を、手軽に演奏してみる、という楽しみのために編曲されたのではないか。聴手より、むしろ演奏家たちの楽しみのための作品だ。

ロザムンデと異なって、この音楽は、やはり大規模なオーケストラで味わいたいな。

♪2018-118/♪フィリアホール-03

2016年5月11日水曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後~① 門脇大樹X津田裕也デュオ・リサイタル

2016-05-11 @みなとみらいホール


門脇大樹:チェロ
津田裕也:ピアノ

ショパン:
チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
序奏と華麗なポロネーズ ハ長調 Op.3
----------
アンコール
サン=サーンス:白鳥

今日からみなとみらいホール主催の「みなとみらいクラシックマチネ」シリーズが始まった。
これまでは「クラシック・クルーズ」(5回/年)という室内楽シリーズがあったが、それを引き継いだ形らしい。少し料金が高くなったとはいえそれでも破格の低料金で気楽に聴けるのがうれしい。これとは別に、「アフタヌーンコンサート」(10回/年)も購入したので、オーケストラ中心になりがちなコンサート・ライフも今年度は室内楽の比重が少しは高まるだろう。

で、その第1回は門脇大樹のチェロと津田裕也のピアノでショパンのチェロ・ソナタほか。
室内楽向きの小ホールは良い響を伝える。

とはいえ、ショパンのチェロ・ソナタは何度聴いても馴染めない。
ショパン最後の室内楽で、生前に発表された最後の作品ということが関係しているのだろう。この時期(死の3年前)は、聴衆のための作曲ではなくて、自分の内面を深く追求したのではないか。
このために、凡人の耳にはなかなかすんなり受け止められないのではないか…と思っておこう。


♪2016-64/♪みなとみらいホール-16

2015年7月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第5回定期演奏会

2015-07-04 @県立音楽堂


広上淳一:指揮

石田泰尚:バイオリン【ソロ・コンサートマスター】*
門脇大樹:チェロ【首席チェロ奏者】*
古山真里江:オーボエ【首席オーボエ奏者】*
鈴木一成:ファゴット【首席ファゴット奏者】*

細川俊夫:冥想 (日本初演)
ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Hob.Ⅰ-105*
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
-------------
アンコール
ハイドン:ディベルティメント*


細川俊夫という作曲家については全く知らなかったが、映画「死の棘」や「眠る男」の音楽も手がけているので、少なくともこれらは聴いたはずだけど、映画を観る時に作曲家はほとんど意識しないものなあ。

「瞑想」は東日本大震災の被災者に想いを寄せて作曲した作品だそうだ。本日、神奈川フィルによる日本初演に立ち会うことになった。

全体として津波の恐ろしさや、命を奪われた人達に対する鎮魂、祈りが現代音楽として表現されている。まあ、やや、重苦しいかな。

その後で、ハイドンが続くと救われた感じだ。

協奏交響曲変ロ長調はホーボーケンの番号からも分かるが、交響曲第105番ともカウントされているが、オーボエ、ファゴット、バイオリン、チェロが独奏楽器群で、これとオーケストラが協奏する全3楽章。典型的な交響曲のスタイルとは異なるので「協奏交響曲」と言われるのだろう。
4人のソリストのみによる室内楽的な部分も置かれている。
全体として、軽い。明るい。
ここでは調性を持った簡明な音の交わりが面白い。
ハイドンならではの魅力だ。

交響曲第100番ト長調は108曲もあるハイドンの交響曲の中で、第88番「V字」、第94番「驚愕」、第104番「ロンドン」などと並んでポピュラーな方だろう。
もっとも、このような「愛称」が付いていなければとても108曲を区別することはできない。愛称が付いているのは28曲だけだから、残る80曲の中にもチャーミングな作品は現にあるのだけど、コンサートではほとんど取り上げられないし、CDで聴いて魅力を感じても数が多すぎて覚えられない。

