2023年12月19日火曜日

東京都交響楽団 第984回 定期演奏会Bシリーズ

2023-12-19 @サントリーホール



アントニ・ヴィト:指揮
東京都交響楽団
反田恭平:ピアノ*

キラール:前奏曲とクリスマス・キャロル(1972)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18*
ペンデレツキ:交響曲第2番《クリスマス・シンフォニー》
---------------------
シューマン(リスト編):献呈*




時季に合わせてクリスマスものが2曲と生誕150年を締めくくるラフマPf協2番(因みにラフマのPf協は記念年の今年7回聴いたが、内訳は1番から順に1-3-2-1回で、やはり2番が多い。)の3本立て。

初聴きのキラール「前奏曲とクリスマス〜」は訳が分からん。音は出ていたが、音楽ではなかった。弦5部の編成やOb4本の配置のこだわりなど、それが真価を発揮するリスニングポイントは限られていて、まるで指揮者の為の作品のようだ。「芸術は自我の普遍化である」と習ったぞ。こういう作品は「自我」のみ。自己満足に過ぎない。

後半、お客が減ったというツィートをいくつも目にしたが、僕の席の周りでは欠ける人はなく気が付かなかったが、上から俯瞰しておれば良く分かったのだろう。
その後半のペンデレツキの作「クリスマス〜」は、怪獣映画か戦争映画のバックにもってこいの、刺激的で分かりやすい音楽だった。でも、何度も聴きたいとは思わないけど。

前半のみで帰ったというお客は反田恭平が目当てだったんだろうな。
彼は7月に読響と共演した時に演奏の前後でCMに一瞥もくれないという失礼な態度を見ているので、今回はどうかと思ってみていたら一度握手はしていたから、少し大人になったようだ。演奏の方は良し悪しは分からないが、最初は、オケと噛み合っていなかった。このまま進んで大丈夫か、という不安も感じたが、そこは、指揮者がコントロールしたのか、終盤になるにつれピタッと合うようになった。力演だった。気合が入っていた。

Encは、もう何度も聴いている「献呈」だった。よほど好きと見える。僕も大好きなのだけど、あのPfの音じゃ献呈してもらっても嬉しくない。

この日、マチネで素晴らしいPfの響を耳にしたばかりで、その後、サントリーでPfを聴くのはかなりつらいことではあるが、今日の響は、以前より少しマシだった。高域に煌めきがあった。
しかし、中域-低域は相変わらず木石を叩くような情けない音だ。明瞭さに欠けるので、オケの強奏に、あれだけ力強く弾いていてもPfの音が埋もれていた。

そもそもあれはPfの音ではない。

今日の都響は、まずまず。
時々隠した力を出す時があるが、今日は、隠し通したようだ。
17日の読響の見事なアンサンブルを聴いた後では、もう、当分、満足できるオケ演奏は聴けないだろうな。

♪2023-222/♪サントリーホール-27