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2025年7月3日木曜日

東京シティ・フィル第380回定期演奏会

2025-07-03 @東京オペラシティコンサートホール



松本宗利音:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
上野耕平:サクソフォン*

ドボルザーク:交響詩「英雄の歌」作品111
ミヨー:スカラムーシュ 作品165*
逢坂裕:アルトサクソフォン協奏曲
(上野耕平委嘱作品)*
ブラームス:交響曲第2番二長調 作品73




同じホールで4日前に読響を聴いた。
こう言っちゃ悪いが、オケの出来は断然読響がよろしい。
しかし、席が違った。

シティ・フィルはお気に入りの指定席だが読響の場合は横浜定期の振替だったので、今日と同じ列だが右翼席だった。
それで今日の第一声を聴いた時に、おお、これだよ!と思った。左右のバランスが取れているということがこんなに精神衛生に良い事かと痛感した。

どこのホールでも、左右翼席でも20列前後まで下がればそんなに気にならないだろうが、僕の場合列もほぼ中央なので席番がセンターからズレると音までズレて聴こえるから神経に負担が大きい。


さて、今日シティの出来は如上の事情もあってとても好スタートを切って、最後まで楽しめた。


指揮の松本宋利音は初めてだったろうか?
この妙な名前には見覚えがあるので聴いたことがあるような気もするが、ざっと記録を当たったが出てこない。「宋利音」は「シューリヒト」と読むそうだ。
これじゃ子供の頃は揶揄われて大変だったろうなあ。

指揮ぶりはとても好感した。
まったく奇を衒うところが無く、大好きブラームスでは僕の頭の中で出てくるママが「実演」されているようにシンクロできた。

まあ不満もある。弦のざわめきがもっと線一本に収斂しないものか。それとダイナミックレンジが例えば60-100位の範囲に感じたが、せめて30-100位にならんものか。よく鳴るホールだけにTuttiではパート毎の旋律が全部「合計」して聴こえるよ。

♪2025-087/♪東京オペラシティコンサートホール-07

2025年6月6日金曜日

東京シティ・フィル第379回定期演奏会

2025-06-06 @東京オペラシティコンサートホール



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィル管弦楽団
合唱:東京シティ・フィル・コーア**

戸澤哲夫:バイオリン*
安川みく:ソプラノ**
大西宇宙:バリトン**

ベートーベン:バイオリン協奏曲二長調 作品61*
ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ(ドナ・ノービス・パーチェム)」**




前半はCMの戸澤氏の就任30年の祝賀の選曲と独奏でベートーベンVn協。これが全般的に元気がなくてがっかりしたよ。カデンツァはベートーベンがPf協へ編曲した際の自作のVn版だったと思う。最近、このティンパニーとの対話を聴くことが多い。

後半は、熱血漢藤岡氏が大好きだと言うVウィリアムズのカンタータ。プログラムには約40分とあったが、実演は36分くらいだった。
初聴きだが、もう冒頭から漂う香りは、英国風でノスタルジックだ。ホルストやエルガーでも感ずる英国民謡風の音階なのか旋法なのか知らないけど、ドイツ音楽の長調や短調とは別の世界で、なんだか懐かしい感じがするのは、アジアにも共通する5音音階なども取り入れられているのかも…と無責任に感じながら聴いた。

どういう物語が紡がれているのかは、藤岡ちゃんのプレトークで大体分かったので歌詞を見ることもなく雰囲気を味わった。
合唱、オルガンとSp、Brの独唱も良い感じで、これはもう一度聴いてみたい。
ただ、全曲はもう少し長いだろうと思っていたのと、最後が消え入るように終わるので、不意に終わってしまったような物足りなさは残った。

♪2025-072/♪東京オペラシティコンサートホール-05

2025年4月5日土曜日

東京シティ・フィル第378回定期演奏会

2025-04-05 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
大谷康子:バイオリン

ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「ボルト」より抜粋
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」




