ラベル 竹澤恭子 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 竹澤恭子 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年9月2日金曜日

東京シティフィル第354回定期演奏会

2022-09-02 @東京オペラシティコンサートホール



指揮:高関健(常任指揮者)
東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団
バイオリン:竹澤恭子*

エルガー:バイオリン協奏曲ロ短調 作品61*
シベリウス:交響曲第4番イ短調 作品63
-----アンコール-----------------
エルガー:愛のあいさつ(オケ伴奏版)*


演奏家の実力なんて本当のところは分からない。
しかし、竹澤恭子は相当な実力者だと思っている。技量だけでなく音楽への入れ込み様にいつもただならぬものを感ずる。この世界、若手の台頭が著しいが、たまにこの人の演奏を聴くと、次元が違うような気がする。

短い前奏が始まるや否や彼女は音楽の世界に没入した。初聴きのエルガー:バイオリン協奏曲はあまりに難しいので演奏機会が少ないのだそうな。
全曲で約52分という長尺を、独奏バイオリンはほぼ出ずっぱり。オケはすっかり伴奏に回っている風。
つまり、協奏曲ぽい絡みはほとんど記憶に残っていない。
オケ伴奏付きバイオリン・ソナタか幻想曲みたい。
構造も掴みにくいのだけど、ずっと最後まで引き込まれた。

今日は残り物に福ありでVn協奏曲を聴くならここしかない、という風な良席だったので、Vn協にしては大編成の弦14型の風圧を直近に受けながらも、それにも埋もれない独奏Vnの変化自在な妙技に飽きることなし。

終曲後は、超大曲の後だし、アンコールは無い方がいいと思ったが、あった。
同じエルガーの愛のあいさつ…は珍しくもなんともないが、オケの伴奏付きは珍しい。

この可愛らしい馴染みの曲を、高関・竹澤コンビとも思えないくらい甘ったるく情緒的に演奏した。お遊び半分お客サービス半分だったか。

生演奏だからと言って、いつも生の音楽の楽しさを味わえるとは限らないが、今日はこれぞ生演奏の喜び。

後半も珍しいシベリウス交響曲第4番。
前半でエネルギー使ったので、この音楽の面白さはイマイチだった。
終楽章の本来チューブラベルを使うところがグロッケンを使ったので、これは音楽を小さくした感じがする。

♪2022-124/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2020年11月28日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第362回横浜定期演奏会

2020-11-28 @みなとみらいホール

川瀬賢太郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

竹澤恭子:バイオリン*

ベートーベン:序曲《レオノーレ》第3番 op.72b
ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93
ベートーベン:バイオリン協奏曲 ニ長調 op.61*
----ENC----------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第2番からサラバンド*


オール・ベートーベン・プログラム。
前半は「レオノーレ第3番」と「交響曲第8番」。

これがいずれも出来が悪く、全然集中できなかった。

各パートは決められた音を出しているのだろうが、呼吸が合っていない。
一斉強奏(Tutti)はそこそこ綺麗だが経過部がふにゃふにゃだ。

まるで明日のサントリーの為のGP(ゲネプロ=本番直前の最終リハーサル)みたいで悲しい。


後半のバイオリン協奏曲は竹澤恭子の入魂の演奏があまりに見事で、オケもようやく覚醒してエンジンがかかった。

独奏者は何といっても豊かな音量が求められるが、彼女の発する音は実に明瞭で迫力がある。
どんな場面でもオケに埋没しない。
音楽に対する集中力が半端ではない。

先月の日フィルは辻彩奈でバッハのバイオリン協奏曲等が素晴らしかったが、今日の竹澤恭子を聴くと、辻彩奈も優れた才能の持ち主だと思うが、まだまだ道は遠いぞとも思う。

竹澤恭子はこれまで室内楽しか聴いたことがなかったが、オケを従えた彼女は佇まいにオーラがある。

昨日の前橋カルテットに引き続き、今日も音楽に肉薄する渾身の演奏に出会えた幸せ!

♪2020-086/♪みなとみらいホール-22

2019年4月3日水曜日

東京・春・音楽祭-2019-ブラームスの室内楽Ⅵ〜小山実稚恵を迎えて〜

2019-04-03 @東京文化会館


バイオリン:竹澤恭子、小川響子
ビオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
ピアノ:小山実稚恵

ブラームス:
 ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 作品8
 バイオリン・ソナタ 《F. A. E.》から スケルツォ
 ピアノ五重奏曲へ短調 作品34

ブラームス全曲シリーズ。
今年は小山実稚恵を迎えてのピアノ三重奏は、バイオリンパートを川本嘉子がビオラでやったのが凄い。
5度低いから高い音を演奏するのは難しいはず。
その代わり弦が太く長いのでバイオリンとは別味で迫力がある。そういえば、17年のブラームス:バイオリン・ソナタ第2番でもこれを川本はビオラで弾いていた。

トリはピアノ五重奏曲。
これはもっと凄かった。
先日のベルリン・フィルメンバーによるブラームス:ピアノ四重奏のアンビリーバブルな音楽に肉薄する出来栄え。

中でも竹澤恭子の入魂ぶりに圧倒された。
この様にして音楽は生まれるのだ…と噛み締めながら、手に汗握りながら、立ちのぼる胸の上気を体感。

最前列で至福の時を過ごした。
滅多に経験できることではない。

♪2019-40/♪東京文化会館-03

2017年4月14日金曜日

東京・春・音楽祭 ブラームスの室内楽 IV 〜竹澤恭子、川本嘉子、ヴァハン・マルディロシアン

2017-04-14 @東京文化会館


バイオリン:竹澤恭子
ビオラ:川本嘉子
ピアノ:ヴァハン・マルディロシアン

ブラームス:
 バイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品100(ビオラ版)
 バイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 作品108
 主題と変奏 二短調 作品18b(ピアノ版)
 ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40(ビオラ版)
---------------
アンコール
グノー&J.S.バッハ:アヴェ・マリア

竹澤恭子Vn、川本嘉子Vla、V・マルディロシアンPfによる全曲ブラームスの変則デュオ&トリオ。

バイオリン・ソナタ第2番は川本編曲によるビオラでの演奏。
同3番は原曲どおり。
主題と変奏は弦楽6重奏1番第2楽章のピアノ版だが、これはブラームス自身の編曲らしい。
ホルン三重奏はホルンの代わりにビオラでという組合せ(ブラームスはこの組合せを認めているそうだ。)。

バイオリン・ソナタをビオラで聴くのは、バイオリンと異なって力強く、これはこれで面白い。しかし、移調はしていないはずだから(すれば、ピアノも移調しなければならないし、そうなるともう別の音楽になってしまう…と思う。)バイオリンの楽譜をビオラで演奏するのは相当難しいのかもしれない。

続くソナタ3番を原曲どおりバイオリンで聴くとやはり、この繊細さが落ち着く。

全曲ブラームスの抑圧された情緒のせめぎあいが寄せては返す。古典の枠内で沸騰する浪漫が魅力。

♪2017-57/♪東京文化会館-06