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2025年7月4日金曜日

東京都交響楽団 第1023回 定期演奏会Bシリーズ

2025-07-04 @サントリーホール



カリーナ・カネラキス:指揮
東京都交響楽団
アリス=紗良・オット:ピアノ*


ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 作品83*
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
------------------------
アルヴォ・ペルト:アリーナのために*






ベルリン・コンツェルトハウスのJマルヴィッツを彷彿とさせるKカネラキスがかっこいいの。

加えて独奏Pfが久しぶりの紗良・オットがピアノ以上にステージングのうまさで全客席を吸引した。CCでは舞台と袖を何度も行ったり来たりしたが、その都度ドレスを少しつまんで駆け足だ。ひるがえるドレスの足元は素足だ。なんて色っぽい。
素足の演奏家は、他にVnコパチンスカヤや都はるみも裸足だったよ…と脱線したが、演奏も上手いのだろうが、身振り手振り大きく、(過剰に)愛想を振り撒いて好感。この人の魅力はCDでは伝わらない。生に限る。

後半のマラ1は都響も健闘。しかし半月前のコバケン日フィル@みなとみらいHに比べるとまずはサービス精神が不足してワクワク感が乏しかった。聴いた時の体調にもよるけど、ホールもイマイチだからな。

実は、これを5日(今日)に書いている。5日も日フィルで大曲を聴いた(みなとみらいH)。
都響の巨人もみなとみらいで聴けばもっと好印象だったろう。

酷かったのは、いつもながらPfの音で、僕の耳にはトイ・ピアノくらいにしか聴こえない(席は最高の場所だと思うけど)。
4日のマチネをすみとりで、小林愛実のショパン1番。
4日のソワレをサントリーで、紗良・オットのラヴェル。
5日はみなとみらいで阪田知樹のラフマのパガ狂。
と連続してPfと管弦楽の協奏を聴いたが、サントリーのPfがダントツにしょぼいのは今日に始まったことではないけど、ホンに何とかならんのだろうか。

サントリーくらいの権威になると誰も声をあげないのか。まったく裸の王様だよ。

♪2025-089/♪サントリーホール-08

2025年6月20日金曜日

横浜弦楽四重奏団 横浜みなとみらいホール定期演奏会 Vol.08

2025-06-20 @みなとみらいホール



横浜弦楽四重奏団
 Vn:小笠原伸子、有馬希和子
 Va:百武由紀
 Vc:間瀬利雄
Pf:堀江真理子*


モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調 K.458「狩」
フォーレ:ピアノ五重奏曲第1番ニ短調 作品89*
ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調 作品10
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ラヴェル:水の戯れ*
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女(SQ版)





モーツァルトは定番だが、今日は珍しくフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルとフランスものがメインだった。

モツ「狩」の出来も良かったが、客演ピアニストを招いたフォーレのPf五重奏曲第1番が素晴らしかった。
初めて生で聴いたが、魅力的な音楽だこと。

ピアノの堀江真理子さんは初めてだったが、演奏者、教育者というだけではなく、フォーレに関しては相当な専門家?らしい。上手い下手は分からないけど、冒頭の柔らかいアルペジオが実に美しく、それにVn2が主題を載せるのだけど、これも良い感じで、もう最初に引き込まれてしまうと、大抵最後まで良い感じで終わるものだ。

この作品は、また聴いてみたい。

ピアノの独奏Encがラヴェルの「水の戯れ」。これは聴く機会が多いが、ぼんやりした戯れではなく明瞭な戯れで、ピアノの魅力を味わった。

SQのドビュッシーは、その前の演奏が良すぎて少し曇ってしまったが、EncではやはりそビュッシーのPf極をSQ版にした「亜麻色の髪の乙女」が、これも良かったね。



♪2025-083/♪みなとみらいホール-016

2025年6月17日火曜日

MUZAランチタイムコンサート 6月 ギターとピアノが紡ぐヨーロッパの音風景

2025-06-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ギター:斎藤優貴*
ピアノ:上下玲奈

タレガ:アルハンブラの思い出*
トゥリーナ:セビリア風幻想曲*
カステルヌーヴォ=テデスコ:ファンタジア Op.145
 Ⅰアンダンティーノ
 Ⅱヴィヴァチッシモ
フンメル:ギターとピアノのためのポプリ
-------------------------------
ラヴェル:マ・メール・ロアから第3曲「パゴダの女王レドロネット」
*ギターのみ



