2019年12月26日木曜日

N響「第九」Special Consert <第九⑩>

2019-12-26 @サントリーホール


シモーネ・ヤング :指揮
NHK交響楽団
東京オペラシンガーズ 

マリア・ベングトソン:ソプラノ
清水華澄:メゾ・ソプラノ
ニコライ・シュコフ:テノール
ルカ・ピサローニ:バス・バリトン
------------------
勝山雅世:オルガン*

ヘンデル:音楽時計のための小品集 ―「天使の飛行のためのヴォランタリー」ハ長調 HWV600、ジーグ ハ長調 HWV589*
アルビノーニ:アダージョ(原曲:オーボエ協奏曲 ニ短調 作品9-2 ― 第2楽章)*
J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541*
-----------------
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

今年最後の鑑賞。今年最後の「第九」。
「第九」は10回も聴いたがN響を最後にしておいて良かった。これまでの9回(うちアマ2回)の不満をほぼ解消してくれる上出来だった。

さすがにN響ではある。
冒頭を聴いただけで格の違いを感じ、愈々本物が始まったと分かった。

合唱は90人と小編成だが、お客を入れないP席に配置される。独唱は指揮者周りに2人ずつ。
弦編成は16型。

見た目にもダントツに高い入場料にふさわしいラグジュアリー感があるが、見かけだけではなかった。
弦の透明感、何よりアンサンブルの美しさは格別だ。

最前列独唱陣は声部の絡みも明瞭だった。

第1、第3楽章の一部にテンポを落とすところがあったが、聴き慣れないもので、違和感を感じた。

過去のN響ではヤルヴィ、ブロムシュテットには及ばないがエッシェンバッハよりは好き。ヤノフスキーと同じくらいか。

今年は217回を数える忙しい鑑賞生活だったが、1年を締めくくるにふさわしい好演だった。

♪2019-217/♪サントリーホール-11

2019年12月25日水曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル「第九」<第九⑨>

2019-12-25 @東京文化会館


レオシュ・スワロフスキー:指揮
東京都交響楽団
二期会合唱団

安井陽子:Sp
富岡明子:Ms
福井敬:Tn
甲斐栄次郎:Br

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

前半は音楽に集中できず考え事をしていた。途中から、これはイケナイと考え直して集中に努めたが、その前半(1、2楽章)、上の空で聴いたとはいえ弦の響に難あり。管・打も迫力不足。
都響も3日連続で疲れが出たのではないか?

これまで聴いた8回で弦編成が16型だったのは、アマの横響とやっぱり!今日の都響だけ。
大勢並んだ上に独唱4人を指揮者横に2人ずつ並べたので窮屈なこと。スワロフスキーは何度も福井敬の頭を叩きそうに見えた。4楽章バリトン独唱が入った途端指揮棒を落としかけたのは福井に指揮棒が当たりそうだったから?

3楽章以降は弦が落ち着いた響きで心地よく、都響の久しぶりに良い管弦アンサンブルを聴いた。
前方に配した独唱陣もよく声が通り、二期会合唱団もマズマズの出来。
先日の横響@県民ホールと同様、額縁舞台では合唱団を後方に配置したせいで舞台前に押し出されたオケの響が結果的にとても良かった。

♪2019-201/♪東京文化会館-10

2019年12月22日日曜日

横響第699回定期演奏会 横響・第九演奏会<横響定期第九70回記念・横響と第九を歌う会50周年記念> <第九⑧>

2019-12-22 @県民ホール


飛永悠佑輝:指揮
横浜交響楽団
横響合唱団
横響と第九を歌う会合唱団

横山和美:Sp
松浦恵:Alt
工藤和真:Tn
池内響:Br

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

「第九」はあと2回残っているが、今日のはそれらを聴かなくとも全10回中最大の「第九」であり、最高とも言えるかも。

横浜交響楽団の《第699回》定期演奏会であり、《第70回》目の「第九」だそうだ。
それほどの歴史を有するアマオケは他に存在しないだろう。毎年の最後の定期演奏会が「第九」だ。

横響の普段の定期は音楽堂だが、「第九」だけは県民ホールに舞台を移す。何しろ、合唱団が640人(今回)も並ぶのだから音楽堂では合唱だけでも入りきらない。
加えて横響の弦編成は16型。これが「最大」の所以也。

