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2025年7月18日金曜日

N響「夏」2025

2025-07-18@NHKホール



ダーヴィト・アフカム:指揮
NHK交響楽団
マルティン・ヘルムヒエン:ピアノ*

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 作品54*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 
--------------------------
シューマン:「森の情景」作品82-第7曲「予言の鳥」*
シューベルト:「ロザムンデ」間奏曲第3番






逡巡した挙句、7月は回数が多すぎるので一度は断念した。が、ブラームスとシューマンというプログラムに惹かれて、遅まきながら買ったので、良い席が残っておらず3階席の前方中央で我慢することにしたが、3階席なんてもう10年ぶり?もっと前かも。

どうも1階席で慣れた耳にはまるで響きが違う。

なかなか音楽に入ってゆけない。
自分の気持ちと戦っているうちの終わってしまった。


♪2025-097/♪NHKホール-06

2025年6月14日土曜日

神奈川フィル クローズアップコンサートinかなっく


2025-06-14 @かなっくホール




[第一部]
Vn1東亮汰
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番二長調

[第二部」
SoloVn東亮汰
Vn1横山琴子
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ビバルディ:四季メドレー
◆シューマン(萩森英明編):子供の情景 作品15〜第7曲:トロイメライ
◆ドボルザーク(クライスラー編):我が母の教え給し歌
◆エルガー:愛の挨拶 作品12
◆シャミナード:スペイン風セレナーデ
◆クライスラー:前奏曲とアレグロ
◆エンニオ・モリコーネ(萩森英明編):ニュー・シネマ・パラダイス(愛のテーマ)
◆J.ウィリアムズ:シンドラーのリストから「追憶」
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モンティ:チャールダーシュ


東くん(中学2年)を初めて聴いた時のポスター

神奈川フィルのメンバーによる室内楽@かなっくは”ブランチ”ハーモニーと銘打ったシリーズが3年ほど続いていたように思うけど、なぜか、今年度から”クローズアップ〜”に変わったらしい。尤も第2回目は予定されているとは聞かないから、今回で立ち消えになるかもしれない。

なので、今後も定着するかどうかは分からないけど、今回は、神奈川フィルの弦4人にゲストとして東(ひがし)亮太クンが加わった。

前半は、彼がVn1を受け持つSQでボロディンの2番。
後半は、彼がSQをバックにSoloを受け持つポピュラー名曲集。

前半は、どうもしっくりこなかった。冒頭の旋律はVn2以下の3本で奏でられるが、その部分が分解しそうな気がしてたよ。Vn1が入ってからはだいぶ軌道に乗ってきたが、最初の不信感は長く尾を引いたな。

後半は、普段はPf伴奏の部分をSQに編曲し直した名曲集だが、こちらはとても良かった。東クンのVnが実に明瞭で美しい。バックに徹した感のあるSQの方も良い調和を見せていた。この5人の弦の響がとてもいい。

そこに感心しながら、満足して聴き終えた。

「雨の日はホールが良く鳴る」というみつばちの法則がピッタリ当たった。

♪2025-078/♪かなっくホール-08

2025年5月31日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第407回横浜定期演奏会

2025-05-31 @みなとみらいホール



ガボール・タカーチ=ナジ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
三浦謙司:ピアノ*

シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D759「未完成」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467*
コダーイ:組曲《ハーリ・ヤーノシュ》 op.15
 (ビオラ独奏:安達真理)
-----------------------------
シューマン:3つのロマンスから第2番*
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲





昨日、神フィル室内楽でバルトークとコダーイを聴いた。
コダーイなんて、「ハーリ・ヤーノシュ」くらいしか知らないなあ、と思っていたが、今日、プログラムはすっかり忘れて出かけたら、なんとその「ヤーノシュ」がメインだった。

全3曲とも、珍しく楽しめなかったが、最後の最後のオケEncがなんとバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」で、これも昨日Vn+Pf版を聴いたばかり。
しかし、これが良かった。9回2アウトから満塁ホームランで逆転勝利という感じ。


