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2025年1月5日日曜日

新交響楽団第268回演奏会「ジークフリート」ハイライト

2025-01-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール



城谷正博:指揮
新交響楽団

ジークフリート:片寄純也
ブリュンヒルデ:池田香織
ミーメ:升島唯博

ワーグナー:舞台祝祭劇《ニーベルングの指環》から
 第2日《ジークフリート》ハイライト
(演奏会形式・日本語字幕つき)

第1幕 第3場から:霊剣ノートゥングの再生(ミーメ/ジークフリート)
第3幕 第2場より:森の中のジークフリート(オーケストラ版)
第3幕 第3場:ブリュンヒルデの目覚め(ジークフリート/ブリュンヒルデ)



指揮の城谷は新国の音楽ヘッドコーチで、飯守泰次郎の薫陶を受けたワーグナーの専門家らしい。同劇場での「ジークフリート/ハイライト版」や「チェネレントラ」の指揮を経験しているし、新国オペラトーク(動画)でもお馴染み。

池田香織はリングの全作でブリュンヒルデほかを聴いている。最近ではシティ・フィルとの「トリ・イゾ〜愛の死」に痺れた。

片寄純也と升島唯博は聴いたことがありそうな名前だけど…と思いながら記録を手繰ったら前者は「ラインの黄金」2回、「フィデリオ」1回を、後者はまあいろんな作品で過去12回も聴いていたよ。あまり大きな役ではないので記憶には全く残っていなかったけど。
この両者にとっては、今回はかなり大きな役を歌ったことになるのだろうな。

池田は後半にしか登場しない(枡島は前半のみ)が、さすがの貫禄で、こちらがタイトルロールみたい。イゾルデでもそうだったが、本来はSpの役だけど、なんの苦もなく歌えるらしい。声域の違いや舞台での立ち位置での違いからか、男声よりも明瞭でかつ力強い(枡島には声量不足を感じた)。

本来は6時間近い作品を休憩を含め約2時間に圧縮したが、筋は分かっているので、これはこれで十分聴き応えがあった。

ところで、新交響楽団というアマオケは初めて聴いたが、かなり強力なオケだ。独奏パートでやや不本意なところもあったけど、弦なんかこれでアマ?と思わせる良い出来。

ハープ4台、Hr8本(Wt持替4本)、Tp4本、Tb4本、Tymp2組…よく揃えたものだ。弦の編成はもちろん16型。

スペクタクルな音楽を朗々と響かせて、驚きました。

♪2025-002/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2023年10月4日水曜日

東京シティ・フィル第364回定期演奏会

2023-10-04 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
池田香織:メゾ・ソプラノ*

ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死*
ブルックナー:交響曲第9番二短調(原典版・未完成)





本来は飯守泰次郎御大によるシューベルト2作が予定されていたが、思いがけず追悼コンサートになってしまった。

プログラムも氏の得意だったワーグナーとブルックナーに変更成された。
過去の鑑賞記録を調べると、確かにワーグナー、ブルックナー、ベートーベン、シューベルトの作品が多い。因みにマーラーは一度も記録されていない。
初めて聴いた時も「トリ・イゾ〜愛の死」とブルックナー7番の組合せだった。

高関氏もオケも気分が高揚していたのだと思うが、厚いサウンドに熱い思いが込められて、普段とはえらく密度が違う気がした。

しかし、それがうまくアンサンブルになっていたかと言えば、オランダ人では気持ちが先走って、管と弦の連携が美しくない。

これは、ブルックナーでは、少し良くなったものの、やはり厚くて熱い演奏ではあるけど、その熱量に違和感も感じてしまった。弦は終始繊細で透明感を保ったが。

一方、池田香織による「愛の死」の見事な歌唱には圧倒される思いだった。オペラや声楽付きオケ作品で彼女を聴く機会は多いが、かくも美しく良く通る声の持ち主であるとは認識不足だった。小ぶりの、よく響くホールのせいもあったろうけど。
最初は椅子に座ったまま歌い出したが程なく立ち上がり、感情豊かに「愛の・死」による魂の浄化の物語を描いた。

