
2025年1月17日金曜日
令和7年国立劇場初春歌舞伎公演

2023年3月15日水曜日
未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 歌舞伎名作入門「源氏の旗揚げ」 「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚」「五條橋」
2022年10月11日火曜日
未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Bプロ】三段目
2022年6月13日月曜日
6月歌舞伎鑑賞教室(第101回 歌舞伎鑑賞教室)
2022年3月18日金曜日
令和4年3月歌舞伎公演『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』
2021年10月21日木曜日
10月歌舞伎公演「通し狂言 伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」
2021-10-21 @国立劇場
近松徳三=作
通し狂言「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)
三幕七場
国立劇場美術係=美術
序幕
第一場 伊勢街道相の山の場
第二場 妙見町宿場の場
第三場 野道追駆けの場
第四場 野原地蔵前の場
第五場 二見ヶ浦の場
二幕目
第一場 古市油屋店先の場
第二場 同 奥庭の場
福岡貢 中村梅玉
藤浪左膳/料理人喜助 中村又五郎
油屋お紺 中村梅枝
油屋お鹿 中村歌昇
奴林平 中村萬太郎
油屋お岸 中村莟玉
徳島岩次実ハ藍玉屋北六 片岡市蔵
藍玉屋北六実ハ徳島岩次 坂東秀調
今田万次郎 中村扇雀
仲居万野 中村時蔵
ほか
2015年に梅玉の主演で国立劇場では初めて通し狂言としてかけられたのを観た。
今回は、同じく「通し」といっても初演時に比べて一幕少ない。
コロナ以降の芝居は、概ね短縮形になっている。
役者も梅玉の他は莟玉(当時は梅丸)が同じ役で出ている他は多分全員変わっている。
歌舞伎としては色々見処(二見ヶ浦の場、油屋奥庭など)があるが、主人公が妖刀のせいにして殺される程の罪もない者8人ばかりに斬りつけ、その部下が「切れ味お見事!」と持ち上げて幕という構成や演出にちょいと疑問あり。
返り血を浴びた梅玉の見得などは残酷美でもあるが陰惨な印象が残った。
中村莟玉が同じ役で出ている(前回は10代だった!)が、6年経って女の色っぽさが益々磨かれたようで同慶の至り。
梅枝もいい女方だし、いずれは父時蔵が演じた大きな役の仲居万野を演るようになるのだろう。
今回は歌昇が生涯初めての女方だそうだが、滑稽な味も出して初めてとは思えない良い出来だった。
♪2021-113/♪国立劇場-08
2021年7月5日月曜日
7月歌舞伎鑑賞教室(第100回 歌舞伎鑑賞教室)
2021-07-05 @国立劇場
解説 歌舞伎のみかた
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)一幕
国立劇場美術係=美術
河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場
●「解説 歌舞伎のみかた」
解説 中村種之助
●『義経千本桜』
佐藤忠信/源九郎狐 中村又五郎
駿河次郎 中村松江
亀井六郎 中村種之助
法眼妻飛鳥 中村梅花
河連法眼 嵐橘三郎
源義経 中村歌昇
静御前 市川高麗蔵
ほか
そもそも中高生の団体鑑賞の為の公演だが、内容は手抜きなしの本物だ。
好きな席が取りづらいのは止むを得ない。今回は2階の4列目。なのに、単眼鏡を忘れたのは残念。
解説は先月に続いて種之助。巧い。
今回は本編の内容にかなり入り込んだ説明だった 。
「義経千本桜」という長い物語の一場だけを上演するので、先立つ事情などを説明したのは良かった。
「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場」は何度も観ているが、この芝居の面白さは、早変わりなどの見せ場もあるけど、400歳!の「子狐」の演技で親子の情愛を表現するところで、歌舞伎入門には良いが、さりとて簡単に卒業できる演目でもないなと思う。
♪2021-068/♪国立劇場-05
2021年3月9日火曜日
3月国立劇場 歌舞伎公演
2021-03-09 @国立劇場
令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』
《歌舞伎名作入門》
●入門 歌舞伎の“明智光秀”
●四世鶴屋南北=作
中村吉右衛門=監修
時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)三幕
序 幕 饗応の場
二幕目 本能寺馬盥の場
大 詰 愛宕山連歌の場
●「入門 歌舞伎の“明智光秀”」
ご案内 片岡亀蔵
●『時今也桔梗旗揚』
武智光秀 尾上菊之助
小田春永 坂東彦三郎
光秀妻皐月 中村梅枝
森蘭丸 中村萬太郎
光秀妹桔梗 坂東新悟
森力丸 中村鷹之資
山口玄蕃 中村吉之丞
住職日和上人 片岡亀蔵
連歌師宇野丈巴 河原崎権十郎
安田作兵衛 中村又五郎
ほか
光秀が信長のパワハラに我慢ならぬと謀反を起こす物語。
初見だったが楽しめた。
主人公光秀役の菊之助(初役)のほかに信長役の彦三郎、片岡亀蔵、又五郎、梅枝、新吾などいずれも口跡の良いシャキシャキした中堅と若手が清新に舞台を引き締めた。
重鎮は一人も配役されていなかったが、役者の気合十分で、緩むところがなかった。
菊之助は白塗りがよく似合う。
彦三郎はホンに憎らしや!
