2017-12-22 @みなとみらいホール
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 Op.125「合唱付き」
鈴木優人:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団
ソプラノ:中江早希
アルト:布施奈緒子
テノール:中嶋克彦
バリトン:多田羅迪夫
鈴木秀美指揮神奈川フィルでベートーベンの「運命」を聴いたときの衝撃は忘れられない。良し悪しは別としてああいう「疾走するベートーベン」を聴きたいと思っていた。
それで、今年の神奈川フィルの「第九」を鈴木秀美が振ると知って内心狂喜したものだ。あの「運命」のテンポでやると第2楽章などどうなることだろう、終楽章の低弦のレシタティーヴォは息も継がせぬインテンポで演るのではないか…。
ところが、秀美御大は体調不良により、甥の優人に代わるというので、まずはがっかりしたものだ。
でも、血は争えないはず。鈴木家の疾走するベートーベンを聴かせてくれ!
オケ編成は中規模。各パートの編成は重なって並んでいるので正確には数えられないが、コンバスが6本だということは3管編成の標準的なタイプだったのかも。
今日の神奈川フィルは、男性は全員燕尾服だった。これまでは略礼服のような黒のスーツで、燕尾服を見るのは初めてだ。全員新調したのだろうか。それとも毎年「第九」では燕尾服だったのだろうか。コンマスの﨑谷くんなど、身に付いていない風だった。
演奏は、概ね良し。弦が何時になくきれいな音を出していたが、細かったな。あれでもう少し厚みがあれば迫力が出るのだけど、この点は物足りない。
ホルンは最近良くなった。以前は第2、第3楽章の目立つソロを失敗することもあったが今日はとてもきれいで安心して聴いておれた。
合唱団は…東響コーラスと比べる透明度に欠ける。
鈴木優人の指揮は、うーむ。ちょいとがっかりかな。
どの楽章も中庸のテンポで、大変オーソドックス。嫌味な節回しなども一切なくてとても素直だ。
1年に1回しか「第九」を聴きません、という人には模範的な演奏だったかもしれない。でも、僕のように何度も(今年は夏にも1回聴いており計7回になる。)聴く者にとっては、やはり、どこかで、変種の「第九」を聴きたい。その可能性が一番あったのが鈴木秀美だったので、彼の交代がなおさら残念だ。
合唱団は最初から登壇。声楽ソリストは第4楽章のテーマ一巡後に入った。東響と同じスタイルだ。今年はこれが流行っているのか。
しかし、この登壇方法を取るなら、第3楽章と第4楽章の休止は限りなく短くすることが可能なのに、優人クンはしっかり休んだ。
ここで咳払い休憩を取ると、どうもテンションが続かない。
♪2017-208/♪みなとみらいホール-51