ギター&ピアノという珍しい組合わせ。
音の大きさが相当違うので、ギターの前にはマイクが立ててあった。
ピアノにはそばにモニタースピーカーが置いてあった(でないと自分の弾くピアノの音でギターの音は聴こえなくなるだろう)ので、まずはその収音用のマイクだろうが、それだけではなく、PAを使って客席に拡声していたように思うが…。

とにかく、ギターの音は明瞭だった。

どれほど名手なのかはさっぱり分からないけど、この斎藤優貴という人は、国際コンクールでの受賞数が日本人ギタリストとして最多の55なんだそうだから、ま、飛び抜けて優秀なんだろう。

最初の2曲がギターソロで、ギターの王道をゆくような作品だった。

後半にピアノを迎えて、作曲者の名前も知らないような作品が2曲。元々こういう楽器の組み合わせが珍しいから、作品も限られてくるのだろう。いずれも演奏時間10分というから、小品というには、骨のある作品だった。

やはり、2台とも弦をはじくか叩くか違うと言っても似たような表現になるのと音の大きさに違いがありすぎて、果たして音楽として成功しているのかなあ、と疑問も頭をかすめつつ聴いたが、終始、ギターの世界の王道を外さない潔さは心地良かった。


♪2025-081/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2025年5月22日木曜日

ランチタイムコンサート〜音楽史の旅 2025年① 〜フランスのピアノ〜

2024-11-28 @かなっくホール



倉田莉奈:ピアノ
司会・解説:飯田有抄(音楽ファシリテーター)


オール・ラヴェル作品
Ⅰ  水の戯れ
Ⅱ 鏡
 1 蛾
 2 悲しい鳥たち
 3 海原の小舟
 4 道化師の朝の歌
 5 鐘の谷
Ⅲ 亡き王女のためのパヴァーヌ
--------------------------
ラヴェル:マ・メール・ロワから 妖精の国*
 *は飯田有抄とデュエット


最前列で聴いたせいもあるだろうが、YAMAHAの鮮烈な音にびっくりした。
いや、聴き慣れた音ではあるのだけど、今日の響は特別に光り輝くような音だった。

見事に調律・整音されて、かなっくホールに「最適化」された音とはこういうものではないか。YAMAHAの魅力を活かし切った演奏ではなかったか。

尤も、かなっくにはYAMAHAしかないという信じられないような台所事情だが、ここで、「最適化」されたSTEINWAY & SONSを聴いてみたいものだ。

で、苦手なフランス音楽。せめてドビュッシーならもっと楽しめたのにと思いながら、後半は船を漕いでいた。

相済まぬことであります。
昨日の「蝶々夫人」についてあれこれ考えて時間を費やしてしまい、寝たのが、明け方5時過ぎだったもの。でも、よく目が覚めて出掛けていけたものだよ。


♪2024-162/♪かなっくホール-08

2025年5月11日日曜日

横濱音楽物語3️⃣ ヨコハマ「うた」物語〜「カルメンお美」佐藤美子と横濱の軌跡  森谷真理 ソプラノ・リサイタル with 浦久俊彦

2025-05-11 @フィリアホール



森谷真理:ソプラノ
江澤隆行:ピアノ
浦久俊彦:ガイド

ビゼー:
歌劇『カルメン』から
 ハバネラ(「恋は野の鳥」)
 セギディーリャ(「セビリアの砦の近くの酒場で」)
 ミカエラのアリア「何を恐れることがありましょう」

