ラベル コルンゴルト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル コルンゴルト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年9月19日木曜日

MINAMI バイオリン・リサイタル

2024-09-19 @王子ホール



MINAMI:バイオリン(吉田南)
大伏啓太:ピアノ

ドボルザーク:ソナチネト長調 Op.100,B.183
ヒンデミット:バイオリン・ソナタ変ホ長調 Op.11-1
コルンゴルト:組曲「から騒ぎ」Op.11
シベリウス:5つの小品 Op.81から
「マズルカ」「ロンディーノ」「ワルツ」
ベートーベン:バイオリン・ソナタ第9番イ長調 Op.47「クロイツェル」
------------------------
リヒャルト・ワーグナー:アルバムの綴りイ長調(ロマンス)
クライスラー:ドボルザークの主題による「スラブ幻想曲」






随分久しぶりの王子ホール。改修後は今日が初めて。
とても音がいいのに吃驚。
あんな見事なスタインウェイを聴いたのはこれまでなかったかも。雨上がりというのも功を奏したかもしれないのだけど。

Vnもストラディの魅力を発揮して、手指
腕が楽器と一体となって、奏者の息遣いも聴こえてくる感じ。こういうのが、「音を楽しむ」喜びだよ。

変わったプログラムでベト9番とシベの1曲以外は初聴きだったけど、音が美しいから、何でも気持ちよく聴けた。

♪2024-126/♪王子ホール-16

2024年3月12日火曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2024前期 ライナー・ホーネック&菊池洋子 デュオ・リサイタル 〜ウィーンの薫り〜

2024-03-12 @みなとみらいホール


ライナー・ホーネック:バイオリン
菊池洋子:ピアノ

モーツァルト:バイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.378
ブラームス:バイオリン・ソナタ第3番ニ短調op.108
--------------
~クライスラーとめぐる世界一周の旅~
《イタリア》前奏曲とアレグロ
《ドイツ》羊飼いのマドリガーレ
《チェコ》スラヴ幻想曲
《ハンガリー》ジプシー奇想曲
《フランス》ルイ13世のシャンソンとパヴァーヌ
《スペイン》スペイン舞曲
《中国》中国の太鼓
《アメリカ》シンコペーション
《ウィーン》ウィーン風狂騒的幻想曲
-----------------------
クライスラー:踊る人形
コルンゴルト:ガーデン・シーン ~組曲「空騒ぎ」から
クライスラー:愛の喜び
クライスラー:愛の悲しみ



事前にプログラムを調べてゆかなかったので、会場で前半にソナタ2曲、後半にクライスラーの小品集という構成であると知って大いに違和感。前後反対じゃないの?という不審感から聴き始めたのは失敗だった。やはり、プログラムを承知しておくことはその日の音楽の聴き方・構え方に影響するよ。

軽妙なモーツァルトK.378にブラームスの内省的な3番が続くと、なんだか、気持ちが乗れなくて困った。

後半は、クライスラーだけで残り時間がもつのか?と思ったが、全9曲でピッタリ2時間。アンコールは4曲もあって、予定時間を遥かに超えた。

タイトルからは初聴きが多いなと思ったが、実際には知らずに聴いていた耳馴染みが多く、ヘーっ!これもクライスラーだったのか、と驚くこと頻り。

本編最後がウィーン風狂騒的幻想曲で、これは初聴きではないけど、とても珍しい。…と思っていたが、今日のNHKクラシック倶楽部のエマニュエル・チェクナヴォリアン(再放送)が取り上げていて、1日に2度聴くとは妙な暗合だった。

アンコールの最後は定番の「喜び」と「悲しみ」で締めたが、ここまでくると、やはり副題の「ウィーンの薫り」に大いに納得して、なるほどやはりクライスラーを後半に据えたのは正解だった。

♪2024-037/♪みなとみらいホール-08

2023年11月18日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第390回定期演奏会

2023-11-18 @みなとみらいホール



シーヨン・ソン:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
辻彩奈:バイオリン*

F.プライス:アメリカにおけるエチオピアの影<日本初演>
コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 Op.35*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界から」
---------------------
スコット・ウィラー:アイソレーション・ラグ〜ギル・シャハムのために*



