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2025年1月29日水曜日

新国立劇場オペラ「さまよえるオランダ人」

2025-01-29 @新国立劇場



【指揮】マルク・アルブレヒト
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野 睦
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

ダーラント⇒松位浩
ゼンタ⇒エリザベート・ストリッド
エリック⇒ジョナサン・ストートン
マリー⇒金子美香
舵手⇒伊藤達人
オランダ人⇒河野鉄平(エフゲニー・ニキティンの代役)

リヒャルト・ワーグナー:
歌劇「さまよえるオランダ人」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間45分
第Ⅰ幕
 55分
 --休憩25分--
第Ⅱ・Ⅲ幕
 85分





新国立劇場の前回「オランダ人」は3年前で、コロナのピークのために海外勢は全員降りて日本人だけになった。
今回《舞台》でマリーを歌った金子美香は、前回は同じ役の
代役の声役?で《舞台袖》で歌った(鑑賞日)。…なんてこった!
もう1人前回と同じ役を歌ったのがやはり代役だったオランダ人役の河野鉄平だった。
急拵えのキャスト中心だったが、これが良かったな。

今回もカバーから急遽舞台に立つことになった河野鉄平がもはや安心のオランダ人。マスクも濃いめの風貌でよく似合っていたよ。

歌手も合唱も東響も良い出来で、圧倒されるような迫力はないもののまあ、良かったな、と納得。

♪2025-016/♪新国立劇場-03

2023年12月22日金曜日

NHK交響楽団ベートーベン「第九」演奏会❻

2023-12-22 @NHKホール



下野竜也:指揮
NHK交響楽団
新国立劇場合唱団

ソプラノ : 中村恵理
メゾ・ソプラノ : 脇園彩
テノール : 村上公太
バス : 河野鉄平

バーバー:弦楽のためのアダージョ(管弦楽版)
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125






今年から方針を変えてN響「第九」をサントリーホールからNHKホールに変更した。NHKホールで聴くのは7年ぶり。
その7年前はブロム翁の指揮で、まさに「神は細部に宿る」を実感した。

下野ちゃんのN響正指揮者就任後初の共演が「第九」とは結構プレッシャーだったようだが、これは誠に見事なスタートを切ったのではないか。

N響という名人を揃えた職人集団ならではの安定して風格のある「第九」だった。

1-3楽章までは、聴き慣れた音楽で、特段、下野色は感じなかったが、終楽章は相当手を入れたのではないか。テンポの変化はかなり大胆だった。それで違和感があったという訳ではなく、ひょっとしたら、これまで他の指揮者の演奏では聴き逃してきた変化なのかもしれない。年内に残る4回の「第九」でよく聴き耳を立ててみよう。

残念なのは、あまり響かなかったことだ。
もとより良く鳴る箱とは言えないが、そのデッドな響もまた良しと思っている。
しかし、過去5回がミューザ1回、みなとみらいH4回と響の良いホールで聴いてきたので、その比較において物足りない。

せめて独唱陣を舞台最前列に置けば印象が変わったと思うが。

♪2023-224/♪NHKホール-10

2023年10月9日月曜日

オペラ:プッチーニ/修道女アンジェリカ & モーリス・ラヴェル/子どもと魔法

2023-10-09 @新国立劇場



【指 揮】沼尻竜典
【演 出】粟國淳
【美 術】横田あつみ
【衣 裳】増田恵美
【照 明】大島祐夫
【振 付】伊藤範子
【舞台監督】髙橋尚史

●修道女アンジェリカ
【アンジェリカ】キアラ・イゾットン
【公爵夫人】齊藤純子(マリアンナ・ピッツオラートの代役)
【修道院長】塩崎めぐみ
【修道女長】郷家暁子
【修練女長】小林由佳
【ジェノヴィエッファ】中村真紀
【オスミーナ】伊藤晴
【ドルチーナ】今野沙知恵
【看護係修道女】鈴木涼子
【托鉢係修道女1】前川依子
【托鉢係修道女2】岩本麻里
【修練女】和田しほり
【労働修道女1】福留なぎさ
【労働修道女2】小酒部晶子
-------------------------------------
●子どもと魔法
【子ども】クロエ・ブリオ
【お母さん】齊藤純子
【肘掛椅子/木】田中大揮
【安楽椅子/羊飼いの娘/ふくろう/こうもり】盛田麻央
【柱時計/雄猫】河野鉄平
【中国茶碗/とんぼ】十合翔子
【火/お姫様/夜鳴き鶯】三宅理恵
【羊飼いの少年/牝猫/りす】杉山由紀
【ティーポットト】濱松孝行
【小さな老人/雨蛙】青地英幸

