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2024年12月1日日曜日

音楽大学オーケストラフェスティバル  「第九」③

 2024-11-29 @すみだトリフォニーホール


大友直人*
東邦音楽大学管弦楽団*
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秋山和慶
洗足学園音楽大学管弦楽団
洗足学園音楽大学合唱団
ソプラノ:塩田美奈子
メゾソプラノ:藤井麻美
テノール:高田正人
バリトン:甲斐栄次郎


モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」*
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125





2024-164/♪すみだトリフォニーホール-08

2024年5月10日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#23










2024-05-10 @すみだトリフォニーホール



大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
前橋汀子:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
エルガー:愛のあいさつ Op.12* 
マスネ:タイスの瞑想曲*
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソイ短調 Op.28*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20*
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」 
ラヴェル:クープランの墓
 Ⅰプレリュード
 Ⅱフォルラーヌ
 Ⅲメヌエット
 Ⅳリドーゴン
ラヴェル:ボレロ
---------------------------
丸山貴幸編:懐かしの青春メドレー*
 テネシーワルツ〜愛の讃歌〜川の流れのように
*バイオリン独奏とオケの共演






10連休明けのコンサート。
冒頭、オケの腕鳴らし「セヴィ理序」の出来がとても良い。11日前のN響よりずっと良い。ロッシーニの管弦楽化がうまいのか高域弦の嫌な音が全然しないので驚いた。
あとはどうかな?と思ったが今日は最後まで良いアンサンブルだった。

前半は、序曲の後はずっと前橋汀子によるバイオリンの小品集で全てオケ伴付き。御歳80とは全然見えない。テクニックもオケをバックにした音圧も十分。
もう、見栄も外連もありませんというような、大ベテランが到達した音楽をしみじみ味わった。

大友ちゃんは、1曲毎指揮台から降りて前橋の後ろに立って大先輩に敬意を表し拍手をリードしたが、これが見ていても心地良かった。

後半は、シャブリエとラヴェル2曲。全て上出来。
特に「ボレロ」の完成度が高かった。

ちょうど2年前に新日フィル@墨鳥でミッキーの「ボレロ」が狂乱する色彩という感じで面白かったが、今日は正統派で丁寧な演奏を噛み締めるように味わった。

2024-062/♪すみだトリフォニーホール-04

2023年1月29日日曜日

名曲全集第183回 祝・ラフマニホフ生誕150周年企画第1弾! 「パガニーニの主題による狂詩曲」

2023-01-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール



大友直人:指揮
東京交響楽団
上原彩子:ピアノ*

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43*
エルガー:交響曲第2番変ホ長調 op.63
 Ⅰアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・ノビルメンテ
 Ⅱラルゲット
 Ⅲロンドプレスト
 Ⅳモデラート・エ・マエストーソ
-------アンコール-------
ラフマニノフ:前奏曲集 op.23-2*





昨日の日フィルはラフマニノフが2曲。
今日の東響でもパガニーニ狂詩曲。

そういえば、プログラムには生誕150年と書いてある。

で、今後の各オケの予定を見たら、あるわあるわラフマニノフ祭りだ。
滅多に聴けない作品も並んでいて楽しみ。

一方、昨日からピアノ協奏曲が続いている。

昨日は小林愛実:ベートーベン第3番、小菅優:ラフマニノフ第3番、今日は上原彩子:ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲。

小林はまだ若いけど仲間入りさせて…実力派が揃った。

本当は実力は分からないけど、少なくとも小菅・上原には特別の力が備わっている気がしている。

さて、今日の上原のパガニーニ〜の素晴らしいこと。
なんてこった!

この曲を上原で聴くのは2回目。
パガニーニの主題と第7変奏以降登場する<怒りの日>の主題はその後もいくつかの変奏に形を変えて紛れ込み、第18番変奏で震えがくるような抒情性を堪能させてからはひたすら最終変奏のクライマックスへと駆け上がる。

そのアクロバティックな演奏に、手に汗握る思いで聴き入った。

アンコールはなくとも良かったのに、ラフマニノフの小品でこれも大変な曲。

だいぶ前だが、上原のリサイタルのアンコールで、彼女自身が編曲した超絶技巧「花のワルツ」を聴いて以来、この人はただのピアニストじゃないと思っているし、がっかりしたことはない。

がっかりはエルガー交響曲2番。
今後何度か聴けば面白いと思うかも。

♪2023-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2022年3月25日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#5

2022-03-25 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
清水和音:ピアノ*

細川俊夫:開花II(2011)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op.95「新世界から」
-------------------
ショパン:ノクターン第10番 Op32-2*
ブラームス:ハンガリアンダンス第1番