指揮のシーヨン・ソン(韓国人女性)は初めて。
神奈川フィルは先月に続いて初めて神奈川フィルを振る外国人指揮者の登壇だ。

結果的には、先月同様、とても充実したコンサートになった。

1曲目。F.プライス(1887-1953)も初めてだし、演奏した作品も今日が日本初演だという。
この作曲家は、ちょうどドボルザークの一世代後の人だ。黒人女性ということで、二重の差別で才能を発揮するのは容易なことではなかったろう。

作品名が「アメリカにおけるエチオピアの影」という以上、黒人奴隷の生き様を描いている訳だ。こんな作品があったとは全く考えもしなかった。調性もあり、分かりやすい旋律で、また聴いてみたいと思った。この日本初演は意義あることだった。

この1曲目で、シーヨン・ソンに好感を持ったし、オケも実に丁寧に彼女の意図を汲んで伝えてくれる。

次にコルンゴルトのVn協を辻彩奈が弾くというのも期待が大きかったが、いやはや見事に美しく力強い。彼女のVnはいつもだが、オケに埋もれたりしない。これはオケのコントロールも良かったからだろう。適切に響かせるホールの力もあるだろう。

この前半だけで十分聴きものだったが、後半は「新世界から」。
若い頃はそっぽを向いていた時期もあったが、齢を重ねてくると毎回楽しみになってきたよ。

精密な工作物なのに情緒たっぷりで、それでいて崩れない。
そういう「新世界から」の魅力をシーヨン・ソンが丁寧に作り上げ、オケが見事に応えてホンに上出来だった。大江くん、いいぞ!

先日のWペッカによるN響B定期に比べたら話にならないくらい良いコンサートだった。

余談①
SNSでP席で聴いていた人が感動した旨をツィートしたいたが、さもありなん。が、ブラボーがなかったと書いていたが、そりゃ遠くて聞こえなかったのだろう。1F後方やたぶん2-3F席からは聞こえていたよ。まあ、大音量ではなかったけど。

余談②
ポツポツ女性指揮者が増えてきたが、女性の燕尾服は全く似合わない。誰か、女性らしさも演出する指揮者用の服をデザインしないものか。スカートでもいいと思うのだけどな。もちろん黒でなくともいいし。

♪2023-197/♪みなとみらいホール-41

2023年9月8日金曜日

東京都交響楽団 第981回 定期演奏会Bシリーズ

2023-09-08 @サントリーホール



サッシャ・ゲッツェル:指揮
東京都交響楽団
ネマニャ・ラドゥロヴィッチ:バイオリン*

ベートーべン,:バイオリン協奏曲ニ長調 op.61*
コルンゴルト:シンフォニエッタ ロ長調 op.5
-------------------------
ヤドランカ・ストヤコヴィッチ:あなたはどこに*



先日の都響Aに続いてゲッツェルとラドゥロヴィチの組み合わせ。

まずは、ベートーベンのVn協。ゲッツェルのリードがいいのか、2人の相性がいいのか、久しぶりに聴く古典名曲が柔らかい美音でロマンチックに楽しめた。
ただ、Aプロでの衝撃が大きかったのとサントリーは文化会館ほどには音が飛んでこない(文化会館より1列前なのだけど)ので、やや、物足りなさを感じた。音楽的には第3楽章のテンポが遅すぎたなあ。もっと感情を煽って欲しかった。

この日のラドゥロヴィチは長い髪をポニーテイル状に纏め、丁髷もなかった。それでも十分派手派でしかったが。


コルンゴルト15歳の作「シンフォニエッタ」を聴くのは少なくとも2回目で、前回もゲッツェルの指揮(神奈川フィル)だった。彼はこの曲が好きなんだろう。

15歳の作とは思えない大人びた旋律が繰り出されるが、構成感が不足気味で、長すぎる。つぎはぎの軽音楽を重ねて、どこをとっても受け入れやすいのだけど、それでどうなの?という感じ。

ベートーベンのVn協と同時期の作、交響曲4番なんかと組み合わせたらもっと味わい深く楽しめたのではないか。


♪2023-152/♪サントリーホール-17

2023年3月25日土曜日

名曲全集第185回 東響初登場!俊英の指揮者が贈るワルツの世界

2023-03-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール



リオ・クオクマン:指揮
東京交響楽団
金川真弓:バイオリン*

コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 op35*
R.シュトラウス:「ばらの騎士」組曲 op59 TrV 227
ラヴェル:ラ・ヴァルス
--------------------------
ハイフェッツ編:Deep River*




期待感て、重荷でもある。
金川真弓は今日で7回目。過去にハズレなしだったので、こういう幸せがそう長く続く訳もなかろう、がっかりするなら早くその時を迎えて、その後は期待もせずに聴きにゆきたい。
などと気持ちが妙に屈折して困ったものだ。
で、今日は?