シューベルトは冒頭のVc(+Cb)の音があまりに弱音すぎて音楽になっていない、と感じた。Vnの刻みも極端に小さい。それでいて、Ob+Clの主題は、弦の序奏に見合うような弱音は出せないので、浮いてしまっている。このアンバランスでもう興醒めした。
その後の2曲でも、弦(特にVc)は極端なほど抑えられている。

モツPf協21番も、弦は10型なのはいいが、弦全体が抑制されているのでモダンピアノが(かなり抑え気味に弾いていたがそれでも)浮いてしまう感じで、全体のバランスが良くない。

オケ自体は、良い演奏だと思ったが、タカーチの独自さについてゆけなかったよ。

しかし、Encが上出来で、終わりよければすべてよし。
ご本人も相当ご満悦で手応えを感じたんだろうな。

♪2025-069/♪みなとみらいホール-13

2025年5月14日水曜日

小林沙羅 ソプラノリサイタル ”愛を歌う”

2025-05-14 @東京文化会館



小林沙羅:ソプラノ
福間洸太朗:ピアノ
北村有起哉:朗読


●R.シューマン:
「女の愛と生涯」Op.42から⇒1彼と出会ってから
「ミルテの花」Op.25から⇒24君はまるで花のよう / 7睡蓮の花
●C.シューマン:「愛の春」Op.37から⇒2彼は嵐と雨の中をやって来た
●R.シューマン:「ミルテの花」Op.25から⇒9ズライカの歌
「詩人の恋」Op.48から⇒8もしも花たちが知ったら
●C.シューマン:「愛の春」Op.37から⇒11なぜ他人に尋ねようとするの? / 4美しさゆえに愛するのなら
●R.シューマン:「子どものための歌のアルバム」Op.79から⇒29ミニヨン /「女の愛と生涯」Op.42から⇒4私の指にある指輪よ
●R.シューマン:「リーダークライス」Op.39から⇒12春の夜 /「女の愛と生涯」Op.42から⇒8今あなたは私に初めての悲しみを与えた
●C.シューマン:「六つの歌」Op.13から⇒1僕は暗い夢の中で / 2二人は愛し合っていた / 3愛の魔法
●R.シューマン:「ミルテの花」Op.25から⇒1献呈
***************************************
<独唱版世界初演>
●三枝成彰:「愛の手紙~恋文」から⇒
第3曲 伊藤野枝と大杉栄の往復書簡
第9曲 マリー・アントワネットとフェルセン伯爵の往復書簡
-------ENC---------------------------
山田耕筰(三枝成彰編):「からたちの花」
R.シューマン:「彼だ!」





前半はロベルト&クララ・シューマンの歌曲を朗読入りで聴かせた。
凝ったプログラムで、2人が結ばれるまでの困難を極めた物語を、簡単な道のりと共に愛の往復書簡で紹介し、節目毎にその情感を表す歌が入る。

1曲終わっても誰も拍手はしない。
とてもそんな雰囲気ではない。ドラマは一瞬の緩みもなく続いているから。

小林紗羅は、時にロベルト、時にクララになり切って愛の喜び、悲しみ、苦しさ、迷いを全身を使って表現するので、ドイツ語の歌詞(プログラムには日本語訳)の意味は正確には分からないが、十分彼らの想いが伝わってくる。

クララの父の結婚大反対を訴訟まで起こして勝利し、遂に結婚に至った(ロベルト30歳。クララ21歳)その前後にシューマンは多くの名曲を作曲しているそうだ。
今日のステージは2人の苦難に満ちた、しかし勝利を勝ち得た良き時代までの作品が歌われた。

締めくくりがロベルトの「献呈」だ。
リッケルトの詩だが、まるでロベルトがクララにありったけの愛を注ぎ込んだような作品で、僕は大好きで、小林紗羅もステージでよく取り上げている。

------------------

ロベルトはほぼ4年後(34歳)に精神病を発症し、46歳で亡くなった。
幸福な時期はわずかに4年に過ぎなかった。
その短くも激しく燃えた幸せを「献呈」は歌っている。
僕は、パブロフの犬みたいにこれを聴くたびにウルウルする。

