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2023年2月28日火曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 珠玉のオペラ合唱名曲コンサート 〜神奈川フィル合唱団創立20周年を讃えて〜

2023-02-28 @みなとみらいホール



現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団#

大久保光哉:バリトンBr
鈴木玲奈:ソプラノSp
山本康寛:テノールTn

●ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」から
「序曲」/「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」#
●マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から
「オレンジの花は香り」#
●ヴェルディ:歌劇「椿姫」から
第1幕への「前奏曲」/「あの人から遠くはなれていては」Sp/「ああ、そは彼のひとか〜花から花へ」Sp/「乾杯の歌」Sp/Tn/#
●ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から
第3幕への「前奏曲」/「婚礼の合唱」#
●ワーグナー:歌劇「タンホイザー」から
「夕星の歌」Br/「歌の殿堂を讃えよう」#
●エルガー:行進曲「威風堂々」第1番#







神奈川フィル専属のアマチュア合唱団。創立20年ということで、合唱団が主役のコンサート。
主としてオペラの合唱曲主体だが、ソプラノやテノールのプロ歌手の独唱も。
全て、聴き馴染んだものばかりで楽しめた。

合唱団は、名簿を数えたら凡そ女声60、男声30。

P席全部とRA・LAの一部を2人空けの拡大市松模様で並んだが、男声が上手側にちんまり収まったのはどうも迫力を欠いた気がする。
スカスカ配置だから、アマチュアといえども全員NoMaskだ。

「第九」の合唱のように高域で声を張り上げる曲がなかったせいか、全て良くできました!感じ。

定期演奏会ではなく1回券なので、久しぶりに…調べたら、2016年11月の独カンマーフィル以来だから6年3月ぶりに2階席で聴いてみた。正面最前列。

やはり1階席中央とは様子が違う。
遠い。
生々しさがない代わりにぼんやりとまとまりがいい。

評価のレンジは2-4という感じ。安全に聴けるというところか。
僕の好きな、1階席中央の中央だとレンジは1-5だ。非常に良い時もあるがひどい時もある。その僅かな5の機会を求めて席にこだわっている。

♪2023-038/♪みなとみらいホール-09

2022年12月24日土曜日

「第九」2022-❽ 神奈川フィル「第九」特別演奏会 2022 フューチャー・コンサート厚木公演

2022-12-24 @厚木市文化会館



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー交響楽団
プロ歌手による神奈川フィル合唱団

砂川涼子(ソプラノ)
八木寿子(メゾソプラノ)
笛田博昭(テノール)
青山貴(バリトン)

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



神奈川フィルの「第九」は三ツ橋敬子指揮@ミューザで既に聴いたが、今回は、沼さんの指揮。

独唱陣も異なって、
砂川涼子❤️Sp
八木寿子Ms
笛田博昭Tn
青山貴Brだ。

これは聴かねばなるまいと、遠路厚木まで出かけた。

厚木市は人口22.4万人。財政力指数県内1、関東で5位という豊かな街だそうな。さぞや立派な文化会館かと思いきや小都市にどこにでもあるような多目的のフツーの造作だった。

が、キャパ1400のこじんまりしたホールは残響は少なめだが明るい軽やかな響きだった。

弦は10型(低域12型風)は昨年同様。

合唱は男女とも14人の計28人。

今年12回聴く「第九」の中で、あと4回を残すものの、オケ・合唱とも最小規模だろう。

そのコンパクトなオケを纏めたコンマスは日フィルの千葉清加の客演だ。17日の日フィル「第九」@みなとみらいでは次席に座っていた。

コンマスとしての仕事ぶりを見るのは初めてだったかもしれないが、やはりボウイングや上半身の使い方が違う。よく、リードしていたと思う。

沼さんの「第九」を聴くのは初めて…だと思うが、こちらも正統派。ケレンはつゆほどもないが、だから面白くないのではなく、安心して聴ける。

10型の編成はキビキビし、弦の透明感も確保できている。もう少し弦を増やしたら厚みが出るけどその分濁りが出る心配がある。今日は、これで良かったと思う。
ホルンのソロも安定して、とくに3楽章の4番ホルンのソロも見事に決まった。

不安だったのは、声楽陣の着座だ。

通常は冒頭から。または3楽章の前に入場着座する。
しかし、今日は2楽章が終わっても入ってこない。
そして3楽章が始まった。
てことは4楽章の前に入るのか?
ところが3楽章が終わると間髪を容れず4楽章に突入。
あれれ。

さらに低弦のレシタが始まり、歓喜の旋律が始まっても声楽陣は入ってこない!

