2019-12-13 @国立劇場
一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)
陣門の段
小次郎⇒咲寿太夫
平山⇒小住太夫
熊谷⇒亘太夫
軍兵⇒碩太夫
宗助
須磨浦の段
希太夫/勝平
組討の段
睦太夫/清友
熊谷桜の段
芳穂太夫/藤蔵
熊谷陣屋の段
前:織太夫/燕三
後:靖太夫/錦糸
人形役割
小次郎直家(敦盛)⇒一輔
平山武者所⇒玉翔
次郎直実⇒玉助
玉織姫⇒簑紫郎
遠見の敦盛⇒簑之
遠見の熊谷⇒和馬
妻相模⇒勘彌
堤軍次⇒玉誉
藤の局⇒簑二郎
梶原平次景高⇒紋吉
石屋弥陀六実は弥平兵衛宗清⇒文司
源義経⇒玉佳
ほか
今回の上演は全段ではなくかなり切り詰められているようだ。歌舞伎と駒之助の素浄瑠璃を経験しているがいずれも「熊谷陣屋」しか演らなかったので今回初めて全体の輪郭を理解できた。そして自分の勉強不足に呆れるが、かくも壮大なトリックが仕掛けられているとは!
歌舞伎・文楽の時代物では我が子を犠牲にする話が珍しくはない。菅原伝授手習鑑や伽羅先代萩など。一谷嫰軍記も同様な話だが「熊谷陣屋」だけを観ても、首の入れ替えは既になされているので、違和感が無いのだが、前段の陣門・須磨の浦・組討の段から順に見ていると見事に騙されていたのが分かる。
いや、騙されるのは無理はない。いくらなんでも話に無理がある。
「熊谷陣屋」だけが際立って上演機会が多いのは全段中一番面白いから、という理由だけではなさそうな気がした。
初演は約270年前だそうだが、そんな昔に…よくぞかくも大胆な筋立てを考えたものだ。
Aクリスティの「アクロイド殺人事件」は「一谷嫰軍記」にヒントを得たのでは…いや、さすがにそれはないな。
一方で、これまで「熊谷陣屋」をいかにボーッと観ていたか、恥ずかしくなった。
手元に当代芝翫襲名の際の「熊谷陣屋」のビデオがあるので、年末年始にじっくり観直してみよう。
♪2019-204/♪国立劇場-17