歌と朗読で、シューマン夫妻の愛の悲喜交々(こもごも)も味わいながら、僕も心の動悸を感じていた。

いい歳をして、愛も恋も無かろう…とニヒルに思い直したりもしたが、すぐ、いや、この歳になっても、人を想う心に感動できる自分を幸福だと思い直した。
そうだ、この為なんだ。
これまでいろんなこと・ひと・ものに夢中になってエネルギーを使ってきたのは、こういう気持ちをいつまでも維持したいからなんだ。ふとそう思ったよ。




第二部も灼熱の愛の往復書簡を歌曲に仕立てた三枝成彰の作品が披露された。
第一部がちょうど1時間で、内容的にも極めて充実した時間だったので、もうこれで終わってもいいのに、と思いながらも聴いてみれば、初聴きばかりだったが、これはこれで面白く聴けた。
客席の三枝氏も盛大な拍手を受けて、和やかに終演した。

今年60回目の鑑賞だが、25年前半のピカイチだったな。

終演後のホワイエでは井上道義氏が難しい顔して話し込んでいた。



♪2025-06/♪東京文化会館-06

2025年5月10日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第405回

2025-05-10 @みなとみらいホール



ゲオルク・フリッチュ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ミシェル・ダルベルト:ピアノ*


ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
-----------------------
シューマン:子供の情景 Op.15から
 -12 眠っている子供
 -13 詩人のお話




フリッチュはやはり神奈川フィルで、前回はブラームスの2番を聴いた。その時は何とも思わなかったけど、今回はマジに耳をそばだてていたというか、睡魔に襲われなかったのでしっかり聴いたけど、ドイツ人の王道ブラームスってこんなの?
僕の希望としては、テンポの変化をあまり感じさせず、ぼっとしていたら、イン・テンポのまま終わった!みたいのが好きなんだけど。
あまりテンポが変わるとブラームスの精緻な音楽が緊張を維持できなくなるような気がするから。特に終楽章なんか、ちょっと気を抜いたら崩壊してしまいそうな危ういところで成立しているような気がするので、駒に例えると自立できる速度を維持して最終盤に雪崩れ込んで欲しい。

Pfのダルベルトは1月の都響で聴いたモツ21番がとても良かった。しかし、今日のブラームス1番は好みではないな。
頭は揃っているのに末尾が曖昧な感じで、音楽が裾を引きずって進んでゆくみたいな感じがしたな。

この傾向は、フリッチュの指揮にも感じたよ。

ああ、素人が偉そうなことを言っていると思いつつ無責任な評を書いちまったよ。

全体としては、大好物の2本立てで、期待が大きすぎたとも言える。

今日の神奈川フィルは良い出来だった。

♪2025-057/♪みなとみらいホール-10

2024年4月29日月曜日

第128回N響オーチャード定期 東横シリーズ 渋谷⇔横浜 <ブラームス・チクルス>

2024-04-29 @オーチャードホール



クリストフ・エッシェンバッハ:指揮
NHK交響楽団
バイオリン:岡本誠司*

シューマン:バイオリン協奏曲二短調 WoO23*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op73
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シューマン(岡本誠司編):若者のための歌曲集 作品79から第19曲「春の訪れ」*
シューマン(岡本誠司編):「天使の主題」による変奏曲 WoO24から「テーマ」*
ブラームス:ハンガリー舞曲集から第5番(パーロー版)





5日前にエッシェンバッハ+N響でシューマン3本を聴いて、これはあまりにもサントリーが乾いていて、Vcも同じく。潤いのない音楽にがっかりした。

オーチャードの響はサントリーに比べると少しマシではあったけど、こちらも決して潤いのある美しい響とは言えない。

今日もシューマンのVn協とブラームス2番という黄金番組だったが、オケの出来は良くない。

そもそも先日のシューマン2番といい、今日のブラームス2番といい、管楽器15〜18に弦が60本も必要なの?
多すぎて高域弦がキンキンシャリシャリと不快な音を立てるのではないか。

が、ブラームス2番は第2楽章以降は良い感じだった。

しかし、Encにハンガリー舞曲5番。
これが余計で、おそらくリハなしではなかったか。
弦の滑舌が悪く管とも合っていなかった。

♪2024-061/♪オーチャードホール-02

2024年4月12日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2024前期 佐藤晴真 & 仲道郁代 デュオ・リサイタル