いかん。いけませぬ。
登場して定位置に着いた姿がもう弥勒菩薩だ(因みにバイオリン界の百済観音は日下紗矢子だ。)。
佇まいが既に音楽。
名器ウィルヘルミ(最近まで大谷康子が使っていた。TVの音だが、「おんがく交差点」で聴き慣れた音だ。)の良く鳴ること。発音は明瞭で、重音は正確で美しい。

最近、どのホールも音が硬くて、僕の耳の問題かもと疑っていたが今日のミューザは普段どおりで、東響の弦も美しい。

そして常に音楽の中心は金川のVnがきゅっと掴んで離さない。
コルンゴルトの協奏曲は映画音楽のような、クラシックの様式を借りたポップス大曲のような馴染みやすい音楽だ。

終曲後はクオクマンもオケ団員も、表情が緩んでいたのがその日の出来を表している。

---------------------
この日は、この1曲を聴いて退席した。
次の予定が迫っていた為だが、後半の最初の曲は聴いてから出かけても間に合ったけど、金川真弓で十分満足したからもういいや、という気持ちも半分。


♪2023-051/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2023年2月14日火曜日

MUZAランチタイムコンサート02月 この日に聴きたいロマンティック・クラシック

2023-02-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ソプラノ:コロンえりか♡
バリトン:ヴィタリ・ユシュマノフ♠︎
ピアノ:高橋優介

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から お手をどうぞ♡♠︎
メンデルスゾーン:6つの二重唱曲から あいさつ♡♠︎
フォーレ:秘密♡♠
ラフマニノフ:夜の神秘な静けさの中♠︎
コルンゴルト:歌劇「死の都」から ピエロの歌♠︎
アルディーティ:口づけ♡
デ・クルティス:世界でただひとり君を愛す♠︎
ブリテン:愛って本当は何?♡
レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」から とざした唇に♡♠︎
------------------------
サティ:あなたが欲しい♡♠︎



「この日に聴きたい〜」の意味が分からず出かけたが、始まって成程と思った。今日はバレンタインデーなんだ。
で、オペラアリアや歌曲からソロと二重唱で愛の歌特集。
知らない曲が多かった一方で、Encの超有名曲がサティの曲だと知って驚き。

最後にそのアンコール曲を歌いながら薔薇の花束を抱えて1F客席に配って歩いてくれたが、立派な薔薇で、買えば今日のチケット代より高価なんじゃないかと思った。良い演出のバレンターンデー・コンサートだった。


上白石萌音って歌も歌うんだ。

♪2023-028/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2022年8月11日木曜日

フェスタサマーミューザ2022 東京交響楽団フィナーレコンサート ≪故郷はシェイクスピア、そして映画≫

2022-08-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール


原田慶太楼:指揮
東京交響楽団
バイオリン:岡本誠司*

コルンゴルト:組曲「から騒ぎ」から
 序曲
 花嫁の部屋の乙女
 ドグベリーとヴァ―ジェス
 間奏曲、仮面舞踏会(ホーンパイプ)
コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調*
武満徹:3つの映画音楽
 映画「ホゼー・トレス」から 訓練と休息の音楽
 映画「黒い雨」から 葬送の音楽
 映画「他人の顔」から ワルツ
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から
  情景(第1組曲)
  少女ジュリエット(第2組曲)
  モンタギュー家とキャピュレット家 (第2組曲)
 仮面(第1組曲)
 ロメオとジュリエット (第1組曲)
 タイボルトの死 (第1組曲)
 ジュリエットの死 (第3組曲)
------------------
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース*
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲から「朝の踊り」(第3組曲)



当初買うつもりがなかった最後の3公演では、そもそも良席は残っていなかったのを奇貨として予て試してみたい席を買った。
東響では3C最後列中央だ。
最初は4Cの最後列を考えたが、あまりに遠すぎるから断念。
しかし、結果的には3C最後列でもやはり遠かった。