その数の迫力に圧倒されるので、他の団体の演奏では得られない不思議な陶酔感が生まれてくる。
これが「最高と言えるかも」の所以也。

実際、処々プロの演奏と聴き違えそうなフレーズにハッとした。全体としてとても良い出来栄えだった。

今日の舞台も当然拡張してあるが、昨日の神奈川フィルに比べ、オケは640人の合唱に押し出されるように、だいぶ舞台の前に位置した。この配置が響を良くしたと思う。

最後は、恒例の蛍の光を客席共々歌い、コーラスがハミングに変わるとお客はオケと合唱団の演奏を聴きながら席を立つ。
合唱団も数が多いので仲間の歌を聴きながら少しずつ袖に消えてゆく。

今年も元気で横響の「第九」を聴けて良かった…なんてお客さんの声も耳にしながらホクホク気分で帰路についた。


♪2019-215/♪県民ホール-07

2019年12月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ベートーベン「第九」<第九⑦>

2019-12-21 @県民ホール


下野竜也:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

石橋栄実:Sp
林美智子:Ms
谷口洋介:Tn
久保和範:Br

マルティヌー:リディツェへの追悼
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

管・弦・声楽のバランスの良い演奏…というより、プロセニアム・ホールの良さが発揮されたのかな。4方を反響板に囲まれたステージからはとても心地の良い響きが届いた。残響不足で硬い音になりがちだが、今日は合唱団が後ろに並び、オケはピットを潰して拡大舞台。
その分、前に出ていたのが良かったのかも。

神奈川フィルも健闘した。シャカリキではなく、かなり抑えた調子だったがほとんど破綻がなかった。

欲を言えば、終楽章のレシタは下野氏独自の速いテンポで始まったが、前半僅かに15人の呼吸が合っていなかった。

声楽独唱は大舞台の奥からだがよく通った。

その独唱はどこで入場したか?今年6回聴いていずれも2楽章の後だ。
しかし今日は違った。3楽章が終わっても登壇しない!
低弦レシタの開始前に静々と登場したのは如上の経緯から当然予期されたが多分初体験だ。

「2楽章の後に入るが拍手禁止」とお願いされた演奏会も過去に経験しているが、まさか拍手を嫌って?

♪2019-214/♪県民ホール-06

2019年12月20日金曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 北村朋幹(ピアノ)

2019-12-20 @みなとみらいホール


北村朋幹:ピアノ

【第2部】
ブラームス:6つの小品 Op.118
ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
ブラームス:4つの小品 Op.119
-------------------
ラッヘンマン:「子供の遊び」から第7曲「影のダンス」

みなとみらいホールのクラシック・マチネは2部・2公演でどちらか一方を購入しても、両方聴いてもいいが、通しだと元から安い料金がなお安くなり、年間セット券を買うとさらに安くなる。僕はセット券組だ。なので、いつもは第1部から聴いているが、今回は寝坊して間に合わず2部から。

北村朋幹はこれまでオケとの共演や室内楽で何度か聴いていたが、ソロは初めて。
プログラムは両部ともブラームスがヴェーヴェルンorベルクを挟む構成で、楽しみのブラームスは3つの間奏曲集などは1部で聴き逃したが、6つの小品、4つの小品を聴いた。いずれも曲集として聴く機会の少ない作品なので満足。

それにしても、愛想のない青年である。1セットが終わっても客席に顔を向けず、客席も拍手もして良いのかどうか迷う。
パラパラの拍手を聞きながらもう次の作品に取り掛かり、以下同様。流石に最後は立ってお辞儀をしていたように思うが。

まあ、演奏家に愛想の良さは求めないけど、拍手は受けるべきだ。

このシリーズは、大抵演奏者がマイクを持って曲の説明をしてくれたりするが、それもなく(1部は?)、ひたすら孤高の求道者の如しであった。
アンコールが聴き慣れぬ作曲家の作品で、ピアノ線に何か挟んで、高音部の1つのキーをひたすらリズミカルに叩きつけるだけ。
プリペアド・ピアノの一種なのだろう。しかし、これって音楽じゃないぞ!と保守的な僕は思う。

♪2019-213/♪みなとみらいホール-58

2019年12月19日木曜日

新日本フィル「第九」特別演奏会<第九⑥>

2019-12-19 @サントリーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
栗友会合唱団(合唱指揮=栗山文昭)