今日の東京シティ・フィルの定期コンサートは、客演バイオリンが大谷康子。
この人も間も無く70歳。デビュー50周年。

シティ・フィルのコンマスも長くやっていた(13年間。その後東響のコンマスを21年。)。

現役のオバサマ・バイオリニストでは一番好きな人。

昨日も聴いたメン・コンを今日も聴いた。

こう言っちゃなんだけど、昨日と比べると、(オケの実力も違うんだけど)格段の差があるな。
楽器もストラディでよく鳴るし。

ツィゴイネルワイゼンも演奏した。
生でも何十回と聴いてきたが、多分、うち、彼女の演奏がこれまで一番多かったと思う。

シティ・フィルも50周年。大谷康子も50周年。
それを記念したか、メインは「春の祭典」。

なかなか強烈だった。よく鳴るホールだから打楽器の爆裂音が容赦ないよ。

でも、新国立劇場でダンス版を観たからには、オケだけではこの頃物足りない。


追記:
4/4に小笠原伸子の四大協奏曲(ベト・ブラ・メン・チャイ)を空前絶後〜などと書いたが、忘れていたっ!

今日シティ・フィルに客演した大谷康子も10年前に四大協奏曲(ビバ・メン・プロ・ブル)を弾いたのを思い出した。おまけにENCでチャールダッシュを客席を回って弾いてくれたよ!ミューザの1階席から、2CAに通ずる階段も弾きながら上り下りするのには驚いたよ。
もう、お歳を考えたらやめた方がいいね。

この時も指揮者は高関健だった。

♪2025-044/♪東京オペラシティコンサートホール-04

2025年2月14日金曜日

東京シティ・フィル第376回定期演奏会

2025-02-14 @東京オペラシティコンサートホール



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ブラームス:交響曲第3番へ長調 作品90
伊福部昭:交響頌偈「釈迦」



好漢・藤岡ちゃんのプレトークが面白かった。
今日の2曲を指揮する幸福を熱弁したが、演奏も力が入り、リハもしっかりできたか、とても美しいアンサンブルだった。

特に、伊福部の、初聴き「交響頌偈(じゅげ)『釈迦』」の素晴らしいこと。

日本の音楽なのに、旋律が、西洋音楽に慣れた耳にはとてもエキゾチックで、土着の匂いやら哀愁やらがポコポコ立ち上る。
ほとんど単旋律で、重音も部分的にあったと思うけど、それは主要な旋律をこっそり味付けしている程度だ。
それで全曲にわたって、すっきりと掌握できる。

聴き終えて、取りこぼしがなかったとつくづく思った。
こういう経験は滅多にない。
帰りの車中ではすっかり忘れてしまっているのだけど。

前半のブラームスも大好物だが、これも良かった。
シティ・フィルとしては久々のヒットだと思ったよ。

♪2025-022/♪東京オペラシティコンサートホール-02

2025年1月17日金曜日

東京シティ・フィル第375回定期演奏会

2025-01-17 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
奥井紫麻:ピアノ*(おくいしお)

サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品22*
マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
--------------------
ラフマニノフ:前奏曲作品23-2*




奥井紫麻は2回目。前回は2019年でチャイコの3番を弾いた(秋山翁/東響@かるっつ)。この時14歳だった。てことは、今、20歳だ。印象が全然違った。
前回は、教科書どおりみたいで、面白味はなかったが、今回は、しっかりと音楽家になっていたよ。
サン=サーンスの2番は、多分、過去に河村尚子で1度聴いて切り(Pヤルヴィ/N響@NHK)で、すっかり忘れていたが、なかなか馴染みやすく美しい音楽だった。

後半が、もちろん今日のメインだが、演奏時間、実測で80分だ。これだけ長いと普通は1本立てだよ。いやはや長い。

鑑賞記録を確実に付けるようになった約10年で、マーラーの交響曲は本日分も含めて、次のとおり。
1番⇒16
2番⇒  8
3番⇒  5
4番⇒  6
5番⇒  7
6番⇒  7
7番⇒  8
8番⇒  3
9番⇒  5