もう、何年も前にハイドン全作品CD150枚セットを購入して、交響曲については第1番から順番に聴いているけど、この昇順聴破は時にザロモン・セット(第93番以降)に飛んだりするので、第66番で止まっており、僕にとって70番~80番台にはなかなか届かないでいる…。
と、いうのは余談だ。

この第100番が「軍隊」と呼ばれるようになった理由は、トライアングル、シンバル、大太鼓というトルコ軍楽隊発祥の楽器の組合わせが第2楽章、第4楽章に取り入れられているからだそうだ。
後期ロマン派以降の多種多様な楽器編成と大規模な管弦楽に慣れた耳にはこのような楽器が混じっているくらいでは少しも奇異に感じないのだけど、当時の管弦楽の編成からは非常に斬新だったのだろう。
ここにもハイドンの工夫や遊び心が現れている。

音楽堂はとても残響が短くてオーケストラの響も固く聴こえるのだけど、この日はお湿りもあって、そのせいか分からないけど、いつになくまろやかな響だった。
もちろん、広中御大のエネルギッシュな指揮が神奈川フィルから豊かな響を引き出したののかもしれないのだけど。

♪2015-61/♪県立音楽堂-06

2015年2月14日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第3回定期演奏会

2015-02-14 @県立音楽堂


川瀬賢太郎(常任指揮者)
半田美和子(ソプラノ)
門脇大樹(首席チェロ奏者)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

リゲティ:ミステリー・オブ・マカブル
ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIb:1
ハイドン:交響曲第60番ハ長調Hob.I:60「うかつ者」
---------------------
アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番からプレリュード


今日の3本はどういうコンセプトなのか。
プログラムには「音楽は全てお芝居だ」ということらしいが、相当無理がある。そんなことでこの3本がくっつくのならどんな3本だって組めそうだ。


ジョルジュ・リゲティ(1923-2006)という人の名前は初めて聞いた。
ハンガリーの超前衛作曲家だ(もっとすごい曲を書く人もいるとは思うけど。何しろ、ピアノの前で座ったきり音を出さないで帰る、という作品の<作曲家>もいると聞くから)。

トーン・クラスターとかミクロ・ポリフォニーといった技法の得意な人らしい。と書いたけど、説明能力はない。

「ミステリー・オブ・マカブル」はソプラノに管弦楽が伴奏?するスタイルだけど、歌う訳ではない。歌とはいえない。
呻き声、裏声、金切り声、雷声、嗄れ声、癇声、甲声、歓声、奇声、擬声、叫声、笑い声、濁声、怒声、喚き声…etc。およそあらゆる音を発してそのほとんどは意味が無い(ところどころ意味が聞き取れる場合があった。それは簡単な英語だったり日本語だったりするので。)。

不規則なリズム、というかリズムもないようなものだけど、こんな音楽を合わせるのは容易なことではないな。



でも、ソプラノも管弦楽も格別破綻もなく演奏が終わった。
面白かったか?と尋ねられたら、面白かったと答えよう。

7分程度の曲だ。
こういうとんでもない作品を、作ってみたいという気持はよく分かる。

次のURLはこの作品の一部だ。

リゲティの作品の中ではポピュラーな部類に入るらしいピアノ練習曲第13番「悪魔の階段」が以下のURLだ。
これなんかは「ミステリー~」に比べるとずっと分かりやすく面白い。

今回、NETでこの作曲家のことを調べて分かったのだが、なんと、映画「2001年宇宙の旅」でも彼の作品が使われているそうだ。
オーケストラのための「アトモスフェール」(1961)、オーケストラと声楽のための「レクイエム」(1965)、無伴奏合唱のための「ルクス・エテルナ」(1966)、3人の独唱者とアンサンブルのための「アヴァンチュール」(ノークレジット)(1962)だという。

この映画ではR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りぬ」やJ・シュトラウスの「美しく青きドナウ」が有名だけど、リゲティの音楽が4曲も使われていたなんて大いにびっくり。

