2023-05-20 @みなとみらいホール
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学*
ソプラノ:森谷真理*
アルト:池田香織*
テノール:宮里直樹*
バリトン:大西宇宙*
シベリウス:交響詩「タピオラ」 Op112
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125*
インキネンが首席として振る最後の定期にして、彼のベートーべン・チクルスの総仕上げ、「第九」だ。
前座がシベリウスの「タピオラ」で、この日の90分前まで音楽堂で大学オケによるシベリウス特集を聴いていたので、気分はうまく軟着陸。
なぜ、シベリウスとセットなのか?
日フィル創始者の渡邉暁雄とインキネン両者所縁の作曲家ということで、インキネン・日フィル演奏会の掉尾を飾るに相応しいプログラム、という事らしい。
で、その「タピオラ」は分厚い弦が豊かに鳴って上出来。
肝心の「第九」。オケは弦16型で重厚。インキネンの指揮は、クセのない、さらりと流れる淡白な演奏で、これも暫くは一興…だったが、3楽章のテンポがやや速い。4楽章も速い。速いだけでなく、低弦のレシタティーヴォが流水の如く、速くてえらくあっさりして、溜めもなく、見得もない。
歓喜の主題が最初に現れるところは、Vcの音が小さく、次にVaに移ったらもっと小さく、普段は聴こえないような木管の旋律を耳にした。
インキネン、そんなに急いで*どこへゆく?
テンポも疑問だが、全体に彫りが浅い。スイスイ流れるのは良いとしても、処々、クサイところも欲しい。
とまあ、インキネンが日フィルに登場以来過去15回は全て好感を以て聴いたのに、最後の16回目が残念賞だった。
声楽は良かった。4人の独唱者が舞台の一番前で歌った。コロナの前についに戻った。当然、よく声が通る。オケにも合唱にも埋没しない。東京音大合唱団は約80人。見た目は寂しいが声はよく出て満足。
*因みに、演奏時間は、予定65分に対し実測64分。
3楽章前の独唱者入場に結構時間を取ったにもかかわらず短い。楽章間休止を除くと正味62分5秒。
昨年、「第九」は12回聴いた。その時の各オケの演奏時間と比べると最速だ。昨年の最速も日フィルだったが、インキネンはこれをも更新した。トスカニーニと並んだよ!
♪2023-086/♪みなとみらいホール-18