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2025年6月3日火曜日

新国立劇場オペラ「セビリアの理髪師」

2025-06-03 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ヨーゼフ・E.ケップリンガー
【美術/衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
【照明】八木麻紀

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

Tn【アルマヴィーヴァ伯爵】ローレンス・ブラウンリー
Ms【ロジーナ】脇園彩
Br【バルトロ】ジュリオ・マストロトータロ
Br【フィガロ】ロベルト・デ・カンディア
Bs【ドン・バジリオ】妻屋秀和
Ms【ベルタ】加納悦子
Br【フィオレッロ】高橋正尚
Br【隊長】秋本 健
BsBr【アンブロージオ】古川和彦


ジョアキーノ・ロッシーニ「セビリアの理髪師」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間05分
 第1幕        95分
  休憩    30分
 第2幕     60分






20年の公演と同じ演出・同じ舞台美術(ロジーナとベルタも同じ歌手)なので、特に新たに感じたこともないのだけど、演出はやはり疑問だ。1960年代に移し替える意味は分からない。特に現代の日本人にとって、フランコ政権なんて全く興味の埒外だ。
オペラの演出家は、何か、独自色を出さなければ自分の存在意義がないとばかり、あれこれ読み替えをしたがるが、本作も全く成功していない。
黙役が多いがこれもいなきゃ舞台が寂しいがなんだか鬱陶しくもある。

尤も、演出の不足も、元の台本も音楽も面白いのでこれはこれで楽しめるけど。

伯爵役(R.ブラウンリー)以外はみんなとても良かった。
伯爵は本作の唯一のテノールなのに、ベルカント・テノールの良さが全く発揮されなかった。声に輝きがない。むしろ、バルトロやフィガロはバリトンだけど、かなり高域まで明るい輝きがあった。

また、なぜか、本作にはソプラノが登場しない。
しかし、物足りなかったのは序盤だけで、どんどん調子が良くなった。この時代、少なくともロッシーにはあまり声部にこだわっていなかったという話を読んだ記憶がある。音域的にソプラノに近いメゾなのかもしれない。現にロジーナ役はソプラノが歌っているDiscも持っている。

細かな装飾音やとてつもない早口言葉の歌唱など、ベルカントの魅力を堪能できる。

カーテンコールが長かった。もういいのにと思いながら付き合ったが、今日が千秋楽だったからなんだな。

♪2025-070/♪新国立劇場-09

2023年2月15日水曜日

新国立劇場オペラ「ファルスタッフ」

2023-02-15 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】ペーター・ペッチニック
【再演演出】三浦安浩
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

ファルスタッフ:ニコラ・アライモ
フォード:ホルヘ・エスピーノ
フェントン:村上公太
医師カイウス:青地英幸
バルドルフォ:糸賀修平
ピストーラ:久保田真澄
フォード夫人アリーチェ:ロベルタ・マンテーニャ
ナンネッタ:三宅理恵
クイックリー夫人:マリアンナ・ピッツォラート
ページ夫人メグ:脇園彩

ジュゼッペ・ヴェルディ「ファルスタッフ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第1幕・第2幕   80分
 休憩       25分
第3幕              50分



物語は単純だが真意がよく理解できないオペラが何本かあるが、これはその一つ。
2人の女性に同文のラブレターを送ったファルスタッフが、かくも女性たちから散々な目に遭わねばならないのか。それでいて、「世の中は全て冗談」と切り上げて良いのか。

「冗談だ」は登場人物に向けられたセリフなのか、客席に向けられたセリフなのか。何度観ても分からない…というか、もうそれ以上考えるのも馬鹿らしい気になって、はいはい、冗談ですよ。と自分を納得させている。

前回18年と全く同じ演出・美術だが、その時は気が付かなかったが、今回は、劇場の作品紹介動画で舞台美術について説明をしていたのを見て気が付いたのだけど、最終幕以外はフェルメールの絵画を模した美術・衣装が、登場人物や物語に、リアリティを与えている。
それで、なおさら、この話を「冗談」で済ませて良いのか!という気にさせるのは困ったものだ。

ベルディはこの最後の作品で、ようやく到達した人生哲学を披露したのだろうか?
「冗談だ」のアンサンブルは、宗教曲で使われる厳格なフーガでできていると解説に書いてある(聴いている時は全然気づかなかった!)。
何か、ベルディに担がれている気がしてならん。

♪2023-030/♪新国立劇場-03

2019年11月13日水曜日

新国立劇場オペラ「ドン・パスクワーレ」

2019-11-13 @新国立劇場


ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクワーレ」
全3幕〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約2時間25分
第Ⅰ幕〜第Ⅱ幕 80分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕 40分

指揮:コッラード・ロヴァーリス
演出:ステファノ・ヴィツィオーリ
美術:スザンナ・ロッシ・ヨスト
衣裳:ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ
照明:フランコ・マッリ
演出助手:ロレンツォ・ネンチーニ

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ドン・パスクワーレ⇒ロベルト・スカンディウッツィ
マラテスタ⇒ビアジオ・ピッツーティ
エルネスト⇒マキシム・ミロノフ
ノリーナ⇒ハスミック・トロシャン ほか

「ドン・パスクワーレ」は、物欲・色欲の爺さんが若者にいっぱい食わされる喜劇として受け取られている向きがある。
そのようなつもりで観ていたか、僕の周りには前半呑気な笑いが広がっていたが、フン、最後まで笑ってられるかなと冷たい目で見ていたところ、終盤は、やはりみんな笑えない。

そうだ。本当は、これは気の良い老人を思いやりのない若者が虐待する話なのだから。

瑕疵のある物語が無理矢理の大団円でねじ伏せられるオペラは少なくない。これもその一つ。愈々ドン・パスクワーレを同じくらいの年齢として見ると切なくなってくる。

ま、歌劇鑑賞としてはそこんところは置いておいて。
急遽配役変更になったノリーナ役ハスミック・トロシャンがうまい。声量もありよく通る声だ。美形で豊胸と眼福モノ。
ドンのロベルト・スカンディウッツィもマラテスタ役ビアジオ・ピッツーテイも巧くて早口2重唱は聴きものだった。
エルネスト役マキシム・ミロノフの声が細くて惜しかったね。

新国立劇場としては新制作だが、海外での演出・装置・衣装をそのまま持ち込んだようだ。
その為か、天井の高い舞台を生かしきっていない感じもしたが、台所のシーンなど装置にも驚かされるし、アクロバチックなサビースもあって、全体として良くできているなと感心した。

♪2019-176/♪新国立劇場-11