ソプラノ:砂川涼子  
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:藤田卓也(笛田博昭の代役)
バス:妻屋秀和
------------------
安住素子:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=安住素子
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
ベートーベン:音楽時計のための5つの小品 WoO33から スケルツォとアレグロ
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いてサントリーホールで新日フィルを数列後ろの同番号席で聴く。
ソプラノが我がマドンナ砂川涼子というだけで嬉しいが、全体としても期待どおりの出来栄えだった。
合唱団(栗友会)もこれまで5団体聴いた中で高域が一番良く出ていた。
その合唱団の前にオケが並ぶので、やはり管の歯切れは今一つだったが。

これは新日フィルだけでなくどのオケでも同様。

第九はあと4回残っているが、合唱団をP席に並ばせるの(が可能な)はサントリーのN響だけだ。人垣の前と反響板の前で管の音色がどう変わるかしっかり聴いてみよう。

この共通問題を除いて、今日も新日フィルは高水準の演奏だった。すみだトリフォニー、みなとみらいホール、サントリーホールとどこで聴いてもまず外れがない。

指揮の大友氏は滅多に聴かないけど、これまた正統派の第九だ。もし音楽監督の上岡氏が振っておればきっとタダでは済まない演奏になったろうに、ちと残念。
欲を言えば、終楽章の低弦のレシタティーヴォ、前半の呼吸が少し乱れたやに聴こえたが。
今日は事件・事故もなく、安全・安心の第九だった。

♪2019-212/♪サントリーホール-10

2019年12月18日水曜日

読響「第九」特別演奏会<第九⑤>

2019-12-18 @サントリーホール


アイヴァー・ボルトン:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)

ソプラノ:シルヴィア・シュヴァルツ  
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:小堀勇介  
バリトン:トーマス・オリーマンス
------------------
福本茉莉:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=福本茉莉
J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
ブルーンス:前奏曲 ト長調
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いて同じ読響をサントリーで聴く。席もほぼ同じ。
藝劇のように音が籠るようなことはないのだけど、ホルンに関しては今日もメリハリがなかった。
指揮者の好みかもしれないが、ホルン奏者にすれば合唱団を背中にしては音が吸い込まれて表に反響しづらと思うが…。

2楽章終盤に珍しい事故が起こった。
ティンパニーの皮が破れたのだ。
小節の頭にドンと打った途端ピシーッという聴き慣れぬ音が。

その後の奏者の挙動で皮が破れたと分かったが、その後は残る2個で演奏したようだ。

まあ、そんな事故もあったが、TV収録は昨日済ませているし(26日放映)、ナマゆえの珍事もベートーベンの偉大さをちっとも損ねることはなく、むしろ、客席も舞台上も和やかな空気になって、怪我の巧妙だったかも。

♪2019-2110/♪サントリーホール-9

2019年12月17日火曜日

読響「第九」特別演奏会<第九④>

2019-12-17 @東京芸術劇場大ホール


アイヴァー・ボルトン:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)

ソプラノ:シルヴィア・シュヴァルツ  
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:小堀勇介  
バリトン:トーマス・オリーマンス
------------------
福本茉莉:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=福本茉莉
J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
ブルーンス:前奏曲 ト長調
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

明日もサントリーで聴くのに、手違いから買った今日の藝劇がこれ以上はないという程好みの席だったので、譲渡希望を振り払って自分で聴きに行った。

毎年読響の第九には満足している。今回も全く知らない指揮者だったが、実に正当的な独音楽風で好感。読響は巧い。

ただし、藝劇は響が悪い。どうも舞台上で籠もってすっきりと前に音が出てこない。名手揃いの金管も明瞭さに欠ける。舞台後方に屋根(オルガンの床部分)があるが、あの辺で音がグルグル回っているのではないかと、これは素人の想像だが。

読響の好演にも関わらず今日の様な最善席でもモヤモヤするのは困ったもの。

ところで、明日も同じ演奏のはずなので今年の第九全10回中5回までが正統派演奏ということになる。
こうなると1回くらい異端の第九を聴いてみたい。
疾走する第九とか、マーラー を凌ぐ長時間第九とか(朝比奈80分の例有り)。上岡読響の第九も忘れられない。正統派名演と共に新アプローチにも期待!