オケ音楽の妙味は弦にある。その鋭い生音が互いに共鳴(正しくは共振?)してオブラートに包まれる響き。生音と反響音が適当に混ざり合うシンフォニー(交響的調和)。さらに、管弦の交わりが生む甘い響き。
それを聴きたい!その為の最良席をいつも求めている。

それは、経験上、ミューザでは2CB最前列辺りが限界かな。
だから普段は1C後列〜2CA4列目位迄の中央がMy指定席だ。

その辺で聴いている音質・響きと3C最後列で聴いた響きはだいぶ異なった。ぼんやりとした塊に聴こえて、画像で言えば画素数が少ない感じだ。やっぱり没入できる距離ではない。


閑話休題
FSMでは東響が地の利を生かして最初と最後の公演を受けもつが、フィナーレにしては曲数が多過ぎた。こうも細かいと祝祭感が出なかったな。

♪2022-118♪ミューザ川崎シンフォニーホール-031

2021年11月5日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第735回東京定期演奏会

2021-11-05 @サントリーホール


角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

郷古廉:バイオリン**
河野直人:ツィター*

J.シュトラウスⅡ:ワルツ[ウィーンの森の物語]*
コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 op.35**
シュミット:交響曲第4番ハ長調
--------------------
ハイドン(クライスラー編):
 皇帝讃歌(弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」第2楽章から)**


横浜定期不都合による振替席…は選べない…ので大抵悲しい事になる。
今回は一桁列中央だった。まるで映画館のDolbyCinemaの音響のような迫力(話がアベコベだが)。

音楽を聴くというより管弦楽による風圧耐久試験みたい。
最前列が好きという人がいるが、その気持ちが分からない。

ウィーン特集は全て珍しかったのが、まあ良かったか。

「ウィーンの森〜」は親しんでいるものの生で聴くのは珍しく、おまけにツィターが独奏扱いというのも初めて。電気拡声していたようだが、この曲には前方席が幸いした。
繊細で美しい音色が「第三の男」を彷彿とさせた(これも順序が逆だが!)。

コルンゴルトは近年聴く機会が多くなった。

10年前はその名も知らなかった。
現代の人だが、映画音楽作家でもあるだけに分かりやすいのがいい。

シュミット作品は過去に1曲だけ聴いた…記録あり。全く覚えていない。
第二次世界大戦への切迫感、急逝した娘への哀悼などからか、全曲重くて暗い!

♪2021-124/♪サントリーホール-18

2019年4月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第5回 「アメリカ」新世界で生まれ育ち移り行く音楽達

2019-04-20 @県民ホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

阪田知樹:ピアノ
佐藤晴真:チェロ
田添菜穂子:司会

コープランド:「ロデオ」から“カウボーイの休日”
アンダーソン:タイプライター
アンダーソン:マクドナルドじいさんは農場をもっていた
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(抜粋)
J.ウィリアムズ:雅の鐘
コルンゴルト:映画「嵐の青春」
J.ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」よりメインタイトル、アステロイド・フィールド
ジョン・ケージ:4分33秒
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104から第1楽章
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界から」から第4楽章

アメリカ縁の小品・断章集。
指揮は新生・太田弦。
不出来なMCもついて親子名曲コンサートぽくなった。
おやつみたいなものばかりで主食のないもどかしさはあったが、演奏は上出来で(J.ケージの「4:33」は邪魔だったが)楽しめた。

特に最後のドボルザーク交響曲第9番「新世界から」の第4楽章冒頭の弦のアンサンブルの美しいこと。
県民ホールは音響もNHKホールとよく似て下手な演奏はごまかせない。
神奈川フィルも時に聴きたくない音を発するが、今日は見事だった。
管・弦が正確なピッチで適度に混ざり合う”交響”が管弦楽のナマの醍醐味を伝える。

♪2019-051/♪県民ホール-03

2015年11月27日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第314回 コルンゴルト、ウィーンからの新たな風

2015-11-27 @みなとみらいホール



サッシャ・ゲッツェル:指揮

ゲルハルト・オピッツ:ピアノ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番Op.83
コルンゴルト:シンフォニエッタOp.5
------------
アンコール(管弦楽)
ヨハン・シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と稲妻」 作品324