映画の公開は68年だから、監督のキューブリックは、出来たての、いわば評価の確立していない音楽を自作に使ったのだ。これも驚きだ。


ハイドンは2曲とも良かった。
チェロ協奏曲はどちらかと言えば第2番が好き(多分こちらがポピュラーだろう)で、第1番のナマは初めて聴いた。楽しめた。

交響曲第60番はハイドンのユーモアが溢れた作品だ。
元は劇伴音楽だったせいか、全6楽章構成という珍しい構成だ。
途中にも吹き出しそうな部分があるけど、とりわけ終楽章の仕掛けはおかしい。
僕は手持ちのCDで何度も聴いているから知っていたけど、初めて聴いた人は大いにびっくりして、事故が起こったと思うだろうな。
ハイドンて、ホンに憎いやつだ。


♪2015-14/♪県立音楽堂-01

2014年9月14日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団:2014年度 みなとみらい年間会員交流イベント

2014-09-14 @はまぎんホールヴィアマーレ


川瀬賢太郎(常任指揮者)
永峰大輔(副指揮者)

メンデルスゾーン⇒ピアノ三重奏曲第1番Dm Op49から第1、2、4楽章

Vn:﨑谷直人
Vc:門脇大樹
Pd:梅村百合

石田泰尚 ミニ・リサイタル
ピアソラ⇒アディオス・ノニーノ/「タンゴの歴史」より’現代のコンサート’
ビジョルド⇒エル・チョクロ
ガーデ(大橋晃一編曲)⇒ジェラシー

Vn:石田泰尚
Pf:中島剛

神奈川フィル次期定期プログラム発表
懇談会


今日の催しは、交流会(来季の定期演奏会のプログラム発表や常任指揮者、コンマスなどと定期会員との懇談・撮影・サイン会)が主眼だったので、時間の制約もあったのだろうけど、演奏会はオマケ程度のミニコンサートだった。

事前に「~から」と案内もされていたが、楽しみだったメンデルスゾーンのピアノトリオ第1番は第3楽章が省略された。
第3楽章は3分強という一番短い楽章なのに、何もこれを外さなくともいいではないか。

今日のトリオは神奈川フィルの首席(バイオリンとチェロ)にピアノの梅村百合さんを加えた編成で、7月にも同じメンバーでハイドンのピアノ三重奏曲を聴いている。
トリオとして本格的に活動しているのではないのだろうけど、息が合っているように思う。前にも感じたけど、各楽器が出しゃばらず音量のバランスがとても良い感じだ。

後半は、神奈川フィルの顔ともいうべきソロ・コンサートマスターの石田泰尚のタンゴ・リサイタル、と言っては不正確かもしれないけど、ピアソラを中心に情熱的な古典タンゴから、超絶技巧ぽい現代曲を計4曲。
いつ聴いてもこの人の演奏は気合が入っている。
もう少し愛想よくすればどっと人気が出るんだろうけど、硬派を気取っているところが魅力なのかもしれない。石田氏の演奏スタイルを見ていると、ケレン味たっぷりで、コンマスってこのくらいの存在感がなくちゃなあといつも納得してしまう。


みなとみらいの横浜銀行本店内にある「はまぎんホールヴィアマーレ」というところは初めて入った。
客席500人強の多目的ホールだが、今日は、後ろ半分は使っていなかったので、観客は250人位だったのかも。
前から4列目の中央という、室内楽を聴くには好都合な場所を確保したが、この辺だとコンサート専用ホールでなくとも、チェロの柔らかい中低音、ヴァイオリンの繊細な高音、ピアノのキラメキとすっきり抜ける重低音が実にきれいだ。

そろそろ各オーケストラの来季の予定が発表される時期になったようだ。
神奈川フィルの3つの定期演奏会がその先陣を切って今日発表された。
再来年(2016年)の3月までの予定が入った訳だ。
なんか、あまりに先のことで呆然とする。それまで健康で過ごしたいな。

♪2014-84/♪はまぎんホールヴィアマーレ-01