2021年4月6日火曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ《名曲の午後》第14回 「ベートーベンの『大公』」

 2021-04-06 @フィリアホール



バイオリン:石田泰尚(首席ソロ・コンマス)* **
バイオリン:直江智沙子(第2バイオリン首席)*
ビオラ:大島亮(ビオラ奏者首席)*
チェロ:門脇大樹(チェロ首席)* **
ピアノ:津田裕也**

ベートーベン:
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 Op. 74「ハープ」*
ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 Op. 97「大公」**
----------------
ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調 Op. 11「街の歌」から第2楽章**

先月末から今日迄はいわば「室内楽週間」だった。
ピアノ・トリオ→バイオリン・デュオ→弦楽五重奏→今日の弦楽四重奏とピアノ・トリオだ。

今日の公演は神奈川フィルの弦・首席で構成している室内楽シリーズ。

これが「週間」の最後で幸いだった。

最初に聴いていたら他の公演は残念なものになったろう。

今日は弦楽四重奏曲第10番「ハープ」とピアノ・トリオ第7番「大公」。

前者も爽快に聴いたが、トリオになって様相が変わった。
ピアノが入ってバイオリンもチェロも少し舞台前方に位置を変えたせいもあったか、2本の弦が四重奏の時より遥かに雄弁になった。音は微細音から脂を飛ばすような強音までダイナミックレンジが上がり、一層明瞭に、生き生きとしだした。

これこそ生でなければ味わえないアンサンブルの妙だ。

このトリオ(石田/門脇/津田)では昨年1月にベートーベンのピアノ・トリオ全曲を聴いて、燃え尽くした感があったが、今日の演奏を聴くとなおも高みに挑んでいるように思う。


石田が白井圭に代われば<トリオ・アコード>となる。
これは「週間」の最初に聴いた。

その出来が悪かったとは言うまい。

ドボルザーク「ドゥムキー」の面白さはブラームスに勝てず、ブラームスさえベートーベンには勝てない。

石橋メモリアルホールの響きもフィリアホールには及ばず。


ともかく中7日で、2/3が同じ演奏家によるピアノ・トリオを聴き、かくも異なる興趣を与えるものかと驚いた。

石田組長、恐るべし。

♪2021-035/♪フィリアホール-01