今回のテーマは「ウィーンからの風」だそうな。
首席客演指揮者のサッシャ・ゲッツェルはウィーン生まれ。
ピアノのゲルハルト・オピッツはドイツ・ピアノ界の正統派だそうで、まあ、音楽の素地はウィーンの親戚みたいなものか。
ブラームスは言うまでもなくドイツの3Bの一翼を担うドイツ人だが、ベートーベン同様ウィーンで活躍した。
コルンゴルトは今で言うチェコ生まれで、やはりウィーンでも活躍したらしいが、この人についてはむしろ活躍の場はハリウッドだったかも。

何やら、ウィーンで統一するには少し無理のある組合せで、モーツァルトやシューベルト、ヨハン・シュトラウスなどを組んだらまさしくウィーンの風が吹いたろうに。

ブラームスのピアノ協奏曲第2番は強固な城郭然とした堂々の大曲だ。聴き応えがある。しかし、今日も神奈川フィルはホルンを始め金管に不安要素を抱えたままこの大海に乗り出した。

ところどころ小座礁しながら港には着いたが、出来はイマイチ。
ピアノは良かった。

ゲルハルト・オピッツは、体型から一層指が太短く見えるのだけど、その指はほとんど鍵盤に向かって突き立てることがなく、まるで鍵盤の上を雑巾がけでもしているような動きだ。
力みがまるでなく感情を込めるといった様子もなく、淡々と職人芸を聴かせるといったふうだ。

この曲は、カデンツァがなく、華麗なテクニックを見せることもないが、ラフマニノフの第3番と並んでピアノ協奏曲の最難曲とされているそうだ。
それだけに雑巾がけスタイルでこともなげに弾きこなすゲルハルト・オピッツが余計に頼もしく思えてくる。
オケが、特に管に安心感があれば堂々のコンチェルトだったのに惜しかった。

コルンゴルトはモーツァルトの再来と言われるほど早熟の天才だったそうだ。
「シンフォニエッタ」は作品番号からも若作りという検討はつくが、なんと15歳の少年時代の作だ。管弦楽作品としては2曲めだという。

「シンフォニエッタ」は「小さな交響曲」というくらいの意味だが、全4楽章で40分を超える大作だ。オケの規模もマーラーほどではないにしても大きい。

少年が、仕事で作曲した訳ではない。勉強か遊びで作ってみたというところだろう。そんな作品をありがたがって聴いてられるか、というような反発心も感じたよ。若いなあ。

ま、初めての作品だ。とりあえず聴いてみる。
冒頭のメロディが歌いやすい調子で始まるものの一捻りしてある。15歳がこんなメロディを思いつくのか、と少し驚く。
次から次へと楽想が繋がって出てきて休む間もない。
拒否感を覚えるような超現代風ではなく、後期ロマン派だと言われたらそうか、と思うような、新しさと古さが同居して居心地の悪いような印象であったが、これは初めて聴いたのだからそんなものかもしれない。

どこがウィーンの風か分からないままだったな…と思っていたら、アンコールでヨハン・シュトラウスⅡ「雷鳴と稲妻」でようやくウィーンぽく治まった。


♪2015-118/♪みなとみらいホール-36

2015年1月24日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第305回定期演奏会

2015-01-24 @みなとみらいホール


サッシャ・ゲッツェル(首席客演指揮者)
チーデム・ソヤルスラン(ソプラノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

コルンゴルト:組曲「シュトラウシアーナ」
R.シュトラウス:4つの最後の歌
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 (ノヴァーク版)


神奈川フィル「みなとみらい」定期としては今年最初の演奏会であり、指揮者サッシャ・ゲッツェルがウィーン出身ということもあったのかもしれないが、今回は「ウィーン関連でまとめました」というところか。

●コルンゴルトはオーストリア人で、ウィーンで活躍後、ハリウッドに渡った人だ。この人の作品は何故か最近聴く機会が多い。
もっとも、組曲「シュトラウシアーナ」はその存在さえ初めて知ったくらいだから聴くのも初めて。
コルンゴルトは、ウィンナ・ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡに大変傾倒していたらしい。「シュトラウシアーナ」は、そのシュトラウスⅡの作品をアレンジしたもので、3つの部分で構成されている。

1ポルカ、2マズルカ、3ワルツだ。
原曲がヨハン・シュトラウスⅡなので、全体を通してとても軽妙だ。でもわざわざ、1953年に至って作曲(正しくは編曲?)する以上、やはりオーケストレーションに新しさがあり、ハープやグロッケンシュピールなどを使って全体に華やかになっている。
コルンゴルトはこの曲に先立ってピアノ曲で「シュトラウス物語」という作品も同じ趣向で作曲しているというから相当なシュトラウス党だったのだろう。