プッチーニ:
歌劇『ラ・ボエーム』から
 私が街を歩けば(ムゼッタのワルツ)
歌劇『ジャンニ・スキッキ』から 私のお父さん

中田喜直:さくら横ちょう
別宮貞雄:さくら横ちょう
神戸孝夫:さくら横ちょう

ラヴェル:歌曲集『シェエラザード』

サティ:ジュ・トゥ・ヴ
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プッチーニ:歌劇「トスカ」から 歌に生き恋に生き
プッチーニ:歌劇「つばめ」から ドレッタの夢





近代日本の黎明期の西洋クラシック音楽は横浜から始まった。という訳で6年間にわたるシリーズ「横濱音楽物語」の3回目。横浜で活躍した「カルメンお美(よし)」こと佐藤美子の足跡を森谷真理が追う。

この人、全国初の公的コンサートホールである神奈川県立音楽堂の建設に尽力したり、戦時中は横響を引率して音楽挺身隊に従事したと書いてある(Wiki)。横浜の初期音楽シーンに欠かせない人なんだ。

ソプラノの森谷もこうなれば美子の得意のカルメンを歌わなくてはいけない。
ということで、ハバネラやセギディーリャはお客の前では初めて歌ったそうだ(メゾの持ち歌だから)。
そのせいか、前半は、これが森谷の実力か?と思うくらい低調だったが、だんだん良く鳴る法華の太鼓で、調子が出てきて、Encではもう解き放たれたかの如くトランペットみたいな強力な声を出していたなあ。
ああいうの、最初からは出せないんだろうな。
2時間(休憩込み)1人で歌うのだから、セーブしていた力を最終場面で爆発させたんだ。
ま、良かったけど。


♪2025-058/♪フィリアホール-01

2024年7月21日日曜日

読売日本交響楽団第136回横浜マチネー名曲シリーズ

2024-07-21 @みなとみらいホール



エリアス・グランディ:指揮
読売日本交響楽団
マリー=アンジュ・グッチ:ピアノ*

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11*
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
------------------------
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲からカデンツァ*



みなとみらい大ホールに3日連続して通って明らかになったのは、さすがのみなとみらいも猛暑に弱いと言うことだ…と僕が思い込んでいるだけで真相は違うのかもしれないが。

とにかく、乾燥しすぎ。
それは1番にピアノの音に、2番に弦の高域に現れる(3日ともほぼ同じ場所で聴いた。特にピアノは、同じ場所に置かれた同じスタインウェイを聴いた。)。

ピアノは中低域が重くなり、弦は高域がシャリシャリする(サントリーは天候に関わらずもっと残念な響だけど。)。

神奈川フィルでは、さほど感じなかったのは賑やかな音楽ばかりだったからだろう(ミッキー最後の共演とあってか、演奏も気合に満ちていた!)。

今日は、憧れの、バイオリン界の百済観音、日下紗矢子嬢がコンマスだった(いつもながら背筋がまっすぐでボウイングが美しい。)。眼福である。

第一声から疑問を持ったまま、初聴きのグッチ嬢のショパンは、ぼんやりと聴いてしまった。
アンコールが聴き慣れないはずで、ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲からカデンツァだった。
てことは、左手だけで演奏したのか?
これも見逃しているよ。

ブラームス4番。これはまずまずだったが、やはり弦が美しく無い。とてもいつもの読響とは思えない。

全部がホールの鳴りのせいでも無いだろう。
集中できなかった僕にも問題がある。

♪2024-104/♪みなとみらいホール-30

2024年6月27日木曜日

横浜アンサンブルワンダーランド Vol.2 ~日本フィル・クラリネットセクションによる室内楽~

2024-06-27 @みなとみらいホール



JPO Quatre Homme plus
[クラリネット四重奏]
 伊藤寛隆(首席奏者)
 楠木慶(副首席奏者)
 照沼夢輝
 堂面宏起

●第一部 コンサート
グランドマン:クラリネットのためのカプリス
ヘンリー:バードウォッチング
ラヴェル(杉本哲也編曲):クープランの墓
チャイコフスキー(杉本哲也編曲):幻想序曲《ロメオとジュリエット》

