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2019年9月4日水曜日

東京都交響楽団 第885回 定期演奏会Bシリーズ

2019-09-04 @サントリーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団

ヴェロニカ・エーベルレ:バイオリン*

【若杉弘没後10年記念】
ベルク:バイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》*
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)
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プロコフィエフ:無伴奏バイオリン・ソナタから第2楽章*

今日は偶々ブルックナー195歳の誕生日だったが、プログラムには書いてなかった。その一方で、プログラムには若杉弘没後10年は銘打ってあったが、今日の演目との関係は何にもなかったようだ。
ま、そんな事どうでもいいのだけど。

久しく都響不信感が募っていたが、今日はさっぱりと解消してくれた。

「湿度が高いとホールは良く鳴る」という僕の仮説が当たってサントリーホールにしてはとても良い響きだった。これも都響の腕を高らしめた一因だろう。

まず、ベルクのバイオリン協奏曲。以前、N響+ジュミ・カンで聴いたことはあったがその時はつまらなく感じたが、今回は結構楽しめた。これで3度目聴くこととなったエーベルレの技量も(音圧を除き)良かった。

何より都響の演奏が繊細で良かった。
非調性音楽はだいたい嫌いだ。この曲は12音音階を基にして作曲されているようだが、その割には穏やかで無闇に意表を突くようなところも少なく嫌味がない。何より独自の和声が綺麗だ。
ただ、2楽章の3挺のバイオリンが絡み合う部分など、肝心の音の遣り取りがオーケストラに隠れてよく聴こえなかったのは残念。

メインがブルックナー。
これが過去の鬱憤を晴らす上出来!

冒頭の弦楽器のみの弱音トレモロ…所謂ブルックナー開始から管楽器が入るところが穏やかで良かった。ここをファンファーレみたいに大音量でかき乱す演奏も少なからず。
ここが自然で綺麗に滑りだしたので、あとはなんだか安心して聴いておられた。

今日は弦のアンサンブルも綺麗だったし、管と弦の織りなす響きも久しぶりに美しかった。都響は、やはり力があるのか。

それにしても、ブルックナーは何故かくも劇的で緊張感を強いる音楽なのだろう。未完成で終わってしまったのはむしろ正解だろう。

♪2019-132/♪サントリーホール-05

2019年3月23日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第69回

2019-03-23 @カルッツかわさき


クシシュトフ・ウルバンスキー:指揮
東京交響楽団
ヴェロニカ・エーベルレ:バイオリン*

モーツァルト:バイオリン協奏曲第5番イ長調* K219「トルコ風」
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 作品43
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プロコフィエフ:無伴奏バイオリンソナタニ長調 作品115 第2楽章から*

カルッツかわさきでのクラシック・コンサートは先月初めの名曲全集以来の2度目。
そもそも、このホールはアコースティックな音響効果はうまくチューニングされていないのではないかと思う。

個人的な好みもあるが、このホールの響は乾きすぎていると思う。弦に潤いがない。とはいえ、管・打楽器では音はよく出ているので、芸術劇場のように舞台上で音が閉じ込められているような不快感はないのだけど。

ともかく、クラシック向きとは思えない。

まだ、しばらくミューザが改修のために使えないので東響川崎定期も名曲全集もカルッツで開催されるのが、辛いところだ。

ヴェロニカ・エーベルレは初めてだとばかり思っていたら、2015年に読響との共演でメンデルスゾーンの協奏曲を聴いていた。その時の記録には可もなく不可もなく、あまり印象に残らなかったようだ。で、今回もまあ上手な演奏だと思うけど、モーツァルトじゃ独自色も出せないのかもしれない。

なぜ、モーツァルトとショスタコーヴィチがカップリングなのか分からない。プログラムにもコンセプトが書いてない。

政権に翻弄されたショスタコーヴィチにとって色々な思いのこもった作品なのだろうが、何しろ馴染みがほとんどないので、楽しめるというところまでは至らなかったけど、モーツァルトとの対比では編成の規模が倍ほど大きく(ショスタコの全交響曲15曲中最大編成だそうな。)、楽器も多彩なので、退屈することもなかった。

後刻、Wikipediaを読むと弦の編成も指定してあるようで、それによると22型!で弦だけで90人。菅・打楽器を含め合計134人を必要とすると書いてある。
この日の東響は大編成ではあったが、これほどではなかった。第一、134人もステージに並ばないのではないか。一度見てみたいし聴いてみたいが。