最もポピュラーな1番「巨人」がダントツに多く、大規模で長尺の3番が少ないのは当然だろう。その他はいずれも5〜8回で優位差はない。

それにしても2番「復活」と並んでこの7番「夜の歌」が同数2番目に多いのは不思議だ。全9曲の中でも最も馴染みにくい作品であるような気がするのに。

まあ、そんなことで、ワクワクするような楽しさはないのだけど、今回は、特に入り込めなかった。
歌えないような断片の楽句が次から次へと登場し、全体の構成感は全く感じられない。それに全体が大袈裟で、やかましい。どうも好きになれないよ。
近頃じゃ、若い頃は好きだった5番でさえときめくことがなくなったものな。

♪2025-008/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2024年12月28日土曜日

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会/「第九」⑪

2024-12-28 @東京文化会館



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ソプラノ:森野美咲
メゾソプラノ:林美智子
テノール:村上敏明
バリトン:平野和

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125




今年最後(11回目)の「第九」だ。好漢、藤岡ちゃんの「第九」は初めて聴くが、ちょいと色気のある、遊び心に溢れたのを期待したが、全然変わったところもなく、実にオーソドックス。

「第九」の最後であったが、同時に鑑賞生活の最後でもあった。1年を締めるのにはこういうかっちりした音楽で良かったかも。

今年は184ステージを鑑賞した(オペラ、文楽等も含む)。鑑賞減量に努めたので、昨年より△44となった。
来年も厳選して減量に努めよう。

だいたい、いくら好きでも「第九」を11回も聴くなんて異常だよ。反省!反省!

♪2024-184/♪東京文化会館-10

2024年10月3日木曜日

東京シティ・フィル第373回定期演奏会 【スメタナ生誕200周年】

2024-10-03 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」(全曲)
1985年頃当時の音楽企業スプラフォンが出版したチェコ・フィルの伝統的なパート譜に基づく「現実演奏版」)





正直にいえば、この音楽、馴染んだ「モルダウ」以外は、どこが面白いの?という感じで長年退屈に聴いていた(この罰当たり!)。

これはすごい!と目が覚めたのは今年3月の神奈川フィルby広上氏の演奏で、いやはや興奮した。

今日のシティ・フィルは神奈川フィルの時に比べて弦も管も数が少なかったが、よく鳴り、舞台の音を全部客席に飛ばしてくる武満MEMではこの編成で十分迫力ある。

いつもながら、細部も高関健さんの丹精が窺える緻密なアンサンブル。

それぞれの曲が、馴染んでくるとよくできていると感心する。第1曲の主題が全曲に散りばめられていて、とても構成感が良い。
1曲が終わり次の曲に移ってゆくのが惜しいくらいだ。
昔、僕は何を聴いていたのだろうと恥ずかしく思うよ。

第1曲の中盤の行進曲?は1812年の音楽にそっくりなので、気になっているが、今回もプログラムでもプレ・トークでも言及がなかった。単なる偶然なのかも。

♪2024-130/♪東京オペラシティコンサートホール-06

2024年9月6日金曜日

東京シティ・フィル第372回定期演奏会 【ブルックナー生誕200周年】

2024-09-06 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
(第1稿・新全集版ホークショー校訂)


ブルックナーは好きじゃないけど、高関健さんのマニアックなスコア分析に支えられてオケも熱演だった。

14型とは思えない爆音!