細川俊夫の初聴き作品「開花Ⅱ」は、冒頭の弦のアンサンブルがきれいだった(今日は、終始、弦に不満がなかった。)。しかし、面白味に欠ける音楽で、僕の中では花は開かずじまいだった。気分が乗れないまま続くモーツァルトのピアノ協奏曲も弾けなかった。

ところが、「新世界から」は実に小気味良いテンポで、キリリとまとまって、好印象を受けた。少し、まとまりのなさもあったのだけど、勢いが優った。

同じオケを同じホールの同じ席で聴いていても都度出来栄えが異なるのはどうして?今日など前半と後半でオケの締まり具合が違って聴こえたのは気のせいかなあ。

♪2022-041/♪すみだトリフォニーホール-02

2022年2月12日土曜日

名曲全集第174回 清水和音 X ラフマニノフ 至高のピアニズム

2022-02-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮
東京交響楽団
清水和音:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18*
ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」第2組曲 op.43
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
------アンコール--------------------
スクリャービン:2つの詩曲 Op32-1*


何がホールの響きを決定するのか判然としないが、いろんな要素の絡み合いだろう。
いつものホールでいつもの席でいつものオケを聴いても変化はある。
冬場だから客席は着膨れ。それが残響を吸収しているのは間違いないと思う。端的にピアノの音が硬かった。

ま、好みの問題で、こういうのが好きな人もいるだろう。オケも強奏Tuttiの後の余韻が短い。昨日の芸劇でさえもっと響いていた。

そんなこんなで前半のショパンはしっくり感じなかった。

が、後半はむしろこの硬さが奏功したように思う。

ルーセルは珍しいが昔「バッカス〜」も聴いた事がある。
印象派の時代だがストラヴィンスキーと作風がよく似ている。

そして最後がそのストラヴィンスキーの「火の鳥」。

昨日のN響もストラヴィンスキー2本立てで、しかも名演だったから、翌日の東響は分が悪い…という不安を跳ね飛ばすこちらも名演で、途中から、N響の続きを聴いているのか、と錯覚する程の繊細さと迫力ある演奏だった。

♪2022-019/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2021年11月23日火曜日

第12回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル2021[東邦音大/桐朋音大]

2021-11-23 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮 東邦音楽大学/東邦音楽大学管弦楽団
沼尻竜典:指揮 桐朋学園大学/桐朋学園オーケストラ

東邦⇒チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 作品64
桐朋⇒チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74 「悲愴」


音大オーケストラ・フェスティバル、1回目の今日は東邦(大友直人:チャイフスキー交響曲第5番)と桐朋(沼尻竜典:チャイコフスキー交響曲第6番)だった。


チャイコの5番は10月以降今日で4回目だ。25日もN響で聴く。来月も他のオケで聴く予定だ。この音大フェストでは27日の昭和音大も演奏することになっている。何でこんなに、いろんなオケがこの秋に集中して演奏するのかは分からない。


さて、音大オケはどこも巧いね。

特にミューザのように響きがいいとプロのように聴こえる。


チャイコ6番「悲愴」の方は昨夏・読響以来。

コロナ禍じゃ洒落にもならないからか、取り上げるオケは少なかった。

その時の読響の弦の規模は12型だった(コロナ感染対策として楽員同士の距離を取らなくればならなかったから。)。

そんな小編成の「悲愴」は初めてだったが、今日の桐朋オケは何と!16型。

これじゃ高域弦が喧しいのではと心配したが、しっかりと透明感を保って、16型の迫力を見せつけ(聴かせ)た。


学生オケ同士だからどちらが巧い…とかは憚るが、トーホーの方がちょっと上手だったかな😜。


音大フェスティバルは全4回。27日の昭和音大(チャイコ5番)も聴くつもりで4回通し券を買ったが、行けなくなったのが残念。


♪2021-136/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-39

2021年10月2日土曜日

都響Xアプリコ:大友直人&辻彩奈with都響

2021-10-02 @アプリコホール



大友直人:指揮
東京都交響楽団

辻󠄀彩奈:バイオリン*

モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K.385《ハフナー》
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 op.64*
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551《ジュピター》
----アンコール--------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第3番ホ長調BWV1003 からロンド風ガボット*
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークから第1楽章


大田区民ホール:アプリコは、とにかくよく鳴るホールなので期待して出かけた。


モーツァルトの交響曲第35番ハフナーと同41番ジュピターに挟まれてメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲、ってちょっと気恥ずかしいようなプログラムだったが大いに楽しめた。


交響曲では、2曲ともオケが鳴り過ぎ?で、迫力があり過ぎで、つまり、ちょっと頑張り過ぎじゃなかったか(弦編成は全て12型)。


ところが、アンコールで演奏したアイネ・クライネ・ナハトムジーク1楽章(弦楽合奏)の美しいこと!