2024-04-12 @みなとみらいホール



佐藤晴真:チェロ
仲道郁代:ピアノ

シューマン:幻想小曲集 Op.73(チェロ版)
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調(チェロ版)
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ショパン:チェロ・ソナタから第3楽章






なかなか渋い内容だった。
ショスタコのVcソナタは2回目だったが覚えていなかった。が、彼の作品は何を聴いてもショスタコ印が刻印されているから、ああ、ここに印が、ここにも…と楽しんだ。

シューマンとフランクは何度も聴いている。
フランクのソナタはもちろんVnで多く聴いているがチェロも何回かある。直前は笹沼樹Vcと上田晴子Pfだったが、この時の楽譜は2人がチェロ用にアレンジしたものだった。
今回のはどうだったろう。聴き馴染んだVn用をそのまま使ったようにも思えたが。
この曲、いつも思うけど、第1楽章と第4楽章、いずれも好きだけど、前者のフランス風な軽いタッチと後者のドイツ古典派風な音楽の合体がしっくりこないけど面白い。

この演奏で、冒頭の旋律でVcは音を外した。ツボを外したというより、指遣いを間違えて音が外れたみたいな感じだった。ま、終わってみれば熱演でそんな小さな瑕疵は消し飛んだけど。

佐藤は今日で7度目。
彼のVcの音は大抵硬めだ。今日も硬かったが、明瞭で良い感じ。加えて仲道のPfもいつものYAMAHAらしい硬さがDUOに好都合だったかも。

♪2024-050/♪みなとみらいホール-011

2024年3月27日水曜日

中野りな&ルゥォ・ジャチン ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル 2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演

2024-03-16 @フィリアホール



中野りな:バイオリン*
ルゥォ・ジャチン:ピアノ**

シマノフスキ:バイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」Op.30から第3番
シューマン:バイオリンソナタ第1番イ短調 Op.105
パガニーニ:ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番ニ短調「バラード」*
ショパン:バラード 第1番ト短調 op.23**
サン=サーンス:バイオリンソナタ第1番ニ短調 Op.75
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クライスラー:ウィーン奇想曲
*/**はソロ




昨秋、東フィルとの共演を聴いたお嬢さん。
今回は、2022年の仙台国際コンクールで共に優勝したピアノのL.ジャチンとのデュオリサイタル。

協奏曲もとても良かったが、やはり小ホールでかぶりついて聴くのは次元が違う面白さがある。

休憩の前後に、見ばえ聴きばえする超絶技巧を置いて、軽〜く圧倒して、サン=サーンスのソナタ第1番が白眉。

表情がよく見えたので、音楽を丁寧に形作ってゆく様を一体感を以て味わった気が。

まだ、19歳かな。
「清楚」がぴったり。慣れないステージングも好ましや。



♪2024-040/♪フィリアホール-04

2024年2月4日日曜日

横浜交響楽団 第729回定期演奏会 【新春コンサート】

2024-02-04 @県立音楽堂



鈴木衛:指揮
横浜交響楽団
坂本真由美:ピアノ*

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲 K492
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op54*
シューマン:交響曲第1番変ロ長調 op.38「春」
------------------------
シューマン(リスト編):献呈*



フィガロ序曲にシューマンがPf協と交響曲1番と嬉しいプログラム。
が、フィガロの出来は大いに残念。音楽堂は容赦がないね。ミューザだったらもう少し上手に聴こえたろうけど。

しかし、次のPf協がとても良かった。Pf独奏の坂本真由美って人は名前も知らなかったけど、冒頭の掴みで良いスタートを切ったと思ったよ。3楽章へアタッカで入る手前の間の取り方が独特な感じがしたが、彼女の好みなのか、指揮者の好みなのか。僕の好みではなかったけど、終わってみれば堂々として好感。Stwがキラキラ輝いていた。
オケも、奏者全員取り替えたかと思うくらい、良い出来になった。

Encが渋く、シューマン(リスト編)の「献呈」だった。
この曲、前奏を聴くだけでパブロフの犬状態で、万感胸に迫ってくる。

最後の交響曲1番。これがまた難しそうだった。
特に序盤を緊張感を持って維持するのはプロでも難しいと思うが、バラバラな印象だった。
シューマンは盛り込みすぎだと思うな。