プッチーニ/修道女アンジェリカ &
モーリス・ラヴェル/子どもと魔法
全1幕〈イタリア語・フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

上演時間約2時間25分

修道女アンジェリカ
 全Ⅰ幕65分
-------------------
  休憩35分
-------------------
子供と魔法
 全Ⅰ幕45分



❶Wビルの1本目はプッチーニの「修道女アンジェリカ」。
生舞台は初めて。放送(録画)で、内容は承知しているので、あまり期待もせず臨んだが、案の定、楽しめない。
これは歌唱・演技・演出・舞台美術の問題ではなく、そもそもの原作のあちこちに疑問を感ずるので、どうにもしようがない。

中でも、修道院で7年間、事実上軟禁生活を強いられているアンジェリカを叔母の公爵夫人が尋ねてきたところから、問題噴出。7年前に引き裂かられ我が子が2年前に亡くなっていることを聞かされ、希望を失ったアンジェリカは毒を仰ぐ。その途端。自死は大罪であることを思い出し神に許しを乞う。

1番の問題は、毒の回った彼女の前に子供が現れる(原作のト書きでは黙役の金髪の子が現れる。現にそういう演出の舞台を録画で観ている。)。
これが神の奇跡なのか、それが問題だ。

大抵の解説には奇跡であると書いてあり、公演プログラムも同様。しかし、演出者の弁では、そこは曖昧で、実際舞台でも子供を登場させず、アンジェリカの身振り手振りで子供の存在を感じさせる。そういう演出が意図するのは、神の奇跡と思いたい人は思ってもよし。幻覚と受け止めることも否定しない。とややアンフェアな態度だ。

しかし、カトリックが自死を禁じている以上、神の恩寵である「奇跡」は起こってはならないのだ。

それを原作では奇跡と描いているのが大きな問題だ。
あるいは、僕の見立てのように(演出者にもそのような意図が半分は見られる)、薬物中毒者の死に際の幻覚であるとすれば、事件の発端から最後まで、実につまらない女性のつまらない短い一生を描いただけのうすっぺらな物語である。

オペラとしての出来は、如上の理由でキアラ・イゾットンの熱演にも関わらず楽しめなかった。


長くなりついでに。
よく似た話が1955年スペイン映画「汚れない悪戯」だ。主題歌の「マルセリーノの唄」でお馴染みだ。
12人の修道士が暮らす修道院の前に男の赤子が捨てられた。慣れない男たちが我先に争うようにその子マルセリーノを慈しみ育てるが、5歳になった時、屋根裏部屋の磔のキリスト像と対話を始め、厨房からパンや葡萄酒を盗んで像に供える(汚れなき悪戯)。おかしいと思った修道士たちはマルセリーノの後をつけ、屋根裏部屋に上がり、彼とキリスト像の対話を目にすることになる。1番の望みは?とキリストに問われ、マルセリーノは「ママに会いたい」と答える。
その結果がどうなるか、覗き見をしていた修道士たちには分かっていても、神の大いなる奇跡の前に立ち尽くすばかりだった。

この話では、ママは既に亡くなっている。マルセリーノは生きており、純粋で篤い信仰心を持っている。そこに神の恩寵としての奇跡が起こるのだ。
僕はクリスチャンじゃないし、そもそも宗教を疑問視しているが、信仰心(仰ぎ見る・信ずる心)は大切ではないかと思っている。だから、このようなマルセリーノに起こった奇跡を信じたいと思い、この映画を観る度に(いや、思い出す度に)ハラハラと泣けてしまう。

プッチーニはもっと台本を吟味すべきだった。

❷「子供と魔法」
全く期待していなかった。子供の絵本みたいな話に付いてゆけそうにもない。これも舞台は初めての経験だった。録画ディスクは目を通しているが、子供さえ楽しめないだろう…と思っていたが、今回の演出、というより、舞台美術と衣装には驚かされた。プロジェクター投影の画像と作り物が見事に美しく、遊び心に溢れている。
音楽はラヴェルだから、つい、口ずさみたくなるようなものではないが、つい、頬が緩むような舞台だった。