●第二部 ライブトークショー
ここでしか聞けないスペシャルトーク
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チャイコフスキー:弦楽セレナーデからワルツ



日フィルの定期会員向けサービスコンサート?の2回目。

クラリネット4本が登場するとは承知していたが、ソプラノ~バスなど音域の異なる3~4本のアンサンブルだと思っていたが、なんと、全員B♭管(?)だ。

これで、うまくいくの?
…と思ったが、まず、音がきれい。同種楽器なのでユニゾンも和音もきれい。この「音を聴く」面白さがある。
そして、同種類の楽器なのに、結構低域から高域までカバーしていて、アンサンブルが成立しているのだ。

バスもリズムも4人に割り振って違和感がない。

最後の、チャイコのロメジュリの最後の音。
原曲もユニゾンで終わるのかどうか知らないけど、今回の編曲では4本のユニゾンの長音で終わった。
これが見事で、まるで1本の楽器のように聴こえたので驚いた。
編曲も上手いがやはり演奏技術が巧みなんだ。

第二部はメンバー紹介やら、プレゼントやら、最後に全員記念撮影。その写真どうするのかなと思っていたがTwitterで披露してあった。もちろん僕も写っているのだが、爺くさい。

♪2024-092/♪みなとみらいホール-23

2024年5月10日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#23










2024-05-10 @すみだトリフォニーホール



大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
前橋汀子:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
エルガー:愛のあいさつ Op.12* 
マスネ:タイスの瞑想曲*
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソイ短調 Op.28*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20*
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」 
ラヴェル:クープランの墓
 Ⅰプレリュード
 Ⅱフォルラーヌ
 Ⅲメヌエット
 Ⅳリドーゴン
ラヴェル:ボレロ
---------------------------
丸山貴幸編:懐かしの青春メドレー*
 テネシーワルツ〜愛の讃歌〜川の流れのように
*バイオリン独奏とオケの共演






10連休明けのコンサート。
冒頭、オケの腕鳴らし「セヴィ理序」の出来がとても良い。11日前のN響よりずっと良い。ロッシーニの管弦楽化がうまいのか高域弦の嫌な音が全然しないので驚いた。
あとはどうかな?と思ったが今日は最後まで良いアンサンブルだった。

前半は、序曲の後はずっと前橋汀子によるバイオリンの小品集で全てオケ伴付き。御歳80とは全然見えない。テクニックもオケをバックにした音圧も十分。
もう、見栄も外連もありませんというような、大ベテランが到達した音楽をしみじみ味わった。

大友ちゃんは、1曲毎指揮台から降りて前橋の後ろに立って大先輩に敬意を表し拍手をリードしたが、これが見ていても心地良かった。

後半は、シャブリエとラヴェル2曲。全て上出来。
特に「ボレロ」の完成度が高かった。

ちょうど2年前に新日フィル@墨鳥でミッキーの「ボレロ」が狂乱する色彩という感じで面白かったが、今日は正統派で丁寧な演奏を噛み締めるように味わった。

2024-062/♪すみだトリフォニーホール-04

2024年2月14日水曜日

第2006回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2024-02-14 @サントリーホール



パブロ・エラス・カサド:指揮
NHK交響楽団
アウグスティン・ハーデリッヒ:バイオリン*
吉田珠代:ソプラノ**

ラヴェル:スペイン狂詩曲
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番ト短調*
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」(全曲)**
-------------------
カルロス・ガルデル(A.ハーデリヒ編):ポル・ウナ・カベーサ(首の差で)*