メゾでありながらソプラノも歌える声域の広さや、それでいて重みもある声質が効いていた。
この1曲を聴く事ができて、僕としては大満足だった。

♪2023-166/♪東京オペラシティコンサートホール-07

2023年5月20日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第387回横浜定期演奏会 【ベートーベン・ツィクルスVol.6】

2023-05-20 @みなとみらいホール



ピエタリ・インキネン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学*

ソプラノ:森谷真理*
アルト:池田香織*
テノール:宮里直樹*
バリトン:大西宇宙*

シベリウス:交響詩「タピオラ」 Op112
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125*



インキネンが首席として振る最後の定期にして、彼のベートーべン・チクルスの総仕上げ、「第九」だ。

前座がシベリウスの「タピオラ」で、この日の90分前まで音楽堂で大学オケによるシベリウス特集を聴いていたので、気分はうまく軟着陸。

なぜ、シベリウスとセットなのか?

日フィル創始者の渡邉暁雄とインキネン両者所縁の作曲家ということで、インキネン・日フィル演奏会の掉尾を飾るに相応しいプログラム、という事らしい。

で、その「タピオラ」は分厚い弦が豊かに鳴って上出来。


肝心の「第九」。オケは弦16型で重厚。インキネンの指揮は、クセのない、さらりと流れる淡白な演奏で、これも暫くは一興…だったが、3楽章のテンポがやや速い。4楽章も速い。速いだけでなく、低弦のレシタティーヴォが流水の如く、速くてえらくあっさりして、溜めもなく、見得もない。
歓喜の主題が最初に現れるところは、Vcの音が小さく、次にVaに移ったらもっと小さく、普段は聴こえないような木管の旋律を耳にした。

インキネン、そんなに急いで*どこへゆく?

テンポも疑問だが、全体に彫りが浅い。スイスイ流れるのは良いとしても、処々、クサイところも欲しい。

とまあ、インキネンが日フィルに登場以来過去15回は全て好感を以て聴いたのに、最後の16回目が残念賞だった。

声楽は良かった。4人の独唱者が舞台の一番前で歌った。コロナの前についに戻った。当然、よく声が通る。オケにも合唱にも埋没しない。東京音大合唱団は約80人。見た目は寂しいが声はよく出て満足。

*因みに、演奏時間は、予定65分に対し実測64分。
3楽章前の独唱者入場に結構時間を取ったにもかかわらず短い。楽章間休止を除くと正味62分5秒。

昨年、「第九」は12回聴いた。その時の各オケの演奏時間と比べると最速だ。昨年の最速も日フィルだったが、インキネンはこれをも更新した。トスカニーニと並んだよ!

♪2023-086/♪みなとみらいホール-18

2021年3月11日木曜日

R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日 『ワルキューレ』全3幕

 2021-03-12 @新国立劇場


R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日
『ワルキューレ』全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約5時間10分
第Ⅰ幕 65分
 休憩 40分
第Ⅱ幕 95分
 休憩 35分
第Ⅲ幕 75分

指揮:大野和士
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
照明:キンモ・ルスケラ

管弦楽:東京交響楽団
(アルフォンス・アッバスによる管弦楽縮小版

ジークムント⇒村上敏明(1幕)/秋谷直之(2幕)
フンディング⇒長谷川顯
ヴォータン⇒ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ⇒小林厚子
ブリュンヒルデ⇒池田香織
フリッカ⇒藤村実穂子
ゲルヒルデ⇒佐藤路子
オルトリンデ⇒増田のり子
ヴァルトラウテ⇒増田弥生
シュヴェルトライテ⇒中島郁子
ヘルムヴィーゲ⇒平井香織
ジークルーネ⇒小泉詠子
グリムゲルデ⇒金子美香
ロスヴァイセ⇒田村由貴絵

コロナのせいで主要歌手の多くに加え、指揮の飯守御大(体調不良)までもが降板・交代した。

ギリギリで決まったジークムント役は2人で1-2幕を分担し、オケは縮小版と、もう満身創痍の「ワルキューレ」だったが、蓋を開けたら見事な初日で、観客は最後は満場総立ちで歌手達の健闘を讃えた。