♪2024-021/♪県立音楽堂-02

2023年12月19日火曜日

東京都交響楽団 第984回 定期演奏会Bシリーズ

2023-12-19 @サントリーホール



アントニ・ヴィト:指揮
東京都交響楽団
反田恭平:ピアノ*

キラール:前奏曲とクリスマス・キャロル(1972)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18*
ペンデレツキ:交響曲第2番《クリスマス・シンフォニー》
---------------------
シューマン(リスト編):献呈*




時季に合わせてクリスマスものが2曲と生誕150年を締めくくるラフマPf協2番(因みにラフマのPf協は記念年の今年7回聴いたが、内訳は1番から順に1-3-2-1回で、やはり2番が多い。)の3本立て。

初聴きのキラール「前奏曲とクリスマス〜」は訳が分からん。音は出ていたが、音楽ではなかった。弦5部の編成やOb4本の配置のこだわりなど、それが真価を発揮するリスニングポイントは限られていて、まるで指揮者の為の作品のようだ。「芸術は自我の普遍化である」と習ったぞ。こういう作品は「自我」のみ。自己満足に過ぎない。

後半、お客が減ったというツィートをいくつも目にしたが、僕の席の周りでは欠ける人はなく気が付かなかったが、上から俯瞰しておれば良く分かったのだろう。
その後半のペンデレツキの作「クリスマス〜」は、怪獣映画か戦争映画のバックにもってこいの、刺激的で分かりやすい音楽だった。でも、何度も聴きたいとは思わないけど。

前半のみで帰ったというお客は反田恭平が目当てだったんだろうな。
彼は7月に読響と共演した時に演奏の前後でCMに一瞥もくれないという失礼な態度を見ているので、今回はどうかと思ってみていたら一度握手はしていたから、少し大人になったようだ。演奏の方は良し悪しは分からないが、最初は、オケと噛み合っていなかった。このまま進んで大丈夫か、という不安も感じたが、そこは、指揮者がコントロールしたのか、終盤になるにつれピタッと合うようになった。力演だった。気合が入っていた。

Encは、もう何度も聴いている「献呈」だった。よほど好きと見える。僕も大好きなのだけど、あのPfの音じゃ献呈してもらっても嬉しくない。

この日、マチネで素晴らしいPfの響を耳にしたばかりで、その後、サントリーでPfを聴くのはかなりつらいことではあるが、今日の響は、以前より少しマシだった。高域に煌めきがあった。
しかし、中域-低域は相変わらず木石を叩くような情けない音だ。明瞭さに欠けるので、オケの強奏に、あれだけ力強く弾いていてもPfの音が埋もれていた。

そもそもあれはPfの音ではない。

今日の都響は、まずまず。
時々隠した力を出す時があるが、今日は、隠し通したようだ。
17日の読響の見事なアンサンブルを聴いた後では、もう、当分、満足できるオケ演奏は聴けないだろうな。

♪2023-222/♪サントリーホール-27

2023年12月7日木曜日

東京都交響楽団 第988回 定期演奏会Aシリーズ

2023-12-07 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団
ニコライ・ルガンスキー:ピアノ*

レーガー:ベックリンによる4つの音詩 op.128
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 op.1*
シューマン:交響曲第4番ニ短調 op.120(1851年改訂版)
----------------------
ラフマニノフ:前奏曲第1番嬰ヘ短調 op.23-1*




昨日のN響Bと同じようなジャンルで組まれたプログラムだった。
管弦楽曲、Pf協、交響曲の3本建自体は珍しくもないけど、うち、管弦楽曲がいずれもレーガーの作品というのは何たる偶然か…と思いきや、ラフマニノフとともに生誕150年なんだね。

その冒頭で都響が常ならぬアンサンブルの妙を聴かせた。
協奏曲以外は大抵弦16型で演奏する都響、その大編成に足を取られることが少なくないが、今日の弦の見事なこと。少し固く、重い響だが、乾いた透明感が実に心地良い。
管楽器、特に都響ブラス!中でもホルンの重奏がとても美しい。