純粋にスペイン音楽ばかりではないけど、一応「スペイン」で括ったプログラム。

カサドの好みなのか、オケは繊細で攻撃的なところは微塵もなく、管弦のアンサンブル非常に良し。

さはさりながら、南国スペインの陽気な音楽かと思いがちだが、とんでもない。全て過去何度も聴いているのに、前半の2曲は、こんなに暗い音楽だったのか、とあらためて驚いた。

ハーデリッヒのバイオリンも明るい音色とは言えないし、音量も物足りない。繊細ではあるし一音一音をとても大切にしているのは分かったけど、協奏曲の妙味に乏しい。

後半、やっと本物のスペイン音楽が登場し、オケも繊細さを保ちながら華やいでとても好感した。

♪2024-026/♪サントリーホール-04

2024年1月13日土曜日

NHK交響楽団2001回A定期 01月公演

2024-01-13 @NHKホール



トゥガン・ソヒエフ:指揮
NHK交響楽団

ビゼー(シチェドリン編):バレエ音楽「カルメン組曲」
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:バレエ音楽「ラ・ヴァルス」





好漢ソフィエフ。
何でもできる人みたいだが今日は全🇫🇷もの。
今年に入って何故か🇫🇷塗れ。
シチェドリンのカルメン。打楽器協奏曲又はビゼー協奏曲風で面白い。
久々にN響の面目躍如。

欲を言えば、
バレエを入れてくれ!
せめて後半だけでも!

♪2024-007/♪NHKホール-01

2024年1月12日金曜日

第36回ヨコハマ・ワーグナー祭 薫りたつフランス音楽 〜フォーレ没後100年を記念して

 2024-01-12 @みなとみらいホール


斎藤葉:ハープ❶
伊藤慧・古川貴子:ピアノ・デュオ❷❸
荒井章乃:バイオリン❹
斎藤龍:ピアノ❹
佐々木ふみ:フルート❺
高井洋子:バスクラリネット❺
鈴木陽子:ピアノ❺
堀由紀子:ピアノ❻
小笠原伸子:バイオリン❻
百武由紀:ビオラ❻
間瀨利雄:チェロ❻

❶G.フォーレ:即興曲 作品86
❷G.フォーレ:<ドリー組曲>作品56から
 子守唄
 ドリーの庭
 キティ・ワルツ
 スペイン風の踊り
❸C.サン=サーンス:<死の舞踏>作品40
❹M.ラヴェル:バイオリン・ソナタ
❺J.M.ダマーズ:演奏会用ソナタ
❻G.フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 作品15




Rワーグナーではなく、文明開花時に横浜=日本に西洋音楽を持ち込んだクリスチャン・ワーグナーを記念した演奏会。やっていることは知っていたけど参加は初めて。没後百年のフォーレを中心に昨夜に続いて音楽ばかり。良き哉。

♪2024-005/♪みなとみらいホール-01

2023年11月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 県民名曲シリーズ第17回 「吹奏楽 in オーケストラ」

2023-11-04 @県民ホール



現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
須川展也:サクソフォン*
佐藤采香:ユーフォニアム**

バーンズ(大橋晃一編):アルヴァマー序曲(管弦楽編曲版初演)
保科洋:管弦楽のための「風紋(原典版)」
スパーク(大橋晃一編):パントマイム**
リード:アルメニアン・ダンス・パート(管弦楽編曲版初演)
挾間美帆:サクソフォン・ソナタ第1番「秘色の王国」(管弦楽編曲版-須川展也委嘱作品)*
ラヴェル:ボレロ* **
東海林修:管弦楽のための「ディスコ・キッド」


プログラムには何にも言及してなかったが、チラシには「吹奏楽 in オーケストラ」と書いてある。
大昔、中高時代吹奏楽をやっていたのだけど、その頃と今では様変わりで、近年の事情はさっぱり分からない。

