ラベル 太田弦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 太田弦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年12月17日土曜日

「第九」2022-❸ 日本フィルハーモニー交響楽団 第383回横浜定期演奏会

2022-12-17 @みなとみらいホール


太田弦:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学合唱団

盛田麻央:ソプラノ
杉山由紀:アルト
樋口達哉:テノール
黒田祐貴:バリトン


ベートーベン:《エグモント》序曲
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


「定期」に組込まれた唯一の「第九」。以前は、このタイプがもう少しあったように思うが、今やどのオケも定期外で買わなくちゃいけなくなった。
指揮は「第九」は初めてという太田弦。
弦編成は12型(昨年は10型だった!)。
合唱は東京音大83人。P席全部に市松配置。

学生だし、全員マスクはやむを得ない?まあ、しっかり声は出ていたから可。
独唱は盛田麻央Sp/杉山由紀Al/樋口達哉Tn/黒田祐貴Br。声楽で印象に残ったのはBrがTnばりの輝かしい声。

全体印象はこじんまりと手堅くまとめた感じ。独自色は全く感じなかった。ひたすら正統派の安全運転。

個性の現れやすい終楽章冒頭の低弦のレシタが、あまりにもフツーで、味気ない。ここは、前3楽章を否定する主張をもう少しギリギリ表現して欲しかった。3-4楽章へ一呼吸で雪崩れ込むのは、元々アタッカではないので邪道だという意見もあるが、僕は雪崩れ込んでほしい。太田くんは32秒も休止した。声楽陣はすでに着座しているのだからそんなに待つ必要はなかったのだけどな。

全体として巧いけど物足りなさも。
演奏好感度★80点

余談:「エグモント」が良し。
冒頭の弦の重音Tuttiが美しい。
日フィルらしい弦がみなとみらいに響く。そんなちょっとした幸福感。

♪2022-195/♪みなとみらいホール-10

2021年5月1日土曜日

モーツァルト・マチネ第45回「一期一会」

2021-05-01 @ミューザ川崎シンフォニーホール


太田弦:指揮
東京交響楽団

山根一仁

≪オール・モーツァルト・プログラム≫
交響曲第32番ト長調 K.318
バイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216*
交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」


今日が今季の始まり。

今季も前季と同じ中規模オケ向きの絶好良席を確保したが、生憎前の席はマーラー第1番が座っている。指揮者が全然見えないよ。この人もセット会員なら困ったことだ。


とはいえ、前半の東響は軽快で歯切れ良く、山根くんもキビキビしてモーツァルト天真爛漫の楽しさ。


「リンツ」では管が増えたかどうか記憶が曖昧だが、弦は10型から12型に拡大した。その必要があったのだろうか?


弦もざわついてきたが、この曲では金管と木管のTuttiの拍がぼやけてきて気になったよ。

かくしてオケ全体としては輝きを失ってしまったのが残念。


♪2021-042/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2019年4月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第5回 「アメリカ」新世界で生まれ育ち移り行く音楽達

2019-04-20 @県民ホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

阪田知樹:ピアノ
佐藤晴真:チェロ
田添菜穂子:司会

コープランド:「ロデオ」から“カウボーイの休日”
アンダーソン:タイプライター
アンダーソン:マクドナルドじいさんは農場をもっていた
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(抜粋)
J.ウィリアムズ:雅の鐘
コルンゴルト:映画「嵐の青春」
J.ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」よりメインタイトル、アステロイド・フィールド
ジョン・ケージ:4分33秒
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104から第1楽章
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界から」から第4楽章

アメリカ縁の小品・断章集。
指揮は新生・太田弦。
不出来なMCもついて親子名曲コンサートぽくなった。
おやつみたいなものばかりで主食のないもどかしさはあったが、演奏は上出来で(J.ケージの「4:33」は邪魔だったが)楽しめた。

特に最後のドボルザーク交響曲第9番「新世界から」の第4楽章冒頭の弦のアンサンブルの美しいこと。
県民ホールは音響もNHKホールとよく似て下手な演奏はごまかせない。
神奈川フィルも時に聴きたくない音を発するが、今日は見事だった。
管・弦が正確なピッチで適度に混ざり合う”交響”が管弦楽のナマの醍醐味を伝える。

♪2019-051/♪県民ホール-03

2018年8月25日土曜日

華麗なるコンチェルト・シリーズ第7回 清水和音〜ラフマニノフ・ドラマティコ〜

2018-08-25 @みなとみらいホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

清水和音:ピアノ*

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18*
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30*

まずは、神奈川フィルのオーケストラのみでチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズで、最近好調の厚みのある響を聴かせた。

このところ、鑑賞・観劇は12日間の長期休暇(どこのオケもお盆前後に定期演奏会は開かない。)だったのでナマオケは13日ぶり。そう事情もあって、生演奏が干天の慈雨の如く染み込んで、一層良く聴こえたのかもしれないけど、最近の神奈川フィルのアンサンブルはとてもまとまりが良い。一皮むけた感じだ。

次に、今日のメインプログラム。
清水和音のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2、第3番はいずれも力演だった。

みなとみらいホール自体が楽器のように高性能だから、スタインウェイを一層ブリリアントで力強く響かせて、第2番第1楽章冒頭の有名な和音連打(10本の指で最大9重音!)がワクワクさせ、それに誘われるように入ってくる弦による主題が美しい。マリリン・モンローの「七年目の浮気」で浮気男の妄想をかき立てたのがこのメロディーだ。

2番はラフマニノフの全4曲ある協奏曲の中で、人気No.1だろう。演奏機会が多く、聴く機会も多い。この曲のロマンチックでメランコリックな情感に浸るのは、妄想の助けにもなるが、癒やしにもなる。

僕としては、3番も同じくらいに好きだ。
各人の好みだけど、3番はちょっと音楽的に難しいように思う。オーケストレーションも複雑で、指揮者が(どんな音楽でも基本的には同じだけど)各パートをしっかり制御して縦横をきちんと合わせないと音楽が空中分解してしまいそうな、聴いていてそんなリスクを感ずるけど、その代りきちんと制御されたならラフマニノフが構想した絶妙なアンサンブルが再現できる訳だ。

今日の若手指揮者太田弦くん(1944年生)、初聴きだが、ピアノとオケの絡みが複雑な管弦楽を綺麗にまとめ、清水和音の強力な演奏と相まって、うねるように陶然たるクライマックスに仕上げて、振り終えるや間髪入れず大きな拍手と歓声が一斉に巻き起こった。

♪2018-100/♪みなとみらいホール-23