ラベル ミヒャエル・ザンデルリンク の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ミヒャエル・ザンデルリンク の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年11月21日水曜日

東京都交響楽団 第864回 定期演奏会Aシリーズ

2018-11-21 @東京文化会館


ミヒャエル・ザンデルリンク:指揮
東京都交響楽団

河村尚子:ピアノ*

クルト・ワイル:交響曲第2番
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番変ニ長調 op.10*
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調 op.54
--------アンコール
プロコフィエフ:10の小品 作品12-7「前奏曲」*

今日のプログラムは、クルト・ワイル:交響曲第2番<初演1934年-演奏時間28分>、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番<同12年-16分>、ショスタコーヴィチ:交響曲第6番<同39年-31分>と、

いずれも20世紀前半に活躍した作曲家の作品で、
いずれも3楽章で構成され、
いずれも比較的演奏時間が短い。

第1曲めは途中からまどろんだ。現代作品と言っても「3文オペラ」など軽いものも書いた人で、小難しい音楽ではなかったが、初聴きだし特に魅力を感じないまま、うつらうつらとしてしまった。

第3曲めのショスタコーヴィチの交響曲第6番。
これは近年の鑑賞記録には無いので、これもナマでは初めて聴いたのかもしれない。
超有名な第5番の香りを残しつつも全体として軽い。都響の演奏もこれが一番まとまりがあったように思う。

何と言っても一番楽しみだったのはプロコフィエフだ。
特にこのピアノ協奏曲第1番が好きなのではない。ソリストの河村尚子のファンなので彼女が弾くなら何だって聴きたい。

舞台に登場するところからチャーミング。
愛嬌のある顔に満面の笑みを浮かべて背筋を伸ばし、大股で舞台中央に。コンマスらと握手をし、オケにも愛想を振りまいてから客席に向かって深々と一礼。その辺まではキュートな笑顔だが、音楽開始とともに表情は一変する。

完全に音楽の世界に入魂した表情だが変化が目まぐるしく、その表情を見ていると音楽の表そうとしているものがそのままに伝わってくるようだ。
女性ピアニストの中には演奏中に高尚な苦悩の表情を浮かべる人も少なくないが、河村尚子の表情は次元が違う。

鋭いタッチ、コロコロと鍵盤を転がるしなやかな指は思い切りピアニシモでもフォルテシモでも一音一音を疎かにしていないことが分かる。とても繊細なタッチだが、ここ一番では椅子からお尻が上がる。そのダイナミズムも魅力だ。
わずか16分の作品だったが、中身は濃かった。

♪2018-150/♪東京文化会館-06

2014年5月31日土曜日

読売日本交響楽団第72回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2014-05-31 @みなとみらいホール


カトリン・ショルツ:バイオリン
ミヒャエル・ザンデルリンク:指揮
読売日本交響楽団

バルトーク:トランシルヴァニア舞曲 
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調作品26 
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調作品73


ミヒャエル・ザンデルリンクという指揮者については何にも知らなかったが、クルト・ザンデルリンクという名前は知っている。オールドファンには馴染みの指揮者だ。
その息子だそうな。
最初はチェリストとして同じく有名な指揮者クルト・マズアに見出されてその後2005年から指揮者に転向したと(プログラムに書いて)ある。

ベルリン生まれ(バイオリンソリスト、カトリン・ショルツも。)というから、今日のプログラムなど、DNAに染み込んでいるのだろうな。
珍しく指揮棒を持った指揮者だった。



バルトークから始まったが、この曲は初耳!
そもそもバルトークって有名な割に作品は知らない。

トランシルヴァニア舞曲は、バルトークが自分の生地トランシルバニア(当時ハンガリー領、現在はルーマニア領)で採譜した民謡に基づくピアノのためのソナチネを弦楽合奏に編曲したもの。
ところが、今日演奏されたのは、同じハンガリー人のガボール・ダルヴァシュの編曲版だった。どちらも知らなかったので比べようもない。

弦楽合奏だ。
管・打楽器が入らない弦楽5部。

なんという安定感。美しい弦の音色。
ある意味、理想的な編成とも言える。
混ざりもののない同種類の楽器の組み合わせだもの、とても親和性は良い。

1931年の作だが、現代音楽という感じはなく、トランシルヴァニアは知らないけど、たしかに、東欧の土着の匂いはする。

次のブルッフのバイオリン協奏曲が、これまた良かった。
カトリン・ショルツという30歳代前半だろうか?美形の女性だった。
ツンとしたところがなく、とても愛想がよくて感心した。
その音楽性とか言われるとよく分からないのだけど、こういうステージに立つような人は、みんな相当のキャリアを積んだ人たちなので、目立った失敗をしない限りみんな上手で大満足。


ブルッフの協奏曲第1番は、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、ベートーベンなどに比べると露出度は低いけど、知る人ぞ知るというタイプの音楽で、隠れファンは多い。
知らない、という人でも、第3楽章を聴けば心当たりがあるのではないか。リズミカルで、民謡風のダイナミックな楽章が爽快なカタルシスを与えてくれる。


で、いよいよブラームスの2番。
4つの交響曲の中では、2番は一番入れ込みの低い作品だった。なぜかなあ、と不思議に思いながらも、いざ聴くとなると、2番はなかなか選ばないものだ。
一つはかなり長大(手持ちCDでは47分)だが、第1楽章だけで20分強。第2楽章が11分強、と頭でっかちだし、曲調がなんとも暗い。主調は長調だけど、暗い。牧歌風だけど暗い。


しかし、今日こそはっきり分かった。
プログラムの解説にかなり丁寧に楽曲解説があって、この音楽はD-C#-Dという音型が全編を支配しているという記述にハタと膝を叩いた。
そのことを念頭に置いて聴くと、なるほど、全体構造が掴めたような気がしたよ。
スコアを持っているので、一度、じっくりスコアと照らし合わせながら吟味してみようと思う。

とにかく、これまでは2番というと第3、第4楽章は素晴らしいけど、前半がなあ~という感じがしていたが、しっかり聴けば、よく考えて作られているのだ。
今日の演奏は、僕の2番観を変えてくれた。
やっぱり、ブラームスは妙味がある。


♪2014-58/♪みなとみらいホール-24