2022年2月2日水曜日

オペラ:Rワーグナー「さまよえるオランダ人」

2022-02-02 @新国立劇場



【指揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野睦
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】村田健輔

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ダーラント】妻屋秀和Bs
【ゼンタ】田崎尚美Sp
【エリック】城宏憲Tn
【マリー】澤田康子(再演演出)⇒演技/金子美香Ms⇒歌唱(山下牧子の代役)
【舵手】鈴木准Tn
【オランダ人】河野鉄平Bs

R.ワーグナー「さまよえるオランダ人」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間50分
 第Ⅰ幕   55分
  休憩   25分
 第Ⅱ・Ⅲ幕 90分


オペラ本体はとでも良い出来で大いに楽しめた。
まずはオケがいい。ピットに入っていたのは東響だが、管・弦がうまく交わった時のみ聴こえる甘い響きを久しぶりに聴いた。
ピット効果と新国立劇場の音響の良さも大いに寄与していると思うが。

【ダーラント】妻屋秀和、【舵手】鈴木准以外の外人勢はすっかり日本人代役に変わったが、今日以降、マリー代役の山下牧子が出演できなくなり、さらに彼女の代役も出演できなくなり、急遽演技は演出の澤田某が口パクで、歌唱は袖から金子美香が担当する、というとんでもないことが起こったが、よくこのクラスを急拵えできたものだ。

流石に、マリーの動きはほぼ下手袖(鈴木美香がここで歌っている)近くに限定される等芝居の面で不自然さはあったが、歌手全員が、それをカバーしようとしたか?歌唱の方もとても良い出来で、【オランダ人】河野鉄平、【ゼンタ】田崎尚美(厚化粧で顔の表情が不分明だったが…)も代役にもかかわらず文句なし。妻屋の歌唱もコミカルな芝居も良かった。鈴木も安定感。


ともかくオケ・歌唱とも高水準。
演出も分かり易くて良かった。

大したことでないと思っているが、オランダ人は救済されるのか否か。

これは序曲終盤(初演時の救済なしバージョンに、後年「救済」のテーマが追加されているの)で分かるけど、そこをぼんやり聴き逃すと終幕まで分からない。いや、最後まで観ても音楽の最後(やはり「救済のテーマ」の追加。最終の強勢アタックが締め括りの1回だけ。救済なしバージョンでは「救済のテーマ」がなく、強勢アタックは重々しく3回鳴る。)を聴かないと分からない場合も多いがこの演出は舞台を見ているだけで、救済された事が分かる。

救済と言っても半死半生状態から確実な死を迎えると言う事であり、その死によって新しく生きると言う事なのだろう。

この辺はもうワーグナーの死生観の独擅場で、自己中のオランダ人が救済されようとされまいと、僕の楽しみ方としては、どっちでもいい。


小さな残念が一つ。
合唱が大活躍するが、嬉しいことに全員NoMaskだった。流石新国立劇場だ、と喜んでいたが、3幕に入ると水兵たち狂乱の場だが、舞台前方で浮かれる6人?だけMaskをしている。ましてや歌う訳ではないのだからMaskの必要性がどこにある?
マスク神経症の僕としては気になったよ。

♪2022-013/♪新国立劇場-02