♪2019-023/♪カルッツかわさき-02

2015年7月30日木曜日

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015 読売日本交響楽団 世界音楽紀行①ドイツからイタリアへ

2015-07-30 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジェレミー・ローレル:指揮
ヴェロニカ・エーベルレ:バイオリン*
読売日本交響楽団

<オール・メンデルスゾーン・プログラム>
付随音楽「真夏の夜の夢」序曲
バイオリン協奏曲 ホ短調*
交響曲第4番「イタリア」
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アンコール*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第1番アダージョ

「バイオリン協奏曲」、「交響曲イタリア」は若い自分から好きだった(特に「イタリア」の第2楽章は泣ける!)。
しかし、これらを含め、メンデルスゾーンって明朗にして程よく情緒的だけど<軽い>感じがして他の作品を積極的に聴こうともしなかったが、今にして思えば残念だし、我ながら不遜な態度だったなあ。

ピアノ曲集「無言歌」の中の幾つかに感応したのがきっかけだったかもしれない。
メンデルスゾーンて面白いかも、と思い直し、あれやこれやCDを集めだし、聴き始めるうちに、安価な40枚組のマスター・ワークスを発見・購入して、若気の過ちへの深い反省と謝罪!とともに傾聴することになった。

と言っても早熟の天才の作品は、シューマンやブラームスに比べてずっと多岐にわたり大量に及んでいて、まだ、到底全部を聴き終えていない。そこそこ名の売れた作品はほとんどiTunesに取り込み済みだし、コンサートで取り上げられる中に未聴のものがあればそれを機に取り込んで当面せっせと聴くのだけど、やはり、メンデルスゾーンの場合もコンサートで取り上げられる曲は大いに偏向している。


とはいえ、今日の3本。
「真夏の夜の夢」は序曲だけだが、「バイオリン協奏曲」も「交響曲イタリア」も大好きな作品だから、とりあえずは大いに楽しみだった。

毎年夏にミューザで開催される「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015」は、既に7月25日に開幕しているが、今年はミューザに集合する在京プロオケ10団体のうち今日の読響を含めて5つのコンサートを選んだ(N響はミューザでのコンサートの翌日にNHKホールで同一プログラム+αのコンサートがあるので今年はそちらを選んだ。)。

僕にとっては、今日が「フェスタサマーミューザ~」の第1日目だ。

2階センター寄り右翼の最前列というこの上もないベストポジション。

さて、先日のN響がトラウマになっていて、オケの響が以前より気になって仕方がない。近頃のコンサートでは音楽を聴くというより、音を聴いているようなところがあって、第1声を耳を澄ませて待つ。

「真夏の夜の夢」序曲は弱音のフルートで始まる。
そのフルートが実に難しそうだった。奏者も決して満足していないだろう。音響の問題では無いけど、残念な出だしだった。

しかし、弦も管も一斉になりだすと、豊かなサウンドが広がった。
これでようやく音楽鑑賞態勢が整った。

「バイオリン協奏曲」はソロバイオリンのダイナミックレンジが広いのだけど、それは弱音に向かって広いので、びっくりするような大きな音が出ていた訳ではない。むしろ、びっくりするような最弱音に耳を集中しなければならない。でも、後半のカデンツァは表情豊かな演奏だった。メンデルスゾーンもこういう演奏を思い描いていたのかもしれない。
この繊細さは1770年作ストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」の音なのかもしれない。
http://www.nmf.or.jp/instruments/


「イタリア」はどの楽章をとってもワクワクさせるが、まずは第1楽章の冒頭でバイオリンのメロディーを木管とホルンが16部音符の疾走するリズムで支えるところ。タンギングが難しいだろうけど、ぴたっと合って和音を刻む、この響が実に心地よい。

第1、第4楽章の激情に挟まれた第2楽章の哀愁は少し歌謡曲ぽいのだけど沁みてくる。
メンデルスゾーン23歳の若作りだが、初演は大成功であったにもかかわらずその後は訂正を繰り返し、出版されたのは彼の死後(享年38歳)だそうだ。

オーケストラの音響については思うところがあったが、この8月にミューザで4回、NHKホールで1回、サントリーホールで1回聴くことになっているので、ホールの違いや座席の違いでどう異なるのか、さらに耳を澄ませて聴き分けてみようと思っている。


♪2015-72/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12