前半の最重要歌手・ジークリンデ役の小林厚子という人は初めてだったが、もう1幕冒頭の第一声と佇まいでこれはヨシッ!と思った。経歴から見て、今回は大抜擢なのかも…としても見事な歌と演技だった。






後半の最重要歌手・ブリュンヒルデは琵琶湖リングで経験済みの池田香織で安定感。
最初は色気不足を感じたが、色気は「ジークフリート」で発揮してくれたらいいや。

それより、ラストのヴォータンとの別れ。父と娘(この関係は怪しいぞ)が抱き合い、父はブリュンヒルデから神性を奪い長い眠りにつかせるところで、僕は「リング」史上初めて落涙しそうになった。





問題のオケは管弦とも本数では約6割。

大野監督がYouTubeで解説しているが、管の不足は持ち替えでカバーしているそうで確かに不満は感じなかった。

しかし、弦が本来型より23本少ないので部分的に響の薄さを感じたが、これも最初からアッバス版と知って聴くのでそう思ったのかもしれない。

まずもって東響は善戦した。

ともかく、不安要素の多い幕開けだったが、なんてことはない。堂々たる「ワルキューレ」を心底楽しんだ。

あと4公演あるので、もう一度、今度は安い席で観ようかとチェックしたらいずれの公演日もS席が僅かしか残っていなかったので諦めたが、オペラファンとしては喜ばしい限りだ!

♪2021-023/♪新国立劇場-03

2019年12月18日水曜日

読響「第九」特別演奏会<第九⑤>

2019-12-18 @サントリーホール


アイヴァー・ボルトン:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)

ソプラノ:シルヴィア・シュヴァルツ  
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:小堀勇介  
バリトン:トーマス・オリーマンス
------------------
福本茉莉:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=福本茉莉
J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
ブルーンス:前奏曲 ト長調
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いて同じ読響をサントリーで聴く。席もほぼ同じ。
藝劇のように音が籠るようなことはないのだけど、ホルンに関しては今日もメリハリがなかった。
指揮者の好みかもしれないが、ホルン奏者にすれば合唱団を背中にしては音が吸い込まれて表に反響しづらと思うが…。

2楽章終盤に珍しい事故が起こった。
ティンパニーの皮が破れたのだ。
小節の頭にドンと打った途端ピシーッという聴き慣れぬ音が。

その後の奏者の挙動で皮が破れたと分かったが、その後は残る2個で演奏したようだ。

まあ、そんな事故もあったが、TV収録は昨日済ませているし(26日放映)、ナマゆえの珍事もベートーベンの偉大さをちっとも損ねることはなく、むしろ、客席も舞台上も和やかな空気になって、怪我の巧妙だったかも。

♪2019-2110/♪サントリーホール-9

2019年12月17日火曜日

読響「第九」特別演奏会<第九④>

2019-12-17 @東京芸術劇場大ホール


アイヴァー・ボルトン:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)

ソプラノ:シルヴィア・シュヴァルツ  
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:小堀勇介  
バリトン:トーマス・オリーマンス
------------------
福本茉莉:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=福本茉莉
J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
ブルーンス:前奏曲 ト長調
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

明日もサントリーで聴くのに、手違いから買った今日の藝劇がこれ以上はないという程好みの席だったので、譲渡希望を振り払って自分で聴きに行った。

毎年読響の第九には満足している。今回も全く知らない指揮者だったが、実に正当的な独音楽風で好感。読響は巧い。

ただし、藝劇は響が悪い。どうも舞台上で籠もってすっきりと前に音が出てこない。名手揃いの金管も明瞭さに欠ける。舞台後方に屋根(オルガンの床部分)があるが、あの辺で音がグルグル回っているのではないかと、これは素人の想像だが。

読響の好演にも関わらず今日の様な最善席でもモヤモヤするのは困ったもの。

ところで、明日も同じ演奏のはずなので今年の第九全10回中5回までが正統派演奏ということになる。
こうなると1回くらい異端の第九を聴いてみたい。
疾走する第九とか、マーラー を凌ぐ長時間第九とか(朝比奈80分の例有り)。上岡読響の第九も忘れられない。正統派名演と共に新アプローチにも期待!