歓喜の歌が、オケのTuttiで盛り上がったその時、合唱も独唱も入場した。確かに人数が少なく短時間で並び、大音量だから足音もかき消されてしまうのだ。

実は、神フィルには前科があり、少なくとも19-20年も同様のスリルを味わったことを思い出した。
まあ、無駄のない演出とも言える。

ともかく、演奏は見事だった。
会場の大きさや響のタイプの違いを考えてこういう編成にしたのかどうか分からないが、オケの編成は大きければいいというものではない。コンパクトの良さを活かした、快活な演奏が実に心地よし。

演奏好感度★95点

♪2022-203/♪厚木市文化会館大ホール-01

2022年12月7日水曜日

「第九」2022-❶ 神奈川フィル/特別演奏会「第九」

2022-12-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール



三ツ橋敬子:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
プロ歌手による神奈川フィル合唱団

富平安希子:ソプラノ
山下裕賀:メゾソプラノ
村上公太:テノール
三戸大久:バスバリトン

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



今年の「第九」の嚆矢を飾るのは神奈川フィル by 三ツ橋(沼さんの「第九」は24日に)。

弦編成は12型。P席に陣取った合唱は39人、当然No Mask。
他に舞台周りの4ブロックを閉鎖していたが、そこまでする必要は全くないのに!と神経過敏な劇場側を叱りたい!

声楽陣は高域から富平安希子/山下裕賀/村上公太/三戸大久。村上は東響&都響でも聴くことになっている。

第1-2楽章はやや速目のテンポ。小振りのオケはまとまりよくシャキシャキと小気味良し。管も巧い。トランペットなんか、出番が多いが音符一つも間違えない。見事なものだ。
ホルン(4番?)の3楽章Soloにもう少し明瞭さが欲しかった。

少ない合唱団も意外と迫力。

ま、そんな程度で全体として満足度が高かった。

残念なのは弦奏者の7割近くがマスクだ。N響や新日フィルなどは16型でも5-6人だけどな。その5-6人だって着用する意味はないと思うが。

さて、ビオラ首席がどう見ても東響の青木氏のそっくりさんだったよ。
ティンパニーも客演だった。

12月、「第九」の季節。先生方は走り回っているんだ。
ま、みつばち先生も今月は25公演?なんて忙しいんだ。

今日は、小学生〜18歳を無料招待していたそうだ。どこにいたのか分からなかったが静かに聴いていたのだろう。むしろ、僕の席の前では紙袋の音や後ろからは荷物を落とす音など。おばさん達、やめてケロ。

演奏好感度★80点★/100点満点

♪2022-186/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-46

2020年2月15日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第7回 「ドイツ」~楽聖の名曲で辿る、その光と苦悩~ オール・ベートーベン・プログラム

2020-02-15 @県民ホール


現田茂夫:名誉指揮者
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団
田添菜穂子:司会

奥村愛:バイオリン*
長富彩:ピアノ**

オール・ベートーベン・プログラム
「レオノーレ」序曲第3番 Op.72b
ロマンス第2番ヘ長調 Op.50*
Pf協奏曲第5番変ホ長調 Op.73「皇帝」から第1楽章**
交響曲第1番ハ長調 Op.21から第1楽章抜粋
交響曲第3番変ホ長調 Op.55「英雄」から第1、第2楽章抜粋
交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」から第1楽章
交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」から第1、第4楽章抜粋
交響曲第7番イ長調 Op.92から第1楽章抜粋
交響曲第9番ニ短調 Op.125「合唱付」から第4楽章抜粋