鶴屋南北の作品には珍しくないみたいだが、寂しくもあり、一方で科白劇として分かり易かったのかもしれない。
本編に先立って、解説を片岡亀蔵が面白おかしく勤めたが、これもなかなかの見もの・聴きもので、夏の鑑賞教室のような構成だ。
それにしても、平日昼間なので、もとより観客層は限られるが、空席が目立った。こんな面白い芝居をもったいないことだ。
♪2021-022/♪国立劇場-03
2020年11月20日金曜日
11月歌舞伎公演第1部
2020-11-20 @国立劇場
【第一部】
近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
平家女護島(へいけにょごのしま)-俊寛-
国立劇場美術係=美術
序幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場
平相国入道清盛/俊寛僧都 中村吉右衛門
海女千鳥 中村雀右衛門
俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康 尾上菊之助
有王丸 中村歌昇
菊王丸 中村種之助
平判官康頼 中村吉之丞
越中次郎兵衛盛次 嵐橘三郎
丹波少将成経 中村錦之助
瀬尾太郎兼康 中村又五郎
能登守教経 中村歌六
考えてみれば鑑賞・観劇は他人と対面する事は少なく、客は無言で咳払いも粗無い。施設はマメに消毒しているようだし、家に居るより安全?
…とでも思っていなきゃ怖くて観に行けない。
この芝居は、鬼界ヶ島に1人残される俊寛の葛藤が見処だが、放免されないと知った際の地団駄踏む子供じみた態度に比べると船を見送る際の無念さは諦観からか存外おとなしい。
歌舞伎・文楽で何度か観ている中で今回は一番静かな俊寛だったが、あの立場で、あの事情で、人はどんな態度を取るものだろうか、考えさせられた。
吉右衛門は長くこの役を演じながら考え抜いて今の形に至ったのだろうが、これは難しい芝居だなと気付かされた。
それが今日の収穫かな。
♪2020-080/♪国立劇場-10
2019年11月11日月曜日
11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)―日向嶋―」
西沢一風・田中千柳=作『大仏殿万代石楚』
若竹笛躬・黒蔵主・中邑阿契=作『嬢景清八嶋日記』から
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言 孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ) 四幕五場
― 日向嶋 (ひゅうがじま) ―
国立劇場美術係=美術
序 幕 鎌倉大倉御所の場
二幕目 南都東大寺大仏供養の場
三幕目 手越宿花菱屋の場
四幕目 日向嶋浜辺の場
日向灘海上の場
悪七兵衛景清⇒中村吉右衛門
源頼朝/花菱屋長⇒中村歌六
肝煎左治太夫⇒中村又五郎
仁田四郎忠常⇒中村松江
三保谷四郎国時⇒中村歌昇
里人実ハ天野四郎⇒中村種之助
玉衣姫⇒中村米吉
里人実ハ土屋郡内⇒中村鷹之資
和田左衛門義盛⇒中村吉之丞
俊乗坊重源/花菱屋遣手おたつ⇒嵐橘三郎
梶原平三景時⇒大谷桂三
秩父庄司重忠⇒中村錦之助
景清娘糸滝⇒中村雀右衛門
花菱屋女房おくま⇒中村東蔵
ほか
9月の文楽「嬢景清八島日記」に前段2幕を加えた歌舞伎版通し。
時代物に世話物がサンドイッチになった構造。
特に終幕・日向嶋は能の様式も取り入れて多彩な見もの。
吉右衛門、歌六、又五郎、雀右衛門、東蔵とうれしい芸達者が揃った。
最近歌昇がいい。
♪2019-174/♪国立劇場-14
2019年10月7日月曜日
10月歌舞伎公演「通し狂言 天竺徳兵衛韓噺」
天竺徳兵衛/座頭徳市/斯波左衛門⇒中村芝翫