お母さんが影絵だけで最初と最後に登場し、魔法の世界の扉の役を果たしていた。演じ歌った歌手にとっては残念だったかもしれないが、演出的には良いアイデアだった。

2作とも新制作だが、少なくとも「子供と魔法」は再演を期待したい。

♪2023-170/♪新国立劇場-16

2022年12月13日火曜日

新国立劇場オペラ「ドン・ジョヴァンニ」

2022-12-13 @新国立劇場


指揮:パオロ・オルミ
演出:グリシャ・アサガロフ
美術・衣裳:ルイジ・ペーレゴ
照明:マーティン・ゲプハルト
再演演出:澤田康子
舞台監督:斉藤美穂

東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

ドン・ジョヴァンニ⇒シモーネ・アルベルギーニ
騎士長⇒河野鉄平
レポレッロ⇒レナート・ドルチーニ
ドンナ・アンナ⇒ミルト・パパタナシュ(19年12月新国で椿姫も。エレオノーラ・ブラットから変更)
ドン・オッターヴィオ⇒レオナルド・コルテッラッツィ(ジョヴァンニ・サラから変更)
ドンナ・エルヴィーラ⇒セレーナ・マルフィ
マゼット⇒近藤圭
ツェルリーナ⇒石橋栄実

モーツァルト:オペラ「ドン・ジョヴァンニ」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間25分
第Ⅰ幕95分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕85分



モーツァルトの音楽は大好きだが、彼のオペラはその内容にしっくりこない。オペラとなると途端に彼の人間性が遠ざかってしまう。
しかし、今日の「ドン・ジョヴァンニ」は結構楽しめた。

2019年と同じ演出・舞台美術なのだけど、今回は、一皮剥けた感じだった。キャストが良かったか?

ドンナ・アンナ役はミルト・パパタナシュに変わった。彼女は2019年の新国「椿姫」でもタイトルロールを歌っていて好感しているが、この役は年齢的には薹が立ちすぎかも…。

なんて考えていたら、このオペラの主役は誰なんだろうという疑問に発展。ドン・ジョヴァンニはもちろんとして、レポレッロもドンナ・アンナもドンナ・エルヴィーラも揺るがせにできない役だ。

そう思わせるところが、脚本と音楽の巧さなのかも。

さて、ドン・ジョヴァンニが地獄に落ちる際の態度は決然としていない。駄々っ子が意地を張っているようにしか見えない。これは過去に観たどんな演出でもだ。脚本がそうなっているからだろう。また、今回も地獄落ちの後、脳天気な6重唱で終わった。

それが普通だけど、この6重唱は初演時にはなく、ウィーン再演時に興行的配慮から追加されたようだ。
ドンジョヴァの覚悟不足と相まって、6重唱で締めることで本作全体の性格を曖昧にしている。

一度、ドン・ジョヴァンニが決然と堂々と地獄へ堕ちてゆき、そこで幕となる演出で観たいものだ。

演出といえば、今回もグリシャ・アサガロフの演出は気を衒わない分かりやすい演出だが、舞台をスペイン・セビリアからイタリア・ベネツィアに変更している。彼にとっては意味があってもお客には変更した意図が伝わらない。そればかりか、今回気がついたが、レポレッロはカタログの歌で「スペインでは既に1003人」と在スペインを前提に歌うので設定が破綻している。ゴンドラでの登場もその後全く生かされていない。

♪2022-190/♪新国立劇場-014

2022年11月23日水曜日

新国立劇場 開場25周年記念公演 モデスト・ムソルグスキー「ボリス・ゴドノフ」<新制作>

2022-11-23 @新国立劇場



大野和士:指揮
【演出】マリウシュ・トレリンスキ
【美術】ボリス・クドルチカ
【衣裳】ヴォイチェフ・ジエジッツ
【照明】マルク・ハインツ
【映 像】バルテック・マシス
【ドラマトゥルク】マルチン・チェコ
【振付】マチコ・プルサク

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団

【ボリス・ゴドゥノフ】ギド・イェンティンス
【フョードルの声】小泉詠子
【クセニア】九嶋香奈枝
【乳母】金子美香
【ヴァシリー・シュイスキー公】アーノルド・ベズイエン
【アンドレイ・シチェルカーロフ】秋谷直之
【ピーメン】ゴデルジ・ジャネリーゼ
【グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー)】工藤和真
【ヴァルラーム】河野鉄平
【ミサイール】青地英幸
【女主人】清水華澄
【聖愚者の声】清水徹太郎*
【ニキーティチ/役人】駒田敏章
【ミチューハ】大塚博章
【侍従】濱松孝行
*本プロダクションでは、聖愚者は歌唱のみの出演。


モデスト・ムソルグスキー
ボリス・ゴドノフ<新制作>

プロローグ付き全4幕
〈ロシア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間25分
 プロローグ・第Ⅰ幕  70分
  休憩   25分
 第Ⅱ・Ⅲ幕        40分
  休憩   25分
   第Ⅳ幕            45分



少なくとも3つの版があり、それを上演に当たっては演出家が弄くり回すので、何が本来のボリスの姿なのかよく分からない。
版の違いを含め筋書きは理解しているつもりだったが、知っているとむしろ混乱する。さりとて知らなきゃさっぱり分からない。

今回は許容限度を超えた奇妙奇天烈な演出だった。
序幕で既にボリスが登場し、その息子フョードルは重度の障がい者だ。彼と乳母はボリスの娘クセニアの友人という設定!え?姉弟ではないのか?