ベートーベン生誕250年、神奈川フィル創立50年記念といっても寄木細工みたいなプログラムってどうかと思うけどな。
それでベートーベンの作曲手法が明らかになるとか、人生観の変遷を見せるとかの仕掛けがあれば別だが、単なるつまみ食いセットではベートーベンもかわいそう。お客も物足りない。

しかし、神奈川フィルの演奏そのものはとても良かった。

県民ホールは雑な演奏だとすぐボロが出る、曖昧さを許さないホールだが、硬く締まった中にも透明感があって管弦楽を聴く楽しさを感じた。

今日はN響定期とダブりで、途中離脱は残念。

自席は真ん中の真ん中だが、途中退席に備えて休憩後は案内嬢に断って1階最後列通路側で聴いたが、これが結構良い響きなので驚いた。音圧は不足するが、まろやかだ。
しかし、ポケットに入れていたチョコレートみたいで輪郭が甘い。やはり真ん中の真ん中がよろしい。

♪2020-023/♪県民ホール-01

2019年12月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ベートーベン「第九」<第九⑦>

2019-12-21 @県民ホール


下野竜也:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

石橋栄実:Sp
林美智子:Ms
谷口洋介:Tn
久保和範:Br

マルティヌー:リディツェへの追悼
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

管・弦・声楽のバランスの良い演奏…というより、プロセニアム・ホールの良さが発揮されたのかな。4方を反響板に囲まれたステージからはとても心地の良い響きが届いた。残響不足で硬い音になりがちだが、今日は合唱団が後ろに並び、オケはピットを潰して拡大舞台。
その分、前に出ていたのが良かったのかも。

神奈川フィルも健闘した。シャカリキではなく、かなり抑えた調子だったがほとんど破綻がなかった。

欲を言えば、終楽章のレシタは下野氏独自の速いテンポで始まったが、前半僅かに15人の呼吸が合っていなかった。

声楽独唱は大舞台の奥からだがよく通った。

その独唱はどこで入場したか?今年6回聴いていずれも2楽章の後だ。
しかし今日は違った。3楽章が終わっても登壇しない!
低弦レシタの開始前に静々と登場したのは如上の経緯から当然予期されたが多分初体験だ。

「2楽章の後に入るが拍手禁止」とお願いされた演奏会も過去に経験しているが、まさか拍手を嫌って?

♪2019-214/♪県民ホール-06

2019年2月23日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第4回

2019-02-23 @県民ホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

浜田理恵:ソプラノ
山下牧子:メゾソプラノ
宮里直樹:テノール
妻屋秀和:バス

ヴェルディ:レクイエム

今年2回目のヴェルディ「レクイエム」。
1月のヴィオッティ+東響の演奏があまりにも良かったので、それを上回るのは無理だろうが、できれば肉薄する演奏を期待したい…と思いながら出かけたが、それは杞憂。こちらもなかなかの出来栄えだった。

県民ホールは客席だけでなく舞台も大きいので、その面から若干残念な部分はあった。

声楽独唱はオケの後ろ、合唱団の前に位置した。
合唱は120人位いたか。かなりの大所帯で迫力あり。
それに舞台は間口も広いが奥行きが相当深い。
それだけに声楽ソロが合唱と重なるところでは埋没しがちで、ラクリモーザやリベラ・メ等美しいソロをもっとよく聴きたかった。その為には、声楽独唱だけは、ステージ前方、オケより客席側での歌唱が効果的だったと思う。

もう一つは、大太鼓のサイズが小さかったのが残念。
たかが太鼓1個と謂う勿れ。ヴェル・レクにおいてはオーケストラ中最も大事な楽器なのだから。

いや、あれで相当に大きいのかもしれないが、大きなステージにあっては、存在感が今ひとつ。現に、音圧が物足りない。

「怒りの日」における強烈な裏拍打ちは思い切り大きく、重くて低い衝撃音を聴きたい。それが不足した。

神奈川フィルの演奏は案外控えめで、声楽ソロや合唱を前面に出していたように思う。さりとて音圧に不足もなく、良いバランスだったと思う。
また、全曲にわたって、90分近い長尺をたぶんノーミス(気付かなかっただけかもしれないが)で演奏したのもこれは珍しい。