梅津掃部⇒中村又五郎
梅津奥方葛城⇒市川高麗蔵
山名時五郎/奴鹿蔵⇒中村歌昇
下部磯平⇒大谷廣太郎
銀杏の前⇒中村米吉
佐々木桂之介⇒中村橋之助
侍女袖垣⇒中村梅花
石割源吾/笹野才造⇒中村松江
吉岡宗観/細川政元⇒坂東彌十郎
宗観妻夕浪⇒中村東蔵
ほか
四世鶴屋南北=作
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「天竺徳兵衛韓噺」(てんじくとくべえいこくばなし)
三幕六場
国立劇場美術係=美術
序幕 北野天満宮鳥居前の場
同 別当所広間の場
二幕目 吉岡宗観邸の場
同 裏手水門の場
大詰 梅津掃部館の場
同 奥座敷庭先の場
国立劇場での通し狂言としては20年ぶりだそうだが、17年前に猿之助の「天竺徳兵衛新噺」(明治座)を観ていたので、変だなと思ったが、よく読めば「韓噺〜いこくばなし」と「新噺〜いまようばなし」との違いがある。
今回のは「いまよう」ではないのだから、古くからある噺で本家なのだろう。
大蝦蟇が出てきたり妖術を使ったりと外連味たっぷりの娯楽作とはいえ、猿之助と芝翫ではだいぶキャラが違う。
たまたま両方の舞台に異なる役で出ている米吉も二つの演目は噺が違うとプログラムに書いているが、その違いはもはや思い出せず、猿之助版の方が遥かに面白かったことは思い出しながら芝翫版を観たのでイマイチ気合が入らなかった。
2019年9月10日火曜日
秀山祭九月大歌舞伎 夜の部
菅原伝授手習鑑
一、寺子屋(てらこや)
松王丸⇒吉右衛門
園生の前⇒福助
千代⇒菊之助
戸浪⇒児太郎
涎くり与太郎⇒鷹之資
菅秀才⇒丑之助
百姓吾作⇒橘三郎
春藤玄蕃⇒又五郎
武部源蔵⇒幸四郎
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう
武蔵坊弁慶⇒幸四郎
源義経⇒孝太郎
亀井六郎⇒坂東亀蔵
片岡八郎⇒萬太郎
駿河次郎⇒千之助
常陸坊海尊⇒錦吾
富樫左衛門⇒錦之助
三世中村歌六 百回忌追善狂言
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
松浦鎮信⇒歌六
大高源吾⇒又五郎
鵜飼左司馬⇒歌昇
江川文太夫⇒種之助
渕部市右衛門⇒鷹之資
里見幾之亟⇒吉之丞
お縫⇒米吉
宝井其角⇒東蔵
今年の秀山祭夜の部は尻尾まで餡の詰まった鯛焼き3枚。大満足。
「寺子屋」は何度目観ても面白い。
今回は、吉右衛門・又五郎・菊之助・幸四郎と見たい役者が揃った。
忠義の為に我が子の首を差し出すという時代錯誤の物語だが不思議と共感してしまうのは無私の精神で徹底的に人に尽くすことの美しさに抵抗できないからだろうな。山本周五郎の掌編「水戸梅譜」に何十回となく読んでいても、新たに読む度泣けてしまうのも同根だ。
今時ありえないような話をありそうに描くのが役者の腕の見せ所。又五郎以下みんな巧いが、吉右衛門は次元が違う大きさを感じさせる。
菊之助の息子、丑之助は團菊祭で初舞台を踏んだ。あいにく彼の出演した夜の部は観なかったので(後日TVで観劇したが)、僕にとっては今日が初見。團菊祭から4ヶ月。6歳になり菅秀才を演じた様子は初舞台で牛若丸を演じた際の子供っぽさとは様変わりで驚いた。
「勧進帳」は弁慶役が奇数・偶数日で仁左衛門と幸四郎が交代。幸四郎は奇数日は富樫を演ずるというハードな舞台をこなしている。幸四郎の弁慶は経験済みなので仁左衛門で観たかったが諸般の事情で偶数日の今日は幸四郎で。富樫は男前の錦之助だ。
義経が孝太郎(最近放映のNHKで昭和天皇。そっくりだったな。)が義経。ちょい老けた義経だけどこれもよし。終盤、弁慶ら部下を謁見する場面などやはり、義経の貫禄を見せる。
3本立ての中でも「松浦の太鼓」がベスト!
