2015年7月30日木曜日

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015 読売日本交響楽団 世界音楽紀行①ドイツからイタリアへ

2015-07-30 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジェレミー・ローレル:指揮
ヴェロニカ・エーベルレ:バイオリン*
読売日本交響楽団

<オール・メンデルスゾーン・プログラム>
付随音楽「真夏の夜の夢」序曲
バイオリン協奏曲 ホ短調*
交響曲第4番「イタリア」
-------------
アンコール*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第1番アダージョ

「バイオリン協奏曲」、「交響曲イタリア」は若い自分から好きだった(特に「イタリア」の第2楽章は泣ける!)。
しかし、これらを含め、メンデルスゾーンって明朗にして程よく情緒的だけど<軽い>感じがして他の作品を積極的に聴こうともしなかったが、今にして思えば残念だし、我ながら不遜な態度だったなあ。

ピアノ曲集「無言歌」の中の幾つかに感応したのがきっかけだったかもしれない。
メンデルスゾーンて面白いかも、と思い直し、あれやこれやCDを集めだし、聴き始めるうちに、安価な40枚組のマスター・ワークスを発見・購入して、若気の過ちへの深い反省と謝罪!とともに傾聴することになった。

と言っても早熟の天才の作品は、シューマンやブラームスに比べてずっと多岐にわたり大量に及んでいて、まだ、到底全部を聴き終えていない。そこそこ名の売れた作品はほとんどiTunesに取り込み済みだし、コンサートで取り上げられる中に未聴のものがあればそれを機に取り込んで当面せっせと聴くのだけど、やはり、メンデルスゾーンの場合もコンサートで取り上げられる曲は大いに偏向している。


とはいえ、今日の3本。
「真夏の夜の夢」は序曲だけだが、「バイオリン協奏曲」も「交響曲イタリア」も大好きな作品だから、とりあえずは大いに楽しみだった。

毎年夏にミューザで開催される「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015」は、既に7月25日に開幕しているが、今年はミューザに集合する在京プロオケ10団体のうち今日の読響を含めて5つのコンサートを選んだ(N響はミューザでのコンサートの翌日にNHKホールで同一プログラム+αのコンサートがあるので今年はそちらを選んだ。)。

僕にとっては、今日が「フェスタサマーミューザ~」の第1日目だ。

2階センター寄り右翼の最前列というこの上もないベストポジション。

さて、先日のN響がトラウマになっていて、オケの響が以前より気になって仕方がない。近頃のコンサートでは音楽を聴くというより、音を聴いているようなところがあって、第1声を耳を澄ませて待つ。

「真夏の夜の夢」序曲は弱音のフルートで始まる。
そのフルートが実に難しそうだった。奏者も決して満足していないだろう。音響の問題では無いけど、残念な出だしだった。

しかし、弦も管も一斉になりだすと、豊かなサウンドが広がった。
これでようやく音楽鑑賞態勢が整った。

「バイオリン協奏曲」はソロバイオリンのダイナミックレンジが広いのだけど、それは弱音に向かって広いので、びっくりするような大きな音が出ていた訳ではない。むしろ、びっくりするような最弱音に耳を集中しなければならない。でも、後半のカデンツァは表情豊かな演奏だった。メンデルスゾーンもこういう演奏を思い描いていたのかもしれない。
この繊細さは1770年作ストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」の音なのかもしれない。
http://www.nmf.or.jp/instruments/


「イタリア」はどの楽章をとってもワクワクさせるが、まずは第1楽章の冒頭でバイオリンのメロディーを木管とホルンが16部音符の疾走するリズムで支えるところ。タンギングが難しいだろうけど、ぴたっと合って和音を刻む、この響が実に心地よい。

第1、第4楽章の激情に挟まれた第2楽章の哀愁は少し歌謡曲ぽいのだけど沁みてくる。
メンデルスゾーン23歳の若作りだが、初演は大成功であったにもかかわらずその後は訂正を繰り返し、出版されたのは彼の死後(享年38歳)だそうだ。

オーケストラの音響については思うところがあったが、この8月にミューザで4回、NHKホールで1回、サントリーホールで1回聴くことになっているので、ホールの違いや座席の違いでどう異なるのか、さらに耳を澄ませて聴き分けてみようと思っている。


♪2015-72/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12