神奈川フィルの演奏を東響より先に聴いておれば、こちらに軍配を挙げたかもしれないな。

♪2019-022/♪県民ホール-02

2018年12月21日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第2回 ---「第九」❸

2018-12-21 @県民ホール


広上淳一:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

髙橋絵理:ソプラア
平山莉奈:メゾソプラノ
宮里直樹:テノール
浅井隆仁:バリトン

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

客席も舞台も広い県民ホールで聴く「第九」は一層の祝祭性を帯びて気分高揚。
残響が少ない為、弦はシャリシャリ感が残るがこれこそナマならではのリアルな感触。
その弦が高い透明感を保って心地良い味わい。

広上節は全体にテンポ鷹揚。特に第4楽章は外連味利かせテンポの変化が頻繁で歌わせすぎではないか。声楽独唱はそれこそ「歌え」ば良いのだけど、オケはできるだけ無表情にテンポを保って欲しい…というのが、僕の好み。

終楽章の低弦のレシタティーヴォは特に朗々と歌わせたが、こここそは限りなくイン・テンポで聴きたい。

演奏時間は楽章間休止含め71分位。

声楽陣と打楽器3人は第2楽章の後登壇した。
ならば、第3楽章から第4楽章への乗り換えは一呼吸で入れたのに、広上センセイ、フツーに休止時間をとったので肩透かし。Apple Watchで計測していたが、22秒間もお休みあそばした。これではテンションが下がってしまう。

神奈川フィルの出来は上々だった。先日の日フィルと良い勝負だ。また、合唱団は中高年中心で110名くらいだが、迫力あった。東京音大合唱団(日フィルの「第九」)にも負けていなかったな。
そして、声楽ソロも(テノールは急遽の代演だったが)みんな良く通る声で聴き応えがあった。
テノールは訂正済み

今季3回目の「第九」だが、声楽ソリストが舞台の前方(指揮者を挟む形)に立ったのは今回初めて(他の2回はオケの後ろ。)。やはり、前方に立つと声がよく通り、4声部の絡みもはっきり聴き取れて気持ちがいい。

事ほど左様に、オケも声楽陣もとても良い出来だったが、指揮者の演出が好みではなかったので80点としよう。

♪2018-175/♪県民ホール-05

2018年7月14日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第1回

2018-07-14 @県民ホール


現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団:Ch

久元祐子:Pf
礒絵里子:Vn
鷲尾麻衣:Sp
宮本益光:Br
上野由恵:Fl
山宮るり子:Harp

〜オール・モーツァルト・プログラム〜
歌劇「後宮からの逃走」K384 序曲
バイオリン協奏曲第5番イ長調K.219から第3楽章
フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299から第1楽章
ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467から第2楽章
ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466から第3楽章
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527から「お手をどうぞ」Sp+Br
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527から「シャンパンの歌」Br
歌劇「フィガロの結婚」K.492から「恋とは、どんなものかしら?」Sp
歌劇「魔笛」K.620から「パパパの二重奏」Sp+Br
レクイエムニ短調K.626より「ラクリモーサ」Ch
モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618Ch
交響曲第40番ト短調K.550から第1楽章 
交響曲第41番ハ長調K.551から第4楽章

ホール改修後、ようやく始まった今季第1回の県民ホール定期はモーツァルト尽くし。
序曲やアリアはともかく協奏曲や交響曲など多楽章で構成されているものも1楽章のみの演奏という隔靴掻痒の構成出、果たして楽しめるのかと懸念があったが、果たして存外に楽しめた。
司会・進行の女性が、各ソリストや指揮者から興味深い話を引き出して彼らの人間性・音楽観を通じてモーツァルト像の輪郭表現に成功。こういうアプローチもありか、と納得した。