レーガー作品も初めて聴いたが、昨日の「モーツァルトの主題による〜」より、ずっと楽しめたのは、先ず以て演奏がキビキビしていたからだろう。


もう1人の生誕150年のPf協奏曲は、何とも珍しい1番。
一体何年振りだろうか?
独奏のルガンスキーも5年前に読響で聴いて以来。

この作品も耳馴染みが少ないのだけど、ルガンスキーの流麗かつダイナミックな指捌きで、じっくりと音楽を味わうことができた。1番という番号だが、実質は3番より後に改訂されているので、情緒を抑えた純粋な器楽として完成度が高いのではないか。
何と言っても、Pfの音・響がサントリーとは全然違うよ。

最後に、一番楽しみだったシューマンの4番。
作曲順では1番だが、その後大幅に改訂をして、いわばシューマンの交響曲の集大成だ。ここでは、オーケストレーションの苦手なシューマンというイメージが全くない。むしろ、その巧さが随所に光っている。
尤も、初稿版が良いという声もあって、こちらも稀に演奏され、4年前に都響で聴いているが、すっかり忘れてしまって、今日の改訂版との違いは思い出せない。

抑制もなく次々と湧き起こる美旋律に酔いしれているうちに終わってしまうが、本当は、情に流されているのではなく、うまく計算してある。実に心憎い。ここでも低弦がゾクゾクさせた。

1年に1回?というくらい驚くべき都響の…いつも隠してばかりの…底力を味わった至福の2時間。

♪2023-210/♪東京文化会館-13

2023年11月17日金曜日

横浜弦楽四重奏団2023年度シリーズ Vol.3

2023-11-17 @みなとみらいホール



横浜弦楽四重奏団
 Vn:小笠原伸子、有馬希和子
 Va:百武由紀
 Vc:間瀬利雄
 Pf:岡原慎也

ベートーべン:弦楽四重奏曲第3番ニ長調 作品18-3
シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調 作品44
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調 作品11
------------------
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調 から第3楽章ノクターン


「横浜弦楽四重奏団」として聴くのは初めてだったが、メンバーは横浜バロック室内合奏団と同じ。で、バッロック定期の一つが行けなくなったので、こちらに振り替えてもらって、何と同じ席を用意してもらった。僕の好みを尊重してくれたようだ。というのも、バッロク定期に比べるとだいぶお客が少ないから、たまたま同じ席が用意できたということだろうけど。

1曲目ベートーベン3番は4年前ぶり。
そもそも弦楽四重奏を聴く機会が少ないからだ。
残念ながらあまり感ずるところはなかった。
でも、本日の期待はシューマンのピアノ五重奏にあるので、まあ、前座の腕鳴らしと了解。

ピアノが加わることで音楽のスケールがいっぺんに広がる。
それに、いつ聴いても気持ちを鷲掴みにされる力強さに繊細な抒情。シューマンのオーケストレーションはあまり好評ではないが、この作品は編成がピアノ・ソナタの延長にあるような規模だから、彼は完全掌握して自在に・効果的に五重奏に仕上げたのではないか。
ま、演奏に関しては、欲を言えば、ピアノが頑張りすぎで弦とのユニゾンでは弦が埋もれがち。


後半はチャイコの弦楽四重奏曲第1番。
これもやはり聴く機会が少なくて、有名な第2楽章Andante Cantabileだけを聴く機会は何度かあったが、ナマで全曲は初聴きかも。

1楽章の旋律の絡み合い、2楽章は耳馴染みのせいもあって実に美しい。3楽章の土の匂いのする民謡風なスケルツォも魅力的。終楽章も民謡風な旋律を撒き散らしながら疾走して爽快。

それにしても、トルストイが涙を流したという第2楽章はやはり美しい。

ところが、アンコールではボロディンの2番から超有名なノクターンを演奏してくれて、これがもう、しみじみと心を打った。
トルストイが絶対音楽(Andante Cantabile)で泣くとは精神状態がバランスを欠いていたと思うが、ボロディンのノクターンは聴かなかったのか?もしこちらも聴いたら、泣くどころか、崩れ落ちたかもしれないな…などと思いながら、僕は平常心を保ちながら聴いたが、なんて美しいのだ😢。

♪2023-196/♪みなとみらいホール-40