フョードルは黙役で歌はMsが歌う。
と同時に彼は聖愚者でもあり、その歌はTnが歌う。

全く、何をどう補えば合理的に受け止められるのだろう。

つまり、筋書きは荒唐無稽なので、なまじ知識が邪魔して少しも頭に入らない。

ボリスは僭称王に追い詰められ息子を殺す!これも原作を大きく逸脱した演出で吃驚。

僭称王は、逆さ釣りのボリスの心臓にナイフを入れ、滴る血をグラスで飲む。なんてこった!猟奇ドラマか!

ま、オペラ観賞史上最悪の作品だった。胸糞悪し!

♪2022-175/♪新国立劇場-12

2022年7月13日水曜日

オペラ:ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」

2022-07-13 @新国立劇場



大野和士:指揮
【演 出】ケイティ・ミッチェル
【美 術】リジー・クラッチャン
【衣 裳】クロエ・ランフォード
【照 明】ジェイムズ・ファーンコム
【振 付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ペレアス】ベルナール・リヒター
【メリザンド】カレン・ヴルシュ
【ゴロー】ロラン・ナウリ
【アルケル】妻屋秀和
【ジュヌヴィエーヴ】浜田理恵
【イニョルド】九嶋香奈枝(7/6公演は前川依子)
【医師】河野鉄平

クロード・アシル・ドビュッシー
ペレアスとメリザンド<新制作>

全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間25分
 第1部 Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ幕   105分
  休憩                  30分
 第2部  Ⅳ.Ⅴ幕         70分


よく分からないけど面白さは期待以上だった。
生経験はデュトワ+N響(2014)の演奏会形式のみ。
専らパリ/オペラ座(2012)とエクサン・プロバンス音楽祭2016の録画を楽しんできた。

今回は、プロバンス版と演出も美術も全く同じ。
冒頭に少し違いを感じたがそれさえ自信がない。

そもそも、本作に<物語>はあるのか?
ケイティ・ミッチェルの演出は完全な読替えだ。
それも夢落ちなので、アンフェアな気もするが、曖昧模糊とした進行にそれなりの整合性を持たせるには効果的ではあった。

要は、マリッジブルーに襲われた乙女の脈絡のない漠とした不安・恐れだ。そこに合理性を求める必要はないと思う。


何が良かったか。

もう、ドビュッシーの音楽に尽きる。
僅かな幕間を除き鳴り続ける声とオケの頼りないの音の流れによる無限旋律は泡沫の夢そのもののようだ。

これを大野和士+東フィルが見事に美しく響かせる。

余談ながら、東フィルの演奏を2日で3度聴いた事になるが全てに驚きの出来栄え。

歌手陣も上出来。
ペレアス役Bリヒターは初めて。
メリザンド役KヴィルシュはN響でも聴いたのだけどすっかり忘れていた。
ゴロー役Lナウリは録画でずいぶん聴いていたが生は格別。

さて、予てからの疑問。なぜ「ペレ・メリ」なのか?内容からすれば「ゴロ・メリ」の方が相応しいのではないか?

原作を尊重しただけかもしれないが、タイトルロールが2人とも死んでしまうオペラは極めて稀だが、ドビュッシーは、ひょっとしてこの作品に「トリスタンとイゾルデ」を重ねていたのかもしれない。だとすれば、やはり「ペレアスとメリザンド」でなくっちゃ…。

♪2022-104/♪新国立劇場-10

2022年4月20日水曜日

モーツァルト「魔笛」

 2022-04-20 @新国立劇場


指 揮】オレグ・カエターニ
【演 出】ウィリアム・ケントリッジ
【美 術】ウィリアム・ケントリッジ、ザビーネ・トイニッセン
【衣 裳】グレタ・ゴアリス
【照 明】ジェニファー・ティプトン
【プロジェクション】キャサリン・メイバーグ
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】村田健輔

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ザラストロ】河野鉄平
【タミーノ】鈴木准
【弁者・僧侶Ⅰ・武士Ⅱ】町英和
【僧侶Ⅱ・武士I】秋谷直之
【夜の女王】安井陽子
【パミーナ】砂川涼子
【侍女I】増田のり子
【侍女Ⅱ】小泉詠子
【侍女Ⅲ】山下牧子
【童子I】前川依子
【童子Ⅱ】野田千恵子
【童子Ⅲ】花房英里子
【パパゲーナ】三宅理恵
【パパゲーノ】近藤圭
【モノスタトス】升島唯博