ソリストたちの中で、声楽の鷲尾麻衣と宮本益光はこれまでのオペラ、「第九」、マーラー作品などで複数回聴いているが、そういう場面では彼らの人柄などは分からないし、もちろん分からない方がいいのだけど、今回のように自由なおしゃべりタイムによって明らかになった、素の?人柄に親しみを覚えた。
残る4人は初めての見る・聴く人達だったが、それぞれに好感が持てた。特に、ピアノの久元女史はモーツァルトの研究においてかなりの業績を残しておられる(国立音大教授)ようだ。また、彼女は日本で唯一人のベーゼンルドルファー・アーティストとして、ベーゼンドルファーで録音したモーツァルト作品集を残している。
あいにくと、この日はスタインウェイだったが、これは編成の大きなオーケストラと2,500人も入る大ホールだったための選択なのか、おそらく、県民ホールにベーゼンドルファーは常置していないだろうから協奏曲の1楽章のためにどこかから運んでくることができなかったのかもしれない。


余談:
指揮者の現田茂夫のコメントの中で、ジュピターの終楽章の冒頭のCDFEの音型(ジュピター音型)はブラームスやシューマンの交響曲の作曲にも影響を与え、それぞれの1番から4番までの調性は、
ブラームス⇒Cm、Dd、Fd、Em
シューマン⇒B♭、Cd、E♭、Dm(長2度上げるとCDFEとなる。)
で、ジュピター音型をなぞっている、と説明していたが、なるほど吃驚。しかし、考えてみれば、これは意図したものではなく、結果がそうだったということだろう。両者とも4番までしか書かないつもりではなかったはずだし、シューマンの曲番号は作曲順とは異なっているのだから。
ま、そうだとしてもこの偶然の一致には驚く。

♪2018-082/♪県民ホール-01

2017年12月22日金曜日

神奈川フィル/ベートーベン「第九」演奏会

2017-12-22 @みなとみらいホール


ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 Op.125「合唱付き」

鈴木優人:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

ソプラノ:中江早希
アルト:布施奈緒子
テノール:中嶋克彦
バリトン:多田羅迪夫

鈴木秀美指揮神奈川フィルでベートーベンの「運命」を聴いたときの衝撃は忘れられない。良し悪しは別としてああいう「疾走するベートーベン」を聴きたいと思っていた。
それで、今年の神奈川フィルの「第九」を鈴木秀美が振ると知って内心狂喜したものだ。あの「運命」のテンポでやると第2楽章などどうなることだろう、終楽章の低弦のレシタティーヴォは息も継がせぬインテンポで演るのではないか…。


ところが、秀美御大は体調不良により、甥の優人に代わるというので、まずはがっかりしたものだ。

でも、血は争えないはず。鈴木家の疾走するベートーベンを聴かせてくれ!

オケ編成は中規模。各パートの編成は重なって並んでいるので正確には数えられないが、コンバスが6本だということは3管編成の標準的なタイプだったのかも。

今日の神奈川フィルは、男性は全員燕尾服だった。これまでは略礼服のような黒のスーツで、燕尾服を見るのは初めてだ。全員新調したのだろうか。それとも毎年「第九」では燕尾服だったのだろうか。コンマスの﨑谷くんなど、身に付いていない風だった。

演奏は、概ね良し。弦が何時になくきれいな音を出していたが、細かったな。あれでもう少し厚みがあれば迫力が出るのだけど、この点は物足りない。
ホルンは最近良くなった。以前は第2、第3楽章の目立つソロを失敗することもあったが今日はとてもきれいで安心して聴いておれた。

合唱団は…東響コーラスと比べる透明度に欠ける。

鈴木優人の指揮は、うーむ。ちょいとがっかりかな。
どの楽章も中庸のテンポで、大変オーソドックス。嫌味な節回しなども一切なくてとても素直だ。

1年に1回しか「第九」を聴きません、という人には模範的な演奏だったかもしれない。でも、僕のように何度も(今年は夏にも1回聴いており計7回になる。)聴く者にとっては、やはり、どこかで、変種の「第九」を聴きたい。その可能性が一番あったのが鈴木秀美だったので、彼の交代がなおさら残念だ。

合唱団は最初から登壇。声楽ソリストは第4楽章のテーマ一巡後に入った。東響と同じスタイルだ。今年はこれが流行っているのか。

しかし、この登壇方法を取るなら、第3楽章と第4楽章の休止は限りなく短くすることが可能なのに、優人クンはしっかり休んだ。
ここで咳払い休憩を取ると、どうもテンションが続かない。