しかし、実測89分の長尺のタクトが降りて、気持ちを整える暫しの余韻が始まるや否や始まったパラパラの拍手に、高関さんも多くの聴衆も戸惑いを隠せない。

何で、台無しにするんだ!
もう信じられないよ。

♪2024-119/♪東京オペラシティコンサートホール-05

2024年4月19日金曜日

東京シティ・フィル第369回定期演奏会

2024-04-19 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:南紫音

R.シュトラウス:楽劇「ぱらの騎士」作品59、第1幕及び第2幕から序奏とワルツ集
シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 作品35
ベートーべン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」



「ばらの騎士」の音楽は他人が編曲した組曲版ではなく、シュトラウス自身の手になる作品だそうだが、そもそも違いが分からない。冒頭のホルンで、ああ、これこれとオペラを思い起こしたが。

シマノフスキのVn協は3度目なのだけど、これもほとんど記憶がない。

いずれにせよ、この前半の2曲は、弦は14型と12型の違いはあったけど、多くの管打鍵が並んで賑やかなところは共通していた。
ここまで音を詰め込むか、という感じで暑苦しいばかりだ。
まあ、それをスマートにこなしていたとは思うが、楽しい音楽ではなかった。

後半。
シュトラウスと同じ弦編成(14-12-10-8-7)で「英雄」。これが実に良かった。
前半に厚ぼったいのを配したのは、軽快な「英雄」を聴かせたかったからか、と勘ぐりたくなるほど、気持ちの良い演奏で、何十回も聴いている「英雄」のオーケストレーションの巧さに、初めて気がついたものであった。
簡潔で無駄がなくすべての楽器が効果的に使われていて新鮮な驚き。これが高関健せんせいの今日の新工夫だったのだろうか。

♪2024-055/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2024年2月2日金曜日

東京シティ・フィル第367回定期演奏会

2024-02-02 @東京オペラシティコンサートホール



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
神尾真由子:バイオリン*
石丸由佳:オルガン**

ロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」序曲
菅野祐悟:バイオリン協奏曲(世界初演)*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**




◀️感想省略▶️


♪2024-018/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2023年12月28日木曜日

「第九」2023-❿ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「第九」特別演奏会2023

2023-12-28 @東京文化会館



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ソプラノ:中江早希
メゾ・ソプラノ:相田麻純
テノール:宮里直樹
バリトン:池内響

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


高関氏は、指揮台に乗ってからオケと合唱団に客席へのあいさつの為に立つように促した。オケは立ったが、合唱団が立たない。振り向いて大きなジェスチャーで立ってくださいよ!と何度か促したが合唱は立つそぶりがない。そりゃそうだ。初めから立っているのだもの。舞台後方の雛壇が低いので立っているふうには見えなかったのだ。ようやく気がついてニヤリ頭を掻いて客席に向き直った。このコントで客席と舞台の笑いをとってから「第九」が厳かに始まった(このコントは終演後のCCでも再演された!)。

この「第九」が僕にとって、今年、10回目の「第九」であり、今年の鑑賞生活の掉尾を飾る演奏会だった。

昨年も「第九」はプロオケで10回聴いて、シティ・フィルは読響と並んでベストの出来だった。それだけに期待をしていた高関「第九」。
しかし、昨年の飯守泰次郎御大の人生最後の「第九」には何かが乗り移っていたのだろうか。あの見事さに比べるとやや力が出きっていない印象を受けた。スコア研究に余念のない先生、ギリギリまで迷っていたやに聞くが迷いは吹っ切れたのだろうか。

2楽章までは聴き慣れた音楽だったが、3楽章にかつて聴いたことのない表現があり、4楽章のレシタも爆速で、ここいらが新研究の成果なのか。変わってはいたけど、これはこれで良かった。とにかく、あまり重苦しいのは好きじゃない。

全体にビブラートを抑え、音をあまり伸ばさない奏法で、ホールのせいもあるが、響きは硬めだった。武満MEMで聴くのとはだいぶ異なる。しかし、これもまた一つの味わいで、シャキシャキとしたまとまりの良さを感じさせた。