♪2019-210/♪東京芸術劇場大ホール-5

2017年12月17日日曜日

東京交響楽団 名曲全集第132回 「第九」演奏会

2017-12-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール


モーツァルト:交響曲第30番ニ長調 K202
ベートーベン:交響曲第9番ニ長調 作品125「合唱付き」

飯森範親:指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス

ソプラノ:鷲尾麻衣
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:又吉秀樹
バス:ジョン・ハオ

今日から第九シーズンが始まった。ここ数年は毎年5〜6回聴いているが、今年も全6回(正確には7回!)聴くが、演奏の巧拙とは別にこうあって欲しいというスタイルを書き出せば、
①テンポは3楽章以外は速めに。
②合唱団は冒頭から登壇。
③独唱は3楽章までに着席。
④3楽章後は一呼吸で終楽章に雪崩れ込むべし。
④終楽章の低弦のレシタティーヴォは可能な限りインテンポで。

かつ、細部まで呼吸が整い、クリアな音質とパワフルな音圧で、そして何か新発見があるとなお嬉しいが。
さて、今年のトップバッター…と思っていたら、今年は5月にも「第九」を聴いていいたので、正確には2番手だが、まあ、年末恒例の、という意味では本日が初回だ。

指揮の飯森範親は、顔つきは一癖ありそうに見えるのだけど、意外や意外。いつ聴いても外連味のない誠に正統的な音楽で好ましい。が、長く印象に残ることもないのだが(異端も好きで、ジャナンドレア・ノセダや鈴木秀美、上岡敏之などはやはりもう一度聴きたい。)。

テンポは中庸。3楽章はもっと遅くとも良かった…と言うか、正味13分強だったと思うが、これはむしろ速い部類に入るだろう。トスカニーニ並だ。朝比奈隆など約20分もかけて演奏しているからなあ。全体でも66分くらいだった。3楽章をもう少しネチネチと聴かせてほしかったな。
終楽章のTuttiのあとの低弦のレシタティーヴォも何の違和感もない自然な流れだった。

合唱団は最初から登壇。すると、声楽独唱者はどのタイミングで舞台に上がるのか?3-4楽章の間に入られたんじゃ緊張感が台無しになる。できれば終楽章の入りは一呼吸で突入してほしい。そのためには1-2楽章の切れ目か2-3楽章の切れ目しか無い。
でも3楽章が始まっても声楽ソリストは入ってこない。やはり3-4楽章の前に長い休止を取って登壇させるのか、ならがっかりだな、と思っていたら、3楽章が終わり、ほんの一呼吸で4楽章が始まった。これはいい。そうあるべきだが、でも独唱は?と不安に思っていたら、オケによる歓喜のテーマの一巡後に(当然、音楽を中断すること無く)両袖から粛々登壇で安心した。こういう登場スタイルは初めて経験するよ。

弦も、書道で言えばトメ・ハネなどの形が揃ってシャキシャキと聴こえる。もっと透明感があればなお良かったが、まあ、良好な方だろう。ミューザの音響効果も手伝っているのかもしれない。管弦音量の調和に部分的にはどちらかが埋もれてしまうような場所があり残念だった。
声楽は独唱合唱共に良い。特に東響コーラスはアマチュアながらいつも良い仕事をする。

♪2017-205/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-35

2017年5月26日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第690回東京定期演奏会

2017-05-26 @東京文化会館


ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》 
序夜「ラインの黄金」(演奏会形式/字幕つき)

ピエタリ・インキネン:指揮[首席指揮者]
演出:佐藤美晴
日本フィルハーモニー交響楽団

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
フリッカ:リリ・パーシキヴィ
ローゲ:ウィル・ハルトマン⇒西村悟
アルベリヒ:ワーウィック・ファイフェ
フライア:安藤赴美子
ドンナー:畠山茂
フロー:片寄純也
エルダ:池田香織
ヴォークリンデ:林正子
ヴェルクンデ:平井香織
フロスヒルデ:清水華澄
ミーメ:高橋淳⇒与儀巧
ファーゾルト:斉木健詞
ファフナー:山下浩司