♪2017-208/♪みなとみらいホール-51

2016年12月3日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第10回

2016-12-03 @県民ホール


川瀬賢太郎:常任指揮者
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

秦茂子:Sp
林美智子:Ms
升島唯博:Tn
宮本益光:Br
神奈川フィル合唱団

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」


12月に入って早速の「第九」だ。
これが1回目で、今年も5回聴くことになっている。
そんなに何度も聴かなくともいいのだけど、神奈川フィル、日フィル、読響は定期演奏会に織り込まれており、他に横浜交響楽団は毎年の恒例行事で600人の大合唱団を聴きたいし、N響も欠かせない。今年は都響も是非聴いてみたい。ということで6回になったが、うっかりしてダブったために都響と読響がダブってしまい、読響は知人に行ってもらうことにしたので無駄にはならなくて良かった。

さて、川瀬賢太郎+神奈川フィルの「第九」。
後日に予定されている「第九」のへの期待が大きくて、今日の「第九」はまあ耳慣らしみたいなものでさほどの期待もせずに出かけたのだけど、ところがどっこい。これは拾いものだった。

テンポの軽快さ、楽章間ポーズの短さ、シャキッとまとめた新感覚のベートーベン。賢太郎の音楽づくりが神奈川フィルの隅々にまで浸透してきたような気がする名演だった。

昨年末のパーヴォ+N響を彷彿とさせる出来栄え。
良い「第九」シーズンの始まりだった。

♪2016-129/♪県民ホール-04

2016年7月16日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第8回

2016-07-16 @県民ホール

現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
横浜少年少女合唱団*
神奈川フィル合唱団**

三宅理恵:ソプラノ♡
中井亮一:テノール♭
吉江忠男:バリトン#

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から
・序曲
・酒が回ったら今度は踊りだ#
・ぶってよ、マゼット
・私の幸せは彼女にかかって
・お互い手を取り合おう#

オルフ:カルミナ・ブラーナ#**

神奈川フィルfacebookから
待望の「カルミナ・ブラーナ」。
編成が大きいのでなかなか取り上げられない。
ようやくにして初めてナマ演奏を聴くことができた。

3人の独唱に児童合唱と成人の混声四部合唱に三管編成(とはいいながら打楽器・鍵盤楽器は数も種類も多く、ティンパニ<5>、グロッケンシュピール、シロフォン、カスタネット、クレセル、クロタル、トライアングル、アンティーク・シンバル3、シンバル4、タムタム、鐘3、チューブラーベル、タンブリン、小太鼓、大太鼓にチェレスタ、グランドピアノ2を含む大掛かり)のオーケストラという編成だ。

映画音楽などでよく使われている冒頭の「運命の女神」が始まった途端、オルフの描く奇妙な世界にいっぺんに惹きこまれてしまう。
重厚で荘厳な響あり、自然賛歌あり、官能的な歌、清らかな世界を描く歌など聖俗混淆のごった煮が、次から次へと繰り出され、原始脳を刺激する狂乱の60分。

声楽、合唱も素晴らしかったが、神奈川フィルにとっては恩師ともいうべき現田マエストロの期待に応えんとしたか、オケの出来栄えも素晴らしいものだった。

前日のN響には随分がっかりしていたが、今日の神奈川フィルは昨日のN響を凌ぐ力演・熱演・怪演だった。
たまにやってくれるんだよな。こういうホームラン級の演奏を。


♪2016-099/♪県民ホール-02

2015年12月20日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第6回

2015-12-20 @県民ホール


川瀬賢太郎(常任指揮者)
馬原裕子:ソプラノ
山下牧子:メゾ・ソプラノ
大槻孝志:テノール
小森輝彦:バリトン
神奈川フィル合唱団

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」

昨日の横浜交響楽団に続いて同じ県民ホールで「第九」。
今日はプロの神奈川フィルだ。
横響がなかなかの高水準の演奏だったので、アマチュアとプロの違いがどう出るのか、興味津々だった。