●R・シュトラウスはオーストリア人ではなくドイツ人だ。といってもかつてドイツとオーストリアは同じ国であったのだから、今回のプログラムは「ウィーン」で束ねてみたというより、「ドイツ語圏」で束ねたという方が正確だろうが、そういう束ね方にあまり意味があるとも思えない。何しろ、バロック以降の作曲者リストを作ればその大半はドイツかオーストリア出身だから。

でも、R・シュトラウスがウィーンを活躍の場(の一つ)としていたことは確かなので、「ウィーン」関連であることには間違いない。

この「最後の4つの歌」はR・シュトラウスらしい大規模な管弦楽を伴奏にするソプラノ歌曲集だ。
死の前年(1948年)に作曲されたもので、事実上最後の作品(彼の死後もう1曲歌曲が作曲されたことが発見された。)だ。

4曲セットで、初めの3曲(春・9月・眠りにつく時)はいずれもヘッセの詩に基づいている。
最終曲(夕映え)だけアイヒェンドルフの詩に作曲したもの…と言ってもそんな詩人は知らなかったけど。
現代の作品だが、調性もギリギリ保っているようで、おっとりしたきれいな曲だ。特に最終曲が心平安にして死に臨むといった曲想のようできれいなソプラノと相まって好感が持てた。


●ブルックナーの交響曲第9番は、10曲ある交響曲中最後の作品。書くつもりの第4楽章がまったく進まず第3楽章までの未完成で終わっている(第0番があるので第9番までで全10曲)。
どういう訳か比較的聴く機会が多い。
だが、率直にいって、なかなか喰い付いて行けない。
大げさで虚仮威しのような部分があるかと思えば、えらく鎮静してしまったりして、未完成と言っても60分を超える長大曲であるので、どうも緊張感の維持が難しいような気がする。

第4番(ロマンティック)や第5番などは親しみがあるので生のオーケストラで聴くのは大いに楽しみなのだけど、第9番はしばらくは僕の鬼門かも知れない。

いや、はっきり言えば、今日の演奏は、僕の緊張感もいまいちだったけど、演奏している側も緊張の糸が途中でほつれでしまったような気がした。技術的なミスではなく、演奏者全員の呼吸が途中から揃わなくなったような気がしたのは、僕の方の呼吸が演奏にシンクロできなかっただけなのかもしれないけど。

♪2014-10/♪みなとみらいホール-04

2015年1月17日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ミューザ川崎シンフォニーホール  ~ウィーンの風 ―甦る名曲たち~ 

2015-01-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール


サッシャ・ゲッツェル(首席客演指揮者)
山本裕康(首席チェロ奏者)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲
コルンゴルト:チェロ協奏曲ハ長調
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」
-----------
アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番から「サラバンド」(チェロ)
J.シュトラウスⅡ:ポルカ「浮気心」(管弦楽)


1月半ばだというのにチャイコのピアノ協奏曲が2回続き、「英雄」も中1日での登板だ。飽きる訳ではないけど、ワクワク感はない。
特に「英雄」は、指揮者もオケも同じ。ホールが異なるだけ。
今回は定期とは別の演奏会だったので、事情を知った上でチケットを買ったのだから文句は言えない。

特別演奏会の方はシニア割引があって安いのと、ホールや座る場所で同じ演奏の音の響がどう異なるか、という興味もあったから。

で、その音響は、県民ホールも良く鳴っていたし、ミューザもどこで聴いてもそれなりの楽しみがある、ということを再確認した。

コルンゴルトについては1枚のCDも持っていないけど、バイオリン協奏曲は何度か聴いている。
しかし、チェロ協奏曲も書いているとは知らなかった。

バイオリン協奏曲ならYoutubeで視聴もできる。Amazonでホンのさわりだけなら試聴も可能だ。
ところが、チェロ協奏曲となるYoutubeでもAmazonでも見当たらない。
悲しいかな、昨日聴いた曲を思い出せないのだ。サワリだけでも聴けばどんな感じだったかくらい思い出せると思うのだけど…。
まあ、短い曲だった。全1楽章だったと思う。