♪2019-210/♪東京芸術劇場大ホール-5

東京都交響楽団 第894回 定期演奏会Bシリーズ

2019-12-16 @サントリーホール


アラン・ギルバート:指揮
東京都交響楽団

マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》

マーラー6番悲劇的。実演84分。熱演にもかかわらず今回はなかなか入り込めなかった。力任せと感じてしまう。
6番に関しては2017年2月、みなとみらいホールでパーヴォ・ヤルヴィ+N響の緻密で説得力ある演奏を聴いた事がその後の評価基準になってしまったのが僕にとってはむしろ《悲劇的》かも。

♪2019-209/♪サントリーホール-08

2019年12月16日月曜日

12月中席

2019-12-16 @国立演芸場

落語            古今亭始⇒湯屋番
落語   古今亭志ん五⇒ざるや
奇術   松旭斎美智・美登
落語   入船亭扇辰⇒家見舞
落語   柳亭燕路⇒抜け雀
 ―仲入り―
漫才   笑組
落語   桂才賀⇒カラオケ刑務所
粋曲   柳家小菊
落語   古今亭志ん輔⇒夢金

今年の聴き納めだったが、イマイチ締まらなかった。
今日に限っては聴く方も眠くてたまらなかったので噺家のせいばかりにはできないが、トリの志ん輔はとりあえず面白い噺だった。
落語ブームと言われて久しいが、この1年振り返っても収穫は乏しかったな。

♪2019-208/♪国立演芸場-18

2019年12月15日日曜日

第54回音楽堂クリスマス音楽会「メサイア」全曲演奏会

2019-12-15 @県立音楽堂


小泉ひろし:指揮
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
チェンバロ:長久真実子 
オルガン:宇内千晴
合唱:神奈川県合唱連盟、音楽堂「メサイア」未来プロジェクト合唱団

山口清子:ソプラノ
上杉清仁:カウンターテナー
中嶋克彦:テナー 
加耒徹:バリトン

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」全曲 

65年の歴史を有する音楽堂ならではの「メサイア」は今年で54回目だそうな。毎年この時期はコンサートがダブってなかなか参加できないでいたが、今年は4年ぶりに参加できた。

尤も「メサイア」自体は10月の横響演奏会を同じ音楽堂で聴いた。今回はオケが小編成だが神奈川フィルなので、まあ、だいぶ安心感が違った。

合唱はこちらもアマチュアだが、県の合唱連盟傘下の多くの合唱団のほかに<未来プロジェクト>として中高大学生も混じっている。将来の「音楽堂メサイア」を支える人材育成を兼ねているのだ。こういう地道な努力のお陰もあって、安価に名作の大曲を楽しませてもらって、ありがたいことだ。

「メサイア」といえば「ハレルヤ〜」で起立するかという問題があるが、今や、起立組は絶滅危惧種である。

今日は1名発見(自席より後方は不明)。ホンの少数が立ち上がると後ろの者は迷惑だ。3百年程前の異国の作り話に乗せられて起立することはない。

♪2019-207/♪県立音楽堂-3

2019年12月14日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第353回横浜定期演奏会<第九③>

2019-12-14 @みなとみらいホール


広上淳一:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

ソプラノ:中村恵理
アルト(カウンターテナー):藤木大地 
テノール:吉田浩之
バリトン:大西宇宙

J.C.バッハ:シンフォニア変ロ長調 作品18-2
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

ソプラノ独唱が中村恵理。何度かオペラで、昨年の秋山「第九」でも聴いたのにあまり印象に残っていなかったが、新国立劇場「トゥーランドット」のリューのアリアで僕はこの人に覚醒した。
男子3人(Altはカウンターテナーの藤木大地)の独唱相手に一歩も引けを取らず歌い上げたのはさすが。

肝心のオケだが、なんてうまいんだ。
東響も良かったが、今日の日フィルは格違いのうまさだった。管、特にホルンの抜群の安定感。弦は透明感を終始保った。オケはこうでなくちゃ。

多少の不満は、広上淳一の指揮はメリハリがはっきりしすぎ。それは聴きやすいのだけど、聴き手の集中力を削ぎ易い。

一音も聴き逃すまいと集中しなくとも、適度なメリハリ感が音楽を心地よく伝えてくれるので楽なのだけど、提供されるだけの喜びの様な気もして、一体感は得にくい…とこれは贅沢な不満。3⇒4楽章も一息で入って欲しかったな。

