2023年5月31日水曜日

新国立劇場オペラ:ヴェルディ「リゴレット」

2023-05-31 @新国立劇場



指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】エミリオ・サージ
【美術】リカルド・サンチェス・クエルダ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
【ジルダ】ハスミック・トロシャン*
【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
【スパラフチーレ】妻屋秀和
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
【ジョヴァンナ】森山京子
【マルッロ】友清崇
【ボルサ】升島唯博
【チェプラーノ伯爵】吉川健一
【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
【小姓】前川依子
【牢番】高橋正尚
 *2019「ドン・パスクワーレ」ノリーナ

ジュゼッペ・ヴェルディ「リゴレット」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
第1幕 60分
 休憩 30分
第2-3幕 70分



「リゴレット」はヴェルディの中でも人気作なのか?
我が家のオペラ・ディスク・コレクションにヴェルディは60枚あって、一番多いのが「椿姫」11枚。次が「アイーダ」8枚。そして堂々3位が「リゴレット」の7枚。全部TV録画だからそれだけ放映される機会が多いという事だ。そして、観賞機会が多い。

ま、オペラとしては、聴きどころがとても多い。独唱・二重唱・三重唱・四重唱・合唱と手を変え品を変えて繰り出されるので膨満感すら感ずるところがある。胃薬が必要か。

でも、そんなに面白いかというと難しい。これは僕の理解力が不足しているのかもしれないが。

物語は、呪いに始まり呪い(の成就)で終わる。
呪いをかけたモンテローネの恨みが激しくは描かれないので呪いに説得力が不足。また、呪いの1番の矛先はマンドヴァ公爵に向けられているはず(リゴレットへの呪いは”ついで”)なのに、リゴレットの生きがいそのものである唯一の善人・純粋無垢のジルダが死んでリゴレットは身を切られるより辛い。一方で、公爵はなんのお咎めもなしで、呑気に「女心の歌」を歌って幕だ。

「呪い」の話にしては線が弱く、勧善懲悪でもない。
つべこべ言わずに歌を、音楽を楽しめば良いのか。



ジルダ役のハスミック・トロシャンは2019「ドン・パスクワーレ」ノリーナに引き続き今回も素晴らしい。
いや、歌手陣はみんな素晴らしかった。

「サロメ」と掛け持ちの東フィルは、音楽がだいぶ違うので、昨日と比較はできないけど、今日も十分に楽しめた。

指揮はMETをよく振っているマウリツィオ・ベニーニだ。
本格的な音楽を聴かせてもらったというくらいしか分からないのだけど、東フィルにとっては大きな財産になるのだろうな。

------------------

新制作ということだが、新国立劇場では、初めて制作すれば「新演出」というらしい(世界的にそういう扱いが普通なのかもしれないが)。でも、この舞台美術と演出はスペインのバルビオ・オペラで上演済みで、今回は、上演の権利とともに大道具・小道具などを買取ったのだそうだ。てことはこの先何年もこのバージョンを観ることになる。
なら、今後は少し手を加えてもう少し舞台を明るくしてほしいね。
また、女心の歌は袖から歌うのではなく舞台で歌ってほしいよ(僕の知る限り、世界の全ての演出で、袖で歌わせているが。)。リゴレットと目を合わせなきゃ、何も袖で歌わせることないと思うよ。

♪2023-097/♪新国立劇場-10