ぎりぎり19世紀末の生まれだけど、20世紀の作曲家だ。ユダヤ系であったために故国オーストリアでは長く活動することができずハリウッドに渡った。映画音楽の作曲家として名高いが、20世紀の作曲家と言っても基本的には後期ロマン派で、あまりこむつかしいところはなかったように思う。
この曲も、元は映画のために書かれた作品を後日手を入れてチェロ協奏曲に仕上げたらしい。ただ、なんとしてももう一度聴きたいといったピンと来るようなものはなかったけど、これも何度も聴いておれば面白さが湧いてくるのかもしれない。



「英雄」は一昨日、同じ演奏家の組合わせで聴いているが、前回は第4楽章がゆったりしていると思ったが、その後、手持ちのCDを聴いてみたら、万事遅めの朝比奈隆は別としても万事速めのトスカニーニでさえ後半(Poco Andante)はずいぶんゆったりだったので、サッシャ・ゲッツエル(ウィーン生まれ)のテンポは、案外オーソドックスなものなのではないか、と思い直して聴いた。
そう思って聴けばこれでいいのかな、とも思えてくる。

去年N響で聴いたロジャー・ノリントンのベートーベン第7番や11日に聴いたジャナンドレア・ノセダ指揮N響の「運命」に驚嘆した僕としてはノリントンやノセダが「英雄」をどう料理するのかも是非聴いてみたいものだ。



♪2015-8/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-02

2014年10月24日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第303回定期演奏会

2014-10-24 @みなとみらいホール


湯浅卓雄:指揮
石田泰尚:バイオリン【ソロ・コンサートマスター】
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

E.エルガー:弦楽セレナーデ ホ短調Op.20
コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調Op.35
エルガー:交響曲第3番ハ短調Op.88(アンソニー・ペイン補筆完成版)


コルンゴルト(オーストリア⇒アメリカ。1897-1957)という作曲家の存在は今年3月の読響の定期でバイオリン協奏曲ニ長調が取り上げられるまでは知らなかったが、オーケストラでは既に人気者のようで、その後も日フィルで聴き、今日が3度目だった。

それまでのほぼ半世紀にわたる我がクラシック音楽愛聴史はなんだったのか、と言われそうだが、日本でコルンゴルトの作品が初演されたのが1989年で(このバイオリン協奏曲)、評価が確立したのは没後50周年(2007年)だというから、聴く機会がなかったのも無理はないかもしれない。

映画音楽を多く手がけた人で、この作品も自作の映画音楽を散りばめているらしいが、そもそもオリジナルを知らないのでよく分からないけど、現代の作品にしてはとても親しみやすい。

神奈川フィルの名物男、石田泰尚がソロを弾くとあってか、普段の定期よりお客の入りがよい。それもおばさまたちが多い。
僕の指定席の近隣はいつも一つ空いていたが、今日は御婦人が埋めておられた。今回だけのチケットを入手されたのだろう。

石田氏はもちろんとても上手なのだけど、力の入ったオーバージェスチャーも一層ファンを沸かせる。



エルガー(英国。1857-1934)の2作品はいずれも初めて聴くものだ。
弦楽セレナーデは文字どおり弦楽器のみで演奏されるが、かなり大きな編成だったので、透明感を持ちながら厚い響が魅力的だった。

音楽はコルンゴルトより40歳も年上、というより40年も前の人だけど、それだけに明確な調性と歌える旋律を持っている点でコルンゴルトより一層親しみやすい。
第1楽章(全3楽章構成)を聴いた時、すぐに加古隆の音楽を思い出した。たとえはあべこべだけどそういう親しみやすさだ。

さて、問題は交響曲第3番。未完成である。
エルガー自身は第1楽章の冒頭部分しか総譜化していないそうだ。ただ、ジグソウパズルのピースのような状態の断片スケッチが遺された。
アンソニー・ペインという人は作曲家であり、研究者でもあったので、BBCの依頼を受け補筆完成させた、というのだけど、補筆部分の方がずっと大きい(長い)ので、エルガーの交響曲第3番というより、エルガーの着想によるペインの交響曲と言った方が正しいのじゃないかという気もする。


因みに、Amazonで調べたらCDは1種類しか出ていないようだが、ジャケットのタイトルが興味深い発見だった。
EDWARD ELGAR / The Sketche for Symphony No.3 / 
Elaborated by ANTHONY PAYNE とある。
「ペインによって綿密に練り上げられたエルガーの交響曲第3番のためのスケッチ集」みたいな意味かな。
補筆完成という訳語よりは誕生の経緯に沿ったものだろう。