で、しょっぱなの弦の6連符の細かい刻みの音で、やはり違うなあと一瞬でその差を感じた。
アタックが揃っている。ピッチも高水準で揃っている。
音楽にメリハリがある。
あゝ、やはりだいぶ違う。
でも昨日の横響はアマチュアとしてはとても良いできだったなあ…などと思いながら、プロの腕の違いを得心してこれは満足。


第3楽章にはホルンの聴かせどころが(僕の耳には)3ヵ所ある。
そのうち最初の部分(96小節目)は音階練習のようなフレーズだけど、ほかの楽器が完全に沈黙するのでとても目立つのだ。ここが決まればホルン奏者だけでなく聴衆も気持ちがいい。

でも、ここは難しいのだろうか。
昨年の神奈川フィルのホルンの出来は悪かった。
昨日の横響はこの難所をきれいに決めてくれたが、今年の神奈川フィルはプロとして汚名返上・名誉挽回してくれなくちゃいけない。固唾を呑んで聴いた。
うまく行った。
音色やフレーズの作り方は昨日の横響の方がきれいだと思ったが、神奈川フィルも今年はまずまずの出来だった。残る2ヵ所も問題なし。

ホルンさえうまく行けば、今日の神奈川フィルの熱の入り方からして後は問題ないはず。

今年も合唱団は冒頭から着座した。
声楽ソリストは昨年は第2楽章と第3楽章の間に登壇した。
これでも良かったと思うが、今年はソリストも冒頭から舞台に上がった。
このため、音楽の流れが良かった。引き締まった感がある。
特に、第3楽章が終わっても川瀬賢太郎のタクトは胸の前で数秒止まっただけで、降ろすことなく、怒涛の終楽章になだれ込んだ。
こうでなくてはいけない。

ホルンを始め演奏技術の面でも間違いのない仕事、確かな腕を見せてくれたが、指揮者のエネルギッシュな指揮ぶりのせいで、全体に音楽の輪郭が明確で、テンポよく引き締まった「第九」になった。
終楽章の低弦のレシタティーヴォこそ指揮者の呼吸がそのまま音楽に反映されるが、ここも気持ちの良い流れだった(指揮者によっては時に、浪花節のようなレシタティーヴォを聴かされることもあるが、スッキリくっきりやってほしいものだ。)。

合唱団もわずか100名程度の規模だったが、なかなか迫力ある。
声楽ソリストも健闘したが、好みで言えば、昨日の横響の舞台に立った4人組に華があった。特にバスは昨日の方が声量もあり、節回しも良かった。


♪2015-129/♪県民ホール-05

2015年6月28日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第4回

2015-06-28 @県民ホール


現田茂夫:指揮(名誉指揮者)
大隅智佳子(ソプラノ)♭
並河寿美(ソプラノ)♯
西村悟(テノール)♪
ジョン・ハオ(バス)*
井上雅人(バリトン)*
神奈川フィル合唱団(合唱)*

神奈川フィルハーモニー管弦楽団


<オールプッチーニプログラム> 
・交響的前奏曲イ長調 

・歌劇「ラ・ボエーム」から
「冷たい手」♪
「私の名はミミ」♭♪
「麗しの乙女」♭♪

・歌劇「蝶々夫人」から
「ある晴れた日に」♯

・歌劇「妖精ヴィッリ」から
「妖精の踊り」

・歌劇「トゥーランドット」ハイライト(演奏会形式)♭♪♯*


プッチーニのオペラ以外の作品は知らなかった。
交響的前奏曲は初めて聴いたが、オペラの旋律同様分かりやすい歌謡調の作品だった。帰宅後調べたら、18歳頃の作品だ。
そうと知ればそんな程度の軽さだったかも。

続くアリア集は、全て聴き馴染みの曲ばかりで、歌手たちもみんな上手で楽しめた。

最後のお楽しみは、「トゥーランドット」のハイライト(といっても80分の長尺)を演奏会形式で聴かせてくれることだったが、これには不満が残った。
音楽そのものはいいし、オケの演奏も、歌唱もとても良い。