もう、全く文句の付けようがない澄んだアンサンブルで、こういう響ならずっと聴いていたい。


もっと素晴らしかったのは、辻彩奈を迎えたメンコンだ。

ここではオケもきれいだったが、彼女のバイオリンの音のよく響くこと!


楽器も、腕も立派というだけでなく、このホールによく合った響かせ方だったのか、最弱から最強まで実に美しい音色。

オケとのバランスもVn協とはかくあるべしみたいな心地良さ。


独奏者アンコールにオケ定期客演の定番、J.S.バッハの無伴奏を弾いたが、多くの場合、大ホールでは物足りなさを感ずるが、今日は滅多に聴けない美音が響いた。


調度は豪華とは言えないけど、本当に良い音楽体験をさせてくれるホールだ。


♪2021-105/♪アプリコホール-01

2021年2月19日金曜日

新日本フィル:#37ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

 2021-02-19 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

ピアノ:牛田智大*

ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op. 11*
チャイコフスキー:交響曲5番 ホ短調 op. 64
-------------------
ショパン:マズルカ第33番 ロ長調 op.56-1*


いやはや残念なり。
1月定期は出色の出来だったのに、同じホール・席で聴く同じオケとは思えない。

2曲とも管がガヤガヤ。
弦がガヤガヤ。
両方で4倍ガヤガヤ。

牛田くんが悪い訳ではないが、ピアノの音も一昨日のN響@サントリーホールとえらい違いで重く沈みがち。

僕の体調もイマイチだったが、そのせいでこれほど音が変わるとも思えない。お客の入りとか、空調とか、響きに影響する外的な要因はあるだろうけど、こんなにはっきりと音の違いが出るとは思えない。

まあ、こんな日もあるか…。


♪2021-014/♪すみだトリフォニーホール-02

2020年11月13日金曜日

新日本フィル:#35ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2020-11-13 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

木嶋真優:バイオリン*

メンデルスゾーン:『夏の夜の夢』序曲 op. 21
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 op. 64*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op. 95「新世界から」


メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲とドボルザークの交響曲第9番「新世界から」という”名曲コンサート”。

もちろん悪く無い。

気取った割には俗臭芬々たる小難しいのより好きだ…が、今日のプログラムはコロナ前から予定されていたと思うが、最近この手が増えてきたので新鮮さには大いに欠ける。

そんな気持ちで聞いていたからか、余計にイージーリスニングになってしまった。

演奏の腕前の問題ではなく、緊張感に不足した。

メンデルスゾーンでは独奏とオケのせめぎ合いなんて全く感じられず予定調和の世界。

「新世界から」も演奏技術は弦の高域にやや難があったほかは悪く無いが、綺麗に流れすぎる。

ま、”名曲コンサート”にはこんな毒にも薬にもならない演奏がふさわしいのか?


♪2020-076/♪すみだトリフォニーホール-04

2019年12月19日木曜日

新日本フィル「第九」特別演奏会<第九⑥>

2019-12-19 @サントリーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
栗友会合唱団(合唱指揮=栗山文昭)

ソプラノ:砂川涼子  
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:藤田卓也(笛田博昭の代役)
バス:妻屋秀和
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安住素子:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=安住素子
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
ベートーベン:音楽時計のための5つの小品 WoO33から スケルツォとアレグロ
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いてサントリーホールで新日フィルを数列後ろの同番号席で聴く。
ソプラノが我がマドンナ砂川涼子というだけで嬉しいが、全体としても期待どおりの出来栄えだった。
合唱団(栗友会)もこれまで5団体聴いた中で高域が一番良く出ていた。
その合唱団の前にオケが並ぶので、やはり管の歯切れは今一つだったが。

これは新日フィルだけでなくどのオケでも同様。

第九はあと4回残っているが、合唱団をP席に並ばせるの(が可能な)はサントリーのN響だけだ。人垣の前と反響板の前で管の音色がどう変わるかしっかり聴いてみよう。

この共通問題を除いて、今日も新日フィルは高水準の演奏だった。すみだトリフォニー、みなとみらいホール、サントリーホールとどこで聴いてもまず外れがない。

指揮の大友氏は滅多に聴かないけど、これまた正統派の第九だ。もし音楽監督の上岡氏が振っておればきっとタダでは済まない演奏になったろうに、ちと残念。
欲を言えば、終楽章の低弦のレシタティーヴォ、前半の呼吸が少し乱れたやに聴こえたが。
今日は事件・事故もなく、安全・安心の第九だった。