でも、どうやら、今日の演奏曲の大半は、吹奏楽の世界ではヒット曲らしい。

ラヴェル「ボレロ」以外は初聴き?だと思うが、みんな調子の良い、わかりやすい音楽で、とても楽しく聴いた。

しかし「吹奏楽」と銘打つなら、2、3曲は本当の吹奏楽編成で聴きたかったな(木管調達が大変だろうだけど。)。

(昔、N響のコンサートで、<N響吹奏楽>と称して、吹奏楽編成でヴォーン・ウィリアムスの「イギリス民謡組曲」などを聴いた。あの名人上手が演奏する吹奏楽のオリジナルで同曲を聴けたのはホンに嬉しかったよ。得難い体験。)


演奏はどの曲も見事なのだけど、特に「ボレロ」の出来には感心した。スネアも中低弦のピチカートも最初はやっと聴こえる程度の弱音から始まる。最初に主題を引き受けるのがFlだが、ここで、それまでのぎりぎり抑えた静寂の世界をいっぺんに台無しにするような音量で登場することが少なくないのだ。しかし、前にも聴いた経験があるが、神奈川フィルの江川女史は違う。よくこんなに抑えて吹けるなと思うくらい弱音でスネアに乗ってくる。もうその辺からゾクゾクしてくるよ。


今日の弦は12型だった。これが良かった。12型の「ボレロ」は初めてかも。

広々とした、特に奥行きのある舞台に12型だから、管打はゆったりと並んでいた。県民ホールは舞台の四方を頑丈な反響版に囲まれているから、音の抜けが良い。細大漏らさず客席に飛んでくる感じだ。スッキリと12型で明瞭な音楽が残響重視のホールとはまた違った味わいを見せる・聴かせる。

今日のコンマスは読響から小森谷巧氏が客演した。神奈川フィルの総大将はあちこち出稼ぎで忙しいのか。でも、いろんなコンマスを迎えるのは良いことだと思うよ。今度マロさん呼んで親子共演を聴かせて欲しいな。

♪2023-190/♪県民ホール-1

2023年10月9日月曜日

オペラ:プッチーニ/修道女アンジェリカ & モーリス・ラヴェル/子どもと魔法

2023-10-09 @新国立劇場



【指 揮】沼尻竜典
【演 出】粟國淳
【美 術】横田あつみ
【衣 裳】増田恵美
【照 明】大島祐夫
【振 付】伊藤範子
【舞台監督】髙橋尚史

●修道女アンジェリカ
【アンジェリカ】キアラ・イゾットン
【公爵夫人】齊藤純子(マリアンナ・ピッツオラートの代役)
【修道院長】塩崎めぐみ
【修道女長】郷家暁子
【修練女長】小林由佳
【ジェノヴィエッファ】中村真紀
【オスミーナ】伊藤晴
【ドルチーナ】今野沙知恵
【看護係修道女】鈴木涼子
【托鉢係修道女1】前川依子
【托鉢係修道女2】岩本麻里
【修練女】和田しほり
【労働修道女1】福留なぎさ
【労働修道女2】小酒部晶子
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●子どもと魔法
【子ども】クロエ・ブリオ
【お母さん】齊藤純子
【肘掛椅子/木】田中大揮
【安楽椅子/羊飼いの娘/ふくろう/こうもり】盛田麻央
【柱時計/雄猫】河野鉄平
【中国茶碗/とんぼ】十合翔子
【火/お姫様/夜鳴き鶯】三宅理恵
【羊飼いの少年/牝猫/りす】杉山由紀
【ティーポットト】濱松孝行
【小さな老人/雨蛙】青地英幸

プッチーニ/修道女アンジェリカ &
モーリス・ラヴェル/子どもと魔法
全1幕〈イタリア語・フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

上演時間約2時間25分

修道女アンジェリカ
 全Ⅰ幕65分
-------------------
  休憩35分
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子供と魔法
 全Ⅰ幕45分