モーツァルト「魔笛」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 3時間
第Ⅰ幕       70分
     休憩25分
第Ⅱ幕                 85分


先週の「ばらの騎士」にように「良かったところだけ」書きたいけど、そうすれば砂川涼子のパミーナがとても良かった!で終わってしまいそう。

はっきり言って、このオペラは面白さが分からぬ。上演機会が多いから観る機会も多いけどストンと落ちない。


オペラの最高傑作とか書いてあったりすると自信を失ってしまう。

それでも敢えて言えば、ケントリッジの演出(というより美術)は単純な物語を、偉く意味深なものに見えるようにとの作為を感じてならない。

昔に日生劇場で観たパパゲーノは鳥刺の格好だった。

そんなメルヘンぽいのが好き。


夜の女王役の安井陽子は「ばらの騎士」ではゾフィーを歌ったばかり。

実は、ゾフィーは似合わないと思っていた。

夜の女王の方が余程似合っている。その有名な2幕のアリアの後はすぐ袖に引っ込ませないで拍手を受けさせるようにした方が歌手の為だけでなくお客の精神衛生上も好都合なのに。


♪2022-056/♪新国立劇場-06

2022年2月2日水曜日

オペラ:Rワーグナー「さまよえるオランダ人」

2022-02-02 @新国立劇場



【指揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野睦
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】村田健輔

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ダーラント】妻屋秀和Bs
【ゼンタ】田崎尚美Sp
【エリック】城宏憲Tn
【マリー】澤田康子(再演演出)⇒演技/金子美香Ms⇒歌唱(山下牧子の代役)
【舵手】鈴木准Tn
【オランダ人】河野鉄平Bs

R.ワーグナー「さまよえるオランダ人」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間50分
 第Ⅰ幕   55分
  休憩   25分
 第Ⅱ・Ⅲ幕 90分


オペラ本体はとでも良い出来で大いに楽しめた。
まずはオケがいい。ピットに入っていたのは東響だが、管・弦がうまく交わった時のみ聴こえる甘い響きを久しぶりに聴いた。
ピット効果と新国立劇場の音響の良さも大いに寄与していると思うが。

【ダーラント】妻屋秀和、【舵手】鈴木准以外の外人勢はすっかり日本人代役に変わったが、今日以降、マリー代役の山下牧子が出演できなくなり、さらに彼女の代役も出演できなくなり、急遽演技は演出の澤田某が口パクで、歌唱は袖から金子美香が担当する、というとんでもないことが起こったが、よくこのクラスを急拵えできたものだ。

流石に、マリーの動きはほぼ下手袖(鈴木美香がここで歌っている)近くに限定される等芝居の面で不自然さはあったが、歌手全員が、それをカバーしようとしたか?歌唱の方もとても良い出来で、【オランダ人】河野鉄平、【ゼンタ】田崎尚美(厚化粧で顔の表情が不分明だったが…)も代役にもかかわらず文句なし。妻屋の歌唱もコミカルな芝居も良かった。鈴木も安定感。


ともかくオケ・歌唱とも高水準。
演出も分かり易くて良かった。

大したことでないと思っているが、オランダ人は救済されるのか否か。

これは序曲終盤(初演時の救済なしバージョンに、後年「救済」のテーマが追加されているの)で分かるけど、そこをぼんやり聴き逃すと終幕まで分からない。いや、最後まで観ても音楽の最後(やはり「救済のテーマ」の追加。最終の強勢アタックが締め括りの1回だけ。救済なしバージョンでは「救済のテーマ」がなく、強勢アタックは重々しく3回鳴る。)を聴かないと分からない場合も多いがこの演出は舞台を見ているだけで、救済された事が分かる。

救済と言っても半死半生状態から確実な死を迎えると言う事であり、その死によって新しく生きると言う事なのだろう。

この辺はもうワーグナーの死生観の独擅場で、自己中のオランダ人が救済されようとされまいと、僕の楽しみ方としては、どっちでもいい。


小さな残念が一つ。
合唱が大活躍するが、嬉しいことに全員NoMaskだった。流石新国立劇場だ、と喜んでいたが、3幕に入ると水兵たち狂乱の場だが、舞台前方で浮かれる6人?だけMaskをしている。ましてや歌う訳ではないのだからMaskの必要性がどこにある?
マスク神経症の僕としては気になったよ。

♪2022-013/♪新国立劇場-02