2023-05-28 @日生劇場
指揮:園田隆一郎
新日本フィルハーモニー交響楽団
演出:栗山民也
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
衣裳:前田文子
合唱指揮:キハラ良尚
メデア⇒中村真紀Sp
ジャゾーネ⇒城宏憲Tn
グラウチェ⇒横前奈緒Sp
ネリス⇒山下牧子Ms
クレオンテ⇒デニス・ビシュニャBs
第一の侍女⇒相原里美
第二の侍女⇒金澤桃子
衛兵隊長⇒山田大智
オペラ『メデア』
全3幕(イタリア語上演・日本語字幕付) 日本初演・新制作
作曲:ルイージ・ケルビーニ
台本:フランソワ = ブノワ・オフマン
イタリア語訳詞:カルロ・ザンガリーニ
原作:エウリピデス ピエール・コルネイユ
予定上演時間:2時間35分
第Ⅰ幕 60分
休憩 20分
第Ⅱ-Ⅲ幕 75分
NISSAY OPERA 2023は今年60周年記念というので、日本初演やら53年ぶりやらと力が入っている。
「メディア」はその第1弾で、なんと日本初演だという。
歌手のうち多くは何らかの形で聴いているがタイトルロールの中村真紀だけは聴いたことがないとは。
果たして…。
幕が開いて、城内らしき広場に大勢の女官たちが屯しているシーンですーっと惹き込まれた。いつもながら、日生劇場の舞台は、簡素ではあるがよく考えて作られている。そして色彩感覚がいい。グレイやベージュといった淡い寒色で統一され、上手に障子窓を大きくしたような明かり取りがアクセントになっている。
2幕終わりの結婚の場。といっても、舞台上手奥に新婚夫妻と王が立っているだけだが、全体が暗い調子の舞台に、ここだけ金色の背景に3人が浮かび上がる。まるでクリムトの絵を見ているようで心憎い。
最終場面では、同じ場所に子供を殺した血だらけのメディアが立つ。今度の背景は真っ赤だ。それが徐々に開いて背景の全体を覆う。これはメディアが城に火をつけたことを表している。
これらの舞台美術や衣装がよく考えられていて見事だ。
音楽は、ずっと昔から聴いていたような馴染みやすい音楽。
もちろん、歌も良い。
1幕を飾るグラウチェ(横前奈緒)の輝くSp、2-3幕を歌いっぱなしのメディア(中村真紀Sp)の歌唱力に驚嘆。
彼女を支えるネリス(山下牧子Ms)もとても良かった。
ま、物足りないのはジャゾーネ(城宏憲Tn)。もう少し張りがあると良かったが。
オケも良し。欲を言えばあと少し弦が欲しかったが、狭いピットでやむを得なかったのだろう。
ところでこの悲劇、メディアがもたらす悲劇なのか、メディアを襲う悲劇なのか。いろんな受取り方ができる筋立てになっているが、愛情が深すぎて堕ちてゆくメディアの悲劇と見たがどうかな。
2023-094/♪日生劇場-01