♪2019-212/♪サントリーホール-10

2016年9月11日日曜日

ミューザ モーツァルト・マチネ 第26回

2016-09-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮
大谷康子:バイオリン
東京交響楽団

≪オール・モーツァルト・プログラム≫
バイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

長らく東響の看板コンマスを昨年度末に退任した大谷康子が久々に東響と組んでモーツァルトを弾く。
いくつになってもお姫様!
愛想よくて可愛らしい彼女にはモーツァルトがよく似合う。

ここ数日超特大編成の音楽を連続して聴いていたが、モーツァルトの時代に合わせた小振りの編成の古巣東響とお姫様との呼吸も合って、演奏する側にも力みがなく観客もリラックスして、サロンコンサート風な企画を楽しんだ。

協奏曲第3番は、遊び心に満ちて音楽の悦びに溢れているように思う。
今日は、カデンツアが彼女の自作だったが、これもちょっとお遊びを交えた楽しい出来栄えだった。

交響曲第39番もすっきりと軽快で好感。


♪2016-121/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-23

2015年12月26日土曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第113回

2015-12-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮

1stバイオリン:大谷康子(ソロ・コンサートマスター)*
2ndバイオリン:田尻順(アシスタント・コンサートマスター)*
チェロ:西谷牧人(首席奏者)*
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ソプラノ:小川里美
メゾ・ソプラノ:谷口睦美
テノール:西村悟
バス:森雅史

合唱:東響コーラス

コレッリ:合奏協奏曲 ト短調 作品6-8 「クリスマス協奏曲」*
ベートーべン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
-------------
アンコール

蛍の光

コレッリの作品をオーケストラで聴く機会は殆ど無い。ここ数年の記録にあるのは、2年前の夏にやはり合奏協奏曲の8番を聴いている。つまり、「クリスマス協奏曲」だ。
どうやら、12曲ある合奏協奏曲の中でも第8番がダントツに有名らしい。

以前聴いたことがあったことさえ忘れていたので、冒頭からえらく重々しい曲調で、どこがクリスマスなのか、と思ったが、終(第6)楽章の「パストラーレ」から「クリスマス」が導かれるらしい。

協奏曲なので、独奏対管弦楽の協奏の形だが、この時代(1680年頃)の独奏部分はバイオリンが2本とチェロ1本だ(トリオ・ソナタの形らしい。)。
一方の管弦楽は、弦5部にハープシコードで、管楽器も打楽器もなし。編成も小さく全員で16人。
独奏3人を入れても19人という小規模の合奏だ。

音楽自体は、親しみやすく分かりやすくきれいだし、ト短調という調性がちょっと憂いを帯びて共感しやすい。

しかし、がっかりした面もある。
出だしがピシっとは決まらなかったように思う。

東響の看板娘…でもないけど、幾つになってもお姫様の大谷康子が1stバイオリンを担当したが、抜きん出ていたなあ。そういう意味ではバランスも良くなかった。
しかし、彼女だけが赤と黒と緑色に金ラメというデザインの派手なドレスはやはりクリスマス協奏曲に合わせたのだろう。彼女の存在感からして納得の観客サービスかな。

「第九」も若干残念なところがあった。
やはり冒頭部分でリズムが揃わないままスタートした気がした。
冒頭はホルンは2部音符がタイでつながっているのでリズムはない。リズムを刻むのは第2バイオリンとチェロだが、これが1小節に6連符2つが10小節以上続く。ここの出だしが揃っていないように思った。2小節目の最後に32部音符で第1バイオリンが5度、4度の下降型のメロディとも言えないような不思議な音型を奏でるが、ここで、黒っぽいドレスに着替えたコンマス(正確にはコンサートミストレスだが、東響ではコンサートマスターと表記している。)大谷康子が敢然と音楽をリードし始めた。このままでは危ないと思ったのではないか。

以後、リズムが崩れることはなかったけど彼女の音が大きい。突出しているので、第1バイオリンだけで十数名いただろうけど、彼女の音が明らかに聴こえてくるのだ。
終盤に行くに連れ周りと溶け込んできたが、こんなことはかつて記憶に無い。まあ、僕は弦の音を非常に気にしながら聴いていたので、一層強く聴きとってしまったのかもしれない。