しかし、プログラムには物語のあらすじもどのアリアを誰が歌うのか、その内容はどんなものかについても何の説明もないのは困ったものだ。まあ、およそのあらすじは知っていたけど、演奏会形式なので、イタリア語も分からないし、今、どういう場面か、何が歌われているか分からない。
アリアそのものはよく馴染んでいても何を歌っているかまでいちいち覚えている訳ではない。

字幕があれば良かったがそれもない。

その代わりにナレーターが状況を簡単に説明してくれるのだけど、これが本当に簡単過ぎて、肝心の誰が何を歌っているかが分からない。よほど「トゥーランドット」に精通していなければこの程度の説明では内容を把握できないだろう。

だんだん眠くなってきて、超有名なアリア「誰も寝てはならない」で、僕は寝てしまった。

最近の神奈川フィルのプログラムにおける楽曲解説はつまらない。


♪2015-60/♪県民ホール-01

2014年12月19日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第1回

2014-12-19 @県民ホール


小泉和裕【特別客演指揮者】
佐々木典子(ソプラノ)
手嶋眞佐子(メゾソプラノ)
福井敬(テノール)
小森輝彦(バリトン)
神奈川フィル合唱団(合唱)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調Op.125 「合唱付」



神奈川フィルの定期コンサートが、メインのみなとみらい定期のほかに、今年から県立音楽堂と県民ホールでの演奏会(の全部ではない)が、音楽堂シリーズ、県民ホールシリーズという形に定期化された(これまでも両ホールで演奏会は広く行われていたけど、「定期」外の特別演奏会という位置付けだった。)。
音楽堂シリーズは既に5月に始まったが、県民ホールシリーズの方は今日が第1回めだった。
その記念すべき第1回定期の演奏曲目が「第九」とはまことにふさわしいスタートになった。

3つのホールはそれぞれに味わいがあって、同じオケを異なるコンサートホールで聴くのは楽しい。



県民ホールはオペラ公演も念頭に置いているせいか完璧なまでのプロセニアム(額縁)形式だ。
館内の色彩は黒、淡いベージュ、臙脂の系統で統一され、舞台の床まで黒い。
たいていのコンサートホールは木目調だから開設40周年(の節目にリニューアルされた。)を迎えた歴史のあるホールだがデザインの斬新さはなお健在だ。

さて、年末の「第九」も今日で2回め。
何度聴いても飽きることはないけど、だんだん感動が遠ざかっているような気もする。毎年年末に健康で「第九」を聴けることに感謝せねばならないと思うけど、本音を言えば3回も聴けばいいかとも思う。でも、次回の横響の「第九」は楽しみにしている。


今日、良かったこと。
まずは音がきれいに響いていたこと。
県民ホールはみなとみらいホールより500人近く客席数が多いが、NHKホールをモデルにした客席設計のせいで客席も横に長い分、3階席でも案外舞台が近い。
そのため音が遠いという感じは全くなく、適度に残響も効いて不満なし。

合唱団は小振りで120人程度(前回のみなとみらいホールでの日フィルの合唱団は200人くらい。)だったが、特に音量に不足は感じない。

合唱団は全員が最初から登壇した。
この程度の規模だと出番まで座って待っておれるから最初から登壇した方がいいに決まっている。
問題はソリストがいつ登壇するか、だ。
これが気になるところだったが、今回は第2楽章が終わった時点で静々と入って着座したのは良かった。やはり、ここだ。
「第九」には音楽の分かれ目というのがある。それは第2楽章と第3楽章の境目にあるんだ。

この結果、第3楽章が終わるとほんの一呼吸で第4楽章に突入したのはうれしい。「第九」はかくあるべきという形だ。


残念なこともあった。
第3楽章、ホルンの聴かせどころがあるが、音がひっくり返ってしまった。音階練習みたいなフレーズで、楽譜の見た目にはもっとすごい難所はあるのだけど、この部分の失敗例はほかでも聴いているので、ホルンにとっては特に音が出しにくい音域なのかもしれないが。


とはいえ、いつも気になる、気にする第4楽章の低弦も実にきれいな音で満足。声楽ソリストも声量たっぷり。合唱団も力いっぱい。終わりよければすべてよし。

♪2014-117/♪県民ホール-03