独唱者が舞台前に立った(東響は後方)。それだけに独唱が鋭く響き渡った。


♪2019-206/♪みなとみらいホール-57

名曲全集第152回 年末恒例「歓喜の歌」<第九②>

2019-12-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール


秋山和慶 :指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス

バイオリン:シャノン・リー(第7回仙台国際音楽コンクール2位(最高位))
ソプラノ:吉田珠代
メゾソプラノ:中島郁子 
テノール:宮里直樹 
バリトン:伊藤貴之

ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125
-------------
蛍の光

愈々本格的に第九の始動開始。既にアマオケで1回聴いているがプロでは1番バッター。伝統の秋山・東響「第九」だ。
40年以上続いた秋山「四季と第九」は今年からノットが「第九」を振ることになって一応幕を閉じた。

横槍を入れたテイのノットは独唱陣を別キャストで「第九」をやるが、ホームであるミューザではやらない!のが面白くない。

一方、秋山翁も強かなもので「四季と第九」はやめるが、「バイオリン協奏曲と第九」は続ける様で同慶の至りだ。

「四季」といっても実際は「二季」だったので、今日の様に1曲丸ごと聴ける方がいい。新人起用も踏襲して秋山第九健在!

最後の「蛍の光」もペンライトからLEDに替わったが、この古色蒼然たる演出も続くことで価値が出てくる。

演奏は、いつもやや遅めで安定感がある。
東響も40年からやっているので、メンバーの多くは身体に染み込んでいるのだろう。
とにかく、安心の「第九」である。
秋山翁には末長く続けてほしい。

♪2019-205/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-29

2019年12月13日金曜日

人形浄瑠璃文楽令和元年12月公演「一谷嫰軍記」

2019-12-13 @国立劇場


一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)
 陣門の段
  小次郎⇒咲寿太夫
  平山⇒小住太夫
  熊谷⇒亘太夫
  軍兵⇒碩太夫
  宗助
 須磨浦の段
  希太夫/勝平
 組討の段
  睦太夫/清友
 熊谷桜の段
  芳穂太夫/藤蔵
 熊谷陣屋の段
  前:織太夫/燕三
  後:靖太夫/錦糸

人形役割
 小次郎直家(敦盛)⇒一輔
 平山武者所⇒玉翔
 次郎直実⇒玉助
 玉織姫⇒簑紫郎
 遠見の敦盛⇒簑之
 遠見の熊谷⇒和馬
 妻相模⇒勘彌
 堤軍次⇒玉誉
 藤の局⇒簑二郎
 梶原平次景高⇒紋吉
 石屋弥陀六実は弥平兵衛宗清⇒文司
 源義経⇒玉佳
     ほか

今回の上演は全段ではなくかなり切り詰められているようだ。歌舞伎と駒之助の素浄瑠璃を経験しているがいずれも「熊谷陣屋」しか演らなかったので今回初めて全体の輪郭を理解できた。そして自分の勉強不足に呆れるが、かくも壮大なトリックが仕掛けられているとは!

歌舞伎・文楽の時代物では我が子を犠牲にする話が珍しくはない。菅原伝授手習鑑や伽羅先代萩など。一谷嫰軍記も同様な話だが「熊谷陣屋」だけを観ても、首の入れ替えは既になされているので、違和感が無いのだが、前段の陣門・須磨の浦・組討の段から順に見ていると見事に騙されていたのが分かる。

いや、騙されるのは無理はない。いくらなんでも話に無理がある。
「熊谷陣屋」だけが際立って上演機会が多いのは全段中一番面白いから、という理由だけではなさそうな気がした。
初演は約270年前だそうだが、そんな昔に…よくぞかくも大胆な筋立てを考えたものだ。

Aクリスティの「アクロイド殺人事件」は「一谷嫰軍記」にヒントを得たのでは…いや、さすがにそれはないな。

一方で、これまで「熊谷陣屋」をいかにボーッと観ていたか、恥ずかしくなった。
手元に当代芝翫襲名の際の「熊谷陣屋」のビデオがあるので、年末年始にじっくり観直してみよう。

