2023-10-04 @東京オペラシティコンサートホール
高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
池田香織:メゾ・ソプラノ*
ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死*
ブルックナー:交響曲第9番二短調(原典版・未完成)
本来は飯守泰次郎御大によるシューベルト2作が予定されていたが、思いがけず追悼コンサートになってしまった。
プログラムも氏の得意だったワーグナーとブルックナーに変更成された。
過去の鑑賞記録を調べると、確かにワーグナー、ブルックナー、ベートーベン、シューベルトの作品が多い。因みにマーラーは一度も記録されていない。
初めて聴いた時も「トリ・イゾ〜愛の死」とブルックナー7番の組合せだった。
高関氏もオケも気分が高揚していたのだと思うが、厚いサウンドに熱い思いが込められて、普段とはえらく密度が違う気がした。
しかし、それがうまくアンサンブルになっていたかと言えば、オランダ人では気持ちが先走って、管と弦の連携が美しくない。
これは、ブルックナーでは、少し良くなったものの、やはり厚くて熱い演奏ではあるけど、その熱量に違和感も感じてしまった。弦は終始繊細で透明感を保ったが。
一方、池田香織による「愛の死」の見事な歌唱には圧倒される思いだった。オペラや声楽付きオケ作品で彼女を聴く機会は多いが、かくも美しく良く通る声の持ち主であるとは認識不足だった。小ぶりの、よく響くホールのせいもあったろうけど。
最初は椅子に座ったまま歌い出したが程なく立ち上がり、感情豊かに「愛の・死」による魂の浄化の物語を描いた。
メゾでありながらソプラノも歌える声域の広さや、それでいて重みもある声質が効いていた。
この1曲を聴く事ができて、僕としては大満足だった。
♪2023-166/♪東京オペラシティコンサートホール-07