サントリーが使えない間放浪している日フィル東京定期。今回は文化会館で演奏会形式「ラインの黄金」。ピットではなく舞台上に特大オケが所狭しと並んでいるのを見ると、サントリーじゃこれだけ並ばなかったのではないか。

4月に同じ場所で聴いたN響の「神々の黄昏」は素晴らしかったが、「黄昏」ではこんなにもオケの編成が大きかったろうか。また15年秋に新国立で「黄金」を聴いた時、ピットの中にはかくも大勢が収まっていたのだろうか。

何よりも、舞台上のオケの編成の大きさに目を奪われ、これから大変なものが始まるという高揚感で開幕を待った。
指揮は首席のP・インキネン。若いけど正統な熟練を感じさせて好感度大。聴いたのは初日。ローゲとミーメ役が体調不良で急遽交代した。


N響の「黄昏」でもジークフリート役が急遽交代した。まあ、その辺はちゃんと手当がしてあるのだろう。今回の日フィルでも、特にローゲ役は見事な歌唱力だった。もちろん、体調十分な各歌手も人間拡声器かと思うくらい訓練された美声を轟かせてた。

演奏会形式だから歌手がそれらしい衣裳を着用しているだけで舞台装置はない。しかし、今回は照明がとても凝っていて素晴らしく、各情景が照明だけでも十分想像できるのだ。それを踏まえた演出も良かった。
オケも音が明瞭にして繊細、時に爆音。

舞台のオケは演出効果のため終始暗かったが、そんな中で大編成のオケを仕切りまとめワーグナーの真骨頂を聴かせてくれたインキネンも日フィルも凄い。かつてメンデルスゾーンの「エリア」を演奏した日フィルが最高だと思っていたが、記録更新した。

事前のアナウンスは2時間半、休憩なし。実際はカーテンコールも含め2時間50分は座り続けたよ。そんなに長く耐えられるかという不安もあったが、なんて事もなく至福の2時間50分だった。

♪2017-092/♪東京文化会館-09


2016年4月16日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第316回横浜定期演奏会

2016-04-16 @みなとみらいホール


ピエタリ・インキネン:指揮

ソプラノ:安藤赴美子(大隅智佳子から変更)
メゾソプラノ:池田香織
テノール:錦織健
バス:妻屋秀和
合唱:晋友会合唱団
日本フィルハーモニー交響楽団

ヴェルディ:レクイエム

ヴェルディの「レクイエム」は、モーツァルト、フォーレと並んで三大レクイエムと呼ばれているが、フォーレはともかく、モーツァルトと並ぶ作品だろうか?三つ選ぶならブラームスの「ドイツ・レクイエム」がなぜ入らないのだろう、という疑問を持っていた。

よく言われているようにこの作品はオペラ作家らしくとても劇的な音楽だ。それで、宗教性や精神性が低いとみる向きもある。
これまでビデオやCDでしか聴いたことがなかったが、今回、じっくりと集中して聴いたので、なるほど、まるでオペラのような部分もあるし、有名な「怒りの日」の主題(はその後もクイド・スム・ミゼルの前、ラクリモサの前、リベラ・メの後でも再現される)など、ここまで激しい表現がレクイエムに必要なのか、とも思うが、一方で、ヴェルディの本作の作曲動機(敬愛するイタリア文学者マンゾーニの死去に対する弔意)を知るとこれらの劇的表現も納得できる。


ま、ともかく、約80分間、喜怒哀楽の激情の音楽に晒されていると徐々にアドレナリンが噴出してきて体内を駆け巡り、否応なく興奮してくる。
宗教性だの精神性だのは超越して、この巨大な音楽に圧倒されてしまうのだ。

大規模管弦楽に大規模合唱団と声楽独唱4人を加えて240人位はいたように思う。
音楽を聴いた、というより体験した、という感じだ。

で、やはり3大レクイエムなのだろうか…という疑問は残ったままだ。ヴェルディの大作を聴き終えてもやはり、個人的にはヴェルディを外してブラームスを入れたい。

♪2016-045/♪みなとみらいホール-14