この補筆完成版の完成は1997年というから、つい最近のことだ。
どこまでがエルガーの音楽なのか、どこまで真筆に肉薄しているのか、分からないけど、まあ、総じてエルガーの作品がそうであるように、難解さとは無縁だが、特に美しい旋律がちりばめられているとか、聴き覚えのある英国民謡が取り入れられているという訳でもなく、ある程度馴染まないと楽しむまでには至らないのではないか。
ただ、管・打楽器がたくさん配置された大規模なオーケストレーションで、近代的な管弦楽技法が駆使されているから退屈するような作品ではない。
コルンゴルド同様に、今後も多くのオーケストラが取り上げるようになるのかもしれない。


第2楽章と第4楽章の終わり方に興味を持ったが、再確認するすべがない(Youtubeでも見当たらない。楽譜も見当たらない。)ので、機会があれば考えてみよう。
休符で終わるというのは、本当の終曲っていつなんだろう?ということなのだけど。ま、どうでもいいようなことなんだ。

♪2014-96/♪みなとみらいホール大ホール-37

2014年5月10日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第297回横浜定期演奏会

2014-05-10 @みなとみらいホール



小林美樹:Vn
山田和樹:指揮 
日本フィルハーモニー交響楽団

コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調Op35
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調Op27


●昨日に引き続きみなとみらいホールだが、昨日は前から2列目という過酷な鑑賞環境だったが、今日は、定期演奏会なので、いつもの3回最前列席正面という、遠いけど、バランスよく音楽が聴こえる席だ。
たしかに、昨日とは全然音の響きが違う。
いくら舞台そばが好きと言っても、近づきすぎては音のバランスが悪い。

●コルンゴルトという作曲家の名前を知ったのはつい最近のことで、今年3月の読響定期で彼のヴァイオリン協奏曲を初めて聴いた。

半世紀にわたるクラシック音楽ファンにして、日本のオーケストラが演奏会で取り上げるような作曲家を(初演は別として)知らない、なんて、ちょっとショックだった。
まあ、もう一度聴く機会は数年間はあるまいと思っていたけど、なんてことはない。1月強で再び聴くことになった。

前回からあまり日が経っていないので、音楽全体の感じはぼんやりと覚えていて、あと数回聴けば自分のテリトリーに入ってくるという感じだ。

元々ハリウッドで映画音楽も書いていたという人なので、ところどころに映画音楽風なメロディーが登場して、現代曲(1945年)ではあるけど、親しみ易い。


●ラフマニノフの交響曲第2番も恥ずかしながら聴くのは初めてだ(厳密には放送で聴いているかもしれないけど、記憶が無い。)。
20歳台に発表した第1番は大コケしたらしく、長くそのトラウマに悩まされながら30代にして満を持して発表した第2番は満場の喝采で迎えられたという。

ラフマニノフといえば4曲のピアノコンチェルトが超有名だが、この交響曲の第1楽章だったか、第2楽章だったか記憶が定かではないけど、彼のピアノ協奏曲と同じ楽想の断片も出てきたように思う。

全体が、ラフマニノフ印(ピアノ協奏曲にみられる旋律と類似)で満たされた、どちらかと言うと甘美でドラマチックな音楽だ。
第3楽章のAdajioはラフマニノフらしい癒し系の心地よさがある。
ただし、演奏に60分を要する大曲で、今の僕の感受性では間延び感は否めない。


●さて、バイオリンのソリストは小林美樹。この人の演奏も3月はじめに聴いたばかりだったが、前回(モーツァルト5番)より一段と貫禄を増して別人のようであった。

●今日のゲスト・コンサートマスター白井圭クン。
「熱狂の日」でベートーベンの七重奏曲を聴いた時のバイオリニストで、巧いしメンバーのリードも良かったと思ったが、1週間後にこの大舞台で再会するとはこれも縁だ。今後の活躍に注目していようと思う。

余談だが、ベートーベンの七重奏曲でチェロを弾いていた横坂源クンも、7日早朝に放映されたNHKEテレのクラシック倶楽部で、ブラームスの六重奏を演奏していた(再放送)。優れた若者がキラ星のようにいるんだ。

♪2014-51/♪みなとみらいホール21