歌六・又五郎・東蔵という地味だが達者な役者。米吉が紅一点で華を添える。
忠臣蔵外伝の一種で、これは以前、幸四郎が松浦の殿様を演じたのを観たが、まるで喜劇仕立てだったが、今回は、なかなかしんみりとさせる。
吉良家の隣屋敷に住まいする松浦鎮信(歌六)の赤穂浪士に寄せる思い、本心を明かせず歌に気持ちを託す忠義の大高源吾(又五郎)、二人の俳諧の師である宝井其角(東蔵)、源吾の妹・お縫(米吉…む、かわゆい!)のそれぞれの熱い想いが空回りする前半から、やがて隣家から聞こえてくる山鹿流陣太鼓の連打。
赤穂浪士に助太刀せんと勇みたつ殿様のもとに吉報を知らせにくる大高源吾。すべてのわだかまりが解け、気持ちが結ばれ、喜び合う面々。
おかしくて笑いながらもどっと泣けてきた。
東蔵は、いつもはたいていおばあさん役だ。立ち役(男役)は滅多に観られないが、何をやらしても巧い。人間国宝だものな。
歌六もいい味だ。又五郎も何を演っても巧いな。
3本とも古臭い話なんだけど。でも面白い。
2019年4月23日火曜日
四月大歌舞伎 昼の部
藤間勘十郎 演出・振付
一 平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)
常盤御前⇒福助
藤原基房⇒権十郎
平宗盛⇒男女蔵
平知盛⇒巳之助
平徳子⇒壱太郎
遮那王⇒児太郎
左源太⇒男寅
平重衡⇒吉之丞
右源太⇒竹松
平時子⇒笑三郎
建春門院滋子⇒笑也
鎌田正近⇒市蔵
平宗清⇒彌十郎
二 新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)
座摩社/野崎村
〈座摩社〉
油屋娘お染⇒雀右衛門
丁稚久松⇒錦之助
弥忠太⇒家橘
勘六⇒寿治郎
山伏法印⇒松之助
山家屋佐四郎⇒門之助
手代小助⇒又五郎
〈野崎村〉
久作娘お光⇒時蔵
油屋娘お染⇒雀右衛門
丁稚久松⇒錦之助
手代小助⇒又五郎
百姓久作⇒歌六
後家お常⇒秀太郎
坂田藤十郎米寿記念
三 寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ )鶴亀
女帝⇒藤十郎
亀⇒猿之助
従者⇒歌昇
従者⇒壱太郎
従者⇒種之助
従者⇒米吉
従者⇒児太郎
従者⇒亀鶴
鶴⇒鴈治郎
四世鶴屋南北 作
四 御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)
白井権八⇒菊五郎
東海の勘蔵⇒左團次
飛脚早助⇒又五郎
北海の熊六⇒楽善
短いのが4本。
1本目の「平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)」は平成から令和への代替わりを、
3本目の「寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ )」はその名前が掛けてある坂田藤十郎米寿を、
それぞれ祝う長唄舞。
いずれも華麗な衣装や舞台装置などで賑やかに寿いだ。
藤十郎はほとんど舞うこともなく、形を決めるだけ。まあ、それでも存在感があるのは大したもの…かな。
お大事にしてくださいよ、と言いたくなる。
「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」は、お染<雀右衛門>、久松<錦之助>、お光<時蔵>。