独唱陣は、やはり、少し遠かった。昨年は舞台前で歌ったが、今年は、他のオケでも(5月のインキネン以外)舞台前で歌う「第九」は一つもなかった。
独唱は、前に出てきて歌うべきだよ。
「第九」の独唱は合唱の一部だ、という説もあるようだが、どうであれ、独唱が合唱やオケに埋もれたんでは話にならない。

♪2022-228/♪東京文化会館-14

2023年11月30日木曜日

東京シティ・フィル第365回定期演奏会

2023-11-30 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京シティ・フィル・コーア
児童合唱・羊飼い:江東少年少女合唱団

トスカ:木下美穂子
カヴァラドッシ:小原啓楼
スカルピア:上江隼人
アンジェロッティ:妻屋秀和
堂守:晴雅彦
シャルローネ&看守:大塚博章
スポレッタ:高柳圭

プッチーニ:歌劇「トスカ」全3幕(演奏会形式)


定期会員だからいつもの席はあるし、オケを聴くには十分満足しているけど、今日はオペラなので、別途1回券を買って前の方に陣取った。

いつになく、気合が入っていてプレトークなど聞いたことがなかったが、今回は間に合うように出掛けて聞いた。高関氏のカラヤンの下での修行時代の秘話も面白かった。
一般的な演奏会型式とは異なる声楽・楽器配置も氏の工夫らしい。できるだけ音楽を途切れさせたくないという遠慮がちな物言いは、歌手への気配りだったのだろう。拍手が起こるのは仕方がない。しかし、途切れさせたくない。

20年3月に予定されていた公演を同じキャストで3年8月越しで実現できるという喜びと高揚感が言葉の端々に漲って、いよいよ期待が高まる。


冒頭の強烈な管弦のTuttiにまずは驚く。何しろ、5列目真ん中なので、普段聴くオケの音圧ではない。ここでもう、身も心も揺さぶられてしまった。あとは、至福の3時間。
シティ・フィルが先ず以て上出来。主要歌手もホレボレの歌唱。
近くで聴いたせいこれまで何度も聴いている音楽なのに、改めてプッチーニのオーケストレーションの上手さも発見した。

予てから1幕の終わり、「テ・デウム」にはオルガンが欲しいなと思っていたが、今日は、立派なパイプオルガンが荘重な響で盛り上げた。
このオルガンについてはこれまで誤解していたが、プッチーにはオルガンを編成に入れているんだ。今日もプログラムにはバンダ/オルガン2(2はミスプリだと思う。)と表記されていた。つまり、これまで聴いた「トスカ」でも袖でポジティフオルガンを使っていたようだ。それに気が付かなかったのだ。

今日は、オペラシティでの演奏会形式なので、袖でポジティフを鳴らすなんて野暮なスタイルではなく、堂々とパイプオルガンを使ったのが嬉しい。

名アリアが続出だ。「妙なる調和」、「歌に生き、恋に生き」、「星は光ぬ」…。終われば拍手したいところだが、プレトークの高関さんの「できるだけ音楽を途切れさせたくない」が効いたか、誰も拍手をしないのは立派?だった。

その代わり、終演後の拍手喝采は一際大きかった。

大いに楽しみ、大いに勉強になった。

♪2023-205/♪東京オペラシティコンサートホール-08

2023年10月4日水曜日

東京シティ・フィル第364回定期演奏会

2023-10-04 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
池田香織:メゾ・ソプラノ*

ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死*
ブルックナー:交響曲第9番二短調(原典版・未完成)





本来は飯守泰次郎御大によるシューベルト2作が予定されていたが、思いがけず追悼コンサートになってしまった。

プログラムも氏の得意だったワーグナーとブルックナーに変更成された。
過去の鑑賞記録を調べると、確かにワーグナー、ブルックナー、ベートーベン、シューベルトの作品が多い。因みにマーラーは一度も記録されていない。
初めて聴いた時も「トリ・イゾ〜愛の死」とブルックナー7番の組合せだった。

