2017年12月10日日曜日

東京交響楽団 オペラ「ドン・ジョヴァンニ」(演奏会形式)

2017-12-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K527
<全2幕 原語上演 日本語字幕付き ノーカット版>
第1幕…90分 休憩…25分 第2幕…80分

ジョナサン・ノット:指揮&ハンマー・フリューゲル
演出監修:原純

東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ドン・ジョヴァンニ⇒マーク・ストーンBr*
レポレッロ:シェンヤンBs-Br
ドンナ・アンナ:ローラ・エイキンSp
ドン・オッターヴィオ⇒アンドリュー・ステープルズTn
騎士長⇒リアン・リBs
ドンナ・エルヴィーラ⇒ミヒャエラ・ゼーリンガーMs**
マゼット⇒クレシミル・ストラジャナッツBs-Br
ツェルリーナ⇒カロリーナ・ウルリヒSp

ミヒャエル・ナジの代役*
エンジェル・ブルーの代役**

このコンサートのチケットが売り出されたのは今年の3月だった(9月以上前のことだ。)。
同じミューザでほぼ同時期に行われるベルリン・フィル、コンセルトヘボウのコンサートと今日の東響「ドン・ジョヴァンニ」がセット券として発売された。この発売が最先行なので、良い席を確保する為にセット券を買った。
しかし、ベルリン・フィルとコンセルトヘボウのセットは、まあ分からないでもないが、東響もセットにするというミューザの商魂がたくましいというか、呆れてしまった。

セット券以外でも単券での発売はあった。セットで買えば良席確保と、少し割引しますということだったのだけど、購入時点から「売れない商品を抱き合わせで買わされた」感じが拭えないで今日に至ったのは不幸なことだった。

おまけに、本番前1週間位になってからだったか、タイトルロールのドン・ジョヴァンニ役やこちらも重要なドンナ・エルヴィーラ役が交代してしまった。オペラ歌手には明るくないけど、代役はいかにも軽量級の感じ(NETでもほとんど情報が得られない。)。

そんなこんなで、あまり前向きになれないまま今日の本番を迎えてしまった。
席は先行セット券購入のお陰で個人的には(特に演奏会形式とは言えオペラには)最高の場所だったが、あいにくと前の席の御仁がデカイ!その頭でせっかくの正面の(唯一セットらしい長椅子?が置いてある。)多くの部分が塞がれてしまうという悲劇。

…と、音楽と関係のない恨み節をダラダラ書いてしまったが、いざ始まってしまえば、だんだんとペースに乗せられてきた。
また、うれしいことに休憩後の第2幕からは前の席のデカイ頭がなくなって一挙に視野が開けてウレシイ(1幕だけで引き上げる予定だったとは思えない。2幕の開幕前に席に戻ってこれなくなって立ち見席で聴いていたのかも…)。

オケの編成はとても小ぶりで、ミューザの広い舞台の真ん中に小さくまとまっている(ついでに言えば、打・管はモーツァルト当時の(複製?)楽器らしかった。華やかさに欠けるが、これも一つの味わい。)。そのため、舞台の周辺部分が空いており、ここが芝居の舞台として活用されていた。
とは言え、舞台装置も衣裳も照明も簡素そのもの。せっかく、オケの周囲にスペースが空いていたのだからもう少し工夫できなかったろうか。
先日NHK音楽祭でもN響が「ドン・ジョヴァンニ」を演奏会形式で取り上げたが、こちらはもう少し舞台効果が取り入れられていた。同じくN響が文化会館でやった「神々の黄昏」でも演奏会形式をやや拡張して迫力があった。

特に、終盤、ドン・ジョヴァンニが地獄へ落ちる場面なんぞ、あまりにあっさりとして残念だった。

しかし、演奏会形式による物足らなさはあったものの、ピンチヒッターの主役たちもみんな上手に役をこなして大したものだ。
終演後のカーテンコールがいつになく盛り上がったのは、何と言っても歌手たちの熱唱への賛辞だ。オケが引き払っても拍手が続き歌手たちは舞台に呼び戻された。セット券で鑑賞したベルリン・フィル、コンセルトヘボウも熱狂的なカーテンコールではあったが、やはり、オーケストラという性格上指揮者以外に呼び出す相手がいないから、今日の「ドン・ジョヴァンニ」ほどではなかった。
セット券による3公演中、一番安価な東響が少なくともカーテンコールだけは一番盛り上がりを見せた。

♪2017-198/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-34