2015年7月11日土曜日

前橋汀子のバッハ無伴奏バイオリンソナタ&パルティータ全曲演奏会

2015-07-11 @県立音楽堂


前橋汀子:バイオリン

無伴奏バイオリン・ソナタ
第1番 ト短調 BWV1001
第2番 イ短調 BWV1003
第3番 ハ長調 BWV1005

無伴奏バイオリン・パルティータ
第1番 ロ短調 BWV1002
第2番 ニ短調 BWV1004
第3番 ホ長調 BWV1006



1989年度のレコード・アカデミー賞と文化庁芸術作品賞を受けた前橋汀子のJ.S.バッハ無伴奏バイオリンソナタとパルティータ(以下「無伴奏」と略記)全曲盤のCDこそ、僕をバッハ同曲に開眼させてくれたもので、以後四半世紀を経過したが、聴くのはいつも前橋汀子版だ。

これまでに無伴奏全曲をナマで聴いたことが1回だけあったけど、よほど昔で誰の演奏だったか思い出せない。その時は2日間で全曲が演奏された。

今回は、長年CDで聴き馴染んだ前橋汀子本人による1回で全曲演奏だ。しかも音楽堂という中規模(1106席)で、かつ、残響の少ないホールでは生々しく弦が響くはずで、相当楽しみにして出かけた。
このコンサートは早々とチケット完売で、当然満席だった。どちらを見渡しても人で埋まっていることが一層テンションを上げる。



第1番ソナタの次は第1番パルティータという昇順で始まったが、長大なシャコンヌを含むパルティータ2番はさすがにクライマックスを飾るものとして最後に置かれた。

すべてが聴き慣れた演奏で自然に音楽に浸れたが、やはり御年70歳を超えたせいか、やや大人しいと思える部分もあったが、これは円熟の技というべきか。

相変わらず巧いし、音楽堂のピュアな響もバイオリン1丁による演奏にはとてもマッチしている感じだ。至福の時、と言っても大体正しい。

大体、というのは、ただし、疲れたから。

全6曲中4曲が終わった時点で休憩をはさみ、終演まで3時間くらいだったろうか(CDの演奏時間は2時間24分)。
この長時間、演奏家にとって立ちっぱなしで集中力を維持するのは容易なことではないだろう。
一方、椅子に座って聴いているだけの聴衆にとってもけっこう精神的に負担がかかる…のは僕だけか。

バッハの無伴奏全曲演奏会はとても魅力的な企画だけど、やはり2日に分けた方が音楽鑑賞の態度としては正解だと思うが、営業的に成り立たないのかもしれない。




♪2015-65/♪県立音楽堂-07