高関氏もオケも気分が高揚していたのだと思うが、厚いサウンドに熱い思いが込められて、普段とはえらく密度が違う気がした。

しかし、それがうまくアンサンブルになっていたかと言えば、オランダ人では気持ちが先走って、管と弦の連携が美しくない。

これは、ブルックナーでは、少し良くなったものの、やはり厚くて熱い演奏ではあるけど、その熱量に違和感も感じてしまった。弦は終始繊細で透明感を保ったが。

一方、池田香織による「愛の死」の見事な歌唱には圧倒される思いだった。オペラや声楽付きオケ作品で彼女を聴く機会は多いが、かくも美しく良く通る声の持ち主であるとは認識不足だった。小ぶりの、よく響くホールのせいもあったろうけど。
最初は椅子に座ったまま歌い出したが程なく立ち上がり、感情豊かに「愛の・死」による魂の浄化の物語を描いた。

メゾでありながらソプラノも歌える声域の広さや、それでいて重みもある声質が効いていた。
この1曲を聴く事ができて、僕としては大満足だった。

♪2023-166/♪東京オペラシティコンサートホール-07

2023年9月1日金曜日

東京シティ・フィル第363回定期演奏会

2023-09-01 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
荒井英治:バイオリン*
(特別客演コンサートマスター)


桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎を追悼して〜
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
--------------
リゲティ:ルーマニア協奏曲
リゲティ:バイオリン協奏曲
バルトーク:管弦楽のための協奏曲


学究の徒、高関健の指揮だと、たとえどう仕上がろうともまずは傾聴したい、という気になる。

最初に、誰も予定もしていなかった故飯守御大への献奏(「ローエングリン」第1幕への前奏曲)から始まったが、弦の仕事ぶりが丁寧で良い演奏だった。みんな、気持ちを込めたのだろう。

本編はリゲティとバルトークの組合せ。
今年3月の都響Bが同じだった。やはり、両者は音楽史的に継続しているということらしい。

ルーマニア組曲は初聴きだが、とてもリゲティとは思えない親しみやすい音楽だったので驚いた。
リゲティにはうんざりする作品もあるけど、「ルクス・エテルナ」のような精妙で美しいのもあるし、今日の初聴きのように好ましいものもあるから、距離の持ちようが難しい。

さて、今日はバイオリン協奏曲だ。
…と言えば、上述3月都響のコパチンスカヤの強烈なパフォーマンス(「マカーブルの秘密」に比べたらおとなしいものだったとはいえ…)が忘れられない。
今日は、Vnの名手、シティ・フィルの特別客演コンマスでもある荒井英治が独奏に回ったが…コパチンの独奏で聴いた作品と同じだったのだろうか?と思うくらいで、帰宅後都響のプログラムと照らし合わせたよ。
まあ、両者とも腕前は確かだが、だいぶ音楽の雰囲気が違った。

最後にバルトークのオケ協。シティ・フィルが堅実に収めた感じがした。

Vn協奏曲の楽器配置が特殊なのでこれに手間取り、予定外の献奏も加わり、休憩は15分で、CCもあっさり目だったものの、終演が21時15分頃で、それから、オケの人とちょいと話し込んでいたら、駅に着いたのは21時30分を回っていた。

♪2023-148/♪東京オペラシティコンサートホール-06

2023年7月26日水曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 新時代の先駆者たち〜アメリカン・オールスターズ〜〜

2023-07-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
横山幸雄:ピアノ*

ガーシュウィン:パリのアメリカ人
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*
バーンスタイン:『ウエスト・サイド物語」から「シンフォニック・ダンス」
 1 プロローグ
 2 サムウェア
   3 スケルツォ
 4 マンボ
 5 チャチャ
 6 出会いの場面
 7 クール~フーガ
 8 ランブル(決闘)
 9 フィナーレ
バーンスタイン:ディヴェルティメント
 1 セネッツとタケッツ
 2 ワルツ
 3 マズルカ
 4 サンバ
 5 ターキー・トロット
 6 スフィンクス
 7 ブルース
 8 イン・メモリアル~行進曲「ボストン響よ、永遠なれ」
-------アンコール--------------------------
ドビュッシー:前奏曲第2集第6番*
バーンスタイン:ディヴェルティメントから
 8 イン・メモリアル~行進曲「ボストン響よ、永遠なれ」