コレッリでも同じことがあったのは、指揮者大友直人のQの出し方が分かり難いからではなかったか。この人は指揮棒を持っていなかったが、それにしては手の振りが小さいのでオケが呼吸を合わせるのが難しかったのではないかと思うが、とんでもない勘違いかもしれない。

小さな失敗は更に続く。
第3楽章のホルン独奏が、わずかに、音が詰まってしまった。
楽譜だと音階練習みたいなところだけど、やはり、ホルンには難所みたいだ。

更に続く。
これは僕の耳の聞き違えかもしれないが、終楽章の合唱が一旦休止して管弦楽だけになったところで、男声1人が飛び出したような気がしたが、どうだったろう?瞬間のことで小さな声なので気づかなかった人もいたかもしれないが、僕にはフロイデ~と聴こえたなあ。

まあ、聞き違えの数々をしたのかもしれないが、何か、ピシっと全体が緊張していなかった。
リハーサル不足は否めないぞ。
まあ、それでも大谷康子のコンマスとしての力量や仕事ぶりがよく分かったコンサートではあった。
他の人もしっかり練習してね。

今日の演奏で、僕の中では東響はランク一つ下げた。

最後は、恒例の7色LEDペンライトを手に持った合唱団が管弦楽の伴奏で蛍の光を歌い、舞台照明が段々と暗くなり、最後は真っ暗な中にハミングの蛍の光とペンライトが輝いて、クリスマスぽい演出で終演した。


♪2015-133/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-26

2014年6月30日月曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.57 MMCJ講師たちによる室内楽

2014-06-30  @みなとみらいホール


ジェニファー・ギルバート(バイオリン)
ハーヴィー・デ・スーザ(バイオリン)
柳瀬省太(ビオラ)
鈴木学(ビオラ)
ニコラ・アルトマン(チェロ)
エリック・キム(チェロ)

司会:大谷直人

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 ニ短調 op.70 ≪フィレンツェの思い出≫

MMCJ(ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン)というのは、指揮者の大友直人とアラン・ギルバート(この人も指揮者)が創設した国際音楽セミナーで、世界中から集まった若い演奏家たちが、トップクラスの演奏家を講師に室内楽とオーケストラを学ぶセミナーらしい…

ということを、冒頭、司会代わりに登場した大友直人の解説で知った。

今日は、その講師陣によるお披露目演奏会だ。
あいにく知った名前は1人もいないけど、いずれも世界各地のオーケストラで各パートのソロ~首席クラスらしい。
演奏技術だけではなくアンサンブルの面でも練達の士のようだ。

昨日も同じ場所でチャイコフスキーのピアノ三重奏曲を聴いたが、今日は弦楽六重奏曲だ。

チャイコは、ピアノトリオも弦楽六重奏曲も各1曲ずつしか作曲していない。前者は友人の追悼音楽として、後者は某室内楽協会の名誉会員に選出してもらったことへの返礼として作曲されたというから、そもそもこういうスタイルには乗り気ではなかったのだろう。

偶々フィレンツェに滞在中に作曲したので、「フィレンツェの思い出」と副題が付いた。

イタリア滞在中にしては不似合いな短調で、いきなり挑みかかってくるようなメロディーで始まる。
全4楽章にわたって、ピアノトリオに見られるような悲愴的で甘美な旋律は影を潜めている。
どの楽章も安易に胸襟は開かぬといった姿勢で、曲調もコロコロ変化して構造も複雑な感じだ。
もちろん、ところどころにチャイコ印がチラチラ顔をのぞかせるが。

この六重奏曲はチャイコにとっては晩年(1893年〈50歳〉。53歳で逝去)の作で、室内楽としては最後の作品だそうな。
ピアノトリオのほぼ10年後になる。

精神性が一段と高みに辿り着いたようで、おそらく、何ものにも縛られずに思い切り自由に、感性の赴くままペンを走らせたのではないかと想像してみる。



ベートーベンの弦楽四重奏曲も最晩年の12番以降はコロッと様子が異なり、ピアノソナタも最後の3曲はそれまでのものとは明らかに音楽の質が違うと思う。いずれも孤高を追求して自分のためだけに作曲したかのように思えてしかたがないのだけど、チャイコも六重奏の作曲ではそういう境地だったのではないか、とこれは素人の勝手な憶測。

弦楽六重奏曲は弦楽三重奏が二組という構成だから音の交わりが自然ですごくきれいだ。弦楽三重奏や四重奏では出せない厚みのある豊かな響がとても心地よい。

この曲を聴くときは、(現代の感覚に照らせば若くして)老境に至ったチャイコフスキーの精神性と立ち向かうような気迫が求められるように思う。

♪2014-66/♪ @みなとみらいホール-27