何れも悪くないが、今月の登場する役者の中で言えば、せめて猿之助、できれば米吉、児太郎、壱太郎等の世代でこの芝居を観たい。雀右衛門らのベテラン勢ではそろそろこの芝居は感情移入が難しくなってきた。
最後は「御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり」。
滅法強い白井権八<菊五郎>と男伊達の幡随院長兵衛<吉右衛門>の出逢いを描く。
人間国宝2人の絡みと言っても多分に様式がかった演出で丁々発止の緊迫感は無い。
もう派手には動けない菊五郎<権八>の立回りが長過ぎだ。
歌舞伎役者も働き方改革しないと芸を消耗するよ。
♪2019-052/♪歌舞伎座-02
2019年3月19日火曜日
三月歌舞伎公演(小劇場)元禄忠臣蔵/積恋雪関扉
(主な配役)
『元禄忠臣蔵』
徳川綱豊卿⇒中村扇雀
富森助右衛門⇒中村歌昇
中臈お喜世⇒中村虎之介
新井勘解由⇒中村又五郎
ほか
『積恋雪関扉』
関守関兵衛実ハ大伴黒主⇒尾上菊之助
良峯少将宗貞⇒中村萬太郎
小野小町姫/傾城墨染実ハ小町桜の精⇒中村梅枝
真山青果=作
真山美保=演出
●元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)二幕五場
御浜御殿綱豊卿 (おはまごてんつなとよきょう)
伊藤熹朔=美術
中嶋八郎=美術
第一幕 御浜御殿松の茶屋
第二幕 御浜御殿綱豊卿御座の間

同 元の御座の間
同 御能舞台の背面
宝田寿来=作
●積恋雪関扉 (つもるこいゆきのせきのと)
常磐津連中
国立劇場美術係=美術
小劇場での公演は12年ぶりだそうな。僕は初めての経験だ。小劇場だから2階はない。故に、第劇場公演ならいつも決まって席を取るお気に入りの2階最前列花道寄り通路側で観ることもできない。で、どうせ1階で観るなら前方花道寄りがよかろうとその辺をとったが、これが大正解だった。
個々の役者の熱心なファンという訳ではないので、役者がよく見えるより、舞台全体を俯瞰したいというのが2階最前列の意図なのだけど、今回は、役者の近くに座ってみ、なるほどこういう楽しみ方もあるかと納得した。
やはり迫力がある。セリフが聞き取りやすい。
さて、小劇場での公演は、国立劇場の説明によると、「上演が途絶えていた名作の復活や、次代を担う俳優が初めて大役を勤める舞台など“挑戦する小劇場歌舞伎”として上演を重ねてきました。」そうだ。
なるほど、それで、大看板は出ていないが、ベテランに中堅を配し、かなり意欲的な布陣とみた。
「元禄忠臣蔵」では扇雀、又五郎というベテランに対し、歌昇と虎之介が担ったのは彼らがこれまで演じていた役より少し大きめの役であったように思う。そこでの彼らの熱演は、これまでの2人の印象をガラッと変えてしまった。
歌昇も虎之助も実にうまい。なるほど与えられたら大きな役もできる力を持っているのだ、と大いに感心した。
常磐津の大曲『積恋雪関扉』での菊之助と梅枝も同様で、菊之助の場合は既に中看板くらいの存在になっていると思うが、それでも大伴黒主は初役だそうだ。因みに、今回の歌昇、虎之介、梅枝が演じた役もすべて初役。)。
これまでにも大ベテランで観たことがある演目であるが、その面白さは分からないでいたが、この2人も実に熱の入った演技で目が覚めるように話がよく分かって踊りも楽しむことができた。
国立劇場ならではの企画だが、見事に成功したと思う。何年かに一度はこういう機会を若手に与えることは大切なことだと、観客にも納得させる内容だった。
♪2019-034/♪国立劇場-05