♪2019-204/♪国立劇場-17

第51回文楽鑑賞教室「平家女護島〜鬼界が島の段」ほか

2019-12-13 @国立劇場


●伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)
 火の見櫓の段
 南都太夫・小住太夫・亘太夫・碩太夫/
 清志郎・清馗・友之助・清公・燕二郎/
 紋臣・簑太郎・亀次・勘助・玉峻ほか

●解説 文楽の魅力
 希太夫/寛太郎/玉誉

●平家女護島(へいけにょごのしま)
 鬼界が島の段
 千歳太夫/富助
 和生・玉勢・勘市・清十郎・玉也・清五郎ほか

文楽で声を発するのは太夫だけだが、鑑賞教室では三味線も人形遣いもそれぞれの分野の解説をしてくれるので、意外な発見があって面白い。
伊達娘恋緋鹿子-火の見櫓の段は、娘お七が櫓に上るところが巧い仕掛けで見ものだ。また、絵としても美しい。

平家女護島-鬼界が島の段も、いつもながらの千歳太夫の熱演。俊寛を遣うのは吉田和生。
鑑賞教室は本来中高生の為の公演だが、出演陣も大物投入で手抜きしないのがうれしい。

♪2019-203/♪国立劇場-16

2019年12月10日火曜日

ランチタイムコンサート〜時空を超える旅芸人《タブラトゥーラ》がやってくる!〜

2019-12-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


古楽器バンド タブラトゥーラ
ラウタ、ウード:つのだたかし
フィドル:田崎瑞博
リコーダー、ショーム:江崎浩司
パーカッション:近藤郁夫
ビウエラ:山﨑まさし

メンバー作曲による世界中どこにもないオリジナル曲:新しい自転車/夜の蟹 ほか
ヨーロッパのルネサンス舞曲:レセルカーダ(16世紀スペイン)ほか

ヨーロッパの古楽器・民族楽器を使って中世・ルネサンスの舞曲やそれらを彷彿とさせる自作曲を演奏。
使用楽器の名前はラウタ、ウード、フィドル、リコーダー、ショーム、ハンマーダルシマー、ビウエラ等。
どんな音楽か想像できる?

ま、気楽に楽しめました。

♪2019-202/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-28

2019年12月9日月曜日

東京都交響楽団 第893回 定期演奏会Aシリーズ

2019-12-09 @東京文化会館


アラン・ギルバート:指揮
東京都交響楽団

矢部達哉:バイオリン*

リスト (アダムズ編曲):悲しみのゴンドラ
バルトーク:バイオリン協奏曲第1番 Sz.36*
アデス:クープランからの3つの習作(2006)(日本初演)
ハイドン:交響曲第90番 ハ長調 Hob.I:90

嫌いな現代曲3本にハイドンって組合せの意図が結局分からなかったが、終わってみれば楽しい演奏会だった。
現代曲もおとなしい作品ばかりで許容範囲。

ハイドンの交響曲90番は家で何度か(緊張感無く)聴いているがナマでは初めてかも。
都響にしては珍しく小編成。

それでザワザワする事もなく、透明感を保った良い響きで「古典作品」の楽しさを味わった。

が、解説を読まなかったので終楽章の仕掛けは知らず、ハイドンとギルバートの悪戯に嵌まってしまったが、拍手する迄は乗せられなかったぞ。😚

その後もビックリ演出が続いて会場は大笑いのうちに終演した。

♪2019-201/♪東京文化会館-10

2019年12月8日日曜日

12月上席

2019-12-08 @国立演芸場


落語    三遊亭遊かり⇒動物園
曲芸 鏡味よし乃
落語    滝川鯉斗⇒荒茶
漫談(かっぽれ)新山真理
落語 三笑亭可楽⇒尻餅
 ―仲入り―
落語 笑福亭里光⇒木津の勘助
落語 桂小南⇒ドクトル
コント   コント青年団
落語 三笑亭夢太朗⇒芝浜

予定されていた演者が大勢代わって、こんなのありかよ。
でも楽しみにしていたところは予告どおりで良かった。

やはりトリの夢太郎が貫禄。
格別うまい人だとは思わないけど、大作「芝浜」でウルウルさせられたよ。

コント<中年>団は毎回同じ話だが巧いから笑える。

♪2019-200/♪国立演芸場-17