ガーシュウィンとバーンスタインの作品2曲ずつ。
いずれもお祭り向きなのか、FSMuzaでも複数回聴いている。

横山幸雄の「ラプソ~」始め、みんな良い演奏だった。これと言って文句のつけようもなく、いつも聴く武満MEMでの演奏より、ミューザが開放的な分、気持ち良く聴こえた。

それにしても、覚えの悪いのがレニーの「ディヴェルティメント」で、タイトルと中身がしっくりこないのもなかなか馴染めない理由かもしれない。

ぼんやり聴いていたせいで、Encでその第8曲が再度演奏された時に、聴いたことのある曲だけど…とは思ったけど、つい今しがた本編で聴いた曲だと気づかなかった。恥ずかしや。
そのEnc曲の演奏では、終盤、オケ全員(Vc含め)が立ち上がって演奏した。中に放浪するものもあり。
お祭りの演出なんだな。賑やかに終わって、これも良き哉。

♪2023-129/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2023年7月7日金曜日

東京シティ・フィル第362回定期演奏会

2023-07-07 @東京オペラシティコンサートホール



秋山和慶:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
周防亮介:バイオリン*

リャードフ:交響詩「キキーモラ」作品63
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番ト短調 作品63*
スクリャービン:交響曲第4番 作品54「法悦の詩」
---------------------------------
シュニトケ:ア・パガニーニ から抜粋*



20世紀初頭のロシア音楽の内、精緻な管弦楽技法がウリの作品集と纏められるのかな?

リャードフの「キキーモラ」は、極めて弱音に始まり、ムソルグスキーを思わせる旋律が垣間見え、不気味な調子で徐々に音量が大きくなったかと思ったら、ピッコロが悲鳴を上げてストンと終わった。

プロコのVn協2番。独奏バイオリンのソロから始まるメロディは、耳に馴染んでいるけど、親しみやすいものでもなく、なんか、このままでは済まないぞという不穏な旋律で、聴き手にこの先の解決を待ち望ませるような効果がある。

気持ちの休まるところはなくて、緊張がずっと継続したまま超絶的に盛り上がって終わる。そして当然ながらここまで引きずってきた冒頭の不穏さがようやく解決される。30分程度の尺だからこういうスタイルが可能なんだろうな。


周防亮介は初めて聴いた時(19年)は、格別の印象もなかったが、昨年からとても良くなったのは、僕の耳垢がポロッと落ちたのか、彼が楽器を変えたのか?とにかく、音が明瞭で14型の弦のTuttiにも埋もれない安心感。
またEncで聴かせた超絶技巧。Enc用の小品とも思えないリサイタル・ピースのような作品であり演奏だった。

今日のような演奏会では素顔が出ることもないが、室内楽で見せる表情や話を聞くと、とても穏やかでカワユイところがあって、人間的も魅力的だ。

最後の「法悦」は7年ぶりに聴いた。どんな音楽だったか、全く忘れていたし、音楽が始まっても思い出すこともできなかった。残念ながらエクスタシーも感じられなかった。しかし、神秘和音とやらを探しながら、強力な管打楽器群(Hr9本!Tp5本など)にざわざわと翻弄され、パイプオルガンも加わって賑やかな極彩色管弦楽絵巻を楽しんだ。

秋山御大82歳か。お元気な様子で嬉しい。今年も年末の東響は秋山「第九」チケ取り済み。


♪2023-119/♪東京オペラシティコンサートホール-05