❶Wビルの1本目はプッチーニの「修道女アンジェリカ」。
生舞台は初めて。放送(録画)で、内容は承知しているので、あまり期待もせず臨んだが、案の定、楽しめない。
これは歌唱・演技・演出・舞台美術の問題ではなく、そもそもの原作のあちこちに疑問を感ずるので、どうにもしようがない。

中でも、修道院で7年間、事実上軟禁生活を強いられているアンジェリカを叔母の公爵夫人が尋ねてきたところから、問題噴出。7年前に引き裂かられ我が子が2年前に亡くなっていることを聞かされ、希望を失ったアンジェリカは毒を仰ぐ。その途端。自死は大罪であることを思い出し神に許しを乞う。

1番の問題は、毒の回った彼女の前に子供が現れる(原作のト書きでは黙役の金髪の子が現れる。現にそういう演出の舞台を録画で観ている。)。
これが神の奇跡なのか、それが問題だ。

大抵の解説には奇跡であると書いてあり、公演プログラムも同様。しかし、演出者の弁では、そこは曖昧で、実際舞台でも子供を登場させず、アンジェリカの身振り手振りで子供の存在を感じさせる。そういう演出が意図するのは、神の奇跡と思いたい人は思ってもよし。幻覚と受け止めることも否定しない。とややアンフェアな態度だ。

しかし、カトリックが自死を禁じている以上、神の恩寵である「奇跡」は起こってはならないのだ。

それを原作では奇跡と描いているのが大きな問題だ。
あるいは、僕の見立てのように(演出者にもそのような意図が半分は見られる)、薬物中毒者の死に際の幻覚であるとすれば、事件の発端から最後まで、実につまらない女性のつまらない短い一生を描いただけのうすっぺらな物語である。

オペラとしての出来は、如上の理由でキアラ・イゾットンの熱演にも関わらず楽しめなかった。


長くなりついでに。
よく似た話が1955年スペイン映画「汚れない悪戯」だ。主題歌の「マルセリーノの唄」でお馴染みだ。
12人の修道士が暮らす修道院の前に男の赤子が捨てられた。慣れない男たちが我先に争うようにその子マルセリーノを慈しみ育てるが、5歳になった時、屋根裏部屋の磔のキリスト像と対話を始め、厨房からパンや葡萄酒を盗んで像に供える(汚れなき悪戯)。おかしいと思った修道士たちはマルセリーノの後をつけ、屋根裏部屋に上がり、彼とキリスト像の対話を目にすることになる。1番の望みは?とキリストに問われ、マルセリーノは「ママに会いたい」と答える。
その結果がどうなるか、覗き見をしていた修道士たちには分かっていても、神の大いなる奇跡の前に立ち尽くすばかりだった。

この話では、ママは既に亡くなっている。マルセリーノは生きており、純粋で篤い信仰心を持っている。そこに神の恩寵としての奇跡が起こるのだ。
僕はクリスチャンじゃないし、そもそも宗教を疑問視しているが、信仰心(仰ぎ見る・信ずる心)は大切ではないかと思っている。だから、このようなマルセリーノに起こった奇跡を信じたいと思い、この映画を観る度に(いや、思い出す度に)ハラハラと泣けてしまう。

プッチーニはもっと台本を吟味すべきだった。

❷「子供と魔法」
全く期待していなかった。子供の絵本みたいな話に付いてゆけそうにもない。これも舞台は初めての経験だった。録画ディスクは目を通しているが、子供さえ楽しめないだろう…と思っていたが、今回の演出、というより、舞台美術と衣装には驚かされた。プロジェクター投影の画像と作り物が見事に美しく、遊び心に溢れている。
音楽はラヴェルだから、つい、口ずさみたくなるようなものではないが、つい、頬が緩むような舞台だった。

お母さんが影絵だけで最初と最後に登場し、魔法の世界の扉の役を果たしていた。演じ歌った歌手にとっては残念だったかもしれないが、演出的には良いアイデアだった。

2作とも新制作だが、少なくとも「子供と魔法」は再演を期待したい